8月30日(木): ※梅沢由香里五段(日本棋院)監修
各巻195ページ前後 所要時間、各巻1:30~2:00 全23巻+1巻 所有
7月半ば~8月の一カ月半、暇があれば「ヒカルの碁 全23巻+1巻」を手にしていた。2017年の2月以来、1年半ぶりのマイブーム到来であった。改めて、よく練られた内容のストーリーであることを確認できた。群像劇としてもよくできていて、一つの大きな分野の世界が丸ごと提示されている。囲碁を知らない人たちに、囲碁の世界とその魅力を理解してもらう最も良い作品である。
*また、何か書ければ書きます。とりあえず、1年半前の記事を載せておきます。前回は、2巻で1冊にカウントしていたが、
今回は1巻はそのまま1冊としてカウントしている。
6 022,6 023,6 024 ジャンプ・コミックス「ヒカルの碁1~6巻」(集英社:1999~2000)感想5
2017年02月02日 02時01分53秒 | 一日一冊読書開始
(2017年)2月1日(水): ほったゆみ原作・漫画小畑健。
1巻~6巻(漫画2巻を本1冊に換算する。) 所要時間6:00 アマゾンで全23巻+別巻1(2929円)
職場で仕事がうまく行かない。徒労感ばかりを覚える。時代閉塞の状況、そんな時代だ。元気なくふさぎ込んで帰宅してみると、月曜の夜半にアマゾンで発注していた「ヒカルの碁」全23巻+別巻1セットが届いていた。現実逃避したい気分もあって、早速読み始めた。
俺は最盛期初段、現在3級程度の囲碁経験者である。下手の横好きという言葉もあるが、囲碁に対する憧れは殊の外強い人間である。俺にとって、とても懐かしい世界である。本作は、全23巻まで続き、アニメ放送もされたそうで、アマゾンのレビューの評価もすごく高かった。内容の充実ぶりは、十分に予測できていた。あとは相性の問題だと思っていた。
そして、実際に読み始めたら止まらなくなった。設定や内容の充実ぶりは、期待を大幅に超えていた。平安時代無念のうちに亡くなった天才棋士藤原佐為(さい)の霊が、江戸時代の碁聖本因坊秀策に憑依し、秀策の体を借りて史上最強水準にまで自らの棋力を高めた上で、さらに現代で囲碁と無縁の進藤ヒカル少年(小学校6年生)に何故か乗り移る。ヒカル少年と藤原佐為(秀策)の二人三脚が始まる。好敵手塔矢アキラが現れ、彼がヒカルを深奥なる囲碁の世界に導く。
発想のユニークさと妥当性・説得力とが両立出来ている。あまり知られていない囲碁の世界が知らない人間にも非常に分かりやすく紹介説明されている。ヒカル少年の棋力の急速な上昇ぶりも、囲碁における年少期の天才性の重要さを考えれば十二分に納得できる。物語りの展開が速くて、次々と出てくる展開が飽きさせないどころか、もっともっとという気分にさせられる。
実際に囲碁の打ち方を知らない人が読んでも全く問題なくストーリーの展開を楽しむことができるようになっている点、ヒカルの前に聳える塔矢アキラが実は進藤ヒカルという真の天才の才能を引き出す存在として途中で逆転する展開に既視感を覚えた。そう、以前に全巻買い揃えて読んだ
「のだめカンタービレ」と同じなのだ。「のだめ」では音楽は聞こえてこないが、音楽の世界の深さ、広さがすごく伝わってきた。背景説明が非常に自然で充実しているのだ。また、千秋のお荷物だったはずの”のだめ”が実は真の天才であり、千秋は”のだめ”をヨーロッパの音楽の世界に誘い導くための存在だったと種明かしされる。この一致は、真似ではない! ある意味で、よくできた”物語の王道!”と言えると考える。
まだ、読み始めたばかりとも言えるが、残り17巻の展開が楽しみでならない。元々、自分のためというよりは、将来幼い息子の目に触れて、息子と囲碁との縁結びのきっかけになればと思って発注したコミックだが、俺自身だけで十分に楽しめて、元を取れた気分だ。家内もともに本書を読み、気に入ってくれたようである。最近では、なかなかヒットの買い物ができたと思っている。
6 025,6 026,6 027 ジャンプ・コミックス「ヒカルの碁7~12巻」(集英社:2000)感想5
2017年02月03日 03時34分35秒 | 一日一冊読書開始
(2017年)2月2日(木): ほったゆみ原作・漫画小畑健。
7巻~12巻(漫画2巻を本1冊に換算する。) 所要時間7:00 アマゾンで全23巻+別巻1(2929円)
第1巻で予想していた通り、ヒカルの棋力が憑依している藤原佐為(さい)から自立・凌駕し始める。小手先ではない堂々たる幹のあるストーリー展開に夢中です。群像劇としてもよく練られている。飽きさせない。次はどうなるのかという思いに魅かれ続けている。明日も出勤しないといけないのに、寝不足は大敵だ。
「囲碁って、こんなに奥行きが深くてドラマチックで、話題豊富な世界なんだ」と改めて思い出させてくれる。話題の提供の仕方も絶妙で大変良い。
6 028,6 029,6 030 ジャンプ・コミックス「ヒカルの碁13~18巻」(集英社:2001、2002)感想5
2017年02月04日 01時44分13秒 | 一日一冊読書開始
(2017年)2月3日(金): ほったゆみ原作・漫画小畑健。
13巻~18巻(漫画2巻を本1冊に換算する。) 所要時間6:00 アマゾンで全23巻+別巻1(2929円)
進藤ヒカルに憑依した藤原佐為(さい)は、saiとしてネット碁を通じて宿願の塔矢行洋名人との対戦を実現し、半目勝ちを収める。しかし、それはヒカルとの別れにつながる。自らの存在をヒカルという天才を育てるためだったと観念した佐為(さい)は成仏を遂げてヒカルの前から完全に消えてしまう。ヒカルは、遠く広島尾道因島まで佐為(さい)を探し求めるが会えない。失って初めて知る存在の大きさに打ちのめされたヒカルは自らの碁を放棄してしまう。大手合いで不戦敗が続く。前年のプロ試験に落ちた伊角が中国棋院での2か月に及ぶ修行から帰国し、今年のプロ試験に臨む前にヒカルとの手合いを求めてくる。数か月間、碁を捨てていたヒカルは、やむを得ずやった伊角との手合いの最中に、探し求めていた佐為(さい)が自分の囲碁の打ち手の中に存在することに気づき、一気に立ち直り大手合い復帰8連勝を飾り、塔矢アキラとの2年半ぶり、かつ実質初めての対戦を果たす。
汲めども尽きぬ泉のごとく、読んでも読んでも話の展開にぐいぐい引き付けられ続ける作品である。
6 031,6 032,6 033 ジャンプ・コミックス「ヒカルの碁19~23巻&碁ジャス☆キャラクターズガイド」(集英社:2002、2003)感想5
2017年02月04日 23時48分40秒 | 一日一冊読書開始
(2017年)2月4日(土): ほったゆみ原作・漫画小畑健。
19巻~23巻+別巻「碁ジャス☆キャラクターズガイド」(漫画2巻を本1冊に換算する。) 所要時間7:00 アマゾンで全23巻+別巻1(2929円)
最強の初段として復帰を果たした進藤ヒカルの前に関西棋院の社(やしろ)清春が現れる。社とヒカルの対戦は社の右上5の5黒に、ヒカルの天元白、さらに右下5の5黒で始まり、風雲急を告げる。ヒカルは、若手No.1のライバル塔矢アキラ、関西棋院の社清春らとともに、18歳以下で各国3名ずつ出場する団体戦「日中韓Jr団体戦 北斗杯」の日本代表となる。国際戦での最強のチームは韓国、次いで中国、日本不利の状況のもと、韓国主将高永夏(コ・ヨンハ)の発言が日本の碁聖秀策を誹謗したと誤報される。秀策=藤原佐為(sai)を否定されたことに怒りを高ぶらせるヒカルの姿を目にして、高永夏は自己の発言の誤報を敢えて訂正しないどころか、肯定する。中国戦で見せた必死の闘いを評価され、日韓戦でヒカルは高永夏と激闘の末に反目負けを喫する。高に「なぜ碁を打つのか」と問われ、「遠い過去と遠い未来をつなげるために」とヒカルが答える。「俺たちは皆そうだろう」と応じる高。中国選手団長の楊海(ヤンハイ)が「そんなの今生きてるヤツ誰だってそうだろ。なぜ碁を打つのかも、なぜ生きているのかも一緒じゃないか」と語る。最後まで息もつかせず読者をひきつけ続け、未来に続く確かな余韻を残して第23巻で一応の完結をする。
前回も書いたことだが、最後までストーリーにゆるみがなかった。ぐいぐいと読者をひきつけ続け、余裕を残して物語りを終えた。これは著者の力量というよりも、創作以前に存在する囲碁の世界の豊かさ深さが圧倒的に影響しているのだと思う。作者は、囲碁の世界に十二分の敬意を払って、事実に基づいて丁寧にストーリーを展開させれば自ずと魅力的な物語りになる。国際戦に発展する中で、俄然面白さを維持する展開に、以前記した「のだめカンタービレ」を思い出した。あの作品も音楽の世界の豊かさ奥深さを読者に丁寧に紹介説明してくれることに成功していた。「ヒカルの碁」も同じである。
本書は現代日本の囲碁をめぐる群像の生きる様子を知る上で最も優れた情報源になっている。アニメの再放送が待たれる。AIが、トップ棋士に完勝する時期が目前に迫るが、たとえAIが人間を上回っても、人間の棋士の存在意義にあまり影響はないだろうし、子どもたちや大人が囲碁を学び、嗜むことによって良い影響が出ることも変わらないだろう。
別巻「碁ジャス☆キャラクターズガイド」には、本編の手合いの棋譜がすべて載っていた。本編のストーリー、セリフもすべて元になる棋譜に基づいて展開されていたのだ、とわかった。