不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

3 096 和田竜「村上海賊の娘 下巻」(新潮社;2013) 感想5

2014年04月29日 21時29分14秒 | 一日一冊読書開始
4月29日(火):

503ページ  所要時間 6:35        図書館

著者44歳(1969生まれ)。

下巻になって、すごく面白くなった。読み上げるまで6時間35分、トイレにもたたず、一気呵成に読んだ。読ませられた。途中何度か、「ナウシカかよ!」「エンターテインメント過ぎる。」「長えなー、この戦(いくさ)、いつ終わるんだ。くどい、悪のりし過ぎ!」などと毒づきながら、実際には手に汗握る感じで、読むのを止められなかった。著者の作風には、いまひとつ深みを感じられないので、今回も感想4で行こうと思っていたのだが、ここまで一気に読ませられてしまうと、やはり感想5を付けざるを得なかった。

小早川隆景の命で派遣された毛利・村上連合の水軍1000隻(内、輸送船700隻、軍船300隻)が、淡路島東部に停泊し、木津川河口を封鎖する泉州水軍の長(おさ)真鍋七五三兵衛(しめのひょうえ)を中心にした織田方水軍300隻とにらみ合いが続く。戦機は越後の上杉謙信の出陣である。婚儀整い能島で兄弟や婿殿の帰りを待つ景(きょう)姫に父の村上武吉が、「上杉は動かず、戦は起こらず、毛利・村上水軍は無事に帰る。それは小早川隆景の読みである」と口を滑らせてしまう169ページ。本願寺門徒が見殺しになることに激怒した景姫は、突如戦場の淡路島へ身を投じる。それは村上武吉が放った<鬼手>と受け止められる。ここから物語りは、俄然面白くなる。帰り仕度を始める本隊を尻目に、景姫は織田方総大将真鍋七五三兵衛の安宅船に単身使者として降伏勧告に赴くが、はったりを見破られてしまう。本願寺への10万石の兵粮米輸送を諦めて、毛利本体が淡路島東部を引き上げはじめると、今度は、雑賀衆の頭目鈴木孫一を味方に引き込んで、わずか50隻に鉄砲打ちを乗せて、織田方に攻め込むが、数枚上手の泉州水軍真鍋七五三兵衛によって手玉に取られ完全な窮地に陥る。景姫の無謀な行動が知れると、能島・来島・因島村上水軍が理屈を超えた死兵となって景姫救出にとって返し、織田方泉州水軍と瀬戸内村上水軍の決戦・死闘が勃発する。ここからは木津川合戦の様子が延々300ページくらい書き続けられる。著者の文章は、大変映像的で読みながらなにか映画館で映画を見続けているような気分にさせられ、読み方も自然に一定の速度で眺め読みができるようになった。その中で、景姫が超人的な躍動を始めるのだが、今度は織田方の真鍋七五三兵衛が不死身で無敵のターミネーターような強さを発揮し始めて、あとは延々と海上でのいくさ、いくさ、いくさが続く。確かに著者は、木津川合戦の海賊同士の水上戦ををリアルに描くために相当勉強をしたのだと思う。とにかく手に汗握り、トイレにも立たず読み続けることになった。

読んでいて、岸和田あたりを彷彿とさせる活きのよい(ガラの悪い?)泉州弁が、当時の言葉は違うだろうと思いつつ、まあ風味づけになって良かった。村上海賊が主人公かと思って読んだが、泉州海賊の方が人物像的に生き生きと描かれていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 095 ジョージ・オーウェル「一九八四年 (高橋和久訳2009)」(ハヤカワepi文庫;1949) 感想特5

2014年04月27日 22時27分18秒 | 一日一冊読書開始
4月27日(日):

511ページ(本編463ページ、附録18ページ、残りは解説)  所要時間 6:45  図書館

著者46歳(1903~1950;47歳)。

英国での「読んだふり本」第一位がオーウェルの『一九八四年』だといわれる。

以前から「冷戦下の共産主義国」を予言しているなど、何かと話題になっていて気になっていた本である。新訳も出ていて、いい機会かと思って図書館で予約して借りた。実際に手にすると、各ページに字がぎっしりと詰まってる上に、理屈っぽそうな内容である。見かけ以上に字数も多そうである。1ページ1分以上かけてもわからないのは変わらないだろう。それどころか、最後まで行けそうにない。ならばやはり<縁結び読書>しかない。理解よりも、一定時間、最高の知性の謦咳に触れることで、とりあえず有難いと思おう、と考えた。

1ページ30秒(120ページ/時)を目指したが、やはり壁は厚かった。ページに目を這わせたが、細かい複雑な理屈は厳しかった。ただ、小説の概略的な筋立てはわかった。

最後まで読んだ時に思ったのは、ナチスもロシア共産党も遅れているとして、自らを最も優れた絶対的権力と位置付ける全体主義による逃げ場所を完全に奪った「徹底的に閉じられた円環」のイメージである。「権力が本気になれば、内面の自由すら最後の一滴まで認められない。そもそも抵抗しているという意識すら抹殺され、権力と違う考え方をした場合、自分が間違っているんだ。自分が悪いんだ。と、権力者を絶対化するところまで行かなければ赦されないんだ。」と思い知らされた。最後には、政府が行う戦争も虚構に思われ、「すべてが虚構の中で権力によって操作されているだけなのではないか」と思わせられる。

裏書: 〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、以前より完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが……。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場! 解説/トマス・ピンチョン。

・「戦争は平和なり/自由は隷従なり/無知は力なり」
・日記を書くことが重大な犯罪となる。
・<思考警察>に目を付けられた者は、蒸発し、名簿から削除され、存在自体を抹消される。
・<反セックス青年同盟>などセックス自体を制限することで国民をイライラさせて好戦的にしむける。
・双方向性の<テレスクリーン>による監視社会。
・<二分間憎悪>
・<イングソック>=イギリス社会主義
・<ビッグ・ブラザー>のモデルはスターリン?
・<ブラザー同盟>という反政府組織を率いるゴールドスタインという革命家は、当局が反政府分子を釣り上げるための創作であった。
・全体主義的権力は、人々から抵抗する意志につながる考える力を奪うために、オールドスピークを禁じて、ニュースピークに替える過程で、言葉をどんどん消して単純化していく。

※トマス・ピンチョン解説より:
・<二重思考>とは、すべての党員にとって望ましくかつ必要な精神の訓練であり、その目標は矛盾する二つの事柄を同時に等しく信じるようになれることである。略。/<二重思考>のアイデアはオーウェルに彼自身の抱えるジレンマを突きつけた様に思われる。<メタ二重思考>とでも呼ぶべきもので、彼は<二重思考>がもたらす計り知れない潜在的害悪に抵抗する一方で、矛盾を超越するための可能性を秘めた方策としてそれに魅了されもしたのだ。このジレンマはまるで、どこか常軌を逸した禅問答―その基本となる公案は党の三つのスローガン、<戦争は平和なり><自由は隷従なり><無知は力なり>である。―が悪しき目的のために利用されているかのようである。
 小説中、<二重思考>の完全無欠の体現者として現れるのがオブライエンである。ウィンストンを誘惑し、裏切り、保護し、そして破滅させもする<党中枢>の一員。無条件の誠実さで党体制を信奉しながらも、党の打倒を目指す熱心な革命家を完璧に装うことができる男。自分は国家というより大きな有機体の一細胞にしか過ぎない、と彼は考えるのだが、その個性が強烈で自己矛盾に満ちていて、読者に忘れがたい印象を残す。全体主義的な未来像を語る雄弁で冷静なスポークスマンでありながら、愛情省と呼ばれる苦痛と絶望の地でウィンストンを再教育する過程において、オブライエンは、実は、どれほどバランスを欠いた側面があり、いかに現実から乖離している人物であるのかを極めて不愉快な形で徐々に露呈する。
 <二重思考>はオセアニアを統治する各省の名称の背後でも作用している。平和省は戦争を遂行し真理省は嘘を吐き、愛情省は党の脅威になりそうな人物を片っ端から拷問し、殺していく。もしこれが馬鹿馬鹿しいほど異常に思われるなら、現在のアメリカ合衆国に目を向けて欲しい。戦争を作りだす装置が“国防省”と呼ばれていることを疑問に思っている人はほとんどいない。488~490ページ  
・バーナムの描いた勝利する日本がイースタシアになり、中枢のハートランドたるロシアが広大なユーラシアを支配し、そして、英米連合が奇妙に変形してオセアニアになっており、このオセアニアが『一九八四年』の舞台である。493ページ
・オセアニアは階級のない社会であるはずなのに、そうではない。<党中枢>、<党外郭>、そしてプロールに分けられている。しかし、<党外郭>に属するウィンストン・スミスの視点から語られる物語は、オセアニアの国家体制をほぼなぞるように、プロールの存在をほとんど無視している。ウィンストンは、プロールを救世の力であると賞賛し、彼らの最終的勝利を信じているが、個人的ちきとなるプロールは一人も持たないようである。498ページ
・附録「ニュースピークの諸原理」の不可欠について:なぜ、これほど情熱と暴力と絶望に満ちた小説が、学問的と見える付録によって終わるのか?/答えは単純な文法に見いだせるのかもしれない。「ニュースピークの諸原理」はその第一分から、一貫して過去形で書かれているのだ。略。この匿名の著者はどうしたものか、いまでは表現の自由が許されて、ニュースピークを基礎としていた時代の政治体制について自由に批評的、客観的な議論をしているかのようである。その上、このエッセイはニュースピーク以前の、我々が使用するような英語を用いて書かれている。ニュースピークは二〇五〇年までには一般に広く使用されるようになっているはずだった。しかしどうやらニュースピークは成功に酔うどころか、そこまで長らえもしなかったらしい。そして標準英語に息づく昔ながらのヒューマニズムの思考様式は消えることなく生き残り、最終的には勝利したらしいのだ。もしかするとその英語が代弁する社会的、道徳的秩序までもどういうわけか復旧したのかもしれない。507ページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

140426 山田洋次監督の映画「学校」(1993)を観た。日本が取り戻すべき原点・コモンセンスがある。感想5

2014年04月27日 01時41分01秒 | 映画・映像
4月26日(土):


10年以上ずっとTV録画を狙っていたが、他の作品は放送されても、この作品だけは何故か放送されない。いつでも観られるように録画したくてしようのない作品だった。今回は図書館でネット予約してDVDを観ることができた。BSで何故放送しないのだろう。

夜間中学の先生たちと不登校、家庭内不和、貧困、知的遅滞、外国籍、外国人さまざまな境遇から義務教育を受けられず夜間中学に通う生徒たちの物語(129分)。20年前、心を熱くして観た映画である。当時の日本ではこの映画を大切にするセンスが常識として存在した。20年後の今もこの映画の価値は全く色褪せていない。しかし、今の日本社会には、この映画の価値を認め、受け入れる雰囲気が失われている。これはセンスの問題だ。

今の日本は戦後営々と守り育ててきた大切なものをきちんと引き継ぐために汗を流すことを忘れてしまった。自覚のないうちに致命的な間違いを犯し続けている。センスを失うことは、実は最も致命的で深刻なことだ。小泉・麻生、野田汚物と前原詐欺師の民主党(心ある者は分裂せよ!)、そして今の安倍・石破極右、軽率で深みのない政治屋が続いた。弱肉強食の小さい政府・平和と人権の価値を忘れた憲法軽視の流れが本流になってしまった。日本はもう一度、大切な価値を取り戻さねばならない。

この映画には、今の日本にとって取り戻すべき最も大切な原点・コモンセンスがつまっている。ここに戻れなければ、もはや日本に未来はない。

お休みなさいませ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 094 和田竜「村上海賊の娘 上巻」(新潮社;2013) 感想4

2014年04月26日 21時12分44秒 | 一日一冊読書開始
4月26日(土):

474ページ  所要時間 3:05     図書館

著者44歳(1969生まれ)。

今年度の本屋大賞の本である。本屋でもよく平積みされている。昨日偶然、図書館で見つけ、迷わず上下巻一緒に借りた。ただ、ぶ厚い2冊の本を、まともに読もうとしても、時間も、元気も、気力もない。ぐずぐずしていれば、あっという間に返却期限が来る。ここは、<縁結び読書>に賭けるしかない。

1ページ15秒(240ページ/時)を目標にして、ひたすらページを繰り、目を這わせた。もちろん気のきいた表現、覚えておきたい知識情報を意識すれば途端に速度が落ちる。「おもしろければもう一度読みなおせばよい」と付箋も禁止して読み進んだ。結局、1ページ25秒(160ページ/時)程度のペースにはなった。

歴史の知識が幸いしたか、概略は大体分かった。何を話題にしてるのか、迷子になることはなかった。著者の表現は映像と人物の書き分けに力を尽くしており、「この作品は必ず映画化されるな」と確信した。瀬戸内と難波の美醜観の違いを強調すれば、かなりの鼻の高い、野生的な美人女優をヒロインに使えるだろう。著者は、製作中に明らかにこの作品が映画化されることを想定しながら書き進んでいる。と、思った。

内容的には、史実をおさせてはいるが、明らかにエンターテインメント性の強い作風と言える。「のぼうの城」のマンガチックな人物描写には、ちょっとついていけなかったが、上巻を眺め終わった今のところは、下巻の内容が楽しみだ。と言っても、史実自体は知ってるので、どう表現するのか、ということである。

内容は、ざっと言えば、
天正四(1576)年信長と本願寺の石山合戦はすでに足かけ7年に及び、本願寺の敗色は日々濃厚である。起死回生を図るには10万石の兵粮米を石山本願寺に届けねばならない。毛利はいまだ臣従していない能島村上水軍の協力を求める。能島村上の長(おさ)村上武吉の娘(兄、弟あり)景(きょう)姫は、猛々しく、女の乗船を忌む風習もなんのその、水上の戦を好み暴れまわっている。南蛮人のようにたけ高い鼻で、日に焼けて色は黒く醜女として名をはせ、すでに二十歳というのに嫁の貰い手もない。父の武吉は、毛利への協力と引き換えに毛利水軍の若き将児玉某との縁組を求める。児玉某に「醜女だから断るのではない」と醜さを決めつけられた上に縁組まで蹴られて多少傷ついた景姫は、自分で相応しい男を見つけるべく、石山合戦場近くの泉州水軍に男探しの旅に出る。ひょんなことから、安宅船に乗った海の作法を弁えぬ織田の武将を首切ったことで、織田方につき本願寺と戦う泉州水軍の長(おさ)真鍋七五三兵衛(しめのひょうえ)に出会う。体も心も型破り、豪快な男で女に息子を生ませているが、正室に景をほしいと言いよる。泉州では美醜の基準が違うようで、景はきっぷの良い自立した美人としてもてはやされ、人生で初めての夜這を仕掛けられて悪い気はしない。やがて、天王寺で鈴木孫一の雑賀衆の鉄砲隊、死を覚悟した“死兵”の本願寺門徒の攻勢を、織田方軍勢が迎え撃つ激闘が始まる。七五三兵衛が投げる銛が華々しく敵を仕留めるが、衆寡敵せず織田方は押しこまれる。そこに魔王のような信長の俊足の兵団が駆け付けいよいよ風雲急を告げる。ってところで上巻は終わり。

読むのに、十分な時間をかけていないので、特に深い感慨はない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

140424 昨日23日、NHK大河「太平記(6)」(1991)見終わり、コンプリート!

2014年04月25日 00時08分56秒 | 映画・映像
4月24日(木):

     この本は蔵書である。えへん!

記さないと忘れるので、書きおく。
4月2日(水)に図書館でNHK大河「太平記」DVDを発見し、5巻と7巻を借りて(CDやDVDは一度に2巻までしか借りられない)以来、一気に23年前の若き自分にタイムスリップし、現在トップ俳優・女優の看板をしょっている役者たちが、端役を務めるような奇跡のキャスト、例えばあの豊悦がしがない名も無き端役で出ているのだ! その後、ネット予約を繰り返し、1巻・2巻、4巻、3巻、6巻とむちゃくちゃの順番だが、俺の頭の中には、南北朝の推移はしっかり把握されている(俺は、原作の吉川英治「新史太平記」全8巻(蔵書)を読んでいる)ので、多少感興が削がれる感はあったが、はるかに上回る感動、感動、感動の嵐であった。正直、この大河「太平記」のレベルと志操の高さには、ひたすら脱帽であった。NHKにもこんな反骨で一徹な筋を通して最高傑作を作り上げた時代があったことを知ると、まさに隔世の感がある。すべての回を見届けた今、俺はこの「太平記」を大河ドラマ史上、最高の傑作と言って憚らない。願わくは、今後NHKにこの志の高さから学び、より優れた「大河ドラマ」の制作を伏してお願いしたい!。

当時、兄との険悪な関係に陥っていた俺には、ひたすら身に沁みる作品だった。

少し付けたし:
佐々木道誉を演じた陣内孝則は素晴らしかった! 本当に“婆娑羅(ばさら)”な華があった! ちなみに婆娑羅とは梵語(サンスクリット語)で「 金剛石(ダイヤモンド)」を意味する。

NHK大河「太平記」DVD 2173分=36時間13分
第一巻:第1回~第7回を収録
 第1回「父と子」/第2回「芽生え」/第3回「風雲児」/第4回「帝 ご謀反」/第5回「危うし 足利家」/第6回「楠木登場」/第7回「悲恋」
第二巻:第8回~第15回を収録
 第8回「妖霊星」/第9回「宿命の子」/第10回「帝の挙兵」/第11回「楠木立つ」/第12回「笠置落城」/第13回「攻防赤坂城」/第14回「秋霧」/第15回「高氏と正成」
第三巻:第16回~第23回を収録
 第16回「隠岐配流」/第17回「決断の時」/第18回「帝の脱出」/第19回「人質」/第20回「足利決起」/第21回「京都攻略」/第22回「鎌倉炎上」/第23回「凱旋」
第四巻:第24回~第27回を収録
 第24回「新政」/第25回「足利尊氏」/第26回「恩賞の波紋」/第27回「公家か武家か」
第五巻:第28回~第35回を収録
 第28回「開戦前夜」/第29回「大塔宮逮捕」/第30回「悲劇の皇子」/第31回「尊氏叛く」/第32回「藤夜叉死す」/第33回「千寿王と不知哉丸」/第34回「尊氏追討」/第35回「大逆転」
第六巻:第36回~第43回を収録
 第36回「湊川の決戦」/第37回「正成自刃」/第38回「一天両帝」/第39回「顕家散る」/第40回「義貞の最期」/第41回「帝崩御」/第42回「母の遺言」/第43回「足利家の内粉」
第七巻:第44回~最終回(第49回)
 第44回「下剋上」/第45回「政変」/第46回「兄弟の絆」/第47回「将軍の敗北」/第48回「果てしなき戦い」/第49回「尊氏の死」

以下、「太平記大全」様より引用です。
・「兄上…来世では喧嘩をしない兄弟に生まれてみとうござりまするな…それも退屈かのう…」
・「直義ッ!直義ッ!!」尊氏は直義を激しく抱きかかえ、「なぜじゃ!なぜ強情を張ったのだ!?」と問い掛ける。「今さら、桃井たちを見捨てるわけには参りませぬ…かと申して…このままでは足利家を滅ぼしてしまう…こうするよりほか、ございませぬ!」苦悶する直義は搾り出すように答えた。 「よく…ご決断なさいました…兄上は…ウウッ…大…将軍じゃ…足利家は、これで…安泰じゃ…」 そう言って直義は断末魔の震えを始める。「兄上…!」「直義ーーッ!!」直義の手がパタリと落ち、目が静かに閉じられた。
 尊氏は泣きながら直義を抱きしめる。「殺した…殺してしもうた…弟を殺したーーッ!!アアーッ!!」 絶叫する尊氏。右馬介は無言で頭を下げ、うつむく。「父上…母上…弟…おとうとーーッ!!!」 尊氏は泣き叫びながら直義のむくろをいつまでも抱きしめ続けた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 093 池上彰「〈わかりやすさ〉の勉強法」(講談社現代新書;2010)感想3+

2014年04月25日 00時02分29秒 | 一日一冊読書開始
4月24日(木):

日々、忙しく働いています。疲れきってしまい、昨日は某新書を48ページほど読み進めて投げ出してしまいました。今日は、何とか一冊読み遂げたいもの…。と思いつめながら読みました。

219ページ  所要時間 2:55     ブックオフ105円

著者60歳。

好著である。「池上彰にハズレ無し」のジンクスは守られた。当初予定より約1時間余計にかかったが、疲れて仕事から帰って、夕飯の前、8:30に読み始めて、11:25の読了を遂げられたのは、本書に読み易さと、読み甲斐のある内容があったからだ。それに池上さんの弱音も聞けたことだし、良かった。

・勉強するということは、知識欲を満たす純粋な楽しさと同時に、自分が成長しているという実感を与えてくれます。それは年齢に関係ありません。五〇歳でも、六〇歳になっても七〇歳になっても、前の日よりも自分が成長していることが実感できる喜び、それが実は勉強ではないか、と最近は思っています。/勉強するからこそ、自分は何がわからないかがわかってきます。自分は何もわからない、何も知らないじゃないかと知ることによって、また勉強しようという気になってきます。勉強すればするほど、自分に何が足りないかということがわかってきます。そして、それを勉強しようと思う……そんな営みが、とても大事なことだと思うのです。池上彰   219ページ

感想4を付けてもいい気分でもあるが、あえて3+とする。池上さんには、ガッツとハートがある。

目次:はじめに
第1章 テレビでプレゼンのヒントを学ぶ―テレビはプレゼンの勉強材料の宝庫だ
第2章 話のキモ(中心テーマ)を見つけよう―伝えるべき中心テーマに気づけば、成功したも同然
第3章 プレゼン力を伸ばす―相手の頭の中に「絵」を描く
第4章 新聞の読み方、ネットの使い方―じっくり熟読、記事を切り抜き
第5章 クリアファイルで情報整理―持ち運べる“編集機”
第6章 本の読み方―本を「仕事の先輩」として活用する
第7章 ノートのとり方、メモのとり方―アナログだって有効だ
第8章 わかりやすい文章を書くために―「わかりにくい説明」を見つけてみよう
第9章 聞き上手は伝え上手になれる―まずは相手の話を聞いてから
第10章 時間を有効に使ってみよう―細切れ時間も利用次第
勉強って何だろう―「おわりに」代えて
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 092 和田秀樹「定年後の勉強法」(ちくま新書;2012)感想2+

2014年04月20日 18時07分57秒 | 一日一冊読書開始
4月20日(日):

198ページ  所要時間 2:10     図書館

著者52歳(1960生まれ)。精神科医。

冒頭、団塊の世代は高卒も大卒に劣らず優秀だ、と誉めて購読層の拡大を図っている。内容的には、自分自身でまじめに考えれば思い当たる程度の事にお墨付きを与えてくれるようなレベルである。著者の語り口は、基本的に誠実であり、顧客をきちんと意識したクリニックのような感じで、読み心地は悪くない。

読んでいて、所々に気の利いた指摘があり、それが値打ちか、と思う。

目次:序章:長生きしたければ勉強をしなければいけない
定年後の勉強は健康法だ/かつての夢をかなえる自己実現のための勉強とは/勉強の目的は「何かを極めること」
・実は「余生」はとても長い/勉強が死亡率を下げる/ポテンシャルの高さを活かせ!/「長生きしたければ勉強をしないといけない」が世界の常識に
第1章:若いころと勉強法は逆になる!
受験勉強には明確な締め切りがあった/インプットとアウトプットの関係が反対に/前頭葉の委縮(老化)スピードを弱める/若いころの受験はコンテンツ、定年後はノウハウ
・より早くやる方法があるはずだとこれまでの方法を疑う/復習はとてもコストパフォーマンスがよい/アウトプットの量を意識する/年齢を重ねてからの完璧主義は鬱になりやすい側頭葉(文系)しか使わない私大文系進学は前頭葉(総合)と頭頂葉(理系)を鍛えられない悲劇的なこと定年に近づくにつれて、学んだことを応用して、出力する仕事を増やす図書館で本を読む年寄りは、老けこむだけ
第2章:定年後の記憶術
「定年前後の勉強」の二つのアプローチ/「若者に負けないための勉強法」の中心は記憶力である/丸暗記では勝てない若者に対抗するために理解力を活かす/若者に負けないためには復習がポイント/もっとも意識して鍛えるべき「想起」
第3章:定年後の思考術
「若い人とは異なる能力をみがく勉強法」のために/思考が頑なになる「そんな話は知っている(情報の遮断)」現象/前頭葉を刺激する方法―試行力/アウトプット的試行術
・異論を受け入れる余裕を持つ/「変節」こそ勉強に必要なものだ/欲望に忠実になること/意欲がわくものを試行する恥意識など捨ててしまえ
第4章:人生を充実させる勉強法
自分が何を知っているかを知る/これまでの会社経験を活かして起業する/「心の健康、身体の健康」の専門家系賢人/文化を再評価する宗教・歴史系賢人/隠れていた才能を発揮させる/何をやるのかを明確にする/英会話をあきらめる/本は全部読まなくていい/映画監督が夢ではなくなった
・旧態依然たる大学には注意が必要/クリエイティビティのあきらめは早い方がよい/まずは「自分が好きなものでなければならない」/四十代のときの自分がスタートラインになる/インプットは可能な限り最短コースで
あとがき―「勉強」を狭く考える必要はない
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 091 中上健次「紀州 木の国・根の国物語」(朝日文芸文庫;1978) 感想4⇒5

2014年04月20日 01時54分18秒 | 一日一冊読書開始
4月19日(土): ※20日(日)ざっと見なおした。

339ページ  所要時間 5:40       蔵書

著者32歳(1946~1992;46歳)。

20年近く前に買ってあった本棚の肥やしを探しだして読んだ。読まなければいけないと思いつつ、読書への気後れから読めずにいた本である。

朝日ジャーナルの連載作品(1977年7月1日号~1978年1月20日号)。内容は、紀伊半島、紀州を、中央権力に対する異界、いまひとつの国、闇に沈んだ敗者の国、熊野・隠国(こもりく)と捉えて、その町々、土地土地を巡り、地霊を呼び起こすようにルポルタージュする。その際、各地に存在する被差別と地域の関係性や「差別」「被差別」の実態をできるだけ生の声や表情を取材し、中上自身が出身であることも含めて考察を行う。

公式的に本書の内容を上のように言うことはできるが、あまり読みやすい文章ではない。突撃取材と聞き取りが、とりとめなく続き、著者の思いは伝わるが、いまひとつとっかかりが持てない。悪く言えば、だらだら続く感じである。作家の切れ味鋭い視点は感じるので付箋は多くなったが、だからと言って充実感はない。感想4を、5にしたかったが、正直言って、中上健次の「差別論」は、表現がやや独特で理解しきれないところがあった。俺自身にそれだけの読み取り能力が無かったということで残念でもあった。再読するか?と問われれば、それもちょっと…。(4月20日(日)ざっと読み直すと、昨日とは違った滋味深さが出てきたので評価を5に変えた。なかなか一読了解とはいかないものである。今は、是非もう一度読み直してみたい、と思う。)

本書の社会的背景として、1965年 同和対策審議会で、差別の解消が「国民的な課題」であり、「国の責務」であると明記した答申が出され、これに基づいて、国策として同和対策の特別措置法が昭和44(1969)年から平成14(2002)年3月まで33年間にわたり施行されたという事実がある。

その上で、本書で書かれている内容には、被差別の現状について、今(2014年)の感覚では「こんなこと書いてもいいのかな…」と思えるような強い負の印象を与えるものも多い。特別措置法施行から8年後の1977年当時には、差別についての考え方が教条化し、固定化する前で、かなり表現の自由があったということかもしれない。正直、「よくここまでの内容が書けたものだな」という感想と「やはりここまで書かないと(心に)響かない」という感想をもった。

目次:序章/新宮/天満/古座/紀伊大島/和深/日置/朝来/皆ノ川/本宮/尾呂志/有馬/尾鷲/紀伊長島/松阪/伊勢/古座川/十津川/吉野/田辺/御坊/和歌山/高野/天王寺/終章 闇の国家/巻末エッセイ いとおしさを追う旅(千本健一郎)

・腐肉のにおいの中で青年は、台に一台小さなラジオを置き、手ばやく毛を抜きとりそろえている。肉のついた尻尾はもちろん塩づけにしてはいるが、毛に何匹ものアブがたかってもいる。衝撃的だった。/その衝撃は。言葉をかえてみれば、畏怖のようなものに近い。霊異という言葉の中心にある、固い核に出くわした、とも、聖と賤の環流するこの日本的自然の、根っこに出喰わしたとも、言葉を並べ得る。略。/そこで抜いた馬の尻尾がの毛が、白いものであるなら、バイオリンの弦(ゆんづる)になる。バイオリンの弦は商品・物であると同時に、音楽をつくる。音の本質、音の実体、それがこの臭気である。塩洗いしてつやのないその手ざわりである。音はみにくい。音楽は臭気を体に吸い、ついた脂や塩のためにべたべたする毛に触る手の苦痛をふまえてある。弦は、だが快楽を味わう女のように震え、快楽そのもののような音をたてる。実際、洗い、脂を抜き、漂白した馬の尻尾の毛を張って耳元で指をはじくと、ヒュンヒュンと音をたてる。114ページ

・差異とは口に出してあれとこれの比較は出来るが、差別となると、まずそれは口に出す類のものではない世に差別語なる物がある事を言われているが、差別語を口にするのが差別ではなく、口にする、或いは口にしない時の、構造であろう。129ページ

石碑に「禁殺生穢悪」とあった。神社の中で、殺生や、穢れや、悪を禁ずるとの意味であろうが、紀伊半島の土地土地を経巡る途中の私には、それはことさら眼についた。つまり、楷書でしっかりと書き彫り上げた石碑の筆づかいから、その筆を持って文字を書く人間の、自信とおごりに対する驚きと、反感だった。自然は、八百万の神々はそんなになま易しくはない。自然はもっと生き生きとある。そう思った。神々は一度や二度打ち倒されてもなおもぞもぞと生きながらえてある。自信とおごりとは、つまり堕落のことだろう。本宮という神の場所ではなく、碑に文字を書いた人間、それを建立した者の人為が、この本宮という場所を、閉塞させている、と思った。神の場所とは、貴と賤、浄化と穢れが還流し合って、初めて神の場所として息づく。137~138ページ

・その星亨という人物の名が出たのは突然だった。星亨とは、明治期の、自由党の政治家である。その星亨の霊がこの有馬(和歌山県南部)の正覚寺の近辺をウロついてると、住職は言う。立ち上がり、奥の部屋から過去帳を持って来て、六歳で行方不明になったこの伊六という子供が、星亨ではないか? と言う。160ページ

・転籍しても一回やったら戸籍に残るから、三回か四回ぐらいしたらなんだら。それでやっと分からんわけや。出生の秘密は分からんわけやね。本籍は消えていく。それしかないと思うわね。もしいわれるのいややったらね、親戚とも一切付き合いやめて、ほいて自分らだけの家族だけで過ごす以外にない」/略。/切って血の出る物語とは、ここでは被差別者であるとの烙印をわれとわが腹の子からぬぐいとろうとする努力である。差別、それは人まで殺す。差別、被差別、口ではたやすい言葉である。簡単に差別は生み出され、差別するが、烙印を押された以上、簡単には被差別から抜け出すことは出来ないのが、この日本社会の構造である。162ページ

・島崎藤村の『破戒』という物語が決定的に通俗なのは、パスしきらず戒めを破らせるところにある。それは切って血の出る物語を経過した民丑松の弱さなのではなく、作家島崎藤村の、作家精神の脆弱さによる、とその話を聞いて思った。163ページ

・私と三島由紀夫との違いは、言葉にして「天皇」と言わぬことである。あるいは深沢七郎との違いは、『風流夢譚』を書かぬことである。「天皇」と一言言えば、この詞(ことのは)の国の小説家である私の矛盾の一切もまた消えるはずである。私の使う言葉は出所来歴が定かになる。210ページ

・この紀伊半島を経巡る旅で明るい展望を感じたのはほんの一、二例しかない。232ページ

・私の想像する被差別民虐殺と朝鮮人虐殺は、略、不可視と可視の違いである。同一民族同一言語内における虐殺と、多民族他国語への虐殺の差異ははっきりしている。それは差別の構造の差異でもある。271ページ

・この紀伊半島を旅して、私は、ボスがどこにでも在る事を知った。本宮で六十になる老婆が、ボスの最たるものとして新宮の土建請負業者の一人、二人を上げ、「あれらみてみい」と言い、その成り上がりぶりと、行政当局との癒着をさして、「何が解放な。我がとこだけ金もうけしたらええと思とるくせに」と嘲笑したのを思い出す。略。二者(行政当局とボス)に共通なのは、無告の民たる大衆を無視することである。290~291ページ

・「差別」なる物の怪と、被差別は実のところかかわりがないのにもかかわらず、人は「問題」と口をそろえて言う。そして「問題」というものがあるのなら、土地の所有をめぐってのことだろうとも思った。322ページ  *よくわからない…?

・この差別なるものが封建遺制であるとは、私は思わない。差別は現にある。略。なかったと私が知ったのは、古座町行政当局がおそれる物の怪としての「差別」である。そこで誰彼が、「四」と被差別者を呼んだわけでもないし、「エッタ」と呼んだわけでもない。略。物の怪の「差別」など、それは市民や行政当局、いや一部被差別者の病気である。/差別とは、構造のことを指す、と私は思う。略。構造的差別は、人の目につきにくい。構造差別が露呈することはほとんどない。326ページ

・「逆差別」という言葉を耳にした事があるが逆差別という言葉がほんとうにあるならば、都市化、近代化の波によって被差別が打ち壊されることの意味として使われるべきである気がする。古い建物が壊され、新しい建物がつくられる。道路がきれいに舗装される単に都市化、近代化の要請に従ってそう改善されるのに、「被差別だけが」と言われているのである。それは被差別あるいは被差別者への暴虐を、そこだけがよくなったと「逆差別」なる言葉で誰かが言いくるめていることだと思う。327ページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

140419 小保方さんをめぐる「STAP細胞」騒動は、「ガリレオ裁判」に似ている。

2014年04月19日 13時04分05秒 | 徒然・雑感
STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞;英: Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells)の騒動を見ていて、既視感にとらわれ、ふと思ったことがある。小保方さんをめぐる理研や圧倒的に多くの科学者、マスコミによる断罪は、ルネサンス期の地動説をめぐるガリレオ裁判に似ている。もちろん、俺は科学のイロハも覚束ない人間である。だから、目に見える光景の印象を述べている。

騒動をめぐって、双方にはキャリア、数、組織、社会的地位など圧倒的な力関係の落差・アンバランスがあり、まったく対等ではない。一方が「従来の生物学の常識ではありえない」という知見を頼りに、安全なところに身を置き、一方的に小保方さんの研究者としての稚拙さ、研究レポートの落ち度を指摘し、捏造・改ざんと辱める表現までして、彼女の研究者生命にかかわる責め立て方をしている。

求められているのは「真理」ではなく、科学研究者としての「作法」であり、論文撤回、自説放棄の上での謝罪(土下座)である。それは彼女の名誉を奪い、研究者生命の剥奪につながるだろう。まさに社会全体が、一人の若き研究者を全力で潰しにかかっている。そして、自らの至らなさをひたすら謝り続ける小保方さんが、研究者生命をかけて一つだけ訴え続けるのは「STAP細胞はあります」という言葉である。科学の革新的発見は、多くの場合、無名の研究者のセレンディピティによるものである。

法廷に引き据えられ、孤立無援で、壮大な中世キリスト教神学を前に、神への冒涜を糾弾され、火あぶりの刑を目前にちらつかされて、自説の地動説を捨てざるを得なかったガリレオの「それでも地球は動く」というつぶやきを思い出した。

STAP細胞の真偽はわからないが、STAP細胞をめぐる社会の反応を見ていて、一方的ですごくバランスの悪い、「美しくない光景」を見せられている気がする。

俺としては、今後、「STAP細胞の存在を発見し、世界に最初に発信したのは小保方晴子さんだった」という事実だけは記憶しておこうと思う。もちろん、理科系の方からは「科学では「作法」が大事なんだ! この馬鹿が!」というお叱りを受けるだろうが、俺の内面は、俺のものである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

140413 3年目【ブログリスト9/1~ 中間報告】 民主党は分裂しろ!/<原発=満州国>から即時撤退せよ!

2014年04月13日 17時49分45秒 | 書籍&ブログリスト
4月13日(日):

 今日は、朝から寝たり起きたりを繰り返してますが、調子が全くよくありません。歳かなあ…。本も読みにくいので、ブログのリストを作りました。昨年9月1日から7カ月分の表題(タイトル)を書き出しました。読み直してみて、2月6日に都知事選<敗北>の結果を受けて
「もし今回の都知事選で、桝添が勝った場合、ぐらついている安倍極右自民が一気に立ち直り、原発再稼働・原発輸出憲法改悪集団的自衛権改悪などに拍車がかかり、戦前の治安維持法の流れをくむ特定秘密保護法案の厳格実施、消費税10%をはじめとする数々の弱者切り捨て、大企業優遇の行き過ぎた新自由主義政策が強行される。道徳教育が、愛国心をともなって強行され、日本史は戦前の「国史」となり日本に住む人々の視野を狭めるための道具に堕す。医療・介護費負担は増加し、生活保護費は削減され、東京五輪・パラリンピックの美名の下、東北の復興の建設はどんどん遅れていく。沖縄も福島原発被災民も、「とりあえず五輪のために(桝添候補がよく使う!)」を合言葉に、<棄民>化が進み、あらゆる弱者・少数者の声がかき消され、1%の強者のための政治が行われていく。格差は取り返しのつかないほど拡大し、日本社会は急速に不安定化していくだろう。考えるだけでも心が暗くなり、嫌気がさしてくる。」
と書き記した通りになっていくのを毎日見せつけられているのだと思い知らされています。

「表題をドラッグ、クリックyahooで検索」してもらえれば、そのページが出ます。今後ともよろしくお願い申し上げますm(_ _)m。

   タイトル                            投稿日時     カテゴリー
3 090 網野善彦・石井進「米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ」(大和書房;2000)感想4 2014/4/13 1:37 一日一冊読書開始
140408  瀬戸内寂聴さん「子供たちにこの国を渡して死ねない」(日刊ゲンダイ) 2014/4/9 1:34 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 089 雨宮処凛「バカだけど社会のことを考えてみた」(青土社;2013/9) 感想2+ 2014/4/9 1:15 一日一冊読書開始
3 088 加藤陽子・佐高信「戦争と日本人」(角川oneテーマ21;2011/2月) 感想4 2014/4/8 1:27 一日一冊読書開始
3 087 金谷俊一郎「30の失敗でわかる日本史」(芸文社;2009) 感想1 2014/4/7 0:24 一日一冊読書開始
3 086 本郷和人「戦いの日本史 武士の時代を読み直す」(角川選書;2012) 感想3+ 2014/4/6 17:20 一日一冊読書開始
3 085 田中卓「愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか」(幻冬舎新書;2013/12)感想3+ 2014/4/4 1:11 一日一冊読書開始
140402 近況:「蜘蛛の巣が 好み捕える 冬の蠅(*我がバイク)」;NHK「太平記」DVDは最高傑作! 2014/4/3 2:12 日記
3 084 内田樹「街場のメディア論」(光文社;2010)感想4+ 2014/3/30 19:15 一日一冊読書開始
3 083 石井光太「日本人だけが知らない日本人のうわさ」(光文社新書;2010/2)感想3 2014/3/29 17:45 一日一冊読書開始
3 082 上原善広「路地の教室 差別を考える」(ちくまプリマー新書;2014/1)感想4 2014/3/29 3:03 一日一冊読書開始
140327 一年前 0048 秋元康「自分地図を描(か)こう」(大和書房;2000)感想3+ 2014/3/28 0:16 日記
140327 一年前 0047 加賀乙彦「小説家が読むドストエフスキー」(集英社新書;2006) 感想5 2014/3/28 0:12 日記
140326 閲覧22万超えました。 27日の朝日・素粒子が良い。 2014/3/27 18:05 閲覧数 記録
3 081 やなせたかし「わたしが正義について語るなら」(ポプラ新書;2013/11) 感想 3 2014/3/26 0:35 一日一冊読書開始
3 080-2 堤 未果「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書;2013/6) 抜き出しノート 2014/3/24 18:00 一日一冊読書開始
3 080-1 堤 未果「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書;2013/6) 感想 特5   2014/3/24 1:50 一日一冊読書開始
3 079 佐々木正美・梅永雄二監修「高校生の発達障害」(講談社;2010) 感想3 2014/3/22 1:18 一日一冊読書開始
140320 記録:本日 218,141PVで、知り合いのDさんブログ 217,973PVを超えた。 2014/3/21 22:48 閲覧数 記録
3 078 野中広務・野村克也「憎まれ役」(文春文庫;2007) 感想5 再読の価値あり! 2014/3/21 2:00 一日一冊読書開始
3 077 阿部彩「子どもの貧困Ⅱ―解決策を考える」(岩波新書;2014/1) 感想5 2014/3/20 1:59 一日一冊読書開始
3 076 佐藤優・手嶋龍一「動乱のインテリジェンス」(新潮新書;2012/11) 感想4 2014/3/18 1:40 一日一冊読書開始
3 075 水木しげる「コミック昭和史 第2巻 満州事変~日中全面戦争」(講談社文庫;1988)感想3 2014/3/17 1:52 一日一冊読書開始
140315 原発再稼働方針の欺瞞「十分な避難計画なしに、政府は本当に再稼動を認めるのだろうか」  2014/3/15 18:05 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140312 一年前 0038 斎藤環/山登敬之「世界一やさしい精神科の本」(河出書房新社;2011) 感想3+ 2014/3/12 23:51 日記
3 074 古市憲寿「誰も戦争を教えてくれなかった」(講談社;2013/8) 感想5 2014/3/11 22:52 一日一冊読書開始
3 073 石井光太「遺体 震災、津波の果てに」(新潮社;2011/10) 感想5 2014/3/9 22:34 一日一冊読書開始
140302 一年前&「ベースロード電源」の大ウソ&「僕のいた時間」8話見直し、俺も閑人。 2014/3/3 1:23 日記
140301 ドラマ「僕のいた時間」第1話から第8話まで、録画で一挙に見た! 感想5 2014/3/2 0:21 映画・映像
3 072 池上彰「池上彰が読む小泉元首相の「原発ゼロ」宣言」(径書房;2014) 感想5 2014/2/27 23:09 一日一冊読書開始
140227 風邪ひいてます。目が熱っぽくてしょぼつきます。 2014/2/27 19:28 日記
140223 山田太一ドラマ「時は立ちどまらない」(1:43;2月22日)の録画を観た。感想4 とても良かった! 2014/2/24 1:49 映画・映像
3 071立花隆「ぼくの血となり肉となった500冊そして血にも肉にもならなかった100冊」(文藝春秋2007)感想5 2014/2/23 20:49 一日一冊読書開始
140222閲覧21万超えました。1586年天正地震で「原発銀座」若狭湾に津波!1948年福井大地震!再稼働反対! 2014/2/23 13:48 閲覧数 記録
3 070 内田樹「日本辺境論」(新潮新書;2009) 感想4 2014/2/23 1:16 一日一冊読書開始
140222 全く同感!「反知性主義のプリズム」(2月21日掲載の日刊ゲンダイの一節) 2014/2/22 16:15 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140221 「河野談話」(1993):これの一体何が問題なのか?当然の内容だ!ここから出発するしかないだろう! 2014/2/21 23:37 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140221 雑感:「アンネの日記」大量破損事件は、安倍極右政権の<反知性主義>が生んだ当然の結果だ! 2014/2/21 23:22 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140219 1年前 0027 住谷悦治「河上肇 人物叢書85」(吉川弘文館;1962) 感想? 2014/2/19 23:22 日記
3 069 森達也「誰が誰に何を言ってるの?」(大和書房;2010) 感想5  2014/2/19 1:03 一日一冊読書開始
3 068 轡田隆史「1000冊読む!読書術」(三笠書房;2009/12) 感想3 2014/2/17 1:24 一日一冊読書開始
3 067 半藤一利「昭和史 1926-1945」(平凡社;2004) 感想5 2014/2/16 18:28 一日一冊読書開始
3 066 堀江貴文「刑務所わず。塀の中では言えないホントの話」(文芸春秋;2014/1)感想4 2014/2/13 2:10 一日一冊読書開始
140211 徒然:東京の選択に俺自身の意志を投影したのは愚かなことだった。都民も利己的な田舎者である。 2014/2/11 15:20 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140210竹村英明の「あきらめない!」ブログの「東京都知事選の結果を読んでみる。」が妥当な総括だと思う。 2014/2/11 0:46 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 065 水木しげる「コミック昭和史 第1巻 関東大震災~満州事変」(講談社文庫;1988)感想3+ 2014/2/10 0:57 一日一冊読書開始
140209 桝添&極右安倍自民圧勝。日本の未来はもう絶望!記録すべきことは既に書いた。原発再稼働反対! 2014/2/9 20:26 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140208 都民の皆様、日本の未来のため都知事選は必ず投票に行って下さいm(_ _)m。衷心よりのお願いです。 2014/2/9 1:32 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140208 2月7日閲覧が500PVを超えた。都知事選に残念無念、切歯扼腕する人々が大勢いるのだ。 2014/2/9 1:26 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140208 動画「舛添要一を都知事にしたくない女たちの会」 立ち上げ記者会見140206を見てびっくりした! 2014/2/9 1:26 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140206報道ステーション「都知事選候補討論」を見た。おりこうさんバカの共産・宇都宮は、極右安倍と同罪! 2014/2/9 1:25 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140204 極右安倍にGo!を出すつもりか?<脱原発の死に票>だけは絶対に無くして欲しいと強く願う。 2014/2/9 1:23 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140202 都知事選まで「<憲法の危機>は「戦後最大の危機」」週間始めます。是非クリックして下さい。 2014/2/7 0:57 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140129 都知事選最大の争点は、今後の安倍自民にファシズムNo!を示すこと!宇都宮氏は棄権を! 2014/2/6 7:59 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140201怒!落選する宇都宮の主張は正しくても実現しない。安倍極右を利する日本共産党は<市民社会の敵>! 2014/2/6 7:59 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140121怒!細川候補を邪魔する共産党と宇都宮は市民社会の敵!安倍ナチ自民を勝たせ原発再稼働させる気か! 2014/2/6 7:59 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 064 岡野雄一「ペコロスの母に会いに行く」(西日本新聞社;2012) 感想5  2014/2/5 1:29 一日一冊読書開始
140131 細川・小泉元総理の行動は<義挙>だ。その重みと有難さを自覚すべし!極右安倍自民にNo! 2014/2/3 0:25 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140202 落ち目の橋下徹、今度は「自殺騒動」開幕か。「私、死んじゃうから!」って、市長選の税金返せ! 2014/2/2 17:35 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140201 大ニュース!吉永小百合さんが細川候補を応援!再稼働反対!原発即時ゼロを実現しよう! 2014/2/1 22:01 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 063 石井光太(文)、櫻井敦子(絵)「おかえり、またあえたね」(東京書籍;2011) 感想3 2014/1/31 23:30 一日一冊読書開始
140124 閲覧が20万PVを超えました(839日目)☆瀬戸内寂聴さんも細川護煕氏を支持!原発再稼働反対! 2014/1/25 7:32 閲覧数 記録
3 062 半藤一利「昭和史 戦後篇 1945-1989」(平凡社ライブラリー;2006・2009)感想5 2014/1/24 10:04 一日一冊読書開始
3 061 児玉清「人生とは勇気 児玉清からあなたへラストメッセージ」(集英社;2012)感想3+ 2014/1/19 23:34 一日一冊読書開始
140119 日本史97点、世界史98点;ゴーマンかましてよかですか?世界史試験は自動車免許試験だ! 2014/1/19 14:55 日記
140118 細川候補へのネガティブキャンペーンが止まらない。安倍・桝添自民が勝てば、原発再稼働だ! 2014/1/19 2:37 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 060 大平光代「今日を生きる」(中央公論新社;2009)感想3+ 2014/1/19 2:34 一日一冊読書開始
140117 民主党、社民党は細川候補の足を引っ張るな。貴重な「反原発」の勝てる候補を擁護せよ! 2014/1/17 20:00 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 059 磯田道史「歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ」(中公新書;2012) 感想5 2014/1/17 8:39 一日一冊読書開始
140114 宇都宮候補は降板せよ!細川支持で一本化せよ!反原発の最後のチャンス!安倍を絶対倒せ! 2014/1/14 22:44 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 058 重松清「ロング・ロング・アゴー(「再会」改題)」(新潮文庫;2009)感想4+  2014/1/14 4:21 一日一冊読書開始
3 057 酒井順子「負け犬の遠吠え」(講談社文庫;2003) 感想4  2014/1/13 3:04  一日一冊読書開始
3 056 司馬遼太郎「覇王の家」(新潮文庫;1973)感想 特5  2014/1/12 7:00 一日一冊読書開始
140111 反原発に“野合”民主党の支持は不要だ。早く分裂しろ!都知事選、細川氏支持は“勝手連”が良い! 2014/1/11 14:44 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140110 何度でも言う! 安倍・石破ナチス自民党を断じて絶対に勝たせてはいけない!! 細川護煕で決まり! 2014/1/10 23:43 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140110 都知事選は中間選挙だ。細川護煕で決まり!安倍・石破ナチス自民を断じて勝たせてはいけない! 2014/1/10 17:55 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 055 誉田龍一著、校條剛監修「小説を書きたい人の本」(成美堂出版;2013)感想3+ 2014/1/10 12:15 一日一冊読書開始
3 054 天木直人「さらば外務省! 私は小泉首相と売国官僚を許さない」(講談社;2003/9) 感想2+ 2014/1/8 21:53 一日一冊読書開始
3 053 井上ひさし「日本語教室」(新潮文庫;2011(2001-2002))感想4 2014/1/8 1:33 一日一冊読書開始
3 052 石井光太「世界最貧民の目線 絶対貧困」(光文社;2009) 感想5 2014/1/7 1:36 一日一冊読書開始
140106 弱り目に祟り目の一日。初仕事の日にいきなり蹴躓いた。人間万事塞翁が“馬”の年(祈願) 2014/1/6 19:45 日記
3 051 冲方 丁「天地明察(下)」(角川文庫;2009) 感想5;総合評価5 2014/1/5 3:59 一日一冊読書開始
3 050 冲方 丁「天地明察(上)」(角川文庫;2009) 感想4 2014/1/4 3:16 一日一冊読書開始
140102 130101-2 「朝まで生テレビ」で片山さつきの姿は傲慢冷酷な役人にしか見えない。 2014/1/3 6:33 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
140102 2014/1/3 6:31 一日一冊読書開始
140102 BS1『オリバー・ストーンと語る “原爆×戦争×アメリカ”』(2013) 感想特5  2014/1/2 20:37 映画・映像
3 049 齊藤孝「原稿用紙10枚を書く力」(大和書房;2004) 感想5  2014/1/2 3:52 一日一冊読書開始
3 048 「在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由」(阪急コミュニケーションズ;2013.9)感想5 2013/12/31 22:32 一日一冊読書開始
131230 じぇじぇじぇ!あまちゃん祭り9時間、堪能しました。幸せな時間でした。年賀状も書きました。 2013/12/31 4:30 映画・映像
3 047 玄田有史「孤立無業(SNEP スネップ)」(日本経済新聞出版社;2013)感想2 2013/12/30 2:24 一日一冊読書開始
3 046 円広志「僕はもう、一生分泣いた~パニック障害からの脱出」(日本文芸社;2009)感想3+ 2013/12/29 19:59 一日一冊読書開始
3 045 尾木直樹「「ケータイ時代」を生きるきみへ」(岩波ジュニア新書;2009) 感想3+(評価5) 2013/12/29 17:29 一日一冊読書開始
131229 安倍内閣支持率今だ50%超。嗚呼信じられないほど無知蒙昧鈍感な日本人が多い!絶望的現実!忍耐… 2013/12/29 4:47 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 044 香山リカ「私は若者が嫌いだ!」(ベスト新書;2008) 感想3 2013/12/29 3:51 一日一冊読書開始
131228 あまりにもおぞましい政治を見せられ続けている。壊された日本社会のバランスを取り戻そう! 2013/12/28 23:45 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131227 安倍のコンプレックスの巻き添えで日本は沈むのか? 2013/12/28 0:13 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 043 立花隆・佐藤優「ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊」(文春新書;2009) 感想4 2013/12/27 2:40 一日一冊読書開始
131226 ナショナリズムを弄ぶ罪は、中国・韓国も同罪。日本のリベラルの居場所を奪っている現実に気づけ! 2013/12/26 17:03 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131225 記事のタイトルを入力してください(必須) 2013/12/26 0:32 一日一冊読書開始
131225 報道ステーション古舘伊知郎キャスターの勇退を勧告する。出処進退は自分の意志で! 2013/12/25 21:02 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 042 網野善彦「日本の歴史 第10巻 蒙古襲来」(小学館;1974) 感想5 2013/12/23 17:34 一日一冊読書開始
3 041 佐藤優「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮文庫;2005、2007) 感想5 2013/12/22 4:06 一日一冊読書開始
131220 憲法学者長谷部恭男と朝日の感情的喧嘩を笑う。都知事選でストップ!ザ・安倍ファシズム!  2013/12/20 20:53 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131219 閲覧19万超えました。ブログ開設803日。日本は一日も早く、原発という満州国から撤退すべし! 2013/12/20 20:27 閲覧数 記録
131219 次の東京都知事選挙は中間選挙だ!。「ストップ!・ザ・安倍ファシズム自民」を争点に。 2013/12/19 23:25 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 040 相澤 理「歴史が面白くなる東大のディープな日本史」(中経出版;2012) 感想2 2013/12/18 22:56 一日一冊読書開始
131217 BS歴史館「日本を変えたリーダーたち 会津藩主 保科正之」録画を観た。 2013/12/18 1:21 映画・映像
131215 夢と現(うつつ) 2013/12/15 15:56 創作・エチュード
一年前 121214 また民主党からハガキが着た。若造、金はどうやって儲けた!反民主党!反野田汚物! 2013/12/15 13:03 日記
3 039 石井光太「戦場の都市伝説」(幻冬舎新書;2012) 感想4 2013/12/15 2:44 一日一冊読書開始
131212 本を読むと閲覧数が伸び悩む。しょーもない能書きを垂れると閲覧数が増える。ちょっとつらい…。 2013/12/13 1:11 日記
3 038 松本健一「未来のおとなへ語る 私が国家について語るなら」(ポプラ社;2010) 感想3 2013/12/13 1:00 一日一冊読書開始
3 037 成田龍一「戦後日本史の考え方・学び方 歴史って何だろう?」(河出書房新社;2013) 感想5 2013/12/11 23:16 一日一冊読書開始
131210 前原誠司の観念的と現実的の保守分類を笑う!枝野幸男に期待!安倍晋三の言葉の軽さを笑う! 2013/12/10 19:10 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131208 民主党は解党せよ! 朝日新聞も「民主は分裂を恐れるな」と勧めているぞ。 2013/12/9 2:07 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131207 自民党のナチス化。 「政府は我々を幸せにすることはできないが、惨めな状態にすることはできる。」 2013/12/7 12:46 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131206 所感:第二次安倍晋三内閣は第二次山県有朋内閣の亡霊、日本近代史上最悪の疫病神。 2013/12/6 20:32 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131205 強行採決をTV録画しよう。絶対「忘れない!」自民党の犯罪を!「諦めない!」必ず悪法を廃棄する 2013/12/5 23:28 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131202 「法律の定める範囲内で」とは何事?国民はいつから『臣民』に戻ったのか?今度は菅官房長官 2013/12/2 20:38 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 036 唐沢寿明「ふたり」(幻冬舎文庫;1996) 感想3+ 2013/12/1 22:02 一日一冊読書開始
131201 自民党幹事長石破茂よ、おまえもか!乱世の予感、一刻も早く中道・リベラル軸を再建せよ! 2013/12/1 15:21 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 035 内田樹「村上春樹にご用心」(ARTES;2007) 感想4 2013/12/1 2:48 一日一冊読書開始
131130 パンドラの箱は開かれた。野田佳彦前民主党内閣の責任だ!絶対に野田・前原をゆるさない! 2013/11/30 13:38 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 034 山本譲司「獄窓記」(新潮文庫;2003) 感想4 2013/11/24 21:43 一日一冊読書開始
3 033 読書ノート:土田直鎮「日本の歴史 5 王朝の貴族」(中公文庫;1965) 感想5+ 2013/11/24 14:49 一日一冊読書開始
3 033 土田直鎮「日本の歴史 5 王朝の貴族」(中公文庫;1965) 感想5+  2013/11/24 4:12 一日一冊読書開始
131123 「強者に阿り、弱者を理解できないまま切り捨てる」政治。3032「世襲議員のからくり」感想に加筆。 2013/11/23 14:51 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131122 本って高いなあ…。800円の新書にビビってしまう自分が悲しい。 2013/11/23 4:26 日記
3 032 上杉隆「世襲議員のからくり」(文芸春秋;2009)感想4   2013/11/22 0:49 一日一冊読書開始
3 031 養老孟司・太田光「人生の疑問に答えます」(NHK出版;2007) 感想3 2013/11/19 1:47 一日一冊読書開始
131118 福井原発事故、琵琶湖汚染予測。倒錯、馬鹿げている!なぜ、怯えながら原発に頼る必要があるのか? 2013/11/18 20:49 日記
3 030 堤未果「アメリカから〈自由〉が消える」(扶桑社新書;2010) 感想4 2013/11/18 1:36 一日一冊読書開始
3 029 石井光太「東京千夜」(徳間書店;2013) 感想4+ 2013/11/17 18:56 一日一冊読書開始
131116 大河「利家とまつ」総集編&第32回「炎上、勝家と市」を観た。 2013/11/16 15:17 映画・映像
S131116 現在1銘柄所持中。資金総額 147万6057円。4月の127万円から半年で20万円。下手の極み(;_;) 2013/11/16 14:41 96万円からの株式投資
131116 韓国の朴クネ大統領、日中韓を念頭に共同歴史教科書を提唱。小手先の政治はやめろ! 2013/11/16 12:52 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 028 藤原聖子「世界の教科書でよむ〈宗教〉」(ちくまプリマー新書;2011) 感想3+ 2013/11/16 2:32 一日一冊読書開始
3 027 重松清「星のかけら」(新潮文庫;2007) 感想3+ 2013/11/15 0:31 一日一冊読書開始
131114 山本議員を圧殺しようとする天皇制の危険性に注目するべきだが、現天皇は尊敬できる人だ! 2013/11/14 21:18 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131113 原発地元の被災者は100%の被害者ではない! 子孫にツケを回す超受益者だったことを忘れるな! 2013/11/14 1:02 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131111 橋下徹よ。従軍慰安婦問題で「どっちもどっち」って、頭おかしいんとちゃうか?謝罪が先やろ! 2013/11/11 20:41 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 026 百田尚樹「海賊とよばれた男(下)」(講談社;2012) 感想5⇒訂正4 2013/11/10 21:44 一日一冊読書開始
131109  閲覧18万超えました。ツイッターしました。180,074 PV 72,000 IP。ブログ開設 763日。感謝m(_ _)m 2013/11/10 15:56 閲覧数 記録
3 025 その2 百田尚樹「海賊とよばれた男(上)」(講談社;2012) 感想3⇒訂正4⇒再訂正3 2013/11/9 18:35 一日一冊読書開始
3 025 その1 百田尚樹「海賊とよばれた男(上)」(講談社;2012) 感想3⇒訂正4⇒再訂正3 2013/11/9 18:33 一日一冊読書開始
3 024 松井孝典/南伸坊「 「科学的」って何だ!」(ちくまプリマー新書;2007) 感想2+ 2013/11/8 0:52 一日一冊読書開始
3 023 美馬のゆり「理系女子(リケジョ)的生き方のススメ」(岩波ジュニア新書;2012) 感想2 2013/11/7 21:02 一日一冊読書開始
3 022 百田尚樹「モンスター」(幻冬舎文庫;2010) 感想3 2013/11/6 23:35 一日一冊読書開始
131104 楽天の優勝に感動したが、一方で政治家に楽天の選手たちほどの被災地への思いがないのが情けない。 2013/11/5 2:10 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 021 中沢啓治「はだしのゲン 第5巻」(汐文社;197?) 感想 とりあえず4 2013/11/5 1:22 一日一冊読書開始
131101 山本太郎参議院議員は議員辞職してはいけない。民主主義を否定する特定秘密保護法案断固反対。 2013/11/2 0:53 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 020 中沢啓治「はだしのゲン 第4巻」(汐文社;197?) 感想 とりあえず4 2013/11/2 0:43 一日一冊読書開始
131030 馬っ鹿じゃねーの!福井県の原発事故で綾部市が、田辺市と避難協定を結ぶんだって! 2013/10/30 22:53 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 019 中沢啓治「はだしのゲン 第3巻」(汐文社;1973) 感想5 2013/10/30 0:43 一日一冊読書開始
3 018 中沢啓治「はだしのゲン 第2巻」(汐文社;1973) 感想5 2013/10/29 1:49 一日一冊読書開始
3 017 中沢啓治「はだしのゲン 第1巻」(汐文社;1973) 感想5 2013/10/28 0:52 一日一冊読書開始
3 016 池上彰「池上彰と考える、仏教って何ですか?」(飛鳥新社;2012) 感想3+ 2013/10/22 1:28 一日一冊読書開始
3 015 小林公夫「東大生・医者・弁護士になれる人の思考法」(ちくまプリマー新書;2010) 感想 2 2013/10/20 14:07 一日一冊読書開始
3 014 石井光太「僕らが世界に出る理由」(ちくまプリマー新書;2013) 感想4 2013/10/20 0:49 一日一冊読書開始
3 013 養老孟司「養老訓」(新潮社;2007) 感想3+ 2013/10/17 0:00 一日一冊読書開始
3 012 太宰治「人間失格」(新潮文庫;1948)感想5 2013/10/16 1:44 一日一冊読書開始
3 011 伊藤真「“司法試験流“勉強のセオリー」(NHK出版新書;2012)少し甘いが感想4 2013/10/15 0:37 一日一冊読書開始
131014 徒然ノート:辻本清美へのエール! 130908の追加部分。また書き足します。 2013/10/14 13:29 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
131012 ETV特集「僕は忘れない~瀬戸内 ハンセン病療養所の島~」 感想5+ 2013/10/13 0:21 映画・映像
3 010 磯田道史「江戸の備忘録」(朝日新聞出版;2008) 感想4+ 2013/10/10 1:25 一日一冊読書開始
131009 美延映夫は議員辞職せよ!「大阪維新の会」は異常。ヒトラーのナチスと同じ。怒りがおさまらない。 2013/10/9 19:05 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 009 姜尚中・中島岳志「日本(にっぽん)」(河出文庫;2008、2011) 感想5 2013/10/6 0:52 一日一冊読書開始
131003 閲覧17万を超えました。170,057 PV 67,806 IP。ブログ開設 726日。面目ございませんm(_ _)m 2013/10/4 21:24 閲覧数 記録
130926 違和感。この国の人間の知性はどうなってるのか?何故、曽野綾子、竹田恒泰の本が売れてるのか? 2013/9/26 21:06 日記
130923  10月式年遷宮直前の「お伊勢参り」に行って来ました。 2013/9/24 0:27 日記
3 008-2 内田樹・高橋源一郎「どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?」(ロッキング・オン;2012)感想5  2013/9/22 16:37 一日一冊読書開始
3 008-1 内田樹・高橋源一郎「どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?」(ロッキング・オン;2012)感想5     2013/9/22 2:53 一日一冊読書開始
130915 ◎2年目の目次ですm(_ _)m。  120901~130901ブログ・書籍リスト。 2013/9/15 20:59 書籍リスト
130908 東京五輪決定。勉強になった。自縄自縛、錦の御旗・大義名分ができた。日本の終りの始まり。 2013/9/8 17:32 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 007 池内了「科学の考え方・学び方」(岩波ジュニア新書;1996) 感想5 2013/9/8 4:07 一日一冊読書開始
3 006 島田裕巳「なぜ人は宗教にハマるのか」(河出書房新社;2010) 感想4+ 2013/9/7 2:23 一日一冊読書開始
3 005 姜尚中「続・悩む力」(集英社新書;2012. 6月)感想4 2013/9/6 1:49 一日一冊読書開始
130905 言葉の問題「これからは政府が全面に出るので安全」(安部晋三)「東京は完全に安全」(竹田恒和) 2013/9/5 21:12 <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
3 004 重松清「希望の地図 3.11から始まる物語り」(幻冬舎;2012) 感想 3+ 2013/9/5 2:04 一日一冊読書開始
3 003 篠原令「妻をめとらば韓国人!?」(文春新書;1999) 感想5+ 2013/9/4 1:59 一日一冊読書開始
3 002 松岡正剛「多読術」(ちくまプリマー新書;2009) 感想4 2013/9/3 1:55 一日一冊読書開始
3 001 菅広文「京大芸人」(2008;講談社) 感想3 2013/9/2 2:11 一日一冊読書開始
130901 2年間有難うございました。とりあえず再度リセットします。一日一冊、3年目突入です。 2013/9/1 1:36 閲覧数 記録
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 090 網野善彦・石井進「米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ」(大和書房;2000)感想4

2014年04月13日 01時37分10秒 | 一日一冊読書開始
4月12日(土):

251ページ  所要時間 5:45  アマゾン506円(256+250円)

網野善彦72歳(1928~2004;76歳)。日本中世史。
石井進 69歳(1931~2001;70歳)。日本中世史。

始め、本書の文庫本(ちくま学芸文庫;2011)を図書館で借りて読み始めたが、非常に多くの示唆に富む内容の本なので、欲しくなり、アマゾンで中古の単行本(2160円)を取り寄せた。

意外と読みが進まない。線を引き、付箋をしながら読み進めた。強く感じたことは、功なり名を遂げた二人の日本中世史家の議論の“自由闊達さ”だ。網野氏は誰もが知る歴史界の風雲児であり、石井氏も東大の名誉教授。二人の議論には、戦後の日本史を第一線で作り上げてきた当事者だからこそ述べられる柔軟な思考の展開があった。

本書の趣旨でもある従来の日本史の定説とされていることが如何にあやふやで頼りないものであるか。早期の解釈改善を求められる事柄の多さを痛感した。また、現代の歴史学をめぐる政治状況に対する正面からの断罪・糾弾を事も無げにする網野氏に太い背骨を感じた。俺たちが知らず知らずに状況や世間の風潮に呑まれて後退していることをはっきりと感じさせられた。

網野氏は、江戸時代を暗黒時代と位置付けた、明治政府の政治指導を真っ向から「間違っていた」と指摘し、「日本は中国や朝鮮とともに欧米に敗北して植民地になった方が良かった」とまで述べている。世間の知能の低い馬鹿どもが読めば、また大騒ぎするようなことを事も無げに発言する網野氏の姿に、俺は、「そうかそこまで原点に戻って歴史を見直しても良かったんだ…」と、戦前を知る学者のどしょっ骨の強さを強く感じた。体調はあまり良くなかったけど。良い読書経験だった。とにかく明治政府に始まる日本の近代国家観に対するアンチな厳しさは透徹している!

目次:第1章 通史を書く意味/第2章 なぜ「米」なのか/第3章 支配者はなぜ「米」に固執するのか/第4章 天皇と「米」/第5章 「百姓=農民」は虚像か/第6章 倭国から日本へ―国号の問題/第7章 農本主義と重商主義/第8章 差別・被差別はどこからくるか/第9章 歴史のつくる虚像―まとめ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

140408  瀬戸内寂聴さん「子供たちにこの国を渡して死ねない」(日刊ゲンダイ)

2014年04月09日 01時34分03秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
4月8日(火):日刊ゲンダイさん、ごめんなさい。転載させて頂きました。

瀬戸内寂聴さん「子供たちにこの国を渡して死ねない」 2014年4月6日 掲載

「安倍政権に戦争を知っている人はいない」と瀬戸内寂聴さん/(C)日刊ゲンダイ 

極端に右傾化する安倍政権に「怖さ」を感じる人は大勢いる。なかでも戦争を知っている世代ほど「戦前とそっくりだ」と警鐘を鳴らしている。「人間は情けないから50年くらいたつと忘れてしまう」「安倍政権の中には戦争を知っている政治家はいないんですよ」--寂聴さんの言葉は鋭く、重い。ぜひ、安倍首相に読んで欲しい。

■安倍さんのクスリは興奮剤じゃないの?

--都知事選の応援の際、これは脱原発の戦いだけでなく、安倍政権をストップさせる戦いだ、とおっしゃった。しかし、その後も安倍政権はイケイケドンドンという感じで、集団的自衛権の行使容認に向けて突き進んでいますね。

 どうして、あんな元気なんでしょう、あの人は。病気だったんでしょ? もう出てこないと思ったら、とてもいいお薬が見つかったってね。そのお薬の中に興奮剤が入っているんじゃないかしら。

--靖国参拝や河野談話見直しの動きなど、周辺諸国を刺激するような言動ばかりが目立ちますね。

安倍政権の人は、自分たちの祖先はそんな悪いことしてないと思っているのかもしれませんが、しましたよ。朝鮮人を連れてきて、炭鉱でこき使って殺しているじゃないですか。私は北京にいましたから、食べ物まで差別したのを見ています。慰安婦の問題だって、もともとあってはならないことなんですよ。

--NHK会長の言動にも呆れましたね。

 あの人事は安倍さんでしょ? なんですか、あの人。あんなムチャクチャな人をトップにいただけないでしょ。NHKの職員は辞めさせられないの? デモでも起こせないんですか?

■戦争を始めれば日本は消えてなくなります

--この政権の危うさは日に日に強まっているような気がします。

 もし、戦争が始まったら、米国が助けてくれると思っているでしょ。日米安保という契約があるから。そんなもん信じられないんですよ。先の大戦の時に、ソ連が裏切ったじゃないですか。あれだって、(不可侵の)契約があったんですよ。人間の契約なんて、あてにならないんです。私は戦争が始まったら、すぐにアメリカと中国は仲良くなると思いますよ。日本は沖縄みたいに両方からやられてしまう。戦争が終わったら、日本の半分は米国のなんとか州、もう半分も中国のなんとか省になっているんじゃないですか。戦争なんてすれば、国はなくなるんですよ。それなのに政治家は日本は永久に続くと思っている。

--同盟関係による軍事的な抑止力なんて、あてにならない。それよりも、いかに戦争を阻止するか。そちらに傾注するべきだと?

 日本にはせっかく、戦争しないという憲法があるんですよ。それを戦争できる憲法にしようとしているんですよ。米国から与えられた憲法だって言うけれど、その憲法で戦後70年間、誰も戦死していないんです。これは凄いことなんですよ。

--なぜ、安倍首相はそこまでして、軍事力を行使できるようにしたいのでしょうか?

 権力の場に立つと、男は変わるんですよ。権力第一になる。自分が思う通りになると気持ちがいいんでしょう?

--それで、その権力、武力を誇示したくなる。それが権力の狂気だとして、周囲にいさめる人が見当たらないのも悲劇的です。

 戦争を知っている人が安倍政権にはいないじゃないですか。戦争の悲惨さを知らないし、みんな、今の政府での立場を良くしたい。そうしたら、誰も反対しませんわね。

--そうやって、どんどん戦争準備法案みたいなものが通っていますね。特定秘密保護法など。この辺は戦前と似ていますか?

 あっという間に国って変わるんですよ。特定秘密保護法もとても怖い。戦前、ものを書いちゃいけない、と言われましたが、そこまで行きますよ。同じです。


--しかし、世論にはそうした危機感がない。

 当時もね、われわれ庶民にはまさか戦争が始まるという気持ちはなかったですよ。のんきだったんです。袖を切れとか、欲しいものを我慢しろとか言われるようになって、ようやく、これは大変だと思いましたが、女学校の修学旅行は朝鮮、満州に行ったくらいだし、真珠湾攻撃の日は女子大にいたんです。ちょうど翌日から学期試験で勉強していた。そうしたら、みんなが廊下を走ってきて「勝った」「勝った」と騒いでいる。私は明日は試験がなくなると思って「しめた」と思って寝ました。試験はちゃんとありましたけど、こうやって国民が知らない間に政府がどんどん、戦争に持っていく。そういうことがありうるんです。

--特に当時は大本営発表の情報だけでは何もわかりませんね。

 真珠湾で何があったのかもわからなかったし、なぜ、そうなったのかも知らなかった。自分たちはいいことをしていると思っていましたからね。
 今は情報は豊かになりましたが、イラク戦争のときはすべて、多国籍軍サイドの情報でした。私は前の戦争で懲りていますから、自分の目で見なければわからないと思って、イラクに薬を持っていきました。そうしたら、やっぱり、それまでの報道と実態は違っていました。(つづく)

--今も大メディアは安倍政権の批判をしない。瀬戸内さんも含めた文化人の方々が脱原発で訴えても、メディアは大きく報じない。そういう怖さも感じませんか。
 本当に大きな新聞はあまり書きませんね。以前、経済産業省前の原発反対のテント村に来てくれと言われて、足が悪かったので、車椅子で行ったことがありました。それまではみんな知らん顔して通っていたけど、私がいると、寂聴さんがいるってなるわけですよね。それまで無関心だった人が原発反対の字を見てくれる。それだけでも役に立ったかなと思ったんですよ。

 そうしたら、報道の人が来て、「(こうやって反対していれば)再稼働しないと思いますか」って聞くんです。周りで座っている人は「しないと思う」って言いましたが、私は「するかもしれない」と言ったんです。それじゃあ、なぜ、座っているのか、と聞かれて、「もし再稼働しても歴史に残った時に誰も反対しなかったと思われるのが嫌だ。反対者がいたという証拠で座っている」と言いました。

--そこまでしないと、取材にすら来ない。これだけ地震が多い国なのに、信じられないような世相ですよね。

 原発を動かせば、儲かる人がいるんです。その人たちの力が強いから、政府はその人たちと手を結ばざるを得なくなる。

■神も仏もなくて拝金主義

--命より金儲けですね。こうしたモラルダウンはいつからなんでしょうか。今の政治家が劣化したのでしょうか。

 前も同じようなところはあったように思いますが、今はちょっとひどいような気がしますね。でも、そんな政治家を選んだのは庶民ですからね。戦争に負けて、日本はもっとひどくなると思ったら、すごい活力でよみがえったでしょ、日本人は。家を建て、着物を買って、その家に飾るものを欲しくなる。全部、お金ですよ。戦後くらい、拝金主義になった時代はないですね。そうやって日本人は戦争の怖さを忘れちゃったんじゃないですかね。全てはお金。そのために目に見えない心とか、神とか仏とかどうでもよくなったんですね。

--これだけ就職難で、正社員になれないのに、若い人にも妙な満足感があるのか、おとなしい。

 なんとなく食べられて、昔より豊かに暮らしているでしょ? 国民全体が自分が底辺だと思っていないわけですよ。本当に貧乏で、困っていたら、もっと騒ぐと思う。どこかのどかなんですね。職がないのに。昔は学生が騒ぎましたよね。世界の歴史を見ても、革命を叫ぶのはいつも若い人たちだったんですよ。それが草食系とかいって、女ともできないって、そんなことばっかり。

--なぜ、そうなってしまったんでしょうか?

 こっちが聞きたいですが、やっぱり教育でしょうね。その教育にも安倍さんがまた手を出そうとしている。こうして見ていくと、いいことひとつもないですね。私はすぐ死ぬからどうでもいいけど、子供たちにこのまま、この国を渡して死ねないという気持ちです、怖くて、かわいそうで。今の若い人にはしっかりと目覚めて欲しいです。自分のことじゃないみたいな顔をしていちゃダメですよ。

▽せとうち・じゃくちょう 1922年生まれ、91歳。小説家、天台宗の尼僧。東京女子大卒。代表作は「花に問え」(谷崎潤一郎賞)や「場所」(野間文芸賞)、「風景」(泉鏡花文学賞)など。「源氏物語」に関連する著作も多い。2006年文化勲章。2012年5月には経済産業省前で脱原発のハンガーストライキに参加した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 089 雨宮処凛「バカだけど社会のことを考えてみた」(青土社;2013/9) 感想2+

2014年04月09日 01時15分52秒 | 一日一冊読書開始
4月8日(火):

著者38歳(1975生まれ)。

目次:1 生活保護について考えてみた/2 生きづらさと自殺について考えてみた/3 女性が生きる難しさを考えてみた(大阪母子餓死事件/大阪二児餓死事件が残した課題 ほか)/4 3・11とその後の脱原発デモを考えてみた/5 衆院選・参院選を考えてみた

俺は著者の社会を見る目の繊細さを支持している。図書館で見かけると必ず手が伸びる。しかし、今回はハズレだった。1章、2章、3章までは感想4だったが、4章で一転、5章で感想は2に落ちた。

前半の社会的弱者の現状についての認識、問題意識はいつもの冴えを見せているが,3.11以後の脱原発デモに対する舞い上がった自己満足の吐露に白け始め、自民党の勝った衆院選・参院選の唯一の希望の星が山本太郎の参議院議員当選だった、と叫んでいる姿には白けを通り越して哀しくなった。都知事選での日和見行司気取りの山本太郎を知っているだけに、ずっと支持してきた著者の限界を見せつけられた気分にもなった。

そういえば、今回著者は、自らの非正規雇用で生き辛かった20代前半の話はしたが、いつもしている右翼活動参加の話は全くしなくなっていた。著者の強みは、右翼にもつながりをもつ活動家・運動家という立ち位置だったはずだが、もうそれはやめたのだろうか。

後半の内容は、薄っぺらで、あろうことか政治家気取りで大所高所のバランス論まで言い始めて、結果論を「上から目線」で語り、全くダメだった。前半には見るべき部分はたくさんあったのだが…。著者も、賞味期限切れか…。

・地道に福祉の充実に取り組む政治家よりも、(片山さつきや世耕弘成のような)声高に生活保護バッシングをする政治家の方が目立って支持を得てしまうなら、「マトモな政治家」はどんどん居場所を失ってしまうだろう。略。/ある意味で人気取りのパフォーマンスとして、政治家にとって生活保護批判ほど「楽」なものはない。/当事者はさらなるバッシングを恐れて声を上げることなどできないし、圧力団体や利権団体もない。良心の呵責さえ感じなければ、政治家にとって一番叩きやすいのが生活保護なのだ。41~42ページ

・ここで疑問なのは、衆院選で圧勝した自民党の社会保障に対するスタンスは思い切り「自助」強調路線だということだ。一言で言うと、「どんなに困っても国に迷惑なんかかけずに自分で何とかしろ」というもの。「社会保障」について関心が高い理由は、自分の将来や老後などいろいろ不安だからだと思うのだが、「困った時は国がなんとかしますよ」という「公助」路線の政策を掲げる政党ではなく、「放置しますよ」と公言している政党が圧勝してしまう謎。/この辺が、本当に、まったくもってさっぱりわからない。165ページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 088 加藤陽子・佐高信「戦争と日本人」(角川oneテーマ21;2011/2月) 感想4

2014年04月08日 01時27分17秒 | 一日一冊読書開始
4月7日(月):副題「テロリズムの子どもたちへ」

236ページ  所要時間 2:50   図書館

加藤:50歳(1960生まれ)。東大教授。日本近代史。
佐高:65歳(1945生まれ)。反骨の評論家。久野収門下。

副題の「子どもたち」は、実年齢だけでなく、精神年齢も含めて、近代史上に行われた首相殺害やクーデター青年将校らを指す。本対談は、「それでも日本人は「戦争」を選んだ」を書いた加藤が、映画「仁義なき戦い」シリーズの脚本家笠原和夫の書いた者は必ず読む、というのに関心をもった佐高からの申し出により行われた。

日本の近代史と当時の菅民主党政権を俎上に載せて縦横に論じて見せるが、両者ともにしっかりと地に足のついた事実の上に論じ合っているのが、まず安定感があり、読み易かった。佐高信は、原理主義者のようでいて、実は共産党や国家主義などに代表されるゆらぎを認めない原理主義を嫌悪し、批判する立場である。だらしのない社民党の方がましだと言うのは少し嬉しい。菅政権に対しては、最大の間違いは、稚拙な「こうあるべき」論で硬直した「松下未熟塾(ママ)」の連中を主体としたことであり、その最たる失敗が頭の固い原理主義の前原誠司を外務大臣に据えたことだと言う。また、政治家で、クリーンなタカ(松下未熟塾など)とダーティーなハト(田中派など)を比較した場合、後者を絶対に支持すると言う。今回、俺の思考が、彼を批判していながら、実は根っこで佐高信に相当影響を受けていることを確認してしまった。確かに、若いころ、俺は佐高の本ばかり読んでいた時期があり、「この人、そのうちにきっと刺されて大怪我するか、殺されるぞ」と心配していたことがあった。知らぬ間に俺の思考回路の土台になっていたようだ。もちろん、彼ほど過激さを維持しきれないが、発想の根っこが同じである。

今回、良い言葉も随所にあった。

・西南戦争で死んだ西郷隆盛に勝海舟が悼んで読んだ歌碑。
 「ぬれぎぬを 干そうともせず 子供らが なすがまにまに 果てし君かな」 7ページ
・ダーティな政治家という悪評のある原敬は実は玄人受けの政治家であるとして、久野収の言葉を引く。「状況に支配されるのではなく、状況を支配しようとこころみた政治家は、ほとんど例外なく政治的暗殺にであっている。思想をもった政治家らしい政治家は、ほとんどすべて襲撃を受けた」「殺人者は原敬を殺すことによって、約十年のちに始まる満州事変以後の軍部独走の戦争へのコースをひらいたのである。」39ページ
・加藤:昭和天皇が、本当に気に入らなかった人について断を下したのは、松岡洋右を切るときですね。 198ページ
・佐高:前原誠司なんかを見ていて思うのは、成熟度が足りないですね。私の眼には国家が揺るぎないものとは、到底思えない。ところが前原あたりは、国家はちゃんとしたものであると思い込んでいますね。絶対にこうすべきだという思いがあり、それ以外は受容できない単純さがあります。だからいろいろな問題が出てくる。揺らいでいる中で、何を理想とし、どういう現実路線があるのか考えないことには話は始まらない。そこがわかっていない。218ページ


寝ます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3 087 金谷俊一郎「30の失敗でわかる日本史」(芸文社;2009) 感想1

2014年04月07日 00時24分39秒 | 一日一冊読書開始
4月6日(日):

205ページ  所要時間 0:50       図書館

著者42歳(1967生まれ)。予備校日本史講師。

30の失敗の「失敗」という言葉を使う理由が最後までわからなかった。「節目」「テーマ」等、と言いかえた方が良いだろう。予備校の授業をほぼ羅列的に、お経のように語り下ろしただけの内容。何の工夫も無い。ほぼ100%理解できたと言うか知っている内容だった。読まない方が良かったが、一応最後まで目を通した。

受験勉強が終わった大学生が、懐かしんで手にする本か…? 大人の読む本ではない。 出版するには恥ずかしい本だと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)