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もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

171229 115万PV超: ※「日本の性被害者支援は中世レベル」——「詩織さん事件を検証する会」森ゆうこ議員に聞く現状と解決策

2017年12月30日 15時22分55秒 | 閲覧数 記録
12月29日(金):  記録ですm(_ _)m。ブログの開設から2274日。  

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超党派で「準強姦事件逮捕状執行停止問題」を検証する会
12月6日に行われた第3回検証する会では伊藤詩織さんが講演し、捜査や被害者支援の体制について改善を求めた。提供:森ゆうこ議員事務所

 森裕子参院議員:警察や検察相手だと尻込みする議員が多い中、森議員がこの問題に立ち向かうのは「不条理をなくすため」だと語る。
 「検証する会」には全野党の議員が出席、検証・議論を進めている。出典:森ゆうこ議員事務所
Business Insider Japan 室橋祐貴「日本の性被害者支援は中世レベル」——「詩織さん事件を検証する会」森ゆうこ議員に聞く現状と解決策       Dec. 26, 2017, 05:30 PM
  日本でもいよいよ「#MeToo」が広がり始めた。アメリカで俳優らがハリウッドの大物プロデューサーによるセクハラ被害を告発したことに端を発して、ツイッターなどで「#MeToo」と声を上げる動きが広がっていたが、日本でも有名ブロガーのはあちゅうさんの告発をきっかけに「#MeToo」と投稿する人が相次いでいる。
  しかし、議論の方向ははあちゅうさん個人や書いてきたものへの批判とすり替えられ、矮小化され、社会のあり方や性被害者支援の仕組みの議論までは広がっていない。
  これはここ半年取材や会見等で発言してきたジャーナリストの伊藤詩織さん(以下、詩織さん)の事件と重なるところがある。
  2017年10月、詩織さんは自身の性暴力被害とその刑事告発が不起訴処分になるまでの一連の体験をつづった著書『ブラックボックス』を出版した。その中でこの本を書いた理由について、この国の捜査や司法、性犯罪ホットラインなど性犯罪の被害に遭ったときの救済の仕組みづくりまで取り組んでほしいからだと述べている。

“ 私が本当に話したいのは、「起こったこと」そのものではない。
  「どう起こらないようにするか」
  「起こってしまった場合、どうしたら助けを得ることができるのか」 という未来の話である。それを話すために、あえて「過去に起こったこと」を話しているだけなのだ。
(中略)
  あくまで私が伝えたかったのは、被害者が泣き寝入りせざるを得ない法律の問題点や、捜査、そして社会のあり方についてだ。
 ”
  『Black Box』より引用


  こうした訴えを受け、国会内では超党派で「準強姦事件逮捕状執行停止問題」を検証する会(以下、検証する会)が立ち上がり、検察や司法、性被害者支援の改善について議論が進められている。
  Business Insider Japanではこの検証する会の呼びかけ人の一人である自由党・森ゆうこ参院議員(61)に話を聞いた。

ワンストップで被害者を守る体制がない
  2017年6月、110年ぶりに刑法の性犯罪規定が改正され、被害者の対象に男性も含めること、性犯罪の厳罰化、非親告罪への変更などが盛り込まれた。
  しかし、第3回検証する会で詩織さんが「スウェーデンでは病院内に24時間体制のレイプ救済センターが整備されているが、東京には24時間体制のレイプ救済センターが1つしかない」と指摘したように、被害者支援の仕組みは整っていない。
  今回、「検証する会」を立ち上げた理由について森氏はこう語る。
  「詩織さんが勇気を持って声を上げたことに対して、この問題をきちんと国会で検証しなければと思っている国会議員が党派を超えてたくさんいたということ。通常国会の刑法改正で、性被害の当事者が声を上げられなくても告訴できる非親告罪化が実現し、法律的には一歩進んだ。しかし、被害者支援の仕組みは遅れているなんてものじゃなくて、中世レベル。証拠を保全し後の立証に役立てる仕組みや、すぐに被害者の相談に乗り、心身のケアをするというワンストップで守る体制がない。これを何とか整えないといけない
  具体的には、「性暴力被害者支援法案」(性暴力被害者の支援に関する法律案)の成立を目指しているという。この法案ではワンストップ支援センターの整備や捜査過程における配慮、啓蒙などが記述されている。
  「この法案は与野党で対決するような法案ではない。詩織さんから『なぜレイプ救済センターが整っていないのか?』と質問されたが、何も答えられない。立法府にいる人間として申し訳ない。一刻も早く設置したい」

ブラックボックス状態の検察審査会
  詩織さんの『ブラック・ボックス』によると、加害者として告発していた男性については、逮捕状まで出ていたにもかかわらず、直前で執行取りやめになったという。森氏はこの逮捕状執行停止や検察審査会のあり方についても疑問を投げかける。
  「この男性が帰国するところを空港で待ち構えて逮捕する直前に、菅官房長官の元秘書官、中村格(いたる)刑事部長(当時)が自分の決裁で逮捕を取り下げたことが国会で確認された。警察の捜査、逮捕状執行という公権力が適切に行使されたのか否か、これこそ立法府として検証すべき。すでに検察審査会で不起訴相当の議決が出ていることから、与党の国会議員から『司法への不当介入』『三権分立も知らないのか』といった批判も来るが、立法府が司法や行政をチェックしないで誰がやるのか。三権分立はチェックアンドバランスで機能している。きちんと検証するのが我々の責務
  詩織さんは男性の「不起訴処分」を不服として検察審査会に審査を申し立てたが、検察審査会の結論は「不起訴相当」。
  検察審査会は、20歳以上で選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の「検察審査員」が審査する。不起訴とした検察官に対して、審査に必要な捜査資料の提出や会議での説明を求めることもできる。ただ、検察審査会が「起訴相当」として、検察の「不起訴」を覆す事例は圧倒的に少ない。2016年の検察審査会の受理件数は計2190件だが、このうち起訴相当の議決がなされたのは3件で、たった0.1%だ。
 「検察審査会はまさに現代のブラックボックス。この民主主義の社会で、会議が開かれたのかもわからない。どういう人が参加したのか、どの証拠を使ったのかもわからない。裁判員だって記者会見をする」
  森氏が検察を追及するのは今回が初めてではない。自由党代表・小沢一郎衆院議員(75)が資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、嫌疑不十分で不起訴になった後、市民団体が検察審査会に審査を申し立て、「強制起訴」になった。森氏は疑問を抱き、検察審査会で何が議論されたのかを明らかにしようとした。
  「審査会の開催状況を報告する審査事件票を請求しても黒塗りばかりで何も分からない。陸山会事件のときは、事実とは似ても似つかぬ虚偽の捜査報告書が提出されたことが発覚した。会議録を記載するなど検察審査会法の改正が必要。このままだと本来起訴されるべき人が起訴されない一方で、冤罪を防ぐこともできない。もっとみんなが納得できるような体制に変えていきたい」

「昔はそうだった」はもう誰も支持しない
  他方、はあちゅうさんの告発をきっかけに声を上げる人も増えてきたが、詩織さんもバッシングを受け、性被害者に対する目は依然として厳しい。今後変わっていくのだろうか。
  「やっぱりまだ『被害者にも落ち度があったのだろう』とか、『性に関わることを公に議論しない』というような風潮がある。でも、『昔はそうだった』という声はもう誰も支持しない。被害者が次々に声を上げ性暴力を許さないという世界的な潮流の中で、人権を重視しない国と見られてしまうのはどうなのか。すぐには変わらないが、日本も性被害者の人権が最大限尊重される社会になっていかないといけない
  詩織さんの発信を受けて、「詩織さんとともに声をあげよう!」と署名を集める動きも広がっている。福岡県に住む25歳の福原桃似花(もにか)さんは「性について語ることのタブーを変えたい」という想いからchange.orgでキャンペーンを立ち上げた。立ち上げて1週間程度で2万人近くの署名が集まり、現時点では約2万3000人の署名が集まっている。
  内閣府の2014年「男女間における暴力に関する調査」によれば、実際に全く知らない人から無理やり性交されたというケースは11.1%。多くは顔見知りから被害を受けるケースだ。だが、警察に相談に行く被害者は全体の4.3%だけで、そのうちの半数は見知らぬ相手からの被害。顔見知りから受けたほとんどの被害者が警察に行ってすらいない。
  仮に相談に行ったとしても、今の日本の法制度では、事件を起訴することも難しい。
  今後、どう被害をなくし、仮に被害にあってもサポートを受けられる仕組みをどう作っていくか。日本でも「#MeToo」が広がった今こそ、どう社会を変えていくかが問われるべき時だ。   (文、写真・室橋祐貴)
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171228 一年前:161228 朝日新聞と民進党が重なって見える。潰れるのが世のためだ。 ※外国人記者の信頼度NO1は東京新聞!

2017年12月29日 00時59分27秒 | 一年前
161228 朝日新聞と民進党が重なって見える。潰れるのが世のためだ。 ※外国人記者の信頼度NO1は東京新聞!

12月28日(水):  俺が信頼するメディアは、東京新聞、琉球新報、沖縄タイムス、日刊ゲンダイ、リテラ、★阿修羅♪、他に大手でない地方紙等だ。信頼できる情報源は自分で探すしかな......

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171228 二年前:151226 来年の参院選は関ケ原の戦いだ。前原詐欺師は吉川広家だ。内応者を切らなければ、西軍(野党)の負け

2017年12月29日 00時56分59秒 | 一年前
12月28日(木):

(2015年)12月26日(土):     安倍晋三と橋下徹のお友達!卑劣・卑怯な詐欺師。国民の敵!

違和感。NHKの解説委員の討論会で島田敏男が何の恥も無く安倍首相個人をよいしょしている。この男は、私的に公共放送の電波を使って権力者に阿り、ごまをすっている。NHK解説委員の役職を自分のために私物化している。それをNHKは誰も止めようとしない。腐敗臭のするメディアだ。

民主党の中の前原詐欺師や細野某は、民主党の中にとどまって共産党との協力に反対しているだけで安倍政権に対する多大な貢献を果たしていることになる。奴らは、民主党に居座って何もしないことで、民主党全体に何もさせない障害となって活躍・貢献していることになる。

俺には、前原詐欺師が<関ケ原の戦い>における裏切者吉川広家に重なって見えて仕方がない。吉川広家は毛利家本家ではなく分家だ。主流ではなく傍流であるにもかかわらず、主流の行動を小賢しく引っ張って南宮山の毛利本隊の行動を麻痺させてしまった。吉川広家も何もしないことによって、毛利全軍を麻痺させてしまった。何もしないことによって、敵である徳川家康に貢献したのだ。

後世の我々は、吉川広家を軽蔑するとともに、何もできなかった毛利輝元や毛利秀元の無能ぶりを怪しみ、いぶかしがり、もし毛利本隊が動いていたら小早川秀秋の裏切りも起こりえず、西軍の大勝利だったのにと歯噛みする。毛利輝元は、岡田民主党党首ということになるだろう。安倍自民党別動隊である前原詐欺師を切れないでぐずぐずしていれば来年の参議院選は、ほぼ確実に野党は負ける。来年の参議院選は、ある意味戦後日本の天下分け目の戦いになるが、結果は関ケ原の歴史がすでに示している。

結束力の堅い自公独裁政権が勝つ。今の民主党が今の岡田党首を頂いてふわふわとしたまとまり切れないままで戦う野党は必ず負ける。日本は地獄に落ちる。関ケ原は、必ずしも徳川家康が勝つのが約束されていたわけではないが、最後は指揮官の気合いの差がものを言った。もしも事前に吉川広家を切っておれば西軍の勝ちだったのだ。その時、黒田官兵衛のような第三勢力が現れたかもしれないがまずは西軍の勝ちだった。

来年の参議院選挙も野党に本当に勝つつもりがあれば勝てる。生活の小沢一郎党首が唱える「オリーブの木」構想を野党(大阪維新以外)が結束を固めて取り組めば、共産党の志位委員長が協力体制を約束している以上必ず勝てる。もし勝てないとすれば、党内の自民党別動隊の前原詐欺師を切れない民主党の責任だ。民主党が本当に国民の理解と信頼を得たいと思うならば、岡田党首の英断で民主党を解党することだ。前原詐欺師を抱えてこのままずるずると来年の参議院選挙を迎えれば必ず民主党は硬直し野党の結束は弛緩し、自公ファシズム政権の結束力の前に敗れる。

 安倍の走狗NHKは期待を裏切らない。 
↓“よもつへぐい”した宦官去勢豚、権力の腐れ犬ども↓絶対に赦さない!特に朝日新聞の曽我豪とNHKの島田敏男

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7 025 池上彰・佐藤優「大世界史 現代を生きぬく最強の教科書」(文春新書:2015)感想特5

2017年12月28日 22時15分51秒 | 一日一冊読書開始
12月28日(木):  

255ページ     所要時間8:40     ブックオフ460円

著者:池上彰65歳(1950生まれ)。長野県生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。記者やキャスターを歴任し、2005年に退職。2012年より東京工業大学教授
佐藤優55歳(1960生まれ)。東京都生まれ。作家・元外務省主任分析官。同志社大学大学院神学研究科修了

対談形式の本書の著者2人は、俺が今最も信頼を寄せているある種の<座標>のような存在である。本書の著された目的は、「現代の世界で起こっている様々な事象・ニュースをきちんと理解するためには、世界史の知識がどうしても必要不可欠である」ことを明らかにすることである。趣旨には俺も全く同感であり気楽に読み始めた。そして、参ってしまった。速読が全くできない。歯が立たない。これは現在進行中の老眼のせいだけではない。

内容がものすごくハイレベルなのだ。人気の著者2人の対談本でベストセラーだからという理由で、本書を「普通の新書だ」と思って買った人々の多くがえらい目にあったはずだ。本書を読む前提条件として要求される歴史・地理の知識レベルが半端でなく高いのだ。もちろん字面を追いかけて最期までページを繰ることは誰でも可能だが、理解、吸収の度合いは大きな差がでる。

俺は毎年、「世界史B」のセンター試験で95点前後をとっているが、その俺が読んでいて、両人の話のレベルに付いていききれないのだ。実は、今回の読書では、60数ページまで読み進んだ後、「これは無理だ!」と、一度挫折してしまった、改めて初めのページから線を引き、付箋をしながら読み直している。

佐藤氏はともかく、池上さんについてはテレビなどで分かりやすい解説者としてなじんでいる人が多いだろう。しかし、池上さんの著書は確かに分かりやすいのだが、意外と詳細で分厚くてレベルが高いのだ。ふだん実力をセーブして優しい解説者を務めている池上さんが、彼を凌駕する?好敵手としての対談相手を得たことで全力で知力を振り絞って、時に詳細に、時に大胆に様々なテーマ・事象について語り尽くしている、という印象である。

佐藤氏の側も、池上さんというハイレベルなキャッチャーを得て、元々規格外の並外れた博識さ、テーマ・事象への明確な判断・判定をおこない、有無を言わせぬ説得力を全ページにわたって発揮している。

もし、2人の対談の内容が的外れで、ただ意味もなく詳細、複雑、難解なだけであれば、「何ややこしいこと言ってるねん?!」と無視して読み飛ばせるのだが、いずれの話題も現代の国際情勢を理解する上で絶対に外せない身近で切実な話題であり、読み飛ばせない。ひとつずつ積み重ねながらついて行かざるを得ない内容なのだ。そして、読んだ後には、考えもしなかった問題提議に、類書では得られない世界観を「目から鱗」で変えられてしまう経験を何度もさせられ、自分が「何か変だな?」と感じながら言葉にできないでいた違和感に明確な言葉を与えられている。

2人の対談では基本的に意見の齟齬は発生しない、それは2人が同じ思想の持ち主だからではなく、非常に高いレベルの博識・知性から観れば、この程度のテーマ設定では見える風景はほぼ同じであり、答えもほぼ同じということ。もっと高いレベルになれば、違ってくるのだろう。

2人は「大学教育における一般教養(リベラルアーツ)重視!」で共通の見解をもっている。そして「すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなるだけ」と今の大学教育の風潮を職人教育と批判している。

池上 以前、佐藤さんは、「日本の政治家の半分くらいは『イラン人がアラブ人だ』と思っているのではないか」と書いていましたね。 /佐藤 政治家から「イランを始め、アラブの動静はどうですか」とよく聞かれるのです。 /池上 イランがペルシャ人の国であることを知らない。  37ページ
佐藤 略。アラブの春には民主主義をつぶす機能しかなかった。政治的にイスラムと民主主義はなじまない。略。アラブを中心に動くのが、これまでの中東世界でしたが、「アラブの春」以降、アラブ諸国が弱体化し始め、代わりに非アラブのイランとトルコが中東世界で勢力を拡大しつつある。49ページ
佐藤 もしウイグル地域に「第二イスラム国」が出現したら、中国は、安全保障上、西方を向かざるをえなくなります。 /池上 その可能性は大いにあると思います。 /佐藤 そうなると、尖閣問題どころではありません。中国としては、対日接近の芽も出てくるかもしれません。 /池上 それは、日本にとって悪い状況ではない、ということです。 72ページ
池上 それに、「反省」と言えば、中国は「まあいいか」という対応ですが、韓国は反省だけではだめです。 /佐藤 反省するなら形を示さないといけない。「誠意を見せなさい」と。「誠意とは具体的に何ですか」と問うと「それはそっちで考えることです」と返ってくる。略。 /池上 しかし、全部聞いたあとで挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)が騒ぎだしたら、また要求を吊り上げる可能性があります。 /佐藤 あそこは抑えきれませんね。それと、謝るだけ謝って、慰安婦像の撤去なども要求しない、となったら、今度は、安倍政権を支持している右側を抑えられるかどうかが問題になるでしょう。102ページ
佐藤 現在のギリシャは、一九世紀に恣意的に作られた国家です。ロシア帝国と大英帝国のグレートゲームの中の仇花みたいなものです。略。国民はDNA鑑定をすれば、トルコ人と変わらない。略。言語も、古代ギリシャ語とはまったく違います。略。ギリシャは、ギリシャとして存在すること自体がいわば「仕事」になっているのです。104~107ページ
佐藤 略。しかし、住民投票は、沖縄にとって受け入れられる話ではありません。なぜなら、沖縄にのみ巨大基地を負担させるという差別法が前提になっているからです。原発は、受け入れる道県、並びに地元自治体の民主的な手続きを経て選ばれた首長や議会の同意を経て設置されていますが、米軍基地は、アメリカの占領下で、住民が強制阻害されている状況か、あるいは銃剣とブルドーザーで住民を追い出して勝手につくられた。ここが沖縄の米軍基地と原発の違いです。沖縄の米軍基地は、一つもそうした民主的手続きを経ていません。ですから、沖縄の基地問題の本質は、「反原発」と同じ発想では捉えられないのです。169ページ
・佐藤 ドローンの発展によって、兵器の体系も全く変わるはずです。中国がいくら空母を作っても、日本が強力なドローンを開発してしまえば沈められる。ここで面白いのは、中国もそれがわかっているはずなのに、それでも空母の建造を止められないことです。
176ページ
池上 日本人にとっては意外なのですが、実は韓国の人たちには、北朝鮮の核開発はそんなに無理やり辞めさせなくてもいい、という意識がありますね。韓国が独自に核開発をしようとすると、アメリカからいろいろうるさく言われるけれど、いずれ南北が統一されれば、北朝鮮の格が自動的に我々のものになる、と。185ページ
佐藤 ビリギャルが受けた慶應大学の学部は、小論文と英語だけの二科目受験でした。これでは大学生といっても、略、授業についていけるはずがない。結局、教養など何も身に付かないままに卒業することになる。/略。つまり、学歴ではなく「入学歴」が付くだけです。 212ページ
佐藤 戦後日本も危ないところでした。GHQが招いた教育使節団の勧告によって、漢字廃止、ローマ字表記にされてしまう可能性があったのです。少し前まで一般的に使われる漢字を「当用漢字」といっていましたが、これはローマ字表記を採用するまで、当座の間だけ使っていい感じです、という意味でした。 /池上 それが「常用漢字」になったのは、一九八一年のことです。219ページ
佐藤 いま日本の大学は、どこも、グローバル基準に合わせることに汲々としてます。しかし、そもそも大学における「スーパーグローバル」とは何を意味するのかを考えるべきです。/ギリシャ・ラテン古典学のある先生の話がとくに印象的でした。この先生は国立大から早稲田大学に移ったところ、英語の勉強が大変だとおっしゃっていました。四コマのうち一コマは、英語で授業しなければならないからです。そこで、「英語で伝えた場合、日本語で伝える場合の何割くらい伝えられますか」と尋ねると、「三割くらい」と。では、「学生の理解は日本語のときの何割か」と尋ねると、「二割くらい」と言います。三割かける二割で六%、つまり、日本語での授業に比べて、六%しか伝わらない講義をして、それをグローバリゼーションと言っている。/こんなことを真似る必要はありません。226ページ
池上 無暗に英語で授業をしても、自ら英語植民地に退化するようなものです。そもそも大学の授業を母国語で行えることは、世界的に見れば、数少ない国にしか許されていない特権です。その日本の強みを自ら進んで失うのはこれほど愚かなことはありません。227ページ
佐藤 今の日本は、歴史感覚がおかしくなっている。現在と過去を結び付ける勘が鈍っているから、「永遠の0(ゼロ)」を見て、泣いたりできるのでしょうが、略。ここしばらく、歴史ドラマに良作がありません。 /池上 二〇一五年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は、安倍首相の本拠地山口を舞台にしています。政権への露骨なごますりです /佐藤 「花燃ゆ」を見ていると、北朝鮮の「朝鮮の星」という映画を思い出します。これは、金日成主席の周辺の人々の物語りです。242ページ  

【目次】はじめに(池上彰)/1なぜ、いま、大世界史か /2中東こそ大転換の震源地 /3オスマン帝国の逆襲 /4習近平の中国は明王朝 /5ドイツ帝国の復活が問題だ /6「アメリカvs.ロシア」の地政学 /7「右」も「左」も沖縄を知らない /8「イスラム国」が核をもつ日 /9ウェストファリア条約から始まる /10ビリギャルの世界史的意義 /11最強の世界史勉強法 /おわりに(佐藤優)

※よかったら、「5 029 池上彰・佐藤優「新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方」(文春新書:2014)感想特5」(2015年11月15日 02時45分14秒 | 一日一冊読書開始)も読んでみて下さい。

【内容情報】(出版社より)
『新・戦争論ーー僕らのインテリジェンスの磨き方』に続く、最強コンビによる第2弾! / 今、世界は激動の時代を迎え、各地で衝突が起きています。 /ウクライナ問題をめぐっては、欧州とロシアは実質的に戦争状態にあります。 / 中東では、破綻国家が続出し、「イスラム国」が勢力を伸ばしています。そして、これまで中心にいたアラブ諸国に代わり、イラン(ペルシャ)やトルコといったかつての地域大国が勢力拡大を目論むことでさらに緊張が増しています。 /アジアでは、中国がかつての明代の鄭和大遠征の歴史を持ち出して、南シナ海での岩礁の埋め立てを正当化し、地域の緊張を高めています。 / 長らく安定していた第二次大戦後の世界は、もはや過去のものとなり、まるで新たな世界大戦の前夜のようです。わずかなきっかけで、日本が「戦争」に巻き込まれうるような状況です。 /こうした時代を生きていくためには、まず「世界の今」を確かな眼で捉えなければなりません。しかし直近の動きばかりに目を奪われてしまうと、膨大な情報に翻弄され、かえって「分析不能」としかいいようのない状態に陥ってしまいます。ここで必要なのが「歴史」です。世界各地の動きをそれぞれ着実に捉えるには、もっと長いスパンの歴史を参照しながら、中長期でどう動いてきたか、その動因は何かを見極める必要があります。 / 激動の世界を歴史から読み解く方法、ビジネスにも役立つ世界史の活用術を、インテリジェンスのプロである二人が惜しみなく伝授します。

【内容情報】ベストセラー『新・戦争論』に続く最強コンビの第2弾!各地でさまざまな紛争が勃発する現代は、まるで新たな世界大戦の前夜だ。激動の世界を読み解く鍵は「歴史」にこそある!
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7 024 「学習漫画 中国の歴史4 南北を結ぶ大運河 南北朝と隋の統一」(集英社:1987)感想3+

2017年12月26日 23時49分41秒 | 一日一冊読書開始
12月26日(火):  

165ページ     所要時間2:30      図書館

長沢和俊/監修:松平喜美江/立案・構成 山本弘道/立案・構成 三上修平/シナリオ 貝塚ひろし/漫画

年末ということで、図書館から集英社の旧版「中国の歴史」4~9、計6巻を借りてきた。

学習漫画を読書に計上するのは、正直恥ずかしい。でも、だからこそというのか、「百聞は一見に如かず」で、文字では得られなかった強いイメージを与えてくれる。そして意外と勝手な思い込みの勘違いを気付かせてくれる。「三十六計逃げるに如かず」は孫氏の兵法ではなく、南北朝時代の宋の檀道済という名将軍の逸話からきている、なんて全く知らなかった。

漫画の表現というのは、一目瞭然にするために工夫が施されているので、人物像や出来事の経緯などが深みはないが印象的で分かりやすい。
・中国に仏教が流布し始めたのは、南朝の儒教に対抗するために北朝が受け入れ始めた。仏図澄の布教、鳩摩羅什の訳経、法顕のインドへの旅が62歳にスタートした(399年)。76歳で中国に戻った(413年)。
・<放伐>を避けて<禅譲>を行う形式の定着。
・北魏太武帝の廃仏事件。漢化政策で有名な孝文帝の33歳の病死。
・皇帝菩薩と呼ばれた南朝の梁の武帝とインド僧ダルマの不幸な出会い。
・隋の文帝楊堅の名君ぶりと対照的な隋の煬帝の派手好き。でも、煬帝はそんなに否定されるべきなのか…。まあしょうがないか…。
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7 023 米原万里「真昼の星空」(中公文庫:2003)感想4+

2017年12月26日 03時21分30秒 | 一日一冊読書開始
12月25日(月):  

311ページ    所要時間5:20    アマゾン265円(8+257)

著者53歳(1950~2006:56歳)。59~64年、チェコスロバキアで過ごし、在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。帰国後、東京外国語大学ロシア語科卒業、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語通訳、翻訳者となる。80年、仲間とともにロシア語通訳協会を設立、初代事務局長に就任。現在、同会長。92年、テレビの同時通訳によって報道の速報性に貢献したとして日本女性放送者懇談会賞を受賞した。95年、通訳を論じた『不実な美女か貞淑な醜女か』で読売文学賞、97年、『魔女の1ダースー正義と常識に冷や水を浴びせる一三章』で講談社エッセイ賞、2002年、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』で大宅壮一ノンフィクション賞。03年、『オリガ・モリソヴナの反語法』でBunkamuraドゥマゴ賞を受賞

久しぶりに米原万里さんを読んだ。お気に入りの作家さんだ。「それにしてもこの頭の良さはどういうことだろう!?」博覧強記と観察力・言語能力の高さに舌を巻く内容だった。しかも、それは日本的なみみっちさから解放されて、大陸的な腰の据わったスケールの大きな知性である。付け焼刃でない本物の<教養>というもののあり方を教えてくれる作家さんである。池上彰さんと同い年と考えると、この人の早逝が惜しまれてならない。今もお元気であれば、<知の巨人>の一人としてどんなに大きく活躍されているか…。

本書は読売新聞日曜版に連載されたエッセーの一部をまとめたものである。

本書の印象は巻末のロシア語通訳・翻訳家 出羽弘による<解説>によく表現されている。
・幅広い読者を持つ米原さんのエッセーの魅力はと問われれば、ユーモアとテンポ、明快な文体、世界的な視野、読者の意表をついて示される結論、つまりオチに新鮮で快い説得力がることなどが挙げられるだろう。/これは、ロシア語通訳で第一人者と言われる彼女の経歴とは無関係ではない。/日本とロシア・東欧との間の文化的距離は非常に大きい。通訳者は、人情風俗、モノの考え方、政治・経済・技術などあらゆる分野で相互の理解が食い違うという壁にぶつかる。加えて、ロシア語通訳者は自分の得意分野だけで働くわけには行かない。百科事典的な知識が要求される。一般に通訳者は、発言者が「本当に言いたい」のは何か、ということを即時に理解することが求められる。米原さんのエッセーでは、こういう仕事で鍛えられた膨大な知的蓄積と経験がモノを言っている。/欧米では、交渉や会談の中で人々が駆使する小咄は、相互理解に達する最重要の手段である。だがこれは通訳・翻訳が一番難しいジャンルでもある。米原さんのエッセーは、小咄とユーモアの宝庫であるが、ここで読者から「共感の笑い」がでるのは、裏と表の意味をもって語られる話を、日本語で手際よく処理する高い能力があるからこそである。310ページ

【内容情報】「星の輝きよ、わたしを通して万人に届くがいい!」。外国人には吉永小百合はブスにみえる?日本人没個性説に異議あり!など、「現実」のもう一つの姿を見据えて綴ったエッセイ集。「コミュニケーションにおいて、量と質は反比例」「人間は決まり事を創って自分をがんじがらめにするのが好き」。軽妙洒脱な語りのなかに、生きた言葉が光る。

【目次】昼行灯の面目/美女の基準/蝿と核兵器/鉄のカーテン/占い師たち/最先端の医療/絶食のすすめ/白の意味/ある物語の喪失/北風と太陽〔ほか〕
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171225 一年前:161223 安倍政治の淵源は2001年のナチス麻生による野中広務氏への部落差別発言だ!

2017年12月26日 02時15分32秒 | 一年前
12月25日(月):
161223 安倍政治の淵源は2001年のナチス麻生による野中広務氏への差別発言だ!
12月23日(金):    最近つくづく思うことがある。どうしてこんな日本になってしまったんだろう。そんな時、最初に必ず思い当たることがある。2001年の自民党で野中広務氏が総理......

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171225 【政治断簡】ドナドナと革命、荷馬車はゆれる 編集委員・高橋純子

2017年12月25日 16時31分46秒 | 時々刻々 考える資料
12月25日(月):  ちょっとだけいい文章。

朝日デジタル【政治断簡】ドナドナと革命、荷馬車はゆれる 編集委員・高橋純子  2017年12月25日05時00分
  私はよく、へんてこりんな服を着用している。片方だけ袖がないとか裾が異様に膨らんでるとか。しかして街を歩けば二度見され、同僚には見て見ぬふりをされ、肉親には「なんだその変な服は!」と指弾される。そんな時、私はとりあえずこう反論する。
  「これ高かったんだよ!」
  ひゃあ。ウソでもそう言えば、手っ取り早く相手を黙らせることができる、そう思っているわけですね。貧しいですね。サイテーですね。
  以上、サンタが街にやってきたジングルベルな日になぜわざわざ生き恥をさらしているかというと、安倍内閣が過日決定した2兆円規模の「新しい経済政策パッケージ」に、私と似たにおいをかぎ取ったからである。くんくん。
    *
  パッケージの両輪は「人づくり革命」と「生産性革命」。いやはや、その名の下に行われる政策の方向性に異論はなくとも、聞くと心がスースーする言葉だ、人づくり革命。
  人間が製造ラインに載せられている感じが、どうしてもする。工場の壁には「この道しかない」「一億総活躍」「国難突破」の標語が掲げられているわけで、首相がそこに「大胆に投資」するというからには、私のような「不良品」はダイタンにハジかれるのであろうなあ
とおぼろに不安を覚えて――おっと。大杉栄の「鎖工場」がただいま脳内に飛来した。自らを縛るための鎖を造る工場の話だ。
 「もうみんな、十重にも二十重にも、からだ中を鎖に巻きつけていて、はた目からは身動きもできぬように思われるのだが、鎖を造ることとそれをからだに巻きつけることだけには、手足も自由に動くようだ。せっせとやっている」。そしてその脇では、多少風采のいいやつが「鎖はわれわれを保護し、われわれを自由にする神聖なるものである」と言い立て、「みんなは感心したふうで聴いている」。
  2兆円スゲー。タダはうれしい。なのになんか気持ち、アガんなくないですか? 脳内に流れるBGMはなぜか「ドナドナ」。ある晴れた昼下がり、荷馬車がゴトゴトかわいい子牛は売られゆき――。
  さてお立ち会い。私たちは自由か。お金で自由を買われてないか。上からの「革命」は果たして「われわれを保護」し「自由にする」だろうか。
    *
  「おだやかな革命」というドキュメンタリー映画が、来年2月に公開される。地域に根ざし、太陽光や小水力発電などでエネルギーを自治しながら、新しい暮らしの選択肢をつくり出そうとしている人たちの姿が描かれている。
  監督の渡辺智史さん(36)は「震災後、人々の価値観はやはり変わってきている」と語る。私は「本当に?」の言葉をそっとのみ込む。私にはまだ「点」にしか見えない。
  ただ、革命ってそんなもの、事後に初めて「線」として認知できるのかもしれない。
  自分はどう生きたいか。どんな社会に暮らしたいか。個を出発点とするその問いこそが、おだやかな革命。鎖を切る。荷馬車を降りる。選択肢がなければ自らつくる。人はそのようにも生きられる。
  みなさま、よいお年を。
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171223 「コウノドリ(第2シリーズ)全11話」 感想5+α ※第3シリーズ「完結編」を確信!熱望!

2017年12月23日 13時15分44秒 | 映画・映像
12月23日(土):      

昨夜「コウノドリ(第2シリーズ)全11話」の最終回を観終わった。そして録画を既に3回観直している。その前の第1回から第10回までは何度も何度も見直して、ほぼすべて10回近く見直している。ほとんどBGMのように流しているのだ。他にいろいろな番組があるのに、俺はこの3カ月「コウノドリ」ばかりを流し続けていたことになる。逆に言えば、そうやって見直すことができる内容の作品だったということだ。

第1シリーズでは、コウノドリを<知のドラマ>ではなく、<情のドラマ>だから何度でも見なおすことができる。故桂枝雀師匠の「<知>には記憶があるが、<情>には記憶がない。赤ちゃんを一度見たら終わりではなく、何度でも見たくなるのが分かりやすい例だ。そして、筋書きも結末もすべてわかっている<落語という芸>が成立する理由もそこにある。」と述べてられていることを紹介したが、今回の「コウノドリ2」もまさに前回シリーズを踏襲して、<情のドラマ>になっていた。

しかし、今回の「コウノドリ2」は、単なる<情のドラマ>ではなかった。「満を持して」という言葉があるが、まさに今回は「満を持して放たれた内容」だった。つまり、第2シリーズでは、一定の視聴率は約束されている中で、ただ単に視聴者に阿るのではなく、「医療」を扱う作品としての社会的影響力の大きさを強く自覚し、社会の無知・無理解を少しでも物語りを通して啓発していこうという<志>を前回にも増して強く感じた。

本作品を繰り返し見直しながら俺が感じた言葉を列挙すると、中心にある<情のドラマ>ということに加えて、医療者・医療現場の<志操>、<節義>、<患者本位>、<奥行きの広さ>、分野を超えたチームとしての<総合医療>の大切さ、そして自らの<無知>に対する<謙虚>と<学び>、そして<理想>であった。これらをまとめれば、<損得を超えた価値観>の存在である。

書きながら気づかされるのは、このドラマが提示している世界観は、弱肉強食の肯定、弱者への責任転嫁と切り捨て、利益・能率第一、儲けて何が悪い!等の<新自由主義>を標榜する日本社会で、厳しい<現実?>の前で<損>だ、<能率>が悪いとバカにされ、貶められ、無理やり忘れさせられてきた大切な価値観の数々である。

別に、肩を怒らせて言うわけではないが、「コウノドリ」が提示してきた世界観は、まさに<新自由主義>、<グローバル>を標榜する<夜郎自大>な日本社会の風潮に対する真っ向からの<アンチテーゼ>であったのだと思う。心身を擦り減らしながら時にバーンアウトにまで追い込まれる患者本位の医師、助産師、看護師の存在、時に反発しつつもその医療者たちの良心を信じて人生の重大な決断を委ねる夫婦、そういった<理想>の世界を描きながら、優しいだけのドラマに堕さない、堕すことを許されない産科医療、救命救急医療、過疎の地域医療のまさに厳しい<現実!>が描かれている。

このドラマを、単なるお涙頂戴のドラマと考える視聴者は、自らの不明を恥じるべきだろう。第2シリーズでは、第1シリーズをずっと凌駕する<奥行き>と<厚み>と<使命感>への自覚を俺は感じた。ホームページに、新たに?厚生労働省とのリンクが貼られていたことにも、それがわかる。

そして、今回のシリーズの凄味は、それらのある種の教科書的<使命>を果たしながら、何度でも見直したくなる、見直すことのできる<情のドラマ>としてのクオリティーを維持するどころか、増幅して内容をより一層充実させていることだ。理由は恐らく2つ、主演の綾野剛には気の毒ではあるが、脇を固める俳優たちが今や主役クラスの一線級に成長して、それぞれが自らの持ち役を大きく成長させ、リアリティのある存在として活躍する広がりのある<群像劇>になったこと。コウノトリ先生は、いわば群像劇の中のナビゲーター的存在となった。そして、綾野剛は、その役目を見事に演じきった。次に、新しい登場人物の俳優たちが話の進行の中で違和感なく、個性的な役を演じきったこと、そして前回のシリーズで脇を固めた医師たちが効果的に順次表れて登場人物がどんどん増えながら物語り全体に<群像劇>としての厚みと広がりがいや増していったことである。これによって、今回新たに「コウノドリ」を見始めた視聴者だけでなく、前回シリーズを見ていた視聴者にとって堪らない最高のドラマになったのだ。初回に18トリソミーの赤ちゃんのナオトくんが2歳健診で登場したときには涙ぐんでしまった。

そして、<群像劇>として最高潮を迎えた最終回で、医療における<現実主義>を最も主張してきた、あのツンデレの優しき四宮先生(星野源)に能登半島の地域医療という最も<理想主義>的な選択をさせての過疎地に送り出し、助産師の小松さん(吉田羊)を病院外から妊産婦に寄り添う新たな施設の起ち上げに向かわせ、白川先生(坂口健太郎)をより高みを目指す大学病院へ送り、下屋先生(松岡茉優)はすでに救命救急の現場で不可欠な存在となりつつある。いわば、主役の綾野剛と、ドラマの要(かなめ)の大森南朋を残して見事にこの<群像劇>は見事に解体されたのだ。しかし、それはペルソナ総合医療センターの世界が見事に<解き放たれた>とも言える、つまりバラバラになったのではなく、そのフィールド、活躍の場を見事に広げて見せたとも言えるのだ。

俺は「コウノドリ」は、第2シリーズでもう終わりだと思っていたが、今回の終わり方を見て第3シリーズの可能性をほぼ確信した。スペシャル編を一本作るだけでは、もったいないほどの十二分な布石が打たれているのだ。「完結編」としての第3シリーズができても、何の不思議もないし、俺は是非観たいと思う。今回、このドラマを見ることによって俺自身本当に多くの<学び>を得たと思っている。本作品は、ある意味、どうしても必要な社会的使命をも担った、そして何よりも視聴者に何度も見直したくさせる<情のドラマ>、故桂枝雀師の落語のような噛めば噛むほど味わいのある、世の中(日本)に必要なドラマである。

俺がわざわざ指摘するまでもなく、物語の展開から、テレビ局の側は第3シリーズの制作を意識しているだろう。もしも不安要素があるとすれば、「原作コミックがどこまで量的に仕上がっているのか」という問題だけだと思う。今後は、原作者の鈴ノ木ユウ氏をテレビ局が全面的に支えて、次のドラマに向けて妥協のない話し合いを深めて、視聴者に阿らない付け焼刃でない内容を作り上げていってほしい。2年後?、今回の登場人物たちがよりパワーアップして、広い活躍舞台から「完結編」を作ってくれることを楽しみにしている。そのためには、シノリンを能登半島から呼び戻さないといけないが、それこそ「また理想ばかり言っちゃてダメだよね」「理想を言うやつがいなければ(世の中は)前には行けないからな」というサクラとシノリンのやり取りのようであって欲しいものだ。

最後に、俺は個人的には医療福祉士の向井 祥子役の 江口のりこさんが気に入っている。この人は、女“岸部一徳”に見えて仕方がないのだ。

第2シリーズってのは、やっぱり結構難しいと思うのだが、こんな風に嬉しい形で期待を裏切ってくれたのは、最近では中井貴一と小泉今日子のW主演の「最後から二番目の恋」以来である。でも、第3シリーズ「完結編」をこれほど期待した作品は「コウノドリ」が初めてかな? 心を残して終わらせる美意識もあるかもしれないが、「コウノドリ」では是非力を振り絞って、世の中の誤解、偏見、無知による幼稚な差別意識を少しでも払拭するために、もうひと頑張りしてもらいたい。

愚劣な独裁者の手先に成り下がっていながら、「受信料、受信料」と強権的に裁判で国民を脅迫しまくっている某国営放送も、「コウノドリ」ぐらいのレベルの高い作品をしっかり作ってからモノを言え!と言いたい。権力者にゴマをすりまくった超低レベルの大河ドラマ「花燃ゆ」や「おんな城主 直虎」を作っておきながら、強権的に「受信料」を誰かれ無しに取りまくろうとする姿は卑しくて、まさに片腹痛いわ!、と言いたい。
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171222 「オランダへようこそ」(jDS(日本ダウン症協会)ホームページより)

2017年12月23日 03時18分46秒 | 考える資料
12月22日(金):      

jDS(日本ダウン症協会)ホームページより:

「オランダへようこそ」(WELCOME TO HOLLAND)

この子育て手帳のために翻訳許可をいただき、またテレビTBSドラマ「コウノドリ(漫画原作:鈴ノ木ユウ)の劇中でも使用された「オランダへようこそ」を全文掲載いたします。

私はよく「障がいのある子を育てるのってどんな感じ?」と、聞かれることがあります。 そんな時私は、障がい児を育てるというユニークな経験をしたことがない人でも、それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。

赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。 例えば、旅先はイタリア。山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。とてもワクワクします。

そして、何カ月も待ち望んだその日がついにやってきます。 荷物を詰め込んで、いよいよ出発。数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。 そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。「オランダへようこそ!」 「オランダ!?」 「オランダってどういうこと?? 私は、イタリア行の手続きをし、イタリアにいるはずなのに。ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに」

でも、飛行計画は変更になり、飛行機はオランダに着陸したのです。あなたは、ここにいなくてはなりません。 ここで大切なことは、飢えや病気だらけの、こわくてよごれた嫌な場所に連れてこられたわけではないということ。 ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。

だから、あなたは新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。 それから、今まで知らなかった新しいことばを覚えないとね。 そうすればきっと、これまで会ったことのない人たちとの新しい出会いがあるはず。 ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。 イタリアよりもゆったりとした時間が流れ、イタリアのような華やかさはないかもしれない。 でも、しばらくそこにいて、呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、オランダには風車があり、チューリップが咲き、レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。

でも、まわりの人たちは、イタリアに行ったり来たりしています。そして、そこで過ごす時間がどれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。 きっと、あなたはこの先ずっと「私も、イタリアへ行くはずだった。そのつもりだったのに。」と、いうのでしょう。

心の痛みは決して、決して、消えることはありません。
だって、失った夢はあまりに大きすぎるから。

でも、イタリアに行けなかったことをいつまでも嘆いていたら、オランダならではの素晴らしさ、オランダにこそある愛しいものを、心から楽しむことはないでしょう。

©1987 BY EMILY PERL KINGSLEY. ALL RIGHTS RESERVED.
翻訳 佐橋 由利衣 Yurie Sahashi
全米ダウン症協会発行の「すばらしい可能性のある未来へ~ご懐妊&新生児のご両親へのガイド」
(原題 “A Promising Future: A Guide to New and Expectant Parents”)を許可を得て翻訳

作者のエミリー・パール・キングスレイさんは、セサミストリートの作家を長く務め、1974 年にダウン症のある息子さんが生まれてからは障がいのある人々のことを知らせる働きもされています。この「オランダへようこそ」は1987年に書かれたもので、心のなぐさめやヒントとして語り継がれています。
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171222 どうしてもアベを許せない!沖縄への差別意識と侮辱。憲法・人権への無知による軽蔑・敵意。すべては歴史に学ばない姿勢から。

2017年12月22日 23時54分14秒 | 時代の記憶
12月22日(金):

アベ内閣は、軍部大臣現役武官制と治安警察法を制定した第二次山県有朋内閣を越えてしまった。1885年の内閣制度施行以来、歴代内閣で今のアベ内閣に匹敵するのは近衛内閣と東条内閣ぐらいしか俺には思いつかない。でも、近衛文麿は東京大学と京都大学を出ているし、東条英機も陸軍大学校を出ている。アベは成蹊大学ですらまともに学ばなかった。そして今、歴史を軽視・軽蔑し、自分の無知に居直るという<無知の知>すら持ち合わせない史上最低最悪の内閣となり、暴虐の限りを尽くしている。

特に、沖縄への差別意識と侮辱、憲法・人権への無知による軽蔑・敵視だけはどうしても許せない。アメリカと一部大企業の顔色ばかりを見て、日本国内の弱者(大多数)に目を向けないこの愚か者の存在を許容している国民の存在に驚きを通り越して悲しみを覚える。

朝日デジタル【社説】沖縄への中傷 苦難の歴史に理解欠く  2017年12月22日05時00分
  沖縄の長い苦難の歩みと、いまなお直面する厳しい現実への理解を欠いた、あるまじき言動だ。強い憤りを覚える。
  米軍ヘリの窓が校庭に落ちてきた普天間第二小学校に「やらせだ」「仕方ないだろう」などと、中傷・揶揄(やゆ)する電話が30件以上寄せられている。
  「後から学校を造ったくせに文句を言うな」「沖縄は基地で生活している」。事実を正しく把握しないまま、学校側をののしるものもあるという。
  今月初め、ヘリの部品が園舎屋上で見つかった同じ宜野湾市の保育園にも「自作自演だ」などの攻撃が相次ぐ。米軍が自らの部品だと認めながら、「飛行中に落ちた可能性は低い」と発表してから始まったという。
  改めて確認しておきたい。
  普天間飛行場は沖縄戦さなかの1945年、学校や住宅があった土地を米軍が接収して造成した。戦後、収容所や避難先から戻ってきた住民は、その周辺で暮らすしかなかった。
  再建された普天間小の児童増に伴い、第二小が69年に開校。この頃から本土に展開していたヘリ部隊が移ってきて、騒音、危険度とも激しさを増す。移転計画も一時浮上した。だが市の面積の4分の1を米軍基地が占めていて適当な用地がなく、地価の高騰もあって断念した。
  また、県民総所得に占める基地関連収入の割合は5%に過ぎず、基地が沖縄の経済発展の足かせになっていることは、数々のデータが裏づけている。
  中傷電話が無知と偏見によるものであるのは明らかだ。日々の騒音や墜落への恐怖に加え、心ない日本国民から「二次被害」まで受ける。あまりに理不尽な仕打ちではないか。
  今回だけではない。オスプレイの配備撤回を求めて沖縄の全市町村長らが東京・銀座をデモ行進したとき、「売国奴」との罵声が飛んだ。ヘリパッド建設工事に抗議する住民を、大阪府警の機動隊員は「土人」とさげすんだ。沖縄差別というべき振る舞いが後を絶たない。
  嘆かわしいのは、本土の政治家らの認識と対応である。
  防衛政務官が沖縄の基地負担は重くない旨のうその数字を流す(13年)。自民党若手議員の会合で、普天間飛行場の成立過程について間違った発言がまかり通る(15年)。沖縄担当相が土人発言を批判せず、あいまいな態度をとる(16年)――。
  誹謗(ひぼう)中傷を許さず、正しい情報を発信して偏見の除去に努めるのは、政治を担う者、とりわけ政府・与党の重い責任である。肝に銘じてもらいたい。

朝日デジタル【社説】憲法70年 筋道立たない首相発言  2017年12月21日05時00分
  自民党の憲法改正推進本部が、衆院選で公約に掲げた改憲4項目に関する「論点取りまとめ」を公表した。
  焦点の9条については、1項と2項を維持して自衛隊を明記する安倍首相の案と、戦力不保持をうたう2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化するという2案を併記した。
  両案を土台に年明けから自民党案のとりまとめに入り、早ければ来年中にも国会による発議と国民投票に踏み切る――。自民党内ではそんなシナリオも語られている。
  旗振り役は言うまでもなく首相である。5月の憲法記念日に自衛隊明記の構想を示し、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と語った。
  自民党が東京都議選で惨敗した7月以降、「スケジュールありきではない」と発言を変えたが、一昨日の講演で再びこう踏み込んだ。「2020年、日本が大きく生まれ変わる年にするきっかけとしたい。憲法について議論を深め、国の形、あり方を大いに論じるべきだ」
  この日も「スケジュールありきではない」と付け加えたが、衆院選の大勝を受けてアクセルを踏んだようだ。
  あらためて指摘しておく。
  改憲を発議する権限は国会にある。行政府の長である首相が自らの案を期限を切って示し、強引に進めようとするなら筋違いというほかない。
  「20年」を強調するのは、自らが首相であるうちに改憲したいためだろう。衆参で3分の2の与党勢力があるうちに発議したい、との思いもあろう。だが改憲は首相の都合で決めていいものではない。
  時代や社会の変化に応じ、憲法を問い直す議論はあっていい。だがそれには前提がある。
  憲法は、国家権力の行使を制限し、国民の人権を保障する規範である。その基本を踏みはずすような改憲は許されない。
  法改正や予算措置など、改憲以外にその現実に対処する方法が見いだせないか。山積する政治課題の中で、限られたエネルギーを改憲に注ぐ必然性が本当にあるのか。厳しい吟味が求められる。
  国民の目に見える形で、真摯(しんし)で丁寧な議論を積み重ねることが、国会の憲法審査会の使命だ。与党だけで押し通してはならない。
  主権者である国民がその改憲を理解し、納得することが何よりも重要である。
  数の力で進めた改憲が、社会に分断をもたらすことはあってはならない。
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171220 (借金を)返済をするのはあくまで後世の人間で、自分が死んだ後のことだと考えている

2017年12月20日 17時55分43秒 | 時代の記憶
12月20日(水):

週刊現代もし私が10歳の日本人なら…世界的投資家の「驚愕の問いと答え」 日本株はまだ上がるでしょう。しかし…  17.12.13 

表通りは賑やかだ。株高に沸く市場関係者に、好決算を喜ぶ大企業。が、裏通りに入ると風景は一変。日本経済を崩壊させる地雷がそこかしこに……。著名投資家が明かした「日本の不都合な真実」。
世界はもう気づいている
「もし私がいま10歳の日本人ならば……」


著名投資家のジム・ロジャーズ氏はそこまで言うと、少し考えるように間を置いた。
米国の投資情報ラジオ番組『Stansberry Investor Hour』に登場し、インタビュアーから日本経済についての見解を聞かれた時のことだった。

ロジャーズ氏は少しの沈黙の後、意を決したかのように衝撃的な「答え」を語り出した。
「もし私がいま10歳の日本人ならば……。
そう、私は自分自身にAK-47を購入するか、もしくは、この国を去ることを選ぶだろう。
なぜなら、いま10歳の日本人である彼、彼女たちは、これからの人生で大惨事に見舞われるだろうからだ」


  AK-47とは、『カラシニコフ』の名で知られる旧ソ連開発の自動小銃のこと。インタビュアーは神妙な声色で、「とても興味深い答えだ」と応じたのである。
  このラジオ番組が配信開始されたのは11月。インターネット上で誰でも視聴できるため、気が付いた世界中のマーケット関係者の間でたちまち話題になっている。
  日本経済はいま戦後2番目に長い好景気局面に突入し、日本株は史上初の16連騰を演じたばかり。市場関係者たちが日本株の活況に沸いているその最中、「不気味な提言」をした真意はいったい何なのか。
  ロジャーズ氏といえば、ジョージ・ソロス氏、ウォーレン・バフェット氏と並ぶ世界三大投資家の一人として知られる。かつてソロス氏とともに手掛けた『クォンタム・ファンド』では、10年で4000%という驚異的なパフォーマンスを残したことはいまも語り草。
  75歳になったいまもシンガポールを拠点に活動し、最近ではミャンマー経済の隆盛に賭けた投資で大儲けするなど、その一挙手一投足に注目が集まる。
  今回本誌は、そんなロジャーズ氏への単独インタビューに成功。ロジャーズ氏はラジオ番組での発言の真意から、日本経済の展望、現在の投資先までを率直に明かした。
  「私はいま日本株を買い増している。ただ、日本の未来を楽観しているわけではない」
  そう前置きしたうえでロジャーズ氏が語り出したのは、あまりに詳細でゾッとする日本経済の「未来の年表」だった。

――あなたが「もし私がいま10歳の日本人ならば……」として語った番組が話題になっています。
  「まず言いたいのは、私は日本が大好きだということです。世界の国々の中でも大好きな国の一つです。だから、日本が衰退していく姿を見たくないのです。私は死ぬまで大好きな寿司を食べていたい。しかし、このままいけば私のそうした願いはかないそうにありません」

いまの50代以上はセーフ

――いま日本は景気拡大期間が戦後2番目に長い好景気局面で、日本株も約26年ぶりの高値です。活況に沸いていますが。
  「いま日本株が上昇しているのは、黒田東彦総裁が率いる日本銀行がジャブジャブに紙幣を刷ったうえ、日本株や日本国債をたくさん買っているからにほかなりません。
  紙幣が刷られると株価が上がるというのは市場の歴史が証明していることであり、ほぼあらゆる投資家たちがそのルールに忠実に行動しているまでです。
  それに、日本株は1989年末につけた3万8915円よりまだ4割以上も低い。アメリカやヨーロッパの株式市場が史上最高値に達しているのとくらべてまだ上昇余地があるとして、多くのマネーが日本株に流れ込んでいる。
  このような状況は、日本の株を持っている私のような投資家には非常に好都合です。儲けが得られますからね。だから、私自身は日本銀行に感謝しているし、日本の株を持っている世界中の投資家たちも日本銀行に感謝していることでしょう。しかし、日本人にとってはまったくいい状況とはいえない」

――どういうことですか。
  「日本株はこれからも大きく上がるでしょう。私自身、数週間前に日本の株を買い足しました。日本銀行がいまの金融政策を続ける限り、私は日本の株を所有し続けるつもりです。
  しかし、この日本株の活況はあくまでも日本政府が人工的に株価を上げているに過ぎないという点が重要です。日本の景気にしても、異次元の金融緩和で円という通貨の価値を切り下げたことで、一部の大手企業がその恩恵を得ているだけ。
  そもそも円安になり、株価が上がったことで、日本人の生活や暮らしはよくなりましたか。答えは『NO』でしょう。
  アベノミクスといわれる経済政策は、短期的に投資家や大企業を潤すだけ。アベノミクスが非常に危険なのは、それが人工的に低金利の状況を作って、借金をしやすくしていることです」

――活況の裏で借金問題がいよいよ危険水域になっている、と。
  「その通りです。ご存じの通り、日本はいまGDPの240%、じつに1000兆円を超す巨額赤字を抱えています。そのうえ、猛烈なペースで進む人口減少社会に突入してきたため、とてもじゃないがこの借金を返済することはできない状況になってきました。
  いま50歳前後の中年の日本人であれば、30年後は80歳ですから、誰かがケアしてくれるかもしれません。日本の国庫には、老齢人口を支えるおカネはまだ残っているでしょう。しかし、30年後に40歳になる日本人には、老後を支えてくれる人もカネもない。
  このままいけば、いま日本人の10歳の子どもが40歳になる頃には、日本は大変なトラブルを抱えていることでしょう。小さな子どもの日本人にとって、未来はすでに『短い』わけです」

日本株はまだ上がる

――だから、あなたがもし10歳の日本人ならば、カラシニコフを手に取る。
  「いますぐに日本政府が手段を講じない限り、日本は将来的に『破産』することになります。それは計算すれば誰でも簡単にわかることです。私はなにもクレイジーなことを言っているわけではなく、事実を言っているのです。
  借金は毎年膨張し、人口は毎年減少し続けているのだから、必ずそのツケが回ってきます。
  もちろん、それは6ヵ月後とか20週間後に起きるわけではありません。短期的には、日本の株価はまだ上昇するでしょう。
  しかし、20年後、30年後には、日本が大惨事に襲われている可能性は十分にあるということです。20年後に振り返った時には、安倍晋三首相は日本経済を破壊させた張本人として歴史に名を刻んでいるでしょうね

――そんな日本の「破産」は避けられないものでしょうか。「未来の年表」を書き換えることはできませんか。
  「可能ですよ。まず財政支出を大幅に削減し、さらに減税をする。この2つを断行するだけで、状況は劇的に改善します。簡単なことなのです。
  しかし、いま安倍首相がやっているのは真逆のことでしょう。ただでさえ莫大な借金をさらに膨らませたうえで、無駄な橋や高速道路を作ろうとしている様は狂気の沙汰としか思えません。
  消費税を増税すると言っていますが、これも新たな橋や道路にカネがつぎ込まれるのがオチです。安倍首相と彼の側近たちは、財政支出をカットしたら選挙にマイナスとなると考えている。つまり、彼らは日本の未来より選挙に勝つことを重視しているわけです。
  借金をこんなに増やして平気な顔でいられるのも、返済をするのはあくまで後世の人間で、自分が死んだ後のことだと考えているからでしょう。そうした負担をすべて押し付けられるのが日本の若い世代なのです」


――人口減少問題への対応も後手に回っています。
  「人口動態を大きく変えるには、日本人に子どもをたくさん作ってもらうか、日本が移民を受け入れるかの2つしか方法はありません。しかし、なぜだかわかりませんか、日本政府は移民を受け入れようとしません。
  結局、いま10歳の日本人が人生を通して経験していくのは、次のような『惨事』になるのでしょう。
  これからの日本では生まれてくる子どもの数がますます少なくなり、移民も入ってこないため、人口減少のスピードが急加速していく。
  借金はさらに膨張し、その返済のために増税が度々断行される。それでも借金は返済しきれないので、次には年金などの社会保障が取り崩されていく。
  日本人の生活水準はそうして徐々に悪化し、生活苦にあえぐ日本人が増え、いよいよ打つ手がなくなる。最終的には見たくもない破産劇が待っている、
と」

資産をどう防衛するか

――それでも、日本人の多くはカラシニコフを手に取ることはできない。この国に住み、この国で働いている以上、簡単に去ることもできません。
  結局、個々人がみずから生活防衛をするしかない。そこで聞きたいのですが、多くの日本人は銀行預金におカネを置いていますが、これは危険でしょうか。
  「いえ、日本人が資産を銀行に預けているのはむしろ賢明な判断です。なぜならいま世界を見渡してみると、ほかの国々の通貨は円より危険だからです。
  世界の投資家たちは欧州通貨のユーロなどへの懸念を高めていて、円は持っておくのに『より悪くない通貨』と化しています。
  実際、円はいま1ドル=110円近辺でとても安定し、これからもしばらくこの安定状態が続くでしょう。だから、いまは資産を円建てで持つことを心配する必要はありません。
  しかし、あなたがいま10歳の日本人であるならば、円を持っていることは懸念すべきことだと言わざるを得ない。国家破産が起きれば通貨は暴落します」

――では、長い目で見た時に資産をどこに置くのが賢明な選択となるのでしょうか。あなたは子どものために金(ゴールド)を所有していると聞きました。また、金価格が1オンス当たり1000ドルを下回ればさらに買い増したいとも。
  「そうです。いま金は価格が高いので買っていませんが、また安くなった時には買い増す予定です。自国の資産価値が落ちる時には、実物資産である金を所有するのは正しい選択なのです。
  最近では金投資にかわるものとしてビットコイン投資も流行していますが、私はビットコインを売買したことはありません。仮想通貨はさらに普及していくでしょうが、ビットコインが仮想通貨の中心になるかは懐疑的だからです」

――やはり「有事の金」こそが資産防衛の最良の一手となる。
  「中国株への投資も魅力的です。というのも、日本と同様、アメリカもまた巨額の債務を抱え、その額はリーマン・ショック時よりも大きくなっています。欧州も似たようなもので、中国も莫大な借金を抱えているのですが、中国はほかとくらべてまだマシ。
  そういう意味では、中国株への投資はまだ魅力的といえます。私も子どもに中国語を習わせています。とはいえ……」

――なんでしょうか。
  「日本人にとって一番の解決方法は、将来にツケを回すような政府を退陣させることなのでしょう。
  日本国民がイニシアティブを取り戻して、国の借金を減らし、人口を増やす構造改革に着手する。そうするだけで、状況はいまよりずっと改善すると思います。日本人は早く動き出すべきです。
日本の破産はもうすでに始まっているのですから」

【聞き手・飯塚真紀子(在米ジャーナリスト)】 週刊現代」2017年12月16日号より
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)