もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

151030 構造的差別。沖縄(琉球)が独立するのであれば支持する。永世中立国になれば米軍基地をなくせる!

2015年10月30日 22時07分27秒 | 考える資料
10月30日(金):        
朝日デジタル「琉球独立論」現実性は 白井聡さん・松島泰勝さん対談  構成・河野通高 2015年10月30日16時33分
  政治学者の白井聡(さとし)さんがホスト役を務める対談・対論イベント「第4回 関西スクエア 中之島クロストーク」(朝日新聞社主催)が15日、大阪市北区の中之島フェスティバルタワーであった。ゲストに「琉球独立論」を唱える龍谷大教授の松島泰勝さんを迎え、米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古への移転問題や“独立”の現実性などを語り合った。

■沖縄に「自己決定権」
  松島さんは、沖縄県の翁長雄志(たけし)知事が9月の国連演説で「沖縄の人々は自己決定権をないがしろにされている」と発言したことに触れ、「自己決定権は国際法上、重要な言葉。独立までを含めて我々は決定権を持っているのだと」「(米軍基地の辺野古移設やオスプレイ配備など)選挙や議会の決議といった民主主義的な方法でも無視される。ならば残された道は独立」と指摘した。
  白井さんは翁長知事による辺野古の埋め立て承認取り消しに触れ、「オール沖縄で『絶対、辺野古には造らせない』という確固たる姿勢を示しているのに、安倍政権は答えていない。独立論が高まるのは当然」とし、沖縄が日本政府ではなく米国との直接交渉に傾いていることに「戦術の高さがうかがえる」との見方を示した。
  松島さんによると、独立論や独立運動は、少なくとも明治政府が琉球王国を廃した「琉球処分」の1870年代から始まった。「琉球国王府の家臣たちは東京や中国・清に亡命し、琉球国復活、復興運動をした。沖縄戦後も独立派政党ができ、連続的に独立運動は続いてきた」
  白井さんは、松島さんの昨年の著書「琉球独立論」について「絵空事と言われてきた独立を現実的なプログラムとして可能だと提示されたことに驚きがあった」と紹介した。
  松島さんによると、本土復帰前、米軍基地には最大6万4千人の「琉球人」が働いていたが、今は9千人。基地関連収入は県民総所得の5%であるうえ、これまでに返還された土地を活用したところ数十倍の経済効果があったという。「経済的に基地依存体質というのは過去の話。産業界でも『早く返せ』という人が増えている」
  松島さんは人口2万人の独立国パラオやグアムの日本総領事館で働き、昨年のスコットランドの独立を問う住民投票などを調査した。「独立論は日本では『ええっ』と思われるかもしれないが、世界では受け入れられている」
  白井さんは基地と原発を、必要もしくは必要と思われているが近くに置きたくない「迷惑施設」に見立て、「迷惑施設が置かれた地域住民は自分が差別された状況だと認めたくないため、逆にプライドに転化することがある」と分析。その例として原発立地自治体の「原子力 明るい未来のエネルギー」という、原発との共存を前向きにうたう看板を挙げた。
  「しかし、沖縄に基地との共存というスローガンを見たことがない。共存させられているが、嫌なものは嫌という精神の構造。そんな沖縄が独立すると、本土の日本人は自らのあり方を深く省みざるをえなくなる」

■「非武装中立国に」持論展開
  会場の約120人からは多くの質問があった。「独立したとして日本、中国、米国との関係を含めてどういう国になるのか」との問いに、松島さんは「非武装中立の国がいい。バルト海のオーランド諸島(フィンランド領)には周辺大国が造る基地の影響で戦争が絶え間なかったが、非武装中立になることで周辺国との関係が平和になった。理想論ではない」と答えた。
  基地の県外移設論について、松島さんは「日米安保体制を認めるけど犠牲は琉球にというこれまでの議論は非常に都合のいいもの。独立後は米軍基地をなくす」。白井さんは「戦後米国には二面性があった。ポップカルチャーなどを日本は大量輸入して楽しく消費してきたが、暴力としての米国は基地という形で沖縄に押しつけたため、日本本土から見えにくくなった。琉球独立は対米従属の日本の体制にくさびを打ち込む」と話した。
  松島さんは質問アンケートの中にあった「日本が沖縄を失う」との表現に触れ、「それはあくまで日本国民の見方。我々が自分たちの人間性を回復する、自分たちで決められる政治空間をつくるという考えに支援、賛同していただけたらありがたい」と述べた。(構成・河野通高)
     ◇
 まつしま・やすかつ 1963年、沖縄県石垣市生まれ。グアムの日本総領事館専門調査員などを経て、龍谷大経済学部教授。専門は島嶼(とうしょ)経済。9月に「琉球独立宣言」(講談社文庫)が出版された。
     ◇
 しらい・さとし 1977年、東京生まれ。京都精華大専任講師。著書「永続敗戦論」を原作にした「マンガでわかる永続敗戦論」(朝日新聞出版)が7月に、「『戦後』の墓碑銘」(金曜日)が10月に出版された。


朝日デジタル「琉球独立」絵空事ではない 松島泰勝・龍谷大教授寄稿  2015年10月15日16時40分
  2014年に沖縄県知事、名護市長、衆議院議員の選挙を通じて、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」の民意が示された。しかし昨年12月10日に翁長雄志が知事に就任して以来、今年4月17日まで安倍晋三首相は知事との会談を拒否し、琉球の民意を無視した。戦後70年も日本の安全保障のために多大な犠牲を負わせてきた琉球の代表者に、会おうとしなかったのである。日本政府は「丁寧に説明し納得して頂く」と言っているが、それが嘘(うそ)であることは明らかである。
  琉球人は基地の押し付けを「沖縄差別」であると考えている。このまま差別が続くならば、独立しかないと主張する人が増えてきた。ネットの世界で飛び交っている、琉球独立運動への偏見に満ちた言葉によっては、琉球で今起きていることは理解できない。今ほど静かに島の人の声に耳を傾けて、真摯(しんし)に対話することが求められている時はない。

■台湾の空港、電光板に「琉球」
  今年8月に台湾に行ってきた。桃園国際空港の運行スケジュールの電光板を見ると、「琉球(沖縄)」と表示されており、嬉(うれ)しくなった。琉球国という国があったことを思い起こさせようとしているかのようである。1972年に、中華民国(台湾)政府は琉球が沖縄県になるとき日本政府に強く抗議した。
  ログイン前の続き日本政府は「沖縄は日本固有の領土」と認識している。しかし琉球の現在の「県」という政治的地位は必ずしも確定したものではない。琉球が日本の一部になったのは1879年であり、たかだか140年ほど前でしかない。しかもその時日本政府は軍事力を使って無理やり日本の一部にした。琉球国はアメリカ、フランス、オランダと修好条約を結び、清国と朝貢(ちょうこう)冊封(さくほう)関係を有した独立国家であった。三つの修好条約原本は日本政府に奪われ、今も外務省管理の外交史料館にある。

■独立への「実現可能な道筋」
  私は先月「琉球独立宣言―実現可能な五つの方法」(講談社文庫)を上梓(じょうし)し、琉球の現状と歴史を踏まえて独立のための実現可能な道筋を示した。オスプレイ配備や辺野古新基地建設を強制し、宮古・八重山諸島への自衛隊基地設置を進め、集団的自衛権法制化によって日米同盟体制を強化しようとする日本から一刻もはやく離れないと、琉球人の尊厳は踏みにじられ、「沖縄戦」のように琉球は再び戦場になるだろう。
  琉球独立宣言は、日本政府に対する琉球人の怒りのあらわれであるが、けっして机上の空論ではない。国際法、政治経済学、国際関係学、歴史学等さまざまな研究成果と、現場でのフィールドワークに基づいた主張である。2013年には独立を具体的に研究し、世界の独立運動に学びながら実践活動をする琉球民族独立総合研究学会が設立された。本書の中で示した「琉球独立宣言」はアメリカの独立宣言を参考にして考えた。日本の「同盟国」であるアメリカはイギリスから独立したのである。
  今、琉球では歴史上これまでになく独立を求める声が広がっている。琉球は日本から本当に独立できるのだろうか。何のために独立するのだろう。私たちにとって独立とは世界のどこかのことであり、自分とは関係がないと思っている人が日本人の大半ではないか。
  日本ではこれまで大衆的な独立運動が発生したことがない。戦後の日本の「独立」もアメリカによって準備されたものであった。そのような日本の中で琉球では本気で独立を目指す運動が活気づいているのである。どこから独立するのか? この日本からである。琉球の独立は日本や日本人とって他人事でも、絵空事でもなく、自分自身の問題である。(寄稿)
     ◇
 まつしま・やすかつ 1963年、沖縄県石垣市生まれ。グアムの日本国総領事館専門調査員などを経て現職。専門は島嶼(とうしょ)経済。著書に「琉球独立論 琉球民族のマニフェスト」(バジリコ)など。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 151029 東京新聞:【社説】... | トップ | 151030 一年前:141030 今... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

考える資料」カテゴリの最新記事