もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

0087 山野良一「子どもの最貧国・日本 学力・心身・社会におよぶ諸影響」(光文社新書;2008) 感想3

2013年07月30日 00時34分28秒 | 一日一冊読書開始
7月29日(月):

273ページ  所要時間1:25        図書館

図書館で本書を見つけ、他の本と一緒に直ぐ借りた。夜、10時過ぎ「今、目を通さないとダメになる」と思い、1ページ15秒でひたすら目を這わせた。しかし、この速度では、文末の言いまわしが読み切れない。それでも、目を這わせ続けた。とても読書と言えるものではないが、それでも本とのご縁を結べたと考えることにしている。感想3+は、もっとゆっくり読めば高くなったはずだ。

著者48歳(1960生まれ)。神奈川県内の児童相談所勤務(児童福祉司)。

※裏表紙紹介文「家賃を払えず、児童養護施設に預けられる③歳のミヤと4歳のシン。生活保護の申請を受理してもらえず、給食の時間までぐっとお腹が鳴るのを堪える小2のタクヤ……今や7人に1人の児童が経済的に困窮しており、ほとり親家庭はOECD諸国中で最貧困である。/日本は、アメリカと並ぶ最低水準の福祉となってしまった。しかも、日本だけが事実を無視し、対策を取らず貧困の子どもたちを社会的にネグレクトしている。/本書は、この問題に対して私たちの認識を研ぎ澄ますために書かれたものだ。日米の児童福祉の現場経験をふまえ、理論・歴史・統計などの多角的な視座で実態を検証し、解決策を考える。」

目次: コピペ
第1章 貧困化の著しい日本の子供たち
第2章 なぜ子供たちは貧困に陥ったのか?
第3章 学力格差と児童虐待
第4章 脳・身体・こころへの影響
第5章 貧困が子供たちを蝕むプロセス
第6章 生活保護と児童養護施設はいま?
第7章 各国の貧困対策に学ぶ

*他の先進国と違い「働くひとり親家庭」と「働いていないひとり親家庭」の貧困率が日本では逆転しています。つまり、日本ではひとり親家庭で当該ひとり親が働いている世帯の方が、そうでない世帯より貧困率が高い。42ページ

*コストの観点からすると、生活保護制度に比べての児童養護施設の非効率さはもっとはっきりしています。大都市部の児童養護施設では、子ども1人あたり最低でも月に20万円以上の予算がかかってしまいますが、生活保護制度であれば、母子ふたり家庭の場合、子ども1人あたりでは高く見ても月に9万円ほどですみます。しかも、日本の場合、貧困家庭の親たちの就労率は世界的にも最も高い状況にあり、この就労率を維持できれば、生活保護で支給せざるを得ない額は、親たちの賃金によってかなり減らすことができます。231ページ

*「格差を改善せず、弱者を置き去りにすることから、いつの時代にも、虐待や暴力は始まる。人々が平等で、社会資源や支援の十分あるところで子供が虐待にさらされることは稀だ」(粟津美穂)259ページ

0086 竹内薫「自分はバカかもしれないと思ったときに読む本」(河出書房新社;2013) 感想3

2013年07月29日 00時58分36秒 | 一日一冊読書開始
7月29日(日):

198ページ  所要時間1:30      図書館

著者53歳(1960生まれ)。サイエンス作家。14歳の世渡り術シリーズの一冊。NHK「サイエンス・ゼロ」によく出ている。

すごく当り前のことが書き出されている。納得はするが、驚きはない。著者はエリートだが、自分のことをバカだと思いそうになったことが何度もあるそうだ。嫌みではないが、共感もない。字の量が少なく、楽に冊数を稼げた。

*「重力列車」の問題:地面に井戸を掘って、地球の向こう側に突き抜けた穴に飛び込んだら?  
   A.42.24分で反対側に到達する。そして、逆に落下、それを繰り返す。90ページ

*夜行性だと、色がたくさん見えても仕方がないので、目が退化して、だいたい二原色になっちゃった。今でも猫や犬など、ほとんどの哺乳類は二原色のままです。猿の一部、そして人間は、恐竜が滅んだあとに昼間の生活に戻ったから、突然変異により、三原色まで「復帰」したんです。ちなみに鳥の目は紫外線が見えるので四原色である。144ページ

*熟成は待ってるしかないんです。やったうえで。待ちながら、続けていく。そうすると、あるときフッと成績が上がる。177ページ

*バカをこじらせている人はよくこういいます。「やろうと思えばいつだってできる」/聞いたことありませんか? でも、残念ながら急にはできないんです。/こうしようと決意し、目標を設定し、それに向けて行動を変え、成果を出す――そういう経験をしたことがない人がそういうんです。このような人は、自然といつの間にか、時間と成果を比例関係で考えてしまっているのです。先ほどの例の図ですね。/「いつかやる」「やればできる」「今はやっていないだけ」/確かにそうでしょう。でも、いつ? 何を? どうやるの? すべてが漠然としています。なんとなく、アタマのなかで思っているだけ。妄想に近い。そして、いざやりだしたら努力の分だけ成果が出ることを前提にしています。やったことがない人の特徴です。それは甘い!/とっても重要なので繰り返しますが、努力と成果は比例関係じゃないんですよ。183~184ページ

130728 なんだかなあ…。世の中を誰が何のために歪めてるんだろう。

2013年07月28日 15時55分41秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月28日(日)

わかり難くて、息苦しい時代になった。確かなことは、硬直した思考はダメだ、ということだろう。

東京都教委も、神奈川県教委も歴史教科書に介入するのは、結局自らの不偏不党の信用をどぶに捨て、自分の首を絞める大いなる過ちを犯したことになる。何よりも品が無い。今や「憲法」だけが頼るべき指針だ憲法を守ることの大切さが、いよいよ身に沁みて感じられる。

第一九条【思想及び良心の自由】
 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二〇条【信教の自由】
 1 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
 2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
 3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第二一条【集会・結社・表現の自由、通信の秘密】
 1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
 2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

神奈川県教委も教科書選び介入 実教出版使用、再考迫る
                          朝日新聞デジタル 7月28日(日)14時47分配信
 神奈川県教育委員会が、実教出版(東京)の日本史教科書の使用を希望した県立高校に対し、「一部記述が県教委の方針と相いれない」と再考を促していたことが分かった。高校教科書は各校が選び、都道府県教委が採択する仕組みで、各校の選定に介入するのは異例だが、東京都教委も6月、同じ記述をめぐって「使用は適切ではない」との見解を示している。
 神奈川県教委によると、24日の校長会の後、実教出版の「高校日本史A」「高校日本史B」を希望する28校の校長を残して再考を促した。国旗掲揚・国歌斉唱に関して「一部の自治体で強制の動きがある」とした記述について、「学習指導要領に基づくもので『強制』は行き過ぎている」と説明。「公開の教育委員会議で不採択になる可能性もあり、学校名が公になって混乱を招く」とも話したという。
 各校は希望する教科書を10日までに県教委に伝えた。23日の教育委員の協議会で委員から「(実教出版の)採択は難しいのでは」との意見が相次ぎ、校長に伝えることになったという。

「社長が朝鮮名使用を強要」 在日韓国人が提訴 静岡
                          朝日新聞デジタル 7月28日(日)5時24分配信
 【上沢博之】勤務先で社長に在日韓国人であることを公表され、日本での通名ではなく本名を使うように繰り返し強要されたため、精神的苦痛を受けたとして、静岡県中部に住む40代の男性が、社長に慰謝料300万円を求める訴訟を静岡地裁に起こしたことがわかった。
 男性は韓国籍で日本で生まれ育ち、通名を使用。訴状によると、男性社長から昨年11月と今年1月、勤務先の事務所で「朝鮮名で名乗ったらどうだ」と言われ、「このままで結構です」と拒否。2月にも「これからの時代は朝鮮名で生きた方がいい」といったことを言われ、4月には多くの社員の前で「この人は在日韓国人だ」と明かされた。さらに5月、「朝鮮名で名乗るなら呼んでやるぞ」と言われたという。男性は再三、本名を名乗るよう強要され、屈辱と精神的苦痛を味わったと訴えている。

0085 大島堅一「原発のコスト―エネルギー転換への視点」(岩波新書;2011年12月) 感想 特5

2013年07月28日 02時24分13秒 | 一日一冊読書開始
7月27(土): 

221ページ  所要時間2:25          図書館

読書と言えるのか微妙な眺め読みだが、本書の価値の高さは、よくわかった。

著者46歳(1967生まれ)。立命館大学教授。原子力政策を社会的コストの観点から検討した書。大佛次郎賞受賞。

反原発(あえて脱原発というあいまいな言葉は使わない)の立場を情緒的感情論ではなく、経済学・社会学の立場からも論理的、包括的に捉えることのできる思考の根拠になる本を求めていた。本書は、まさに求めていた<テキスト>である。

著者は、「すべての科学は批判的であるべきですが、こと原子力政策については、社会科学の領域でも批判的に研究している専門家は極端に少なく、時として孤独な作業を強いられます(220ページ)」と述べている。

本書で示された内容は、今後、個人ではアクセスできない未公開の事実などが明かされたりする中で、多少修正の必要性が出るかもしれない。しかし、本書で示された指摘は、総体として間違いなく、今後日本の市民社会(であるのなら)が目指すべき明確な指針となる。断言する。

同時に、福島原発事故という過酷事故を経験したのに、本書の指針が実現できない時、千載一遇の好機を逸した日本社会の歪み(ゆがみ)は修正不可能となり、破滅に向かうしかない。断言する。そして、今まさに安倍自民党が、その破滅の道に踏み出そうとしている。

向こう3年間、市民運動の力で、現状をどう食い止めていくべきなのか。もっとも有効な方法の一つが、啓蒙のために本書の内容を普及させることだと確信する。原発の社会的コストの高さと測り知れないリスクを背負い続けることの不合理さを訴え続け、「原子力ムラ」という原子力複合体の存在を白日のもとに晒して、彼奴らのウソを常に糾弾し続けるしかない。選挙だけでは完成しない民主主義を市民運動の力で補完するしかない。

ああ、脱原発政策を即時に実現したドイツが羨ましい。偉大なりドイッチェランド! 悲惨なり大日本帝国!

※著者は、本書で菅総理による浜岡原発停止を高く評価している。今の腐り果てた民主党内で菅前総理が叩かれてる度合いの大きさが、菅さんの政治選択の正しさを反映しているのだろう。要するに、菅さんは政治家としてきちんと、既存のエスタブリッシュメントの連中と闘い、虎の尾を踏んだということだ。今の腐った民主党で叩かれれば叩かれるほど、その政治家は立派だったということだ! 鳩山さんも、小沢さんも、生活の党やみどりの風の人たちもそうだ! 俺はそう考えている! 腐った集団の中で、信念を通し腐らないでいれば、バッシングを受けるのだ!逆に、今の民主党でバッシングを受けない連中はニセモノであり、ただの政治屋なのだ!
「菅が、政府内部での調整を行っていなかったことなどをとって、菅のことを首相として無責任と批判する向きもある。手続きや政府内部の調整問題はともかくとして、半世紀を超える原子力開発の歴史のなかで、首相自らが脱原発への方向性を示したことはかつてなく、評価に値する。菅の判断は、国民世論を見つめ、福島第一原発事故の実態を踏まえての歴史的判断であった。首相が替わり方針も変えられる可能性が高いが、国民的関心が強ければ、従前のような政策は決定しづらいであろう。」174~176ページ

※以下、もっともで説得力ある内容の一部を抜き出してみた。御照覧下さいませ m(_ _)m

一定の限度以上は損害賠償しなくてよいとなれば、深刻な事故になればなるほど、被害者が泣き寝入りとなるのは必定である。仮に、限度額以上を国が賠償するとなれば、それは租税を通じた国民負担となる。いずれにしても、国民に負担を押し付けようとしているという点では共通している。略。むしろ、原子力事業の関係者にも費用負担責任を負わせるための法改正が必要である。略。こうすることによって、原子力事業に融資する金融機関、原発の設計施工にかかわる全てのプラントメーカーやゼネコンに対して適切な費用負担責任を課すことができる。そうすれば、危険性の高い地域への立地や、危険な原発の運転を、市場の判断によって回避することができるであろう。84~85ページ。

*原子力事故の重要な点は、広範な地域に深刻な汚染被害が及び、人と環境を傷つけるということである。その一部を金銭評価することはできるであろう。だが、そこで評価された金額は、原子力発電の被害の全体ではない。損害賠償をいくら行っても、人々の生活や環境が元通りになるわけではない。つまり、被害は金銭的に表せない部分が大きいのである。これが原子力被害の本質である。略。原子力発電は、事故コストを含まなくても、多電源に比べて高いのであるから、事故のことを考慮すれば、経済性がないことは明白である。112~114ページ。

*反対派、推進派を問わず、地震や津波によって冷却機能が失われると今回のような事故が起こりうることを指摘していた。つまり、原子力事業者たる東京電力は、事故が予見されていたにもかかわらず、津波対策を行わなかったと考えられる。141ページ。

*ドイツは福島第一原発事故後早い時期に政権内部で脱原発の議論を開始、倫理委員会の勧告を受けて、2011年6月6日に正式に2022年までにドイツ国内の全ての原発を廃止するという政策を閣議決定した。メルケル首相の所属するキリスト教民主同盟と連立与党である自由民主党は、いずれも保守政党であり、事故前までは原発の10年運転延長を認めるなど脱原発に後ろ向きの姿勢をとっていた。これが一変し、ドイツにおいて、脱原発は、政治的立場を超えて一致した政策となった。被災国である日本も、国民世論を受け止め、ドイツと同様、できるだけ短期間に脱原発へと足を踏み出すべきである。190ページ。

*重要なことは発電コストの範囲である。再生可能エネルギーが高くつくとする主張の共通点は、社会的コストを考慮していないことである。福島第一原発事故で明らかになったように、事故が起きると金銭的に評価しきれないものも含めて莫大なコストが発生する。再生可能エネルギーは、地域に回復不能な壊滅的打撃をもたらすことはなく、逆に、原子力発電のような危険な発電方法を終わらせることができる。再生可能エネルギーのコストを考える際、この点を十分に踏まえる必要がある。もちろん、再生可能エネルギーも万能ではない。例えば風力発電のように、低周波騒音や自然破壊問題が発生しないよう十分配慮しなしなければならないが、原子力とは異なり、人間社会がコントロール可能な範囲に収まっている。200ページ。

*日本の原子力開発は、原子力複合体によって、反対派、慎重派を徹底的に排除して、進められてきた。その最終的な帰結が福島第一原発事故である。原子力政策を推進してきた体制が完全に解体されなければ、原子力複合体は復活してくるであろう。福島第一原発事故が起こった後も、従来通りの原子力政策が継続されるようなことになれば、日本は二度と民主的なエネルギー政策をつくりだすことができない。/脱原発は、政治的スローガンでもイデオロギーでもなく、現実に実行可能な政策である。脱原発に進むことは、保守や革新などの政治的立場、思想信条、社会的立場の別を超え、多くの国民が一致できる政策である。/将来世代に、放射性廃棄物と事故のリスクという巨大な負の遺産を残すのか。再生可能エネルギーを中心とするエネルギー体系を残すのか。これは、私たちと将来世代にとってのコストの問題である。「原発のコスト」を回避すること、これは脱原発によってのみ可能である。/略。/まずは、これまで秘密とされてきた原子力発電を含む電気事業の全ての情報を公開させ、完全に透明にしなければならない。また、一部の利益集団や推進派の学者・研究者のみが、社会全体にかかわるエネルギー政策を決定するような仕組みを完全に解体する必要がある。これによってはじめてエネルギー政策が民主化され、公性と中立性が確保されるであろう。/福島第一原発事故は、技術的な安全対策がとられていなかったことが原因と言われることがある。だが、それは原因構造の表面でしかない。なぜ安全対策がとられていなかったのか。それは、エネルギー政策形成にあたって、原発の真のコストが隠蔽され、利益集団の都合の良い判断のみが反映されてきたからである。このような仕組みが亡くならない限り、また新たな問題が発生するであろう。/福島第一原発事故の教訓を活かすためには、国民が強い政治的意思を形成しなければならない。脱原発社会の実現は、私たち自らの「責任ある関与」にかかっている。210~212ページ。

■目次 ※啓蒙・普及活動として、とりあえず本書の詳細な目次を掲載する。  
はじめに
第1章 恐るべき原子力災害
1 福島第一原発で何が起きたのか
 東日本大震災と福島第一原発事故/深刻な福島第一原発事故
2 深刻な環境汚染
 大量の放射性物質の放出/放射性物質による土壌汚染の広がり/全国的な放射性物質の降下/国際原子力・放射線事象評価尺度による評価/広がる海洋汚染
3 人体への影響
 確定的影響と確率的影響/原発労働者の被曝/著しい放射線被曝の現実的可能性があった
4 生活への影響
広範囲にわたる避難/重視すべき子どもの安全/拡がる水と食品の汚染/全面的除染にむけて
第2章 被害補償をどのようにすすめるべきか
1 莫大な原子力被害
被害を総体としてとらえる/事故費用の四つの区分
2 何が賠償されるのか
 原子力損害賠償紛争審査会による指針の位置付け/中間指針の内容と課題
3 原子力損害賠償の原則
 原賠法の二つの目的/事業者の無過失責任/東京電力は免責されうるか/賠償責任の集中/賠償措置の強制/政府と電力会社との間の補償契約/国の援助
4 原子力損害賠償支援機構法の仕組み
 新しい損害賠償の枠組みをめぐって/原子力損害賠償支援機構法とその問題点:(1)支援機構法の目的、(2)国の責務、(3)支援機構を通じた賠償枠組み、(4)支援機構による事業者の公的管理の可能性、(5)保有資産の買取り
5 残された課題
 債務超過回避策としての支援機構法/一般負担金、特別負担金の原資/損害賠償支払いにあたっての問題/損害賠償本格化にあたっての課題/事故収束と廃炉の費用をどうするか/損害賠償に上限を設けるべきか/遺された課題
第3章 原発は安くない
1 原発は経済的か
 政府発表の発電コスト/モデル計算の仕方/電事連の想定の問題性/発電コストの考え方/発電コストに何を含めるべきか
2 発電事業に直接要するコスト
 電力会社の財務データから/総括原価方式をめぐって/計算結果
3 政策コスト
 政策コストの考え方/原子力発電と政策コスト/電源三法交付金/計算結果
4 発電コストの計算結果
 発電の実際のコスト/事故コストをどう捉えるか
5 莫大なバックエンドコスト
 将来へのツケとしてのバックエンドコスト/十八兆八千億円の請求書/含まれていないコスト/不確実なコスト計算/計算にあたっての非現実的な仮定/疑われる経済性/すでに支払いが開始されているバックエンドコスト
第4章 原子力複合体と「安全神話」
1 安全軽視の原子力政策
 原子力政策大綱における安全性のとらえ方/「原子力立国計画」における安全性無視
2 軽んじられた多重防護の思想
 多重防護の思想/施設立地地点の選定問題/地震・津波と全電源喪失への対策の不備/シビアアクシデント対策軽視/防災対策の不備/ストレステストは十分か
3 安全神話の中の原子力複合体
 安全性に対する国民意識/隠された事故被害予測/反対派の徹底的排除/日本の原子力政策推進体制/原子力政策形成の現場/原子力複合体による原子力推進/原子力複合体における国
4 原子力複合体をどう解体するか
 原子力複合体を解体する具体的プラン
第5章 脱原発は可能だ
1 脱原発が始まった
 国民世論の圧倒的支持/始まった政治の変革/経済界の動向
2 脱原発で電力供給は大丈夫か
 原子力発電抜きで電力供給は可能か/節電のコストと便益
3 原発を止める道筋
 東日本は脱原発以外に選択の余地はない/東日本以外の地域の課題/時限を切った脱原発プログラム作成の必要性
4 脱原発のコスト
 基本的な考え方/脱原発のコスト/脱原発の便益
5 再生可能エネルギーの爆発的普及は可能か
 再生可能エネルギーのの発電コストをめぐって/再生可能エネルギー普及政策の考え方/ドイツの経験/産業界の懸念/電力会社の懸念/求められる市民の責任ある関与
 参考文献
 あとがき

130725 社民党福島瑞穂党首辞任。残念です。お疲れ様でした。社民党は必要な政党です。

2013年07月26日 01時04分08秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月25日(木):

福島さんのことは『結婚と家族 新しい関係に向けて』(岩波新書;1992)を読んで以来、ずっと支持していた。社民党に入ったときは嬉しかった。党首になった時は、「この小柄な女性が、あの社民党を背負うのか」と不安だった。

その後、社民党が衰えていく中での奮闘ぶりには、痛々しさを覚えながら応援していた。辻本清美が、民主党の権力に寝返った時には、共に怒りをもった。逆流の中、社民党の屋台をよく支えてくれたと思う。心からお疲れさまでしたと言いたい。

それにしても、社民党の“立ち位置”がわかり難くなっている。社民党の“主張”がわかり難いのではない。あくまで“立ち位置”だ。社民党の“主張”は、よくわかる。多少のずれはあるが、根っこの価値観と政党としての歩みに対しては、ほぼ全面的に共感・同意できる。社民党の主張が、俺の考え方とほぼ同じなのだ。

それじゃあ俺は、特殊な考え方の持ち主なのか? 護憲・九条堅持であっても自衛隊は合憲、日米安保容認。反原発で自然エネルギー推進、反戦・平和、侵略戦争の反省(村山談話を支持する!)、多文化共生、マイノリティの人権、労働者の権利、非正規雇用の問題、弱い立場の人々に心を寄せること、etc. は、子供じみたことなのか? それなりに勉強しつつ働いて長く生きてきた中で、自然に身に着いた価値観である。俺にとっては、ごく当たり前の常識だ。

なぜ社民党は、支持を伸ばせないのだろう。大政党になる必要はないが、根っこのしっかりしたリベラル、革新勢力の政党は一定の比率で必ず必要だと思うのだ。

連合は、民主党の支持団体であって、社民党は今、労働組合関係とはどういうさじ加減の関係なのだろう。市民運動との関係も大きいはずだし、労働組合との関係が、市民運動との連帯に障害になっているのか…? そもそも労働組合は、悪い圧力団体なのか…? 市民運動とは共闘できないのか…? この辺がよくわからないのだ…。

市民運動の仮面を被っていても、民主集中制という独裁を志向し、自党の無謬性に立つ<上から目線>の日本共産党とは根本的に異なる社民党の主張や立ち位置は本当に貴重で大切なものだ、と思う。共産党の政治家たちのしたり顔の話し方に比べて、社民党の政治家の様子はそれぞれが手作り感にあふれていると思うのだが…。これも福島党首が辞めれば変わっちゃうんですかね…。

今、なぜ、これほど社民党が衰えねばならないのかが、わからない…。まあ、残り僅かな人生、手探りで生きていくさ。

130724 鳩山、菅、小沢のいない民主党は名前を変えろ! 「名称詐称党」か「うそつき党」がよい。

2013年07月24日 20時38分29秒 | 国家の信頼メルトダウン。民主党を打倒せよ
7月24日(水):

しんどい仕事を終えて、帰宅後、家内の作ってくれた晩飯を酒の肴にフォアローゼズのロックを飲んでいる。そして、「つれづれなるままに」よしなしごとを書いている。


「民主党」、この野合集団は、参議院選敗北で、つまらない犯人探しをしている。馬鹿じゃないのか。菅さんを犯人に仕立てて、国民が「ああそうか」と思うと考えてるとしたら、よほどの馬鹿だ。犯人はおまえら全員だ!。もっと名前が欲しけりゃ、野田汚物と前原詐欺師だ。

そもそも国民が「民主党」に政権をとらせたのは、今残っている連中に対してではない。市川房枝につながる市民運動出身の菅直人、友愛精神の保守リベラル鳩山由紀夫、旧自民党の大幹事長を務めた剛腕小沢一郎のトロイカ政党が出身の違いを超えて自民・公明政権打破に向け、一致団結する姿に対して大きな期待を抱いて、政権をまかせてみようとしたのだ。

決して今残っている松下政経塾系プチインテリの小者政治屋どもを信頼して政権をとらせたわけではない。そんなことは、まともな目を持った者なら誰の目にも明白なことだ。

それを、鳩山、菅、小沢の周りでちょろちょろ、ちょろちょろと立ち回り、対立を煽り、国民の真の期待である本格的リベラル政党政治の確立という課題を無視し続けた。

野党と一緒になって、鳩山政権、菅政権のあげ足をとり、二人の創設メンバーの梯子を外して倒閣に追い込み、党の勢力を自ら分断して得意になっていた。松下政経塾の野田汚物、前原詐欺師をリーダーとする小者政治屋らの小賢しい姿には、辟易していた。こいつら(仙石なんたら、も付け加えておく)が、自分で自分たちの大きな根っこを切り落として、したり顔でいるのに随分白けさせられた。「なぜ、支え続けようとしないのか…?」

そして、満を持して現れた野田汚物政権の<第二自民党>ぶりに国民は裏切られたことに気づき、野田汚物が逆進性の高い消費税を本家自民党の協力で法案を通し、さらに大飯原発再稼働までやらかして、抗議する国民の声を「大きな音だね」と切って捨てたのだ。この事実、俺は死ぬまで覚えてるぞ!。

さらに笑えない事実として、前原詐欺師は、子どもの時から可愛がってもらっていた在日朝鮮人のオモニからの献金を外務大臣の時に指摘されて「知らなかった」と言い逃れをしたあと、オモニに「すみませんでした」と謝った。その前原詐欺師が、京都選挙区で池坊のバカ娘に逃げられたあと、こともあろうに衆議院議員選挙に落ちた政治屋の北神なんたらをリサイクルして使おうとしたのだ。

この北神なんたらは、外国籍市民の地方参政権付与という、市民社会では全く当り前のことに反対する中途半端保守野郎だったのだ。在日朝鮮人のオモニに可愛がられた前原詐欺師が、外国籍市民の最低限の人権にすら反対する政治屋を担いでいるのだ。まさに<詐欺師>の名に恥じ無い行為だといえよう。

閑話休題、俺はそれほど嫌いではないのだが、細野幹事長たらいう若造は、「選挙で負けた責任をとる」と男気ぶって、辞める前に菅さんの首をとる、と息まいているが、結局こいつも型に囚われているだけだ。民主党の真の敗因がわかっていないか、わからない振りをしている。

民主党の真の敗因は、菅、鳩山、小沢という民主党のアイデンティティに関わる根っこの3人を追い出し、排除したことによって、松下政経塾系のうそつき、インチキ野郎しか見当たらず、<第二自民党(なんていらない!)>化してしまったことである。

3人のいない民主党は「名称詐称党」であり、「うそつき党」である。名前を即刻変えるべきである。

細野なんたらは、これから維新やみんななどの保守野党との連携を探るという噂だが、全くナンセンスだ。リベラルでない「民主党」が名前を変えないで存続するのなら、今やるべきは、鳩山、小沢を呼び戻し、菅を含めてトロイカを再結成して、もう一度原点に戻って党をつくり直すべきだろう。

菅と小沢の仲が悪いのは、わかっているが、凋落した今の二人なら、民主党内でしかるべきポストを保障し、鳩山を加えて、もう一度トロイカによる反自公・リベラル路線を模索することは可能だし、模索すべきだろう。

このトロイカの反自公・リベラル路線では、民主党と社民党が連立を組むことができたし、貧困ネットワークのNPO代表の湯浅誠さんも参画できたのだ。野田汚物政権になった途端に、湯浅さんが政府顧問を辞めた姿は、今から振り返れば、全く水際立っていたとしか言いようがない。<第二自民党>の野田汚物を湯浅さんは瞬時に見切ったのだ。

トロイカの原点に戻る努力もしないで、もしここで野田汚物や前原詐欺師が党代表に出て来れば、俺は怒髪天を衝くだろう。また、同様の松下政経塾関係者が出たら、まあこの野合集団はお終い、ジ・エンドだ。そっちの方がわかりやすいだろう。覆水盆に返らずなのだ。トロイカ再生は、俺の見果てぬ希望を述べただけだ。

日本は今まさにファシズムの奈落への長い坂道を転がり落ち始めたのだ。中国も韓国も他人ごとではないぞ。日本を不用意に非難・中傷・刺激し続けて、日本国内の良質なリベラル勢力にダメージを与え、悪質な歴史修正主義者の馬鹿どもに勢いを与えた責任の一端は隣国にもあるのだ。

右傾化しナショナリズムにはしった日本と刺し違えれば、中国・韓国の体制もただでは済まないぞ! それだけは覚悟しておけ! これは、反ナショナリズム・多文化共生主義で良質なリベラル勢力に属すると自負する俺からの警告だ! もうそろそろいい加減にしておけ! 江沢民・習近平!

俺が死ぬまでに、自衛隊が他国の人を殺さないこと、他国の人に殺されないことを心から祈っている。しかし、この願望は甘いかな…。もっとはっきりと、俺が生きている間に、日本が再び戦争をしませんようにと祈るべきかもしれない。

何よりも、今は、現行憲法が改悪されないことと、日本社会が原発問題と正面から向かい合い、原発の再稼働が行われず、脱原発が実現されることを心から祈っている。はかない望みだが、これ以外の望みは特にない。

※俺の記憶が、あいまいだったり、間違ってる部分もあるかもしれないが、俺は一般の人よりはよく政治を観ていたつもりだ。「名称詐称党」「うそつき党」の歩みは、国民の目にはほぼこんなふうに映っていたことだけはまちがいない!




130721 投票に行った。護憲・反原発! 比例区は社会民主党。選挙区は共産党。民主党は赦せなかった。

2013年07月21日 13時46分19秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月21日(日): 

共産党に投票した時は、悔しさが溢れた。この党にだけは入れたくなかった。あとは、戦後日本が大切にしてきた民主主義の崩壊する姿を、テレビで眺めるだけだ。

※昨日の130720「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」の文面を少し整えておきました。お読み頂ければ幸甚です。

※pm9:15 東京選挙区で反原発の山本太郎さんが当選したのは大変嬉しいニュースである。本当によかった。

※pm11:35 京都選挙区で民主党前原詐欺師の推す政治屋北神圭朗が、共産党の倉林明子に負けたのは痛快だった。永住外国人への地方選挙権付与に反対し、多文化共生に否定的な保守気取りの政治屋は、ボスの前原詐欺師と一緒に民主党を出て行けばいいのだ。


※俺が、民主党前原詐欺師一派を信じられない、支持できない大きな理由の一つが、<下の記事>だ。このような多文化共生を否定する保守政治屋は、自民党か、維新に行けばよいのだ。こいつらがリベラルの振りをして混じっていることが、民主党をわかり難く、<第二自民党>にしか見えないようにしているのだ。

130406 永住外国人の地方参政権に反対する民主党<北神圭朗>候補に反対する! 民主党は消滅せよ!
                    2013年04月06日 14時58分23秒 | 国家の信頼メルトダウン。民主党を打倒せよ
4月6日(土):

「池坊美佳氏辞退の選挙区、民主北神氏の出馬内定」(2013年4月6日09時24分 読売新聞)夏の参院選京都選挙区(改選定数2)の記事を読んだ。

民主党は、全く懲りていない!のを再確認した。野田汚物だけでなく、民主党自体が全く自浄作用のない汚物集団化したようだ!

村山談話の起草にも携わったリベラル政治家の松井孝治に見放された後、恥知らずな前原詐欺師が票目当てだけで池坊のバカ娘美佳を擁立し、その後形勢不利で逃げられてしまった民主党がどうするのかな、とずっと見ていた。

結局、永住外国人への地方選挙権付与に反対する中途半端保守政治屋の北神圭朗を衆院落選後のリサイクル利用したわけだ。保守なら自民党があるから、二番煎じの保守はまったく必要ない! 俺は自民党の西田昌司は、TVで見て、生意気な話し方が大嫌いだが、中途半端な北神よりはずっとましだと思う。

<民主党のリベラル勢力>はもう松下政経塾の中途半端なタカ派保守の素人政治屋(野田汚物・前原詐欺師)と手を切って、もう党をとび出して新たな政治勢力を作って欲しい。投票できるリベラルの受け皿を作って欲しいと心から思う。反原発。反憲法改正。日米安保賛成。自衛隊賛成。生活・経済重視。多文化共生。で結集すれば良いではないか。

野田汚物、前原詐欺師、北神圭朗は、自民党か、日本維新の会に出て行け! おまえらタカ派の保守崩れは要らないし、存在が分かり難いのだ!

130720 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 自民・維新は危険過ぎる。社民党を遺して下さい!

2013年07月20日 20時24分22秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月20日(土): ※酒精を摂取中。

憲法と原発の問題は、経済原理にはなじまない。自民党は、田中派や宏池会が衰退して、新自由主義原理主義に先鋭化し過ぎている。

世間知らずの世襲議員の典型である 安倍晋三は、松岡洋右、岸信介の子孫であり、彼らを崇拝している。侵略戦争の事実を認めることができず、歴史の教訓に学ぶことができない。

血筋に拘る安倍首相には、エリート意識が強く、弱者への共感が全く足りていないこと自体に気づいていない。落語の「百年目」の栴檀と南縁草の関係のように上が繁れば下も潤うというミクロな商行為の価値観を、この発達し過ぎた独占資本主義の日本のマクロ経済に当てはめることのナンセンス、危険さに気づかない振りをしている。

自民党の政策は、社会保障政策でも、「家」制度や「五人組」的な地域互助・監視制度の復活によって、国家や大企業の果たすべき責任を転嫁しようとしている。それは責任の放棄であり、社会の格差拡大・乖離を招き、社会の不安定化を招くだろう。

歯止めとなるべき憲法が改悪されれば、社会不安は、対外的緊張にすり替えられるだろう。隣国の韓国・朝鮮も、中国も大きな矛盾を孕んでいる。アジア・世界の安定に大きな貢献をしていた日米同盟と日本社会の安定が失われることは、国際平和に大きなダメージを与えるだろう。

実は国際社会なんて、俺にとってどうでもいい! ただ戦争は、始めることよりも終わらせることの方がずっと難しいのだ。そして「戦争は、<基本的人権の墓場>だ。」国民は疑心を煽られお互いに縛り合わされる。弱者は、どんどん増加し、利用され、切り捨てられていく。

安倍晋三が「美しい国日本」と呼んでいるのは、ごく一部のエスタブリッシュメントにとって居心地のよい、<人権の墓場>なのだ。彼は、悪意ではない。善意でそれを信じているのだ。地盤、看板、かばん、すべてを持って生まれながら、社会の歪みや弱者の悲しみに共感する感性と知性・理解力を備えない世間知らずなお坊ちゃんが、内面の空虚さを埋め合わせるために、祖父がら受け継いだ(?)時代遅れの国民国家的ナショナリズムの実現を無批判に自己の存在価値としている。これほどの危険は無いだろう。「地獄への道は、善意によって舗装されている」。

北朝鮮拉致被害者を最大限利用して、ナショナリズムを煽り、国民はもの言えない状態に追い込まれながら、その追い込まれているという事実にすら気付かない。偽りの見せ金をアベノミクスと呼び、目先の少しの景気で、最も大切な憲法に保障された基本的人権と平和(合法的に殺されない権利と人殺しにならないですむ権利)を放棄しようとしている。

「戦争を容認する社会」は、<原発>もきっと安易に容認していくだろう。

民主党の<チープな野田汚物政権の罪業の深さ>は、俺が死ぬまで生涯断じて赦さない。海江田民主党党首は信用するが、松下政経塾の馬鹿どものリーダーの野田汚物と前原詐欺師が、自民党か維新に出ていかないと到底民主党を信用できない。民主党に、小沢一郎生活の党が合併して、野田と前原が民主党から出ていけば、俺は民主党を支持したいと思う。

今回の参議院議員選挙では、「<憲法>と<原発>の問題」が取り返しのつかない最大の争点だ。景気もTPPも消費税増税も些事だ。比例区は社会民主党に投票するしかないが、選挙区は、俺が最も嫌悪する民主集中制の日本共産党(この政党は決して民主主義政党ではない)に20年ぶりぐらいで投票するか、軽蔑している民主党に投票するしかないだろう。

 そろそろ酔いがまわってきた。あまり考えられなくなってきた。それにしても、多くの日本人が、しかも貧しい大衆が、自分たちの首を絞めることになる安倍自民党や、ご都合主義の威張り屋石原慎太郎、ポピュリストのジョーユー橋下に踊らされて支持している姿をみると何故なのか不思議で仕方がない。「パンとサーカスを求める」ローマ時代の群衆よりもまだレベルが低い。奴らは「パン」すらも保障してくれないのだ!自分の墓穴を掘りながら、「自分たちは世の中を変えようとしてるんだ(世の中は簡単に変わるものじゃない!)」と高揚している姿は皮肉を通り越して、全く洒落にもならない。

もしここまで、読んで頂けた方々は、お願いですから「社民党」か、「生活の党」に入れて下さい。俺は、小沢一郎さんが、民主党の指導者に戻ってくれることを、心から願う。少なくともそうすれば、民主党は原点に戻れる気がするのだ。勿論そこには、大飯原発を再稼働した野田汚物や前原詐欺師の一派は排除されている。

130716 参議院選挙は絶滅危惧種「社民党」のDNAを遺すために清き一票をお願いします m(_ _)m 。

2013年07月17日 00時38分55秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月16日(火):

平和憲法は国の宝。96条改悪は、取り返しのつかない自殺行為。
解釈改憲の自衛隊は認めるが、明文改憲による国防軍は断じて認めない。
原発は禁止→廃止。この狭い日本を放射能漬けにしてはいけない。譲れない一線だ!
沖縄の困難と悲しみに寄り添いたい。東日本大震災の被災者の困難と悲しみに寄り添いたい。
貧困は、単なる貧乏ではない。貧乏に孤立が加わって貧困が生まれる。人間を人間として基本的人権を保障する現行憲法を俺は何としても守りたい

「強い国よりやさしい社会」をめざす「社民党」を私は強く支持します。皆さまも、参議院議員選挙比例区はどうぞ絶滅危惧種「社民党」のDNAを遺すために清き一票をお願い申し上げます m(_ _)m 。福島瑞穂党首、頑張れ!

130715-2  閲覧 15万を超えました。150,166 PV 59776 IP。ブログ開設 645日。 感謝ですm(_ _)m

2013年07月16日 03時01分11秒 | 閲覧数 記録
7月15日(月):

記録です。有難うございますm(_ _)m。

ブログの開設から 645日

アクセス:閲覧 197PV /訪問者 96 IP

トータル:閲覧 150,166 PV /訪問者 59776 IP 

ランキング:日別 16,297 位 /週別 19,348 位

130715 NHK版「とんび」(2012)を観た。こっちも泣けた。

2013年07月16日 02時36分25秒 | 映画・映像
7月15日(月):

 今日も、休日出勤だった。忙しい日々です。しんどい…。

 夜になって、偶然録画してあったNHK版の「とんび」(2012年)=144分(72分+72分)を観た。こっちの作品もとても良かったです。落涙して、最近乾いていた涙腺が久しぶりに潤った。

 堤真一、小泉今日子、古田新太、西田尚美をはじめ、俺の好きな俳優さんがたくさん出ている。その贅沢なキャストにとても存在感がある。

 何よりも、安さんに関しては、内野聖陽さんより、堤真一さんの方がはまり役だと思う。これは内野さんの良さを否定している訳ではない。内野さんもとても素晴らしいのだ。しかし、演技を超えた適役、リアリティーの問題を突き詰めると堤真一さんに軍配が上がる。

 今どき、内野聖陽を超える役者などそういるものではない! そう思えば、堤真一の真価を証明した作品とも言える。

 カメラワーク、舞台・時代演出、無駄の無い脚本の武骨さ、いずれも高水準の作品だった。

 結論として、原作は同じだが、どちらの作品もそれぞれ十分に存在価値があり、とても良い。長く作品世界に浸りたい時には、TBS版「とんび」(2013)を俺は観る。でも、それに飽きればNHK版「とんび」を楽しむ。そして、原作「とんび」をもう一度読むだろう。


130714 北朝鮮による拉致被害者問題に関する最も納得できる勇気ある発言。

2013年07月14日 22時55分45秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月14日(日):

日頃感じ続けている拉致被害者問題に対する割り切れない違和感を明確に解き明かしてくれる発言に出会った。とても勇気ある発言だと思うし安倍自民党の本質を理解するために、今一番大切な発言だと思う。

7月13日(土)付け、朝日新聞朝刊記事
蓮池 透さん「被害者意識が増殖している」
 58歳(1955生まれ)。元「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」事務局長

 首相や閣僚の胸元を見て、いつもおかしいな、と思うんです。ブルーリボンのバッジ、つけていますよね。だけど日本には、様々な問題の解決を求める多くの団体がある。首相や閣僚であれば全てのバッジをつけるべきではないでしょうか。なぜ、拉致問題の解決を目指すブルーリボンだけなのでしょう。
 2002年9月17日、小泉首相が訪朝し、北朝鮮が拉致を認めました。その時、私たち家族だけではなく、日本社会全体が「俺たちは被害者だ」という感情を持ったと思います。昔は社会的には小さな問題だったんです。拉致なんて言葉もなく、私たちの訴えに耳を貸してくれる人はほとんどいなかった。それがあの日を境に一変し、「被害者がかわいそう」から「北朝鮮を制裁しろ」まで一気でしたね。ずっと加害者だと言われ続けてきた、その鬱屈から解き放たれ、あえて言うと、偏狭なナショナリズムができあがってしまったと思います。
 被害者意識というのはやっかいなものです。私も、被害者なのだから何を言っても許されるというある種の全能感と権力性を有してしまった時期があります。時のヒーローでしたからね。国会議員に写真撮影を求められたり、後援会に呼ばれたりして、接触してくるのは右寄りの方たちばかりでしたから、改憲派の集会に引っ張り出され、訳もわからず「憲法9条が拉致問題解決の足かせになっている」という趣旨の発言をしたこともあります。調子に乗っちゃったんです。
 被害者意識は自己増殖します。本来、政治家はそれを抑えるべきなのに、むしろあおっています。北朝鮮を「敵」だと名指しして国民の結束を高める。為政者にとっては、北朝鮮が「敵」でいてくれると都合がいいのかもしれません。しかし対話や交渉はますます困難となり、拉致問題の解決は遠のくばかりです。
 拉致問題を解決するには、日本はまず過去の戦争責任に向き合わなければならないはずです。しかし棚上げ、先送り、その場しのぎが日本政治の習い性となっている。拉致も原発も経済政策も、みんなそうじゃないですか。
 私がこうして政権に批判的なコメントをすると「弟が帰ってこられたのは誰のおかげだ。感謝しろ」という批判がわっと寄せられます。いったいどんな顔を生きていけばいいのか、わからなくなる時があるんですよね。弟はよりそうだと思います。自分たちだけが帰国できたことへの、申し訳ない気持ちも常にある。現実の被害者の思いは複層的です。しかし、日本社会は被害者ファンタジーのようなものを共有していて、そこからはみ出すと排除の論理にさらされる。被害者意識の高進が、狭量な社会を生んでいるのではないでしょうか。
 調子に乗っていた当時の自分を振り返ると、恥ずかしい。だけど日本社会は今も、あの時の自分と同じように謙虚さを失い、調子に乗ったままなのではないかと思います。(聞き手・高橋純子)

130708 憲法は日本の根っこ。96条改憲は、憲法=法律にすること。日本を骨抜きの国にする自殺行為だ!

2013年07月08日 16時33分18秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
7月8日(月):

 今朝の「天声人語」は、秀逸だった。言葉にし切れない、最近のもやもやを的確に表現してくれた。何よりも、憲法を軽視し、敵視している世襲議員の男が、実は憲法を理解できていないこと。そして、そんな知能の低い愚者によって、我々の掛け替えのない至宝が今まさに破壊されようとしているもどかしさを、よく代弁してくれている。歴史上、最も愚劣で、最もありがちなこと。こうして我々は失ってはならないものを失い、取り返しのつかない坂道を転がり落ちていくのだ。

「 議論は広がってきているが、深まってはいない。大切な問題に触れているのに、その先を掘り下げられない。参院選での憲法改正をめぐる論戦である。隔靴掻痒(かっかそうよう)とはまさにこのことだろう▼先日の日本記者クラブの党首討論会で、自民党の憲法改正草案をいくつかの側面から俎上(そじょう)に載せたのはよかった。生活の党の小沢代表は安倍首相に質(ただ)した基本的人権は永久不可侵と宣言している97条を削るというが、どういう考えからか、と▼憲法はなぜ最高法規なのか。その肝心要の理由を説明するのが97条だとされる。極めて重い条項であり、小沢氏の問いは一つの核心を突く。首相は「逐条的に聞かれても……」。これで済む話ではない▼みどりの風の谷岡代表が前文に注目したのも鋭かった。憲法では「日本国民は」と始まるところ、草案で「日本国は」としたのはなぜか。国民が憲法という約束事を取り交わして初めて国家が立ち現れる。自民党案は順番が逆さだという指摘だ。ここでも正面からの答えはなかった▼立憲主義について首相が語る場面があった。憲法は権力を縛るものと認めつつ、しかし今は「王権の時代、専制主義的な政府」ではなく、民主主義の国家だと述べた。言いたいことがどうも呑(の)み込みにくい多数決でものを決める民主主義。それでも侵すことのできない人権を守る立憲主義。両者は時に対立する。その張りつめた関係についての認識があるのかどうか。疑問と、もどかしさが募る。さらなる論戦を待つ。 」



※「第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」  この条文を、自民党は削除するつもりだ。もはや理解不能、意味がわからない。
※以下、昔の記事を載せる。今回の参議院選挙だけは、嫌だけど選挙区で共産党に入れるしかないか……???

121206 朝日朝刊記事に感慨、歴史は繰り返すのか…。広告に恥知らずな厚顔をさらす民主党の感性は異常だ! 2012年12月06日 21時46分21秒 | 日記

自民272議席、公明31議席、維新49議席、民主81議席、未来14議席。自民・維新だけで320の過半数を超える。いずれも日本を戦争できる国にする憲法改悪をめざす勢力だ。目の前の原発問題にすらNOを突きつけるどころか、景気回復の声に踊らされるしかない。国会議事堂前のデモに集まった人々のエネルギーは何だったんだろう。結局あだ花で終わるのか。

日本人は、目前の衝動に流される国に戻っていくのを許すのか。戦争で多くの人が死に、多くの人を殺す歴史を繰り返すのか。確かに、年間3万人の自殺者が10数年続いている。自殺未遂や生きたままの自殺者?の存在を考えれば空恐ろしい死傷者だ。10年で30万人を超える異常死、周辺の未遂者はその数倍だろう。自殺者の伴侶や家族の心の傷を想像すれば、日本は空恐ろしい国であり、社会だ。

あれほどの犠牲者を出した敗戦以来67年になる。確かに近代史上ぶっちぎりの戦争の無い時代だった。それからすれば、福島の原発事故なんて大したことではないのか。この国では、被災者の悲しみに寄り添い、2度と原発事故が起こらないように強く願うことが子供じみたことなのか。見ない、見えない振りをして経済・景気の回復を第一に考えることが現実的で大人の判断ということなのか。

とりあえず今朝の朝日新聞には絶望的な気分にさせられた。守るべき憲法と反原発も、この国では児戯と片付けられるのだろうか。経済!景気!と叫び続けているうちに、すぐ横で多くの人々が悲しみ、亡くなっていくのだろう。

景気!経済!は大事だが、それにまさる価値を見いだせない国民性は度し難く救いがない。俺は、生きても20年ほどだろうが、この国の未来を悲しむ。すべては自業自得だ。今回の選挙で、日本社会の大切な芯に傷がつかないことを祈るのみだ。

130707 検索メモ帳:「戦争と平和」、2007年、英米作家125人が選ぶ世界文学ベストテン…?

2013年07月07日 12時33分50秒 | 日記
7月7日(日):

仕事に追われている。書類作りが進まない。疲労感で絶不調です。本も読めない。しんどいなあ…。

NHKの100分で名著トルストイ「戦争と平和」(1)~(4)でこのベストテンを知り、検索してみた。以下、メモ帳である。

ドストエフスキーが無いし、A.デュマも、V.ユーゴーも、日本の作家も入っていない。全く納得できない! 所詮、このベストテンは、「英米作家もローカルなんだ」「文学の世界基準は不可能なのか?」「勿論、めざすべき本の参考の一つにはなるが、全くローカルな作品案内に過ぎない」ということは、わかった。

1位 『アンナ・カレーニナ』トルストイ
2位 『ボヴァリー夫人』フローベール
3位 『戦争と平和』トルストイ
4位 『ロリータ』ナボコフ
5位 『ハックルベリー・フィンの冒険』トゥエイン
6位 『ハムレット』シェイクスピア
7位 『偉大なるギャツビー』フィッツジェラルド
8位 『失われたときを求めて』プルースト
9位 『チェーホフ小説集』チェーホフ
10位 『ミドルマーチ』ジョージ・エリオット

以前の職場で、トルストイをいくつか読んでいた同僚がいたが、その人がトルストイでは『アンナ・カレーニナ』がいちばん良かったと言っていたのを思い出した。トルストイは死ぬまでには『アンナ・カレーニナ』か『戦争と平和』を読みたいと思う。やっぱり『戦争と平和』かな。トルストイが一番好きな女性自然児ナターシャ(生命力と生活力)に会ってみたいし、空虚なフリーメーソンの自由・平等・博愛の雰囲気も知ってみたい。

ピエール:悩める貴族の青年。莫大な遺産相続と遺産目当ての女との結婚
アンドレイ:祖国のために戦う軍人。ナポレオン崇拝に挫折する。
ナターシャ:ロシア女性の理想像。コサック(自由と自然の象徴)ちゃんのあだ名を持つ自然児

カラターエフ:ピエールの捕虜仲間。生きた知恵に生きる。

トルストイは、1500haの土地を持つ名門貴族出身。青年時代がピエールと重なる。トルストイは、老子とブッダを読んでいる。

ピエールの水滴に覆われた地球の夢は、とても東洋的だ。まるで華厳経の世界だ。一つが全体、全体が一つ、どんなに小さな一つも失われては世界が成立しない。一即一切、一切即一。

生活賛歌、人生賛歌、生きる喜び。

※手元のDVDを調べたら、1965年のソ連版映画「戦争と平和」全4部作の内、第1部が欠けていたが、第2~4部の録画が見つかった。嬉しいような、残念なような…。まだ観ていないが、やはり有名な文芸作品の映画は理屈抜きで録画しておくべきだ、と思った。
以下、ウィキペディアより。

第1部 アンドレイ・ボルコンスキー

ナポレオンの噂で持ち切りの1805年のペテルブルクの社交界。ベズーホフ伯爵の私生児であるピエールは、将来の進路を決められないまま、仲間の貴族たちと放蕩生活にふけっていたが、父伯爵が亡くなり、莫大な財産を受け継ぐことになる。勧められるままエレンと結婚するが、妻の放蕩ぶりに悩まされたピエールは、妻の愛人とされるドーロホフと些細なことをきっかけに決闘し、相手に重傷を負わせてしまう。結果、元々財産目当てだった妻・エレンとの夫婦関係は破綻する。一方、ボルコンスキー公爵家の嫡子でピエールの友人であるアンドレイはアウステルリッツの戦地に赴き、クトゥーゾフ将軍の副官として激戦のなか軍旗を掲げ軍を率いていたとき負傷して倒れる。その姿を見た敵将ナポレオンは美しい死と讃える。アンドレイは命を取り留め仏軍の捕虜となるが、ロシアの家族には戦死の報が届けられる。おりから彼の子を身ごもっていたリーザは正気を失い、出産直前に生還した夫の顔も見分けられぬまま死んでゆく。アンドレイは生への望みを失い、世間から隠れて暮らそうと考える。

前半は原作の第一巻、後半は第二巻第一部に相当する内容になっている。

第2部 ナターシャ・ロストワ

1809年、ロストフ伯爵の令嬢ナターシャは初めての舞踏会に出席し、アンドレイに踊りを誘われる。二人は一目で愛し合い、アンドレイは求婚するが、ナターシャが若いために頑迷な父公爵によって一年間の猶予がつけられる。しかし、この一年は彼女にはあまりにも長過ぎた。狼狩りに加わったり、伯父の家でロシアの踊りを披露したりするが、無聊は収まらない。そのようなおり家族とモスクワの劇場で観劇中、エレンの弟のクラーギンと出会い、その熱烈な求愛に負け、外国への駆け落ちを決心する。企ては失敗し、それを知ったアンドレイも彼女を許そうとはしなかった。感受性豊かなナターシャがすべてのことに生き生きとした反応をしてゆくさまが描かれている。

原作の第二巻第二部から第三巻第一部までに相当する内容になっている。ただし、ピエールがナターシャに想いを告白するのは、ナターシャが自ら引き起こしたスキャンダルによる心労で病に伏せた後である。

第3部 1812年

1812年、ナポレオンがロシアに侵攻する。仏軍に連敗の露軍は、再度クトゥーゾフを司令官に迎える。アンドレイもまた出征し、ボロジノの戦いで負傷する。ピエールも従軍し戦争のすざまじさとおそろしさの一部始終を見聞する。本編は大半が壮大な戦闘シーンで占められている。

原作の第三巻第二部に相当する内容になっている。ただし、ピエールは義勇軍を率いて参戦するのではなく、戦場を単独で視察に来るだけである。

第4部 ピエール・ベズーホフ

仏軍がモスクワに迫り、クトゥーゾフ将軍はモスクワ退却を決意する。ロストフ家も多くの市民とともに市街を撤退するが、ピエールは農民に身をやつし町に残る。ナポレオンを殺そうと思ってだった。そこでフランスの将校ランバン大尉と知り合う。モスクワの町は仏軍によって略奪放火され、義憤にかられ抵抗したピエールはとらえられ、死刑の宣告を受けるが、危うく処刑は逃れる。重傷で避難してきたアンドレイは、ナターシャと再会し、2人はお互いの愛を確かめあうが、しばらくしてアンドレイは亡くなる。クトゥーゾフはナポレオンの講和勧告を無視し続け、しびれを切らしたナポレオンは退却を始めた。ロシア軍が反撃を始める。捕虜になっていたピエールは解放されるが、ナターシャの弟ペーチャ少年は戦死する。ナポレオンは自軍を捨ててパリに逃げ帰って行った。捕虜となったランバン大尉はロシアの兵隊たちから「みんな同じ人間だ」と、酒食をふるまわれる。大尉はお返しに『アンリ4世万歳』の歌を教える。帰還したピエールは再会したナターシャに初めて会ったときから変わらぬ愛を確認する。

原作の第三巻第三部から第四巻までに相当する内容になっている。ただし、原作にあるエピローグはなく、ピエールとナターシャが結ばれることを示唆して物語は終わる。



映画を先に観ておけば、登場人物が500人を超えるというこの作品をいつか実際に読む時、迷子にならないだろう。

 1956年版のハリウッド版(208分)は、427分のソ連版に比べるとおもちゃのようなレベルらしいが、ナターシャを永遠の恋人、妖精オードリ・ヘップバーンが演じている。彼女の全盛期の作品なのだ。アマゾンで1000円で手に入る。オードリーのナターシャ、なにかしらどうしても観たくなってきた。この作品に関しては、映画を見ておくことが、読書の邪魔にならない。むしろ迷子になるのを防げるのだ。欲しい!

オードリー版「戦争と平和(1000円)注文出してしまいました。






130701 BS録画で中江有里さんを観た。知的変貌ぶりに驚いた。

2013年07月02日 01時59分26秒 | 日記
7月1日(月):

 女優の中江有里さんが18歳のとき、映画の発表会のお披露目で新人女優の彼女を客席から見上げたことがある。可憐な可愛さに息をのんだ。

 その彼女が、いまや知的に落ち着いた様子で、『源氏物語』をめぐって、東大名誉教授の芳賀徹先生と対談しているのだ。驚いて、ウィキペディアで調べて、「39歳の彼女が年間300冊の本を読み、2冊の本を上梓している」のを知って驚いた。しかも2冊ともアマゾンで高評価を受けているのだ。嬉しい驚きである。いつか読んでみたくなった。知的で美しい女優さんの映像はとても心地よかった。

 ……俺は何を書いてるんだろう?

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)