10月18日(水):
『齋藤孝のおすすめブックナビ 絶対感動本50』(マガジンハウス)を改題。
371ページ 所要時間2:30 古本108円
著者43歳(1960生まれ)。静岡生れ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。『身体感覚を取り戻す』(新潮学芸賞)、『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞)など著書多数
1ページ15秒のペースで眺めていった。老眼で、このペースだと正直、ページ毎にフックを引っかけてお終い、次々とページをめくってい機、時折立ち止まる感じだ。それでも、選択した本の内容を紹介しながらコメントを付す形式は良い感じだ。著者の本で俺が感想5を付けたのは初めてかもしれない。
本書は、俺のブログが目指している原点のようなものだった。もちろん、著者との力量の違いを見せつけられて如何ともしがたいのは仕方がないとして、俺はこういう感じのブログを理想としているのだ。
この厚さの本を、この時間で終わりまで眺めるというのは、「読んだと言えるのか?」烏滸がましい気はするのだが、これを敢えて「読んだ」と言い切ることによって、俺の目指す読書生活は切り拓かれるのだ。すべてをきっちりと読んで、わかって、理解してなどというのではまず時間がない、根気がない、元気がない、目が老眼である。本書の内容を復唱せよと言われれば、できない。しかし、確実に本書に接することを喜んでいる自己が存在する。100%でなくてよい。10%でも良い出会いだと思えれば、それでよい。そんな本が本棚に並んで増えていくのを見ると心が安らぎを覚える。何か登った山が増えるような、良き友が増えるような気分になれる。
この歳になって、現実世界で知己を増やすことは難しい。職場でも尊敬できる先輩方がほとんどいなくなり、よくて自分と同世代、普通に10歳近い歳下、悪くすれば20代の若造に囲まれて、「こいつら何を考えてるのか、さっぱりわからねえ」と思いながら、同僚として挨拶や業務連絡はできても、それ以上に知り合うことはできない。肝胆相照らすところまでいかなくても、少しは深い話のできる相手となるともはや新しく求めることは不可能に近い。でも、本は違う。気に入った本に出合うと新たな知己に出合えた気になれるのだ。
齋藤孝氏が、泣ける、胸打つ、心に沁みる名作を50選。愛を込め、縦横に作品の感動を語り尽くす。小説、ノンフィクション、自伝、漫画とジャンルは様々だが、どれも生きる力・読書力を鍛え、人間の器を大きくする力がみなぎっている本ばかりだ。さらに、声を出して読みたい「美文・名文・凄みの文」をたっぷりと抜粋・引用。原著を読まなくても十分に「感動のツボ」を味わい、愉しむことができる構成になっている。
【目次】<自伝・エッセイ>
・紫の履歴書 / 美輪明宏
・チャップリン自伝 / チャールズ・チャップリン
・若き数学者のアメリカ / 藤原正彦
・生きて行く私 / 宇野千代
・父・こんなこと / 幸田文
・自分の中に毒を持て / 岡本太郎
・色を奏でる /志村ふくみ
<ノンフィクション>
・神の肉体 清水宏保 / 吉井妙子
・もの食う人びと / 辺見庸
・聖の青春 / 大崎善生
・ヨハン・クライフ / ミゲルアンヘル・サントス
・素晴らしきラジオ体操 / 高橋秀実
・嬉遊曲、鳴りやまず / 中丸美繪
・印度放浪 / 藤原新也
・パリ左岸のピアノ工房 / T・E・カーハート
<身体・心理・哲学>
・退治の世界 / 三木成夫
・野口体操 からだに貞く / 野口三千三
・言葉がひらかれるとき / 竹内敏晴
・「いき」の構造 / 九鬼周造
・開かれた小さな扉~ある』自閉児をめぐる愛の記録 / バージニア・M・アクスライン
・ツァラトゥストラ / ニーチェ
・ゲーテとの対話 / ヨハン・ペーター・エッカーマン
<歴史>
・世に棲む日日 / 司馬遼太郎
・氷川清話 付勝海舟伝 / 勝海舟 勝部真長編
・ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書 / 石光真人編著
・夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録 / V・E・フランクル
・望郷と海 / 石原吉郎
・腕白小僧がいた / 土門拳
<神話の世界>4冊
<絵本・漫画>3冊
<文学・小説ほか>15冊
【内容紹介】
この50冊には人生を豊かにする、大きな力がある! 確信をもっておすすめできる、バラエティ豊かな名著。著者の魂がじかに響いてくる、人間の大きさをリアルに感じられる作品群。小説、評伝、ノンフィクション、写真集、絵本、漫画、落語、海外文学――五感を解放して心を揺さぶり、わくわく、ゾクゾクさせる、幸福な読書体験があなたを待っています。