もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

191030 山本太郎代表の消費税5%減税に合意、共闘できなければ次回の総選挙で立憲民主党には絶対に投票しない。逆も真なり。

2019年10月31日 00時38分32秒 | 今、思うこと&意見
10月30日(水):    

れいわ新選組の山本太郎代表の消費税5%に同意、共闘できなければ次回の総選挙で立憲民主党には絶対に投票しない。立憲民主党に対する支持意識は大幅に毀損される。万年野党を応援する気はない。見放す。逆も真なり。政権交代を本当に目指すのであれば、全面的に応援する。それにはまず、消費税5%減税でれいわ新選組と合意、共闘することだ。


    

191028 【生活図鑑】非正規公務員(No.466)3人に1人 官製ワーキングプア

2019年10月28日 23時23分00秒 | 考える資料

10月28日(月): 
東京新聞【生活図鑑】非正規公務員(No.466) 3人に1人 官製ワーキングプア
2013年9月11日

 保育士をはじめ、身近な公共サービスを担う公務員の非正規化が進んでいます。地方公共団体での非常勤職員などは60万から70万人にも上り、3人に1人が非正規職員との推計もあります。官製ワーキングプアとも、もう一つの非正規問題ともいわれる非正規公務員の現状は?
 総務省は、非正規公務員の場合、雇用期間は基本的に一年以内(更新可能)としています。同省によると、地方公共団体での臨時・非常勤職員数は二〇一二年四月で六十万三千五百八十二人でした。調査対象は、六カ月以上勤務(または勤務見込み)で、一週間あたりの勤務時間が十九時間二十五分以上の職員のみです。
 短時間勤務なども含めた自治労の調査(一二年度)では、地方自治体(教員、消防、警察は除く)の非正規比率は33・1%で、非正規公務員数は約七十万人と推計しました。
 総務省と調査対象が違うことを考慮しても、地方自治体で六十万から七十万人が非正規として働いていることになります。また、国家公務員では非常勤職員が十四万二千五百三十九人(一二年七月)でした。審議会委員や保護司など非正規と捉えにくい人を除くと約七万人になります。地方公務員と合わせると八十万人ほどになります。
●子育て職種で進む
 具体的にどのような職種で非正規化が進んでいるのでしょうか。
 自治労調査によると、学童指導員で92・8%、消費生活相談員86・3%、図書館職員67・8%、学校給食関係職員64・1%、保育士52・9%と、子育てや消費者問題を扱う職種で非正規化が五割を超えていました。
 賃金は、日額・時給型の平均時給が九百五十円。フルタイム(週三十八時間四十五分)で一年間働いたと仮定すると、年収は百九十一万四千円になります。月給型の平均月給は十六万円で、年収は百九十二万円でした。
 いずれも年収は二百万円以下であり、官製ワーキングプアと指摘されています。しかも、これら非正規公務員がケースワーカーとして、生活保護の窓口で活動するという不思議な事態も起こっています。
 このほか、退職金などもほとんどが支給されていません。休暇の取得も十分ではないとされています。このため、総務省は〇九年に、報酬、休暇などについて適正化を求める通知を出したほどです。
●問題点
 賃金以外にも問題点は多くあります。
 非正規公務員の六割は、勤務時間が正規と同じか四分の三以上でした。この場合、民間なら年金、健康保険は正規と同様の厚生年金、健康保険組合などに加入します。しかし、非正規公務員は、独自の規定があり共済に加入できません。このため、年金は厚生年金、健康保険は協会けんぽに加入しています。
 また、任期が二カ月以内なら非正規公務員自ら国民年金、国民健康保険に加入しなければなりません。事業主負担を免れるため、あえて二カ月以内の雇用期間にしている例も多いと指摘されています。
 一方、非正規でも公務員であるため、雇用されても労働契約とされていません。公務員は労働契約法やパート労働法では適用除外となっています。このため、労働法上の権利が一部しか適用されず、さらに非正規であるため、例えば雇い止めになった場合も、救済が難しいのが現状です。
 こうした非正規公務員の増加について、地方自治総合研究所の上林陽治研究員は「公共サービスがいずれ十分に行えなくなる危険性があることを示している」と懸念しています。
  
制作・亀岡秀人


    

191027 一年前:8 017 佐藤優「知性とは何か」(祥伝社新書:2015)感想4+→11月4日 感想5

2019年10月27日 23時36分05秒 | 一年前
10月27日(日):
8 017 佐藤優「知性とは何か」(祥伝社新書:2015)感想4+→11月4日 感想5
10月25日(木):  266ページ    所要時間1:25(11月4日重点的に再読2:00)   古本市場216円著者55歳(1960生まれ)。今日買って、今日目を通......

191026 一年前:8 015 重松清「十字架」(講談社文庫:2009)感想4+

2019年10月26日 17時14分48秒 | 一年前
10月26日(土):
8 015 重松清「十字架」(講談社文庫:2009)感想4+
10月22日(月):      395ページ      所要時間6:20     古本市場86円著者46歳(1963生まれ)。安く手に入れたと思っていたら、すでにブック......


191026 一年前:181023 近頃、一番聞きたかった話:古賀茂明「70歳まで働くと年金は失業保険化する? 安倍総理は真実を語れ」

2019年10月26日 17時12分03秒 | 一年前
10月26日(土):
181023 近頃、一番聞きたかった話:古賀茂明「70歳まで働くと年金は失業保険化する? 安倍総理は真実を語れ」
10月24日(火):   俺の父親は55歳で定年を迎えた。その後しばらくは働いていた。俺も今や父親の定年の年齢を越えて、50代後半で体はがたがたである。「70歳まで元気で働け」......


191026 一年前:8 016 齋藤孝「10分あれば書店に行きなさい」 (メディアファクトリー新書:2012)感想3+

2019年10月26日 14時26分16秒 | 一年前
10月26日(土):
8 016 齋藤孝「10分あれば書店に行きなさい」 (メディアファクトリー新書:2012)感想3+
10月24日(水):  198ページ     所要時間4:00      ブックオフ108円著者52歳(1960生まれ)。先日久しぶりに大型書店に足を踏み入れた。古本屋......

191019 Good!:(耕論)嫌韓論の正体 鈴木大介さん、安倍宏行さん、木村幹さん

2019年10月19日 13時23分50秒 | 考える資料
10月19日(土):

今回の論評は、三者三様に腑に落ちて納得のできる内容だった。

朝日デジタル(耕論)嫌韓論の正体 鈴木大介さん、安倍宏行さん、木村幹さん
2019年10月19日05時00分

 日韓関係が泥沼化するなか、ネットやテレビ、雑誌などでは嫌韓論が広がっている。事実に基づかず、隣国を面白おかしく叩(たた)くような現象は、なぜ生まれているのだろうか。

 ■「古き良き日本」の喪失感 鈴木大介さん(文筆業)
 今春、がんのため77歳で亡くなった父は晩年、ネット右翼的な言動が著しく増えました。韓国や中国への批判や女性を軽視した発言が多く、韓流ドラマは「くだらない」。僕の取材テーマだった若者の貧困については、「自己責任だ」と眉を寄せました。
 末期には、ベッド脇のパソコンから流れるユーチューブのテキスト動画の音声を延々と聞いていました。デスクトップには「嫌韓嫌中」というフォルダーがあり、ブックマークは右寄りニュースのまとめサイトで埋まっていました。
 名門とされる大学の出身で企業戦士だった父は、ノンポリでしたが、知的好奇心にあふれていました。在職中は同年代との交友関係が薄かった父ですが、62歳で退職すると地域活動や大学の同窓会に熱心に参加し、同世代の友人がたくさんできたようです。その頃から、言葉の端々に右翼的な物言いが増え、枕元に右派の雑誌が置かれるようになったように思います。
 父の世代は、典型的な高度成長期のサラリーマンです。父もまた、トイレや炊事場が共同だったアパートで新婚時代を過ごし、がむしゃらに働いて一軒家を建てました。
 隣人愛に満ち、働けば報われた素朴な社会。父には古き良き時代の日本はどこにいったのか、という喪失感があったように思います。世論調査では、年齢が高くなると嫌韓派が増す傾向があるといいます。ネトウヨの排外主義的言説に色濃く含まれる「古き良き日本は失われたのではなく、何者かに奪われた」という論調に、父の世代は救いを求めたのかもしれません。
 一方で父の発言には憲法9条改正や核武装が必要といったオピニオンはありませんでした。靖国神社にも行かず、祝日に日の丸を掲げることもありません。父や周囲の同世代男性にとってネトウヨ的言説は酒の肴(さかな)的な共通言語であり娯楽だったのでしょう。
 父の友人たちは高学歴でネットにも詳しい。ネトウヨ言説は新奇に富み、真偽は別にしても「ネタ」として盛り上がります。ネットを使わない友人も、テレビのワイドショーを見て「そういえば、あいつが話していたことだ」と納得するのかもしれません。
 「嫌韓ビジネス」にとって、高齢者以上の上客はいません。出版社は生き残りをかけて扇情的な見出しをつけ、ネット媒体もページビュー稼ぎに必死です。父たちがそうしたビジネスに踊らされている被害者ではないかと思うと、あまりにも残念です。
 ただし父の偏向については、息子の僕が父を孤独にしたことにも重責があります。テレビに毒づく父を無視せず、「その言葉はどうかと思うよ」とのひとことが言えれば、父の変節を阻めたかもしれない。今、それを強く悔やんでいます。(聞き手・桜井泉)
    *
 すずきだいすけ 1973年生まれ。著書に「最貧困女子」、脳梗塞(こうそく)の体験を書いた「脳が壊れた」「脳は回復する」。


 ■ネタの面白さ優先、表層的 安倍宏行さん(ジャーナリスト)
 韓国をめぐる報道のあり方は表層的で、刹那(せつな)的ではないか――。私は一部メディアの姿勢について、こんな懸念を抱いています。
 たとえば、民放各局が毎日放送している情報番組。いわゆるワイドショーは今、かなり勢いがあり、中心的な視聴者層である中高年に影響力があります。ただ、韓国の混乱をその場限りで面白おかしく伝える内容に視聴者が扇動され、嫌韓ムードをあおる一因にもなっていると思います。
 硬派なニュース番組は昔に比べて視聴率が取れず、どのテレビ局も苦戦しています。一方でワイドショーは局によっては朝だけでなく、正午から夕方まで枠を広げるなど好調で、時事問題も多く扱うようになりました。芸能人が司会をするなど、気楽に「ながら視聴」しやすいことが人気の背景かもしれません。
 その結果、新聞を読まないような人も時事的なニュースを手軽に入手できるようになりました。これはワイドショーのプラス面だと思います。
 一方で、マイナス面もあります。ニュースの本質よりネタの面白さが優先されるのです。例えばチョ国(チョグク)前法相を「タマネギ男」などといってその人物像まで取り上げるなど、微細な話に入りがちです。文在寅(ムンジェイン)大統領がなぜ彼を法相に任命したのかといった深掘りがありません。朴槿恵(パククネ)政権の時も、大統領の友人とのスキャンダルが盛んに取り上げられ、朴前大統領叩きに終始しましたが、その後の展開はほとんど扱われませんでした。
 日韓問題は本来、二国間の関係だけをみていてもわかりません。北朝鮮をはじめ、背後にいる中国、ロシア、米国の動き、日米韓という同盟関係の行方などを大局的・複眼的に捉えなければなりません。韓国内には「親北」「反北」という戦後から続く対立があることを踏まえ、理解することも必要です。
 懸念するのはワイドショーをよく見る中高年だけではありません。若い世代はテレビをほとんど見ませんが、ネット上のニュースサイトに接するのは、30~40代のビジネスパーソンが中心です。それより下の世代は、LINEニュースなどで、見出しのみを見ている人が多いと思います。
 ネットを通じて大量の情報に接している若い世代は、中高年世代よりは韓国をニュートラルに見ていると感じます。とはいえ、大量に入ってくる情報を整理し、読み解こうとしている人は少ないのではないでしょうか。
 嫌韓現象の先に何が起こるのか、複雑な国際関係のもとで日本はどんな外交を展開すべきなのか。いまの日韓問題を自分の問題として捉え直す姿勢は、中高年であれ、若者であれ必要です。情報を受け取る側のリテラシーも、問われていると思います。(聞き手・稲垣直人)
    *
 あべひろゆき 1955年生まれ。元フジテレビ解説委員。ウェブメディア「Japan In-depth」編集長。産業能率大学客員教授。

 ■「叩けば折れる」を越えて 木村幹さん(神戸大学教授)
 「嫌韓」言説が注目されるようになって10年以上。この間の変化として、攻撃対象の絞り込みが挙げられます。
 以前は中国、北朝鮮、韓国の3カ国が「反日トライアングル」と呼ばれていました。しかし中国については、相手の国力の方が強くなり、攻撃が消えました。北朝鮮についても「日本が叩けば相手が折れるはず」との想定が外れ、効果がないことが分かると、あきられてしまいました。
 韓国だけが残っているのは「日本が叩けば折れるはず」といまだに思っているからでしょう。韓国をさげすむ言説の裏に見えるのは「日本は(韓国とは違って)先進国だ」と自負したい心情です。アジア最大の経済大国という地位を失い、中国に抜かれた日本にとって、いまや「追い抜かれたくない国」の代表が韓国でもあるのでしょう。
 しかし、韓国はいまや世界12位の経済大国です。G20のメンバーで、OECDに加盟してもう23年。軍事費や1人当たりのGDP(購買力換算)では、日本は遠からず韓国に抜かれるでしょう。
 かつては韓国の対外貿易額の40%近くを日本が占めた時代がありましたが、今では7%前後。韓国にとって日本の存在感が薄れるのは当然です。「韓国は日本を気にしているはずだ」と信じている人もいますが、そうした韓国は無くなって久しいのです。
 この夏、新たな嫌韓言説として、「断交しろ」という主張が台頭しました。そこでは、従来あった「韓国が謝ってくる→再交渉に応じる」というシナリオが放棄されています。叩いても韓国を単純に屈服させることはできないという現実に日本社会が気づき始めた表れだと思います。
 「強気に出ていれば何とかなる」と思い込み、自らの力の限界に気づかない面は、もちろん韓国側にもあります。今は、日韓双方が新しい関係性を学習しつつある過程なのでしょう。「韓国はワケの分からない国だ」という言葉を免罪符に自らの不勉強を正当化すべきではありません。
 歴史問題をめぐる対立は韓国だけで終わりません。台湾やフィリピン、ベトナムなども国力を高めるにつれ、日本に権利を主張してくるでしょう。もし韓国との間で解決に失敗したら、この先もつまずきが続くだけです。日韓関係を「歴史問題に終止符を打つステップ」と考え、アジア諸国との問題を解決していくためのモデルを作るべきです。
 そのためには「譲らざるを得ない現実に直面してあきらめる」作業を日韓がともに重ねる必要があります。話し合いで進めるのが難しければ、国際的な司法の場に出るのも手です。法律的な議論の場では「互いの切れるカードは何か」が見えやすく、自他の実像を認識しやすいからです。(聞き手 編集委員・塩倉裕)
    *
 きむらかん 1966年生まれ。専門は比較政治で、韓国政治に詳しい。著書に「日韓歴史認識問題とは何か」など。

191014 「日本人」とは何か 〜ラグビーW杯を釜石で観戦して〜(藻谷浩介)

2019年10月15日 00時11分24秒 | 考える資料
10月14日(月):   1次リーグ・日本−サモア戦の前半、突進する日本代表の松島幸太朗=2019年10月5日、愛知・豊田スタジアム【時事通信社】
時事ドットコム「日本人」とは何か 〜ラグビーW杯を釜石で観戦して〜【コメントライナー】
日本総合研究所主席研究員・藻谷浩介

 先日、三陸の釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムで、ラグビーワールドカップのフィジー対ウルグアイ戦を観戦した。
 小柄な選手も多いウルグアイが巨漢揃いのフィジーを破る、スリリングな展開を堪能した観客は、ほぼ満席の1万4000人。釜石市の人口の4割以上に該当する、当地としては空前の数だった。
 ◇深く考えずに言っている
 目を引いたのが、地元小学生たちの大変に元気な応援だ。遠く離れた異国の、その中でも、遠隔の地で戦った両チームの選手は、さぞ勇気づけられたことだろう。さらに、スタジアムの周囲では、多数のボランティアスタッフが運営を支えていた。
 試合終了後、番狂わせの余韻を味わいつつ去る観客と、ついにこの日までこぎつけた喜び溢れるスタッフたちとが、次々と笑顔をかわす光景に、「開催地・釜石こそが、きょうの真の勝者だったのではないか」と、感慨を禁じ得なかった。
 その後も日本チームの快進撃で、日に日に盛り上がっているこの大会。ナショナルチームが多国籍メンバーで構成される、ラグビー独特のシステムも注目されている。
 日ごろ、われわれは「日本人」と深く考えずに言っているが、国籍、出生地、学んだ地、働く地、家族と住んでいる地はそれぞれに違うということを、メンバーそれぞれのプロフィールを見ることで学べる。両親の出身国まで含めれば、パターンはさらに複雑だ。
 ◇「どれだけ日本人的か」
 トライ数で世界トップを競う松島幸太朗選手の場合、国籍は日本だが、南アフリカで6歳まで育ち、高校卒業後は南アフリカやオーストラリアでプロとして活躍している。
 父親はアフリカのジンバブエ人だ。そんな彼と、韓国生まれ・韓国籍だが、中学の途中で来日し、日本でプレーを続けている具智元選手を比べて、「どっちがどれだけ日本人的だ」と議論することに、意味があるのだろうか。
 ということなので、ネットには、「日本が好きで日本のために戦うチームメンバーは、国籍や出身にかかわらず、日本人と同じだ」というようなコメントが目立つ。
 だが、それでは、生まれつきの日本人は皆、「日本が好き」なのか。言い換えれば、「日本が好き」でなければ、日本人ではないのか。
 いや、国籍というのは、そもそもそういうものではない。好き嫌いに関係なく、親が日本人だから自動的に日本人になった人がほとんどなのだ。
 ◇混在する世界
 対して、ラグビー日本代表のメンバーは、自分が「ラグビーをする場」として日本を選んでいる。「日本が好き」「日本のために」というのは動機の核心ではない。
 医師にとって、病院が「患者を治療する場」であるのと同じだ。医師は「好きな病院のために治療する」のではない。
 21世紀の日本は、「親が日本人だから日本人になった人」と、「場として日本を選んだ人」が混住する世界だ。
 前者は、別に志なく漫然と生きていてもよいし、後者は日本人の血統がなくとも、日本を選んでよい。
 日本人の血統を持つ者の方が、日本を場として選んだ者に優越するわけではないし、その逆でもないのである。この原理が日本人の腹に落ちて定着するのは、どのくらい先になるのだろうか。
 (時事通信社「コメントライナー」2019年10月11日号より)

【筆者紹介】 藻谷 浩介(もたに・こうすけ) 1964年生まれ。東京大学卒業後、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。米コロンビア大学ビジネススクールで経営学修士。2012年より現職。平成合併前に全市町村を踏破。地域経済、観光、人口動態などに詳しい。公職、寄稿、テレビ出演、講演多数。「デフレの正体」はベストセラーに。近著に「世界まちかど地政学NEXT」「観光立国の正体」。

191014 一年前:181011 本田圭佑選手。お見それしました。男前だね、格好いい! 「メッセージ~朝鮮学校訪問の理由、愛国心とは、日本人であることとは~」

2019年10月14日 23時07分02秒 | 一年前
10月14日(月):
181011 本田圭佑選手。お見それしました。男前だね、格好いい! 「メッセージ~朝鮮学校訪問の理由、愛国心とは、日本人であることとは~」
10月11日(木):一部でビッグマウスとも呼ばれる本田圭佑選手のまっすぐさに、久しぶりに気持ちの良いさわやかな話を聞いた気分になった。よっ!おっとこまえだね、格好いい!金明......


191014 再掲 8年前:82冊目 重松清「流星ワゴン」(講談社文庫;2002)  評価5

2019年10月14日 15時56分30秒 | 一年前
10月14日(月):    
82冊目 重松清「流星ワゴン」(講談社文庫;2002)  評価5
2011年11月26日 07時27分42秒 | 一日一冊読書開始

(2011年)11月25日(金):

477ページ  所要時間6:20

ブックオフで買ってあった105円の文庫本が、10日ほど前に、紀伊国屋の入り口でワゴンに平積みされていた。「そんなに売れてるのか?」。読んでみると、平易な言葉に、深い味わいが込められていて、一気に長時間、読み続けても全く苦痛ではなかった。

私立受験に失敗し、いじめを受け不登校になった13歳の息子の家庭内暴力とテレクラに性の吐け口を求める妻との荒んだ生活、営業職をリストラされ再就職もうまくできない日々に疲れて、「もう、死んじゃってもいいかなあ」と思いつめた永田さん(38歳)の前に、5年前に交通事故死した橋本さん父子の乗る不思議なワゴン車オデッセイが現れる。

生と死の狭間を走るワゴン車に乗せられ、人生の岐路となった場所へ<思い残しをなくす旅>が始まる。そこに遠く故郷岡山県?の病院で癌による危篤の床にあるはずの父(63歳)が現れ、何故か自分と同い年38歳の姿で、チュウさん、朋輩として旅を共にすることになる。金貸しに転じ、成り上がりの力漲る父には、中学生頃から反感が芽生え、成人後は全くの絶交状態だった。しかし、目の前に現れた同い年の若いチュウさんは、元気で前向きだが、子どもの頃には見たことがないような気弱さ、自信のなさもみられた。チュウさんが現れたのも息子との断絶に対する深い思い残しによるものだった。永田さんは、本当の<現実>を変えることは不可能だが、過去の大切な分かれ道に立ち返り、思い残しをなくすために、もう一度やり直しをしてみることを繰り返す。

物語全体に透明感があり、素敵な再生の物語・ファンタジーに仕上がっている。現代版『銀河鉄道の夜』だと思った。著者の人柄なのか?、登場人物の心の内面と変化が非常に丁寧に綴られ、物語り全体に人間を見捨てない優しさが溢れている。その安心感の中で、心に深く沁みるシーンや深く心を掘り起こされるような言葉がたくさん出てくるので、読み耽り、堪能し一気に読み上げることができた。

流星ワゴンの最大の奇跡は、現世に戻った主人公が、<思い残しをなくす旅>の記憶を喪っていないことだろう。これは、物語としては少し甘いが大きな救済だ。そして、読み手はなにも教訓を求めているわけではない。この救済ある終わり方で十分に癒され満足である。この本を読んで、損をすることは絶対にありません!と報告しておきます。    


※多くの心に沁みる言葉を、書き出して置きたいが、ごく一部だけ、載せて置きます。     
「大切な場所って、本当にたくさんあるんですよね。あとになってから、それに気づくんです」略「分かれ道は、たくさんあるんです。でも、その時にはなにも気づかない。みんな、そうですよね。気づかないまま、結果だけが、不意に目の前に突きつけられるんです」

「……ごめんなさい」「謝らなくていい」そんな必要はどこにもない。誰が悪いわけでもない。間違ってもいない。広樹は僕と美代子の喜ぶ顔を励みにしてがんばって、僕と美代子は広樹ががんばっているのを見るたびに嬉しくなった。幸せな家族だったのだと思う。我が家は幸せだった。幸せな日々を積み重ねながら、少しずつ不幸せな未来へと向かっていたのだ。

逃げたくなくて、負けたくなくて、学校での出来事を誰にも話さなかったすえに、広樹は、もっと深いところで逃げてしまう。略。「逃げてもいいんだよ。逃げられる場所のあるうちは、いくらでも逃げてもいいんだ」

許した―とは思わない。ただ、受け容れた。

現世で体を得た幽霊の健太くんが、喜び勇んで母親に会いに行ったシーン:健太くんが、歓声をあげて公園に駆け込んで行った時、再婚した母親が公園の「砂場で、よちよち歩きの赤ちゃんと遊んでました」。略。「健太はそのまま、走る向きを斜めに変えて、全力疾走ですよ」のシーンには思わず胸を衝かれてしまった。<よちよち歩きの赤ちゃん>とは、もう取り返しのつかない、元に戻らない<現実>の象徴そのものであるとともに、全く罪のない!存在なのだ。この作品の中で、もっとも辛くて悲しいシーンだった。

「どんなに仲の悪い親子でも、同い歳で出会えたら、絶対に友達になれるのにね」「……アホか、それができんのが親子じゃろうが」

「広樹のまなざしに、今夜は寂しさの影も感じた。ほっとした。ひとりぼっちでいたくないから、寂しさがある。広樹は、誰かとつながりたいという思いを捨て去っているわけではなかった。僕たちは、まだ終わっていない。」

191014 TBSドラマ「流星ワゴン 全10回」(2015)を観た。感想5:重松清原作。香川照之が良い!

2019年10月14日 15時22分37秒 | 映画・映像
10月14日(月):       

最近、本が読み通せない。視力、体力、気力の減退による。年齢的に過去の同年配の人々の死を意識することが多くなった。未来を見つめながら、「何時死が訪れても不思議ではない。そろそろ(死に対して)文句を言えない歳が来ている」「でももうちょっとだけ。12年くらいは元気に活動できれば」などと考えることが多くなった。

以前に録ってあったTBSドラマ「流星ワゴン」(2015)DVDを一昨夜から少しずつ観始めて、昨夜は夜通し今朝6:30まで、一気に8話を観て最終回までコンプリートした。二度目なのか、初めてなのかはわからない。最終回まで見通したのは初めてのような気がする。以下、コメント。

妻は浮気?で連絡が取れない。中学受験に失敗した息子は引きこもり、金属バットを振り回す暴力。夫・父親を失格の上、会社をリストラされた主人公が誰もいない寒い夜の広場で独り「もう死んでもいいか・・・」とつぶやいた。その時、ワゴン車が「待たせてごめん!」と現れる。乗っているのは、5年前の自動車事故で不慮の死を遂げ成仏できない父子。二人は血がつながっていない。

このワゴン車は、死を念じた人を乗せて彼を過去の大切な“その日”に運んでくれる。主人公の永田一雄は、家族を心から大切にしてきた“よくできた父”、“よくできた夫”だったはずだ。しかし、現実は正反対の絶望の淵にあった。永田さんは結局、大切な家族について何もわかっていなかったのだ。

ワゴン車で、過去の大切な“その日”に戻る旅が始まろうとしたその時、子どもの時から乱暴で無神経、頑固さに反発して大嫌いで、彼が故郷を飛び出す原因となった父親の永田忠雄が、43歳の永田さんと同じ歳の精悍な姿で同乗してきた。地元の金融業で大をなした父親は、今故郷の病院で人工呼吸器で余命をつないでいた。自分を「チュウさん」と呼べというこの若い父は、その死の床にある73歳の父の“強い後悔”が生み出した生き霊であった。

4人の「流星ワゴン」での旅が始まる。行き先は誰もわからない。ただ、絶望的な現在から「いつだったらやり直せたのか」という思いだけが指針となる。過去の“その日”に戻った永田さんは、懸命に未来を変えるために努力する。そこに若き父のチュウさんが乱暴で無神経に介入してくるが、なんとかうまくいく。何度も、過去の“その時”に戻っていくうちに、二つのことが明らかになっていく。

ひとつは過去の“その時”を、どんなにうまく修復し、やり直しても現実の現在を変えることには全くならない。最後は「死んでもいいか」と思わせる絶望的な現在が全く変わることなく待ち受けていること。もう一つは、子どもの時から、あれほど乱暴で無神経、頑固だと軽蔑していたチュウさんが、実は不器用だが人間的で息子の自分に対して強い愛情を持ってくれていたこと。表面でしか永田さんは父を見られていなかったこと。そして何より、同い年の父チュウさんとはすごく気が通じ合えること。

5年前の事故で「血のつながらない息子を死なせてしまった」強い後悔を持つ父橋本義明と、生きている母にもう一度会いたい思いにつかれた息子橋本健太の二人は成仏できないでいる。幽霊の橋本さん父子は、希死念慮の人々に“思い残しを作らない旅”をワゴン車で手伝い続けていた。

永田さんとチュウさんは、幽霊の橋本さん父子のために、健太を生きている母に会わせてやるが、再婚した母には既に幼い子供がいた。違う男性の血を引く男の子だ。母に声をかけられずに身を引く健太。原作では、この残酷なシーンだけで終わっていたような気がするが、ドラマではもう一度健太を母親に会わせてくれる。そして、母と存分に語らせ、「(健太を)絶対に忘れない」という言葉を聞かせる。最後に、それは母の良い夢だったとされるが、この優しい終わり方に異論があろうはずがない。

過去の大切な“その日々”に何度も戻って、どうすれば良かったのかを懸命に実践し努力しても、結局「死にたくなる」“現在”を変えることはできなかったという絶望的な事実を前に、ドラマの途中で、この物語の行方を見失いそうになった時があった。しかし、終盤になると気付かされるのだ。

過去を変えることはできなくても、ある意味過去を通して自分の見方や考え方を変えることで今の自分を変えることができる。今の自分を変えることができれば、絶望的現実に見えていたことに対しても覚悟を持って取り組むことができる。幸いにもこのストーリーでは周りの人間を変えられないが、永田さんには記憶が残っている。現状に対して物理的有利さは皆無だが、判断する際の精神的有利さは計り知れない。

結局、永田さんは死なない。家族の置かれた厳しい現実は変わらないが、永田さんが変わることで最悪の危機は回避され、家族を立て直すことができた。何度も暴走して永田さんを困惑させながら、多くの気づきを与え続けたた朋輩の生き霊チュウさんの旅は、死の床にある父永田忠雄にとっても“思い残しをなくす旅”だった。ドラマではその旅も報われた。

観るために、それなりの根気と想像力を必要とするドラマだったが、良い作品だった。特にチュウさんを演じた香川照之の演技力と存在感は群を抜いていた。彼でなければ、この作品は成立しなかったと言っても過言ではないだろう。また、子役二人も良かった。西島秀俊には、途中何度もイライラさせられた。役柄によるのか、演技によるのか、わからない。吉岡秀隆はやはり上手い。いじめを見るのは、たとえドラマであっても、心が痛み、消耗する。いじめは、殺人に匹敵する気がする。

重松清の作品に共通する深い人間観察、真実の悪人を作らない作風はやはり良い。

※よければ下の記事も読んでみてください。
82冊目 重松清「流星ワゴン」(講談社文庫;2002)  評価5
                          2011年11月26日 07時27分42秒 | 一日一冊読書開始」

9 006 バージニア・リー・バートン文・絵「せいめいのれきし 改訂版(いしいももこ訳、まなべまこと監修)」(1964・2015)感想4

2019年10月11日 23時02分38秒 | 一日一冊読書開始
10月11日(金):  

82ページ      所要時間1:10(音読)      図書館

著者55歳(1909~1968:59歳)。

何度目だろう。一気に音読するには少しつらい分量だが、子ども向けの良書と言える。改訂版の方が初版よりも言葉が劣る気はするが、50年の科学の発達を踏まえることも必要なことだ。両方読むのも良いだろう。

【内容紹介】地球が生まれてから,今この瞬間までの長い長い命のリレーを,劇場仕立てで壮大に物語ります.名作絵本『せいめいのれきし』が,初版刊行から半世紀ぶりに生まれ変わりました.現在の知見をもとに本文を改訂.監修は,恐竜研究の第一人者・真鍋真氏.遠い昔から続く,はてしない時のお芝居.次の主人公はあなたです!

■改訂版ってどんなの?
 地球に生命が誕生してから、今この瞬間までのお話をお芝居形式で語る壮大な絵本『せいめいのれきし』。バートンが8年もかけて描きあげた、ユニークで美しい絵と詩情豊かなストーリーは、1964年の日本語版刊行以来、半世紀にわたって、たくさんの子どもたちに愛されてきました。
 そして、このたび、半世紀ぶりに本文が新しくなりました! 現在の知見に照らし合わせ、内容をアップデート。2009年にアメリカで刊行されたUpdated Editionをもとに、「宇宙」「地球」「生き物の進化」の歴史など、適宜改訂を加えました。もちろん、石井桃子さんの名訳も活きています。
 全体の監修をしていただいたのは、国立科学博物館の真鍋真先生。恐竜研究の第一線で活躍中の古生物学者で、世界を飛び回る日々。そんな真鍋先生も、子どもの頃からこの絵本が大好きだったそうです。これからも世代を超えてたくさんの方に愛されますように――そんな願いのこもった「改訂版」が誕生しました。
 バートンの絵には、本文には語られていないたくさんの物語や、楽しい仕掛けがたっぷりほどこされています。ページをめくるたびに、あたらしい発見があるのも魅力です。小さいお子さんでも、大人でも、たくさんの楽しみ方ができますよ。
 さあ、この黄色い本のなかに飛びこんで、生命の歴史をめぐる旅へでかけましょう。
 遠い遠い昔からつづく命の物語、次の主人公はあなたです!

191010 一年前:8 013 古田足日/田畑精一「おしいれのぼうけん」(童心社:1974)感想4

2019年10月11日 00時13分32秒 | 一年前
10月10日(木): ※良書です。
8 013 古田足日/田畑精一「おしいれのぼうけん」(童心社:1974)感想4
10月10日(水):        :    79ページ    所要時間0:25(音読)    ブックオフ460円著者 作家、古田足日47歳(1927生まれ)/ 画家、田畑......

191009 朝日新聞原真人は、アベに対するエリート忖度君なのか?「酸っぱい葡萄」の合理化論者か?

2019年10月09日 21時01分30秒 | 今、思うこと&意見
10月9日(水):  

この記者は、20年以上続くデフレ下の現状をわざと無視して消費税増税批判の矛先を鈍らせる「酸っぱい葡萄」の合理化主義論者のようだ。記者としての権力者に対する批判精神はないのか?賢しらに権力者を擁護し、れいわ新選組山本太郎氏を批判して見せることが新聞記者の仕事か?アベ政権に忖度・阿諛追従する記者として俺はこの記事を認識した。

朝日新聞:(多事奏論)価格を科学する 消費税コミコミの新発想 原真人
2019年10月9日05時00分

 消費税率が10%になった。ただし8%の軽減税率あり、2%と5%のポイント還元制度ありで、買い物のレシートを見ても税額がいくらかすぐにわからない。税は簡素であるべきなのに相当ゆがんでしまった。
 それでもこれが功を奏した面もある。増税前に買うのが得か、増税後がいいか。多くの消費者がわからず迷って、極端な駆け込み消費が起きなかった。
 企業も合理的な行動をとった。マクドナルドや牛丼のすき家、松屋は店内飲食と持ち帰りの税込み価格をそろえた。レジで会計のたびに税率を振りわけるのでは手間がかかりすぎる。だから本体価格を変えることで、税込み価格を一本化した。
 ここからくみ取れること。それは消費税も「価格」の一要素にすぎないということだ。日本ではあまりにも消費税アレルギーが強すぎて、増税の影響を過大に見る傾向がある。ここは発想の転換が必要だろう。
    *
 増税前夜の先月末、BS―TBS「報道1930」で山本太郎れいわ新選組代表と討論する機会があった。山本氏は「国民生活を苦しめる消費税は廃止する」と訴えた。私はそれに反論した。
 たとえば消費税廃止にともなう代替財源の一つとして、山本氏は法人税の大増税をあげた。だが実は消費税だって事業者がまとめて税務署に納める一種の法人税だ。仮に消費税廃止で生じる財源の穴をすべて法人税増税で埋めたとしても、理屈の上では全事業者が納める税総額は変わらない。
 事業者が払うあらゆる税は最終的に何らかの形で消費者に転嫁される。消費者だけが得をする、ということにはならない。
 いま、消費の現場では消費税率アップさえ多くの価格変動要因の一つにすぎなくしてしまう画期的な価格革命が起きている。
 「ダイナミックプライシング」。人工知能を活用し、需要にあわせてアルゴリズムで弾力的に価格を変えていく手法だ。
 40年ほど前、米国で航空会社が導入。その後、スポーツや音楽の分野で広がった。最近は自動車配車料金や季節ごとの衣料品価格など多分野で採用されている。
 日本でもここ数年、Jリーグやプロ野球、音楽コンサートへと採用が広がってきた。名古屋グランパスと横浜F・マリノスでは今年から全席で導入。チーム成績、対戦相手などで売れ行きも変わるから、指定席の価格は座席ごとに毎日変わっていく。
 同じホールでもアイドルイベントなら前方席、クラシックコンサートなら後方席が好まれるらしい。状況次第で安くなる席もある。空席にするくらいなら格安でも売ってしまった方が全体の売り上げも増える。
 このシステムを日本に導入したのは三井物産やヤフーなどが出資するダイナミックプラス社だ。平田英人社長は商社の駐在員時代、米国メジャーリーグ観戦でその効果を体感し、帰国して事業化に取り組んだ。
 「何となく決めていた価格を科学する方法論がこれだと思った。価格が柔軟に変われば、たくさんの消費者の選択の幅が広がる。生鮮品の値を時間ごとに変えられれば廃棄ロスだって減らすことができます」
    *
 興味深いのは、ダイナミックプライシングが導入されているチケット販売は、消費増税に影響されにくいことだ。いま最適な最終価格をまず決めるから、販売したあとに消費税額を逆算する。だから消費税率の変更をあまり意識しなくてすむらしい。
 いわば「消費税後決め方式」。これが広く普及すれば「消費増税は景気に影響する」などと決めつけられなくなるだろう。消費者物価指数ひとつでインフレだデフレだと一喜一憂しなくなるかもしれない。
 企業の価格決定が科学的になってきた今、経済政策が非科学的なままでは市場の実態と遊離するばかりだ。政府や日本銀行も、与野党も、物価や価格をめぐる考え方を大きく見直すときがきたようである。 (編集委員)

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)