もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

171129 日馬富士、引退会見全文 貴ノ岩に「礼儀と礼節を忘れずにちゃんとした生き方をして」

2017年11月29日 20時11分28秒 | 時代の記憶
11月29日(水):  

スポーツ報知日馬富士、引退会見全文 貴ノ岩に「礼儀と礼節を忘れずにちゃんとした生き方をして」 11/29(水) 16:33配信

引退会見を開いた日馬富士

  大相撲の横綱・日馬富士(33)=伊勢ケ浜=が29日、福岡県内で引退会見を行った。

  日馬富士は10月の巡業中に鳥取市内で幕内・貴ノ岩(27)=貴乃花=に暴行して負傷させた。九州場所は初日から2連敗し、暴行が発覚直後の3日目から休場していた。
  鳥取県警の捜査、日本相撲協会の調査が進む中、自ら責任を取り引退を決断した。
  会見には伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)と日馬富士が出席した。

  伊勢ケ浜親方(以下、伊勢)「本日、横綱・日馬富士の引退届を提出しました。日馬富士は今回の問題の責任を感じ、引退をしたいということは本人が早くから言っておりましたが、ファンの皆様に相撲を楽しんでいただく、場所中の間は(引退表明を)控えたいと思いました。私は日馬富士、横綱を16歳という少年の頃から、見てきておりますが稽古で精進したのみならず、色々勉強し、難病救済など社会貢献にも目が届く珍しいタイプのお相撲さんだと思っていました。そして酒癖が悪いとか乱暴するとかそういったところは私自身、見たことも聞いたこともありませんでした。そのため今回このようなことになったのか、ただただ不思議というか残念でなりません。横綱の権威を汚すようなことをして、本人が一番悪いんです。他人様のせいにするわけにはいきません。本当に申し訳ありませんでしたと言うしかありません。ただただこれまで支えていただいた、ファンの皆様、相撲協会のみなさまに心からお詫びを申し上げます。本当にすみませんでした」
  日馬富士(以下、日馬)「このたび、貴ノ岩関にケガを負わせたことに対して、横綱としての責任を感じ、本日をもって、引退をさせていただきます。国民のみなさま、ファンの皆様、相撲協会、伊勢ヶ浜部屋のみなさま、親方、おかみさんに大変迷惑をかけたことを心から深くお詫び申し上げます」
  2人で20秒以上頭を下げる

 ―引退を決めてどんな心境ですか
  日馬「本当に、国民のみなさま、世間をこんなに騒がし、相撲協会や色々支えていただいたかたに、大変迷惑をかけて、本当に心から申し訳ないなと思います」

 ―今回の件で調査が進んでいる中で、この時期に引退を決めたのは
  日馬「親方と話して、横綱としてやってはいけないことを、やったので…。場所中だったので、頑張っている力士たちに最後まで頑張っていただきたいということで、本日(引退表明)になりました」

 ―引退を決めるまで、心の中の動きがあったのか、いつ決めたのか
  日馬「このことが、マスコミの皆さんに知られて、親方に知られて話し、これは大きくなっているので横綱の名前に傷がつくので責任を取りたいと親方に伝えました」

 ―引退を決めるまでの話
  伊勢「やった事実はあるので、責任は横綱としてしっかり、取らなければならないといいました」

 ―事件のこと、引退のことについて
  伊勢「やはり、横綱としての名前をけがしてはいけない。あってはいけないことだと、そういう意味では私の指導不足もありますけど、本人ももっと反省してこれから次を勉強しながら、社会貢献などを頑張ってもらえればと思いました」

 ―今回の一連の事件に何があったのか
  日馬「先輩横綱として、弟弟子が礼儀と礼節がなってないときに、それを正して直して教えてあげることは、先輩としての義務だと思っています。弟弟子を思って叱ったことが彼を傷つけ、そして大変世間を騒がし、相撲ファン、相撲協会、後援会のみなさまに大変迷惑をかけることになってしまいました」

 ―今まで相撲界に不祥事があって、不祥事を起こしてはいけない思いは
  日馬「弟弟子を思って、これからのことを(思って)僕が叱ったことで、彼が(今後)礼儀と礼節をちゃんとしていけると考えながらいけると思って(やったが)、行き過ぎたことになってしまいました」

 ―ファンに対して
  日馬「16歳で母船から海を渡って、父船である日本にやってきて、親方、おかみさんのもとで、人様に迷惑をかけないように、人としてちゃんと道を教えていただき、育ちました。相撲を通じて、縁があった方々そして、私を支えて応援してくれたファンのおかげで、第70代横綱になることができました。私は日本を愛しています。日本の国技を愛しています。ファンの皆様、心から感謝を申し上げたいです」

 ―相撲界はどんなところ
  日馬「私は相撲を愛しています。大好きです。そして相撲道というのはただ強いのではなく人として、そして相撲を通じて、みなさまに感動と勇気を、そして相撲を通じて、社会にできることを一生懸命やっていくことを、親方、おかみさんに学びながら、相撲を通じてみなさんに希望を与えること、自分にできるだけのことをやってきました」

 ―17年間の相撲人生の思い出
  日馬「相手がいての相撲なので、今まで戦ってきたライバルに感謝ですし、そして相撲を通じて縁があって出会った方々の支えがあったことで、今まで来たので、すばらしい17年間でした」

 ―横綱とはどういうものですか
  日馬「(昇進の際に)横綱としてみんなの基本と見本になる、横綱としての名前を傷がつかないように一生懸命頑張りますと言いました。一生懸命横綱として土俵に上がって、お客さんに楽しんでいただける相撲だけを考えて横綱としての責任を果たしました」

 ―思い出に残る相撲は?
  日馬「たくさんの思い出があります。この場を通じて一緒に戦ってきた仲間に申し訳ないと伝えたいです。思い出に残っているたくさんの相撲の中で初土俵の序の口で優勝したことが…。初心を忘れてはダメなのでいつも心の中にあります」

 ―師匠へ、日馬富士を横綱まで育ててきた
  伊勢「とにかく、稽古稽古ですね。どこが痛いとか弱音を吐かずに今日までやってきたんじゃないですかね。相撲見てみなさんによろこんでもらえたんじゃないかと思います」

 ―師匠の涙を見て感じたのは
  日馬「今から10年前に、父親を亡くして、僕のお父さんであり、師匠であり、僕のあこがれの師匠でもあり、いつも親方、おかみさんに恩返ししたいなと思う気持ちが…。いい息子でいたいなという気持ちが強かったです。この17年間、積み立ててきた僕の生き方が、こういう世間を騒がせたことで親方に申し訳ないという気持ちでいっぱいです。これから自分なりに恩返しして、相撲の名前が傷つかないようちゃんとした生き方をして、恩返しして行きたいと思います」

 ―今回のことなければ、引退後も相撲協会に残る気持ちは
  日馬「相撲があっての私なので、相撲界に恩返ししたい気持ちはありました」

 ―今後の人生
  日馬「親方、おかみさんの17年間の教えのもとで、相撲道で学んだことを生かして、人様に迷惑をかけないようにちゃんとした生き方をして、頑張って行きます」

 ※代表質問終了

 ―暴力について、貴ノ岩関に思うこと
  日馬「けがを負わせて、心も傷ついていると思います。これから礼儀と礼節を忘れずにちゃんとした生き方をして頑張って行って欲しいと思います」

 ―九州場所2日までは土俵に上がったがどういう気持ちだったのか
  日馬「普通に相撲に集中して頑張っていました。こうやって新聞に出ることもそのときは分からなかったので…。26日に彼が僕のところに謝りに来て、そのときに、こうやってしかってくれるお兄さんがいることに感謝しろよ、気をつけてがんばれよと言って、握手して別れたわけですから。まさか、ことがこんなに大きくなるとは知りませんでした」 

 ―他の解決方法があった可能性は
  伊勢「それはみなさんがどう思うかだと…。よその部屋の関取に指導をして、それが行き過ぎてしまった。その行き過ぎてしまった部分については横綱として権威というか名前を汚したと思っています。その責任はとらなければいけないと思っています」

 ―理事としての対応
  伊勢「私は筋道通して、きちっとやってきました。対応が遅れた? 何の対応ですか。私は知ってすぐに謝罪しました。電話でもしました。また謝罪に行くって言って断られたこともありましたけど、そういったことはきちんとやってきました」

 ―起こしてしまった重大さの認識について
  日馬「今回のことで、彼のためになる、自分が正しいことをしているんだという気持ちが強すぎて、行き過ぎることがあるんだなと…。思いました。本当に、それだけです」

 ―お酒が理由と言われているが、飲んだときの自分の性格の認識
  日馬「私は今までお酒を飲んで、何かの事件を起こしたことはありません。それが他人が評価してくれることなので、はっきり言えることはお酒を飲んで、人を傷つけたり、暴れたり、酒癖悪いということは今まで一度もないです」

 ―今後お酒とどう向き合っていくか
  日馬「お酒を飲んだからの事件ではないので、」

 ―行き過ぎた指導というが、これまであったのか
  日馬「今までこういった指導をしたことはありません。相撲は土俵の上で稽古場で教えていくものなので…」

 ―本当はやめたくない悔いは?
  日馬「横綱として、やってはいけないことをしてしまったので、横綱らしく責任を持って、責任を持つのは横綱なので…。(やめたくないとか)こうしたいとかはない」

 ―親方は悪しき上下関係を好まないのだが
  伊勢「冒頭で述べたように、なぜこんなことになってしまったのかという思いでしかありません。いいようがないですね」

 ―新入幕も大関昇進も横綱昇進も九州場所だった、九州場所の引退決断の心境は
  日馬「17年前に、9月に日本に来て、初めて来たのは九州場所で、本当に縁起のいい場所で、そして、九州の後援会長にかわいがってもらってました。九州大好きです。太宰府の神様も心から信じています」

 ―そこで引退を決めたことについて
 ※黙る日馬富士に伊勢ケ浜親方が助け船
  伊勢「決めたというか、そうなったってこと。それを今言っているんだから、ちょっとおかしいんじゃないですか」

 ―20年の東京五輪まで横綱を務めたいと聞いている。その中で引退になってしまった。騒動のなかで葛藤があったか、どこで引退を決意したか
  伊勢「それもさっき述べたんだから。同じ質問を繰り返しても…。(質問者を)代わってください」

 ―今後角界にかかわること
  伊勢「他の人に質問して。きょう引退したばっかりだから、出ないでしょう」

 ―事件当日のこと、貴ノ岩への指導の思い
  伊勢「まだ捜査も続いているので、そういったことに答えられない。指導もさっき述べているので、質問が重なっているので、他の質問があったら」

 ―九州場所で白鵬 もう一度土俵にあげたいと言っていたことについて
  日馬「今も言いましたが、相手をけがを追わせたこと、横綱として、責任を持つのは横綱なので…。(白鵬の)その気持ちはうれしかったです」

171129 日馬富士の引退を残念に思う。貴ノ花と安倍晋三は視野・料簡の狭さがよく似ている。マスコミもずるい。賢くない国ニッポン!

2017年11月29日 19時59分38秒 | 徒然・雑感
11月29日(水): ※炎上すれば、すぐに消します。

帰宅すると夕刊に日馬富士引退の見出し。正直、最悪の展開。今の日本の最も嫌なところが出た事件だ。その中心に、頑なな貴ノ花と弱い者いじめのマスコミがいる。話の内容はよくわからないが、今回の一件は安倍政権下の日本をよく体現していると感じた。

一面的な正義を握った者が、それを金科玉条に振りかざす。そして、周りのマスコミが一斉に弱い者いじめをした挙句にその真の弱者の功績を無視して潰してしまった。

先場所、一人横綱の孤塁を護って優勝して大相撲の看板を護ったのは日馬富士だったではないか!これまで、日本人の上位陣がそろわない中で、白鵬とともに大相撲人気を支えてきてくれた恩人ではないか。それをマスコミはみんなで寄ってたかって外国人横綱の上げ足をあげつらって潰しにかかった。日馬富士を引退に追いやって満足か?!俺は寂しい。

今回の一件の真の被害者は貴ノ岩だけだ。その貴ノ岩が表舞台から隠し込まれて、その声が最後まで聞けないままだった。師匠の貴乃花親方は、被害者の正義という立場にしがみついて、相撲協会も大相撲ファンのことも全く見ようとせず、結局日馬富士の横綱引退に追い込んだ。

貴ノ花が、自分の弟子貴ノ岩のことを本当に考えているとも思えない。貴ノ岩は、日馬富士と同じモンゴル人力士であり、部屋は違えど非常に近しい関係の後輩なのだ。もっと穏便な処理の仕方があったはずだ。いや、貴ノ岩と日馬富士両方の現在から未来につながる良い処理の仕方を探してでも見つけるべきだった。それをしないで、暴力を振るわれたという今回の事実だけをあげつらい、自らの立場の正義だけを振りかざし、周りを全く見ない視野・料簡の狭さと冷酷さには既視感を覚えた。横綱引退という破局を呼び寄せたのも似ている気がして不安だ。

既視感とは、安倍首相と重なるのだ。貴ノ岩を拉致被害者家族、日馬富士を北朝鮮とする。拉致事件が起こるまで、北朝鮮や韓国に対して、韓国併合・36年間の植民地支配、従軍慰安婦、強制労働、関東大震災での朝鮮人虐殺など日本はずっと加害者の立場にあった。その事実は、今もって全く変わらないのだが、ここに北朝鮮による拉致被害者の問題が明らかになるとアベはこの事実にしがみつき、それを振りかざして過去の加害者の立場を意図的に忘れて、「こちらこそ被害者である!」と外交的に攻勢に出た。そして、拉致問題を金科玉条にして、国内、国外の問題を棚上げにできたと思い込んでいる

一見、拉致被害者家族のことを常に気にかけているふりをしながら、現実にはアベ政権になってから拉致問題は、一歩も前に進んでいない。むしろ後退している。アベ政権が被害者家族を政治利用して消費しているだけであるのは、少し意識的に観れば全くもって明らかだが、日本のマスコミはわざとそれを見て語ろうとしない。アベ政権を恐れているのだ。頭の悪い、料簡の狭いアベの尻馬に載って、安全な北朝鮮非難だけを繰り返している。

過去の植民地支配や朝鮮戦争の遠因などに目をつむり、北朝鮮をここまで無策の限りを尽くして、核ミサイルの暴発一歩手前まで追い詰めてきたのは、安倍政権と日本のマスコミだ。北朝鮮に大きな問題があることは事実だが、「人間の国だ!」。そして、実は弱い存在だ。日本が韓国併合をした加害者の立場から拉致被害者の存在によって被害者の立場の正義を奪い返した気になってどんな口汚い悪口でも許される存在に仕立て上げられているのは異常だ。

そもそも北朝鮮とは、日本と比べてはるかに小さい経済規模しか持たないいわば弱い弱い”こびと”のような国だ。それを強大な悪の帝国の印象にすり替えて、北風政策だけで追い詰めてしまっている無策さ。これで核ミサイルがどこかに当たれば、日馬富士のもったいな過ぎる横綱引退と同じだ。

貴ノ花は本当に貴ノ岩のことを思っていない。アベシンゾーも拉致被害者のことを思っていない。自分の信念の手段にしてしまっている。それを無批判に弱い者いじめに加担する堕落したマスコミがいる。戦後日本が、本当に腐り果てて、イヤな時代になったな、と思う。

全くまとまりのない文章になったが、日馬富士がこんな形で引退に追い込まれたことが残念で仕方がない。そして、最大の原因は、貴ノ花の視野の狭い、かたくなな浅慮と、安全なところにいて弱い者いじめをするマスコミの堕落したズルさに腹が立つのだ。そして、貴ノ花とアベシンゾーには、頭の悪さ、知恵の無さで既視感を覚えたのだ。

最後に、日馬富士と貴ノ岩二人の復帰を願って言明した白鵬を支持するし、白鵬を好きである。ある意味、彼が一番ことの真相をよくわかっているはずだ。それを安易に批判するマスコミを全く信用も支持もできない。

乱筆御免。正直な感想を記した。きちんと整理できれば、書き直すかもしれない。炎上すれば、すぐに消します。馬鹿な批判に付き合う気はないので。

171128 野中広務師の御快復と一日でも長い御長寿を祈る。この人を失いたくない。今の日本で一番大切な政治家。

2017年11月29日 02時49分51秒 | つぶやき
11月28日(火):  

今の日本で一番必要な人。大切な人。野中広務師の御快復と一日でも長い御長寿を祈る。この人を失いたくない。合掌。

171128 【インタビュー】フェイクとどう闘うか 歴史学者、デボラ・E・リップシュタットさん

2017年11月28日 21時48分24秒 | 考える資料
11月28日(火):  

朝日デジタル【インタビュー】フェイクとどう闘うか 歴史学者、デボラ・E・リップシュタットさん
2017年11月28日05時00分


写真・図版 「大切なのは、よき教師をもつこと。若い世代に政治から全く自由な形で歴史を教えることです」=相場郁朗撮影

  「ポスト真実」の時代と言われる。事実より信条や感情へ訴えるウソの方が世論形成に大きく影響するといわれる状況に、どう立ち向かえばいいのか。ホロコースト(ユダヤ人虐殺)否定者と法廷で闘った回顧録を映画化した「否定と肯定」の日本公開を機会に来日した、米国の歴史学者、デボラ・E・リップシュタットさんに聞いた。

 ――ユダヤ人虐殺はなかったと主張するホロコースト否定者たちをどう認識していましたか。
  「彼らの主張は地球が平らだと言っているのと同じです。最初は、真剣に向き合うべきものとは思えませんでした。ところが、しばらくして世の中を見ると、『否定者の言うことに一理があるかも』と言う人たちが出てきました。否定者がどんな戦略で、ふつうの人たちの意識を引き込んでいるのかに興味をもちました」
  「1993年に『ホロコーストの真実 大量虐殺否定者たちの嘘(うそ)ともくろみ』を出版しました。否定者たちに『あなた方は間違っている』と言うためではなく、彼らに説得されてしまうかもしれない人たちに否定者たちのやり口を知ってもらうために書きました。ホロコーストに限らず、歴史的な出来事は体験者から直接話を聞けなくなると、遠い過去の昔話になり、否定や作り替えの入り込む隙間が大きくなります」
  「彼らは証拠をねじまげ、記録や発言を文脈からはずして部分的に抜き出し、自分の主張と矛盾する証拠の山は切り捨てます。彼らは『羊の皮をかぶったオオカミ』です。見た目はいかにも立派な学者さながらに振る舞い、研究所を作り、機関誌も出しています。『私たちは修正主義者だ。我々の目的は誤った歴史認識を修正することだ』と言う。が、よく調べると、ヒトラーや反ユダヤ主義、人種差別を称賛する人たちでした。彼らのもくろみは、『見解』を装って事実をゆがめることです」

 ――著書で批判したホロコースト否定者の一人、英国の歴史著述家デイビッド・アービング氏に96年に名誉毀損(きそん)で訴えられました。
  「『相手にするな』と学者仲間からは言われましたが、英国の法律では被告である私に立証責任があります。もし闘わなければ、私は負け、彼は『名誉毀損が成立した。私は否定者ではない。私の説が正しい』と言うでしょう。これを黙認したら、ホロコースト生存者やその子孫に顔向けできません。歴史学者として失格です」
  「裁判費用は200万ドル(約2億3千万円)かかりました。弁護団に恵まれ、多くの人が支援してくれましたが、600万人が虐殺されたホロコーストの実在をめぐる、あまりにも重大なことを争うもので、怖くて眠れませんでした。訴えられて約3年かけて準備、法廷は2000年1月11日から32日間開かれ、4月に全面勝訴の判決が出ました。判決はアービング氏がウソつきで人種差別主義者で、反ユダヤ主義者であることを認めました。偏向した歴史観をもち、意図的にウソを述べ、真実をゆがめた、と」
  「裁判にあたり、私たちは、彼が書いた著作の脚注をたどり、出典を精査しました。すると、彼はわざと間違って引用したり、半分だけ引用したり、事件の発生の順番を入れ替えたり、ドイツ語の原文をあえて間違った英語に訳したりして、結論を彼らの都合のよい方向にもっていっていました。出典の情報を少しずつ変えていく彼の戦術は、とても巧妙で、ふつうの人は信じてしまいます」
    ■     ■
 ――映画の原作になった回顧録は10年以上前に書かれましたが、現代に通じるものがあります。
  「これほど現代性をもつとは想像していませんでした。SNSは多くの恩恵を与えてくれましたが、客観的な事実とウソの違いがわからなくなり、それらを同列にしてしまいました。SNSはナイフのような存在です。外科医の手にあるナイフは人の命を救います。ですが、殺人者の手にあるナイフは命を奪います。どうやって利用するか、人類は学ばなくてはなりません」
  「米国では実際に起きている地球温暖化を全く認めようとしない人たちがいます。歴史的な事実でいえば、ホロコースト否定だけでなく、オスマン帝国でのアルメニア人虐殺事件も否定者がいます。トルコの人たちにとっては、虐殺したことなんて認めたくありません。『不都合な歴史』ですから。そんなことは起こらなかったという方が都合がいい。日本の慰安婦問題や南京大虐殺はなかったという論も同じではないでしょうか」
    ■     ■
 ――当たり前だった歴史を揺るがそうとする動きがある中、私たちは歴史にどんな目を向ければいいのでしょうか。
  「米国の作家フォークナーがこんな言葉を残しています。『過去は死なない。過ぎ去りもしない』。歴史は古い事実だけではありません。起きたのは過去かもしれませんが、現代性のあるものです。もし、私たちの歴史のなかで悪いことがあれば、重要なのはそれを認識することです。同じぐらい大切なのは、そのことについてウソをつかないこと。歴史のひとつの側面を好き勝手に操ってしまえば、ほかの側面も操られます」
  「ヒトラーの風評を変えようとしたアービング氏ら否定者は歴史に関心を寄せたいのではなく、現在を変えたいのです。彼らがやろうとしているのは、歴史を改めて違う形にすることで、いまと未来を変えようとしているのです」
  「いま、歴史家はとても重要な責任を負っています。未来のことは予言できませんが、危険信号に注意を引きつける役割を果たすべきです。私自身は将来を照らす灯台のような存在でありたいです。たとえば、トランプ大統領は批判的なことを伝える報道に対して『フェイクニュース』『ライイング(ウソをつく)』と言います。『ライイングプレス』というのは、ヒトラーが使った言葉です。私は大統領がヒトラーと同じだと言っているのではありません。でも、同じ言葉を使っていることは指摘したい。それを示すのも歴史家の役割だと思います」

 ――ホロコースト否定者の発言を法的に規制するべきだとの意見もあります。
  「その意見には反対です。私は言論の自由を信じています。自由によって扇動することは間違っていますし、街角で黒人を殴ることは許されません。ですが、言論の自由はとても大切です。何を言っていいか、いけないかを政治家が決めるのは絶対に違います」
    ■     ■
 ――いまは声の大きな人の言葉が真実のように扱われる時代です。私たちはどう向き合っていけばいいのでしょうか。
  「とても難しい。特に、政府のリーダーが真実をねじ曲げることに関与していると、本当に難しいです。いまの米国がそうです。先日も大統領の側近が、アフリカ系米国人の女性議員がある除幕式でとんでもないスピーチをしたと攻撃しました。それに対して、新聞が除幕式の様子が録画されたビデオを見つけ、実際はそんなスピーチはなかったことを伝えました。報道がなければ、みな側近の言うことを信じたでしょう。私たちにはファクトチェック(事実を確認)してくれる存在が必要です。独立し、事実を追求し、精査できる活力ある報道が必要なんです」
  「いまは非常に多くの政治的なリーダーがでっち上げをして、まるで真実のように言い募る時代です。我々は、国の中で一番偉い人にでも、世界一偉い人にでも『証拠を示せ』『事実を示せ』と言い続けることが大切です。私たちにできることは、根拠を要求すること。いまは善き人ほど沈黙してはいけない時代だと思います」
  「私たちは、何でも議論の余地があると習いました。しかし、それは間違いです。世の中には紛れもない事実があります。地球は平らではありませんし、プレスリーも生きていないのです。ウソと事実を同列に扱ってはいけません。報道機関も、なんでも両論併記をすればいいということではありません」

 ――私たちは具体的にどうすればいいのでしょうか。
  「一人一人が、注意深くならなくてはいけません。SNSで何かを共有する前に、『これは事実?』と考え、信頼できる情報源が言っていることか精査することが大切です。私自身、フェイスブックで好ましく思っていない右翼政治家がとんでもない人種差別発言をしているという投稿を目にしたとき、ツイートしそうになったことがあります。ですが、ちょっと待てよ、と考え、事実ならばほかのメディアも記事にするだろうと考えて、ネットで調べました。誰も知らない媒体がひとつだけ発信していた情報でした。私は疑念を感じ、ツイートしませんでした」
  「疑念をもって出典を精査することが重要です。私たちはカメラや車を買うときと同じように、すべての情報に対しても健康的な疑念をもった消費者になるべきだと思います。いまは真実と事実が攻撃されています。私たちに迫ってきた困難は重大です。いま行動しなくては手遅れになります」(聞き手 編集委員・大久保真紀)
     *
 Deborah E. Lipstadt 1947年生まれ。米エモリー大学教授。現代ユダヤ史とホロコーストについて教える。著書に「ホロコーストの真実」。

171127 一年前:6 013 内藤正典「となりのイスラム」(ミシマ社:2016)感想5

2017年11月27日 19時15分58秒 | 一年前
11月27日(月):
6 013 内藤正典「となりのイスラム」(ミシマ社:2016)感想5
11月26日(土):  副題「世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代」252ページ    所要時間 2:30     図書館著者60歳(1956生まれ)。専門は多文化共生......


171126 日刊ゲンダイ:後世の歴史家はどう総括するのか? 平成の終焉と安倍政権

2017年11月26日 21時42分35秒 | 時代の記憶
11月26日(日):
日刊ゲンダイ 文字起こし後世の歴史家はどう総括するのか? 平成の終焉と安倍政権  2017年11月25日 
    常に顔色をうかがい…(C)AP
  昨年8月の「生前退位」の意向をにじませた天皇の発言から1年余り。「2019年4月退位・5月1日改元」となる見通しが強まっている。
  明治維新から間もなく150年。今のところ、「平成」は、日本が対外戦争を一度も行わなかった唯一の時代だ。そして天皇は、多忙な行事の合間にも太平洋戦争の激戦地への「慰霊の旅」を続け、先の戦争で犠牲になった人々に対して、国籍を問わず、追悼・慰霊を繰り返してきた。
  政府は改元に先立ち、来年中に新元号を発表する方針だが、「平成」の看板を下ろした途端、この国の「非戦」と「平和」の時代は終焉を迎えるのではないか。そう思わせるニュースが相次いでいる。
  24日の日経新聞は1面トップで「日英、ミサイル共同開発」と報じた。両国政府は来年度、戦闘機に搭載する新型の空対空ミサイルの共同開発に乗り出すという。実射試験を経て量産に至れば、ドイツやフランスへの輸出も検討するというから、日本は国を挙げて「武器商人」に生まれ変わるわけだ。
  日本は戦後、長らく武器の輸出や共同開発を禁じた「武器輸出三原則」を掲げてきた。先の大戦への反省を踏まえ、国際社会に「平和国家」としてのブランドを築き上げてきたのだが、その長年の努力をあっさり捨て去ったのが、安倍政権だ。2014年4月の閣議決定で条件付きとはいえ、武器の輸出や共同開発を認めてしまった。

■後生に「戦争の始まり」と評価される瀬戸際
  この政権のやりたい放題は、まだある。今月20日には読売新聞が1面で「日本版トマホーク開発へ」との見出しで、政府が米国製トマホークの性能を超える国産巡航ミサイルの研究・開発を検討し始めたと報じた。すると、22日の参院本会議で安倍首相は、敵基地を巡航ミサイルなどで攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有について、「さまざまな検討を行う責任がある」と答弁。保有について含みを残した。
  10月の総選挙前まで安倍は「(保有の)検討を行う予定はない」としてきたのに、選挙が終わった途端に方針転換。日本版トマホークを開発・配備すれば、この国は明確に敵基地攻撃能力を保有することになる。安倍は集団的自衛権を巡る解釈改憲に続き、再び「敵基地攻撃能力は憲法上認められるが、専守防衛の観点から保有しない」としてきた従来の政府解釈を勝手に変えるつもりなのだ。
  ノンフィクション作家の保阪正康氏は総選挙の公示直前に毎日新聞で、「こんな内閣を持っていたら、私たちは50年、100年後の国民に指弾されるだろう」と断じていた。まさに選挙が終われば「勝てば官軍」の暴力政権によって、平和国家日本の根幹が「あれよあれよ」と破壊されていく現実は、将来の世代に大きな禍根を残すに違いない。政治評論家の森田実氏はこう言った。
  「1945年8月15日から平成の時代までの日本を、後世の歴史家は『民主主義を礎に平和を守った』と評価するはずです。そんな『偉大な時代』をブチ壊し、北朝鮮危機とトランプ米政権の圧力を利用して『戦争のできる国』へと着々と歩んでいるのが、今の安倍政権です。国民はまだ、先の総選挙こそ歴史的分岐点で、安倍自民の圧勝によって暗黒の側に転落したという自覚がないようですが、平成が終わりを迎える今の時代は、後世の歴史家から『戦前の始まり』と総括されても、おかしくありません」
  この国が非戦を貫いた「平成」の終焉は、平和な時代の崩壊を象徴しているかのようだ。
  
     1つの時代が終わる(C)日刊ゲンダイ

この5年で平和国家のブランドはズタズタに
  安倍は北朝鮮問題について、「必要なのは対話ではなく圧力」と強調し、「日米は100%共にある」とトランプ政権にベッタリ。来日したトランプ大統領に「日本が大量の武器を買うことが望ましい」と迫られると、「米国からさらに購入することになるだろう」と、やすやすと応じてしまった。
  すでに日本は米国と、戦闘機F35(1機147億円)計42機、輸送機オスプレイ(同約114億円)計17機などの購入契約を交わし、1基約800億円の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を2基導入する方針だ。
  こうした高性能で軍事機密性が高い最新兵器は、日本政府が米政府と直接契約する有償軍事援助(FMS)を通じて購入される。これがクセモノで、米政府が価格設定を主導し、交渉の余地は皆無に等しい。つまり、米国の「言い値」で武器を買わされているのだが、第2次政権の発足以来、米政府の言われるがままに米国製兵器の購入額を増やしてきたのも安倍だ。今年度のFMSの予算額は5年前の実に2.6倍にあたる3596億円に及ぶ。
  トランプとのトップ会談で、こんな不公平な取引に苦言を呈すどころか、安倍は「もっと買います」と宣言し、ひたすら「武器商人」にシッポを振りまくったのである。
  「北朝鮮との対話を閉ざし、米国の言い値で武器を“爆買い”すれば、この国に平和をもたらすのですか。むしろ、戦争の危機を近づけているように思えます。中韓両国との外交関係がこじれる中、『日本版トマホーク』を配備すれば、間違いなく両国は日本への警戒を強める。行き着く先は軍拡競争のチキンレースです。東アジア一帯は核保有国がありながら、安全保障を統治する国際機関が存在しません。世界でも例のない危険な地域であることを忘れてはいけません」(聖学院大教授・石川裕一郎氏=憲法・フランス法)

■何が何でも総裁3選を阻止しろ
  今年3月の秋田県男鹿市の訓練を皮切りに、国と自治体共催の弾道ミサイルの発射を想定した訓練が本格化。以降、20道県22市町で行われたミサイル訓練の想定は、全て上空通過で「Jアラート」を受信した場合の自主避難などにとどまっていたが、とうとう22日には長崎県雲仙市で日本の領土に着弾した想定での訓練が解禁された。
  訓練はいずれも北朝鮮の弾道ミサイルを念頭においたもので、こんな「戦争前夜」のような光景が当たり前になってきているのが、恐ろしい。前出の石川裕一郎氏が指摘する。
  「この5年間で安倍政権は特定秘密保護法や安保法制、共謀罪など、国民監視や対外戦争に道を開く憲法破壊の危険な法案を数の力に頼って強行採決を繰り返し、この国を戦争の脅威に近づけただけです。その総仕上げが9条改憲ですが、その結果、この国は戦後70年以上かけて築き上げた『平和国家』のブランドを失うことになる。戦後日本は唯一の被爆国として、核廃絶や人道主義を訴えることで国際的な信頼を勝ち取ってきましたが、安倍政権は国連の核兵器禁止条約に参加せず、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にも冷淡です。平和国家の印象ははげ落ち、日本が国連で核廃絶採決の決議案を提出しても、賛同国は激減しました。後世の歴史家は安倍内閣を『戦後日本の財産をかき消した政権』と評価すると思います」
  平成が2年後に終わっても、この危険な政権が続いていれば、この国はオシマイだ。平和国家から戦争国家に完全に変容し、この国が暗黒に転落した現実が誰の目にも明らかになってからでは、もう遅いのだ。
  「戦争の足音を遠ざけるためにも、来年9月の自民党総裁選が重要となります。それまでに平和主義の世論を高め、内閣支持率を劇的に下げて、安倍首相の3選を阻止しなければいけません。戦後70年以上も維持してきた平和と民主主義の時代を、平成後にそう簡単に明け渡すわけにはいかないのです」(森田実氏=前出)
  平成後も日本が平和を維持できるかは、国民の強い意志にかかっている。


↑↑2017年の東京写真記者協会賞グランプリに選ばれた東京新聞・沢田将人記者撮影の「沖縄の視線」

171125 倉重篤郎のサンデー時評 「権力私物化」のカラクリ! 前川喜平・前文科次官 加計学園問題を洗いざらい激白

2017年11月25日 00時18分21秒 | 時代の記憶
11月24日(金):    

サンデー毎日倉重篤郎のサンデー時評 「権力私物化」のカラクリ! 前川喜平・前文科次官 加計学園問題を洗いざらい激白  2017年11月21日
180分独占インタビュー
「安倍首相の関与」疑惑は深まった

  11月14日、加計学園の獣医学部が認可された。政権内部にいた立場から、この問題の根幹に関わる告発をした前川喜平前文科次官が、「安倍首相が関与したとしか思えない」すべての理由を語り、権力私物化の構造を明らかにする。独占インタビュー180分。倉重篤郎が迫る。
  人間とは忘れる動物である。忘却曲線で有名なドイツの心理学者エビングハウスの調査によると、実際どれぐらい忘れるかといえば、1時間後には50%弱、1週間後には25%弱くらいしか覚えていない、という。
  忘却とは忘れ去ることなり、という言葉もあった。1952年のNHKの連続ラジオ放送劇「君の名は」のナレーションの最初である。菊田一夫原作のこのドラマは、その放送時間に銭湯を空にしたというほどの人気だったという。毎回冒頭に朗読され、「忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」とつながった。こちらの方は忘れたくても忘れられない主人公、春樹と真知子の愛の物語であった。
  日本の民主主義は、今この忘却との闘いが始まっている、といったら大袈裟(おおげさ)であろうか。森友、加計(かけ)問題である。時の最高権力者が公平、公正であるべき国家行政で、自分の友達を結果的に優遇した、というこの二つの事件が表面化して10カ月ほどになろうか。
  この間、国会でさまざまな追及が行われてきた。だが、世の中の関心が最も高まった時に、この政権は野党側の憲法に基づいた臨時国会開会要求を黙殺し、冒頭解散という強権によって、疑惑隠しに走った。曰(いわ)く、「いつまでこんな後ろ向きな議論をしているのか」「選挙の勝利ですでに洗礼を受けた」云々(うんぬん)。いずれ国民が忘れてくれるだろう、それを待つしかない、というのが政権側の狙いであろう。
  だが、ここはへそ曲がりでありたい。しつこく問題にこだわろう。というのも、この問題が安倍晋三政権の本質に関わるものであるからだ。それは行政の私物化、そして権力の乱用ということになるだろうか。

決定的に間違った行政が行われた
  加計問題を政権内部にいた立場から告発した前川喜平前文科省事務次官に3時間インタビュー、問題の所在を改めて整理し直した。2回にわたり報告する。
  林芳正文科相が、11月14日、大学設置審議会の答申(10日)を受け、加計学園の獣医学部新設計画を認可した。その際、前川さんは「大きな汚点」「国政私物化の事実」という手厳しいコメントを出した。
  その真意は?
  「設置認可をしてしまったということは、私の言う行政のゆがみが引き返せないところまできた、ということだ。答申段階なら設置認可をしない余地があったが、大臣が認可したということは、決定的に間違った行政が行われた、ということになり、汚点が残された、といわざるを得ない」
  「林文科相がもうちょっとよくお考えになるべきだったと思う。本来、安倍首相が説明責任を負うべきところを林氏が文科相としてババを引いてしまった」
  順番に聞きましょう。まずは大学設置審議会の答申をどう見るか?
  「設置審というのは、最低基準に照らして認可できるかどうかを判断するところだが、その最低基準をクリアするのにも四苦八苦した印象だ。かなり下駄(げた)をはかせたのではないか。まずは教授陣。入学した学生が卒業するまでにぞろぞろ定年を迎えるような年齢構成だ。資金計画も甘い。今治市から96億円の補助金が確定的に入るという前提になっている。文科省の事務方が設置審の専門委員会を誘導した形跡がある」
  その答申から大臣認可までたったの4日。もっと時間をかけるべきだった?
  「加計学園獣医学部構想について具体化した姿をチェックする好機だったからだ。獣医学部新設が妥当かどうか、の判断基準は二つあった。2015年6月に閣議決定された、いわゆる石破(茂・地方創生相・国家戦略特区担当=当時、以下同が策定した(1)既存の獣医師養成でない構想が具体化(2)新たな分野のニーズがある(3)既存の大学では対応困難(4)獣医師の需給バランスに悪影響を与えない―ことを認可の前提とした)4条件。もう一つが国家戦略特区法の目的にかなっているか、という観点だ」
  「4条件からみてどうか。あるいは法に照らして国際教育の拠点になりうる代物かどうか。今なら検証できる。カリキュラムも施設もはっきりしているし、どういう先生が何を教えるのかもわかっている。国家戦略特区諮問会議で議論した昨年の時点では、皆目わからなかったもの、紙にしか書いていなかったものが、今は具体的な姿になって明らかにされている。文科相はそこを確認した上でなければ認可すべきではなかった。というのは、文科相も首相も、閣議決定の4条件になお縛られているからだ」
  「結論から言えば、加計学園獣医学部は、国家戦略特区で特例を認めるような代物ではなかった。本来設置認可すべきでなかったものを認可してしまった」
  「大学設置の認可権限というのは、国民の代表者が作った法律に基づいて、政府が国民から預かっている神聖なる権限だ。誠実に執行せねばならず、私的に乱用されてはならないものだが、加計学園のケースは、これが私的利益のために乱用された。これは行政の私物化以外の何物でもない」
  行政の私物化?
  「行政本来のあるべき姿を違(たが)え、不公正と不公平があった、ということです」
  「不公正というのは、閣議決定した先の4条件、国家戦略特区法にある目的に照らしたきちんとした審査が行われていなかったこと」
  国家戦略特区諮問会議のワーキンググループの民間議員たちは一点の曇りもない審査をしたという。
  「民間議員は、文科省が4条件に違反するということを証明しなかった、と言う。挙証責任は文科省にあるという間違った前提に立ち、文科省がそれをできなかった、従って、4条件はクリアされたものとする、というものだ。この理屈は通らない。政府全体としてやるべきことを文科省に押し付けている。むしろ、ワーキンググループに設置審の専門委員会のようなものを置き、獣医学会推薦の有識者や専門家を呼んで、加計学園の獣医学部構想を評価してもらうこともできたはずだ。素人が説明し、素人が判断した。正当な審査をしていない」
  「不公平というのは、もう一校、獣医学部新設のプランを出してきた京都産業大学との関係だ。こちらはほとんど実質的な審査をしなかった。京大のiPS細胞研究所とタイアップする、というそれなりに立派な構想だった。国家戦略特区法が求める国際的な競争力はむしろ京産大の方があったかもしれない。それを『広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限る』『30年4月開学可能なものに限る』という条件をつけ、極めて恣意(しい)的に京産大を排除した」

なぜ獣医学部新設にこだわったのか
  不公正、不公平行政の動機は、初めに加計ありき?
  「加計学園は、自分のところが認められるという確たる自信があった。だから、教員集め、施設整備も今年1月20日(国家戦略特区諮問会議での加計学園申請)の正式決定を待たずに前倒しでスタートできた。昨年の10月にはボーリング調査をしている。自信を持ってフライングできた。初めから加計学園の獣医学部を作れるようにしますよ、という何らかの約束があったとしか考えられない」
  誰が誰に約束した?
  「濃厚に疑われるのは、安倍さんが加計さんに約束した、ということではないか。加計学園はワンマン経営が定評で、加計孝太郎理事長以外、計画にゴーサインを出せる人はいない」
  「これは後から私も知った話だが、15年4月2日、今治市の職員が、首相官邸を訪れている。柳瀬唯夫首相秘書官(経産省出向、17年7月から経済産業審議官)が面談したと言われている。本人は『記憶にございません』と国会で答弁したが、今治市の職員が官邸を訪問したことは出張記録(現在は不開示扱い)で明らかになっている。そこで1時間半もいたのに誰がどんな話をしたのか政府側は一切説明しないが、私は、国家戦略特区で提案してくださいというキックオフ会合だったと思う」
  「というのも、この獣医学部構想は07年以降15回提案され、すべてはねられてきた。構造改革特区で申請したからだ。それではいくらやってもダメ、国家戦略特区でやってください。そうして、うまく説明さえできれば認可されますよと。こういう知恵をつけた人がいると思う。2カ月後の15年6月、今治市は国家戦略特区で申請し直した」
  「構造改革特区は地域限定で規制緩和の実験をして、それがうまくいくようであれば全国化する、という制度。小中学校、あるいは高校クラスであれば地域限定の実験になるが、大学獣医学部のような生徒も教師も全国にまたがるような構想には合わない。文科省が15回もはねたのもそれが理由だった。国家戦略特区はそうではない。国家戦略として国が指定、特別に規制緩和して、他の地域ではできないことをやらせるシステムだ。国際競争力強化、国際拠点形成といった目的にかなうという作文さえうまくできれば前に進めることができてしまう」
  15回の申請。なぜ加計氏はそこまで獣医学部新設に執着したのか?
  「加計さんに聞かねばわからない。ただ、獣医学部は必ずもうかる。なぜかというと規制があるからだ。規制が完全に撤廃されたら、いずれ他の参入者が出てきて競争が激化し、もうからなくなる。獣医学部は全体としての新設規制がかかったままだから希少価値がある。その中で一校だけ新たに作っていいということは規制緩和というより、特権の付与といえる」
  「規制のかかっていない薬学部と比較するとわかりやすい。最低基準を満たしていれば認可してきたので、過当競争気味だ。定員割れや学力低下で薬剤師の国家試験に受からない、ということが重なり、経営が火の車になっているところもある。獣医学部の方は規制があるから一校だけ参入すればかならずもうかる」
  そんなにもうかる?
  「授業料が年間300万から400万円。卒業まで6年間で1人当たり2000万円ぐらいかかる。学校側は確実な収入としてあてにすることができる」
  獣医のニーズはないが、獣医学部のニーズはある?
  「獣医になりたいという人は多い。国立大獣医学部だと競争率10倍、私大でも3倍はある。親の後を継ぐなど獣医になりたくて二浪三浪している学生も多い」
  「加計学園は拡大路線が裏目に出ている部分もある。獣医学部をぜひとも作りたかったんだと思う」

「最高レベル」とはやはり「総理」では
  加計さんが安倍さんに直接頼んだのだろうか?
  「そこは想像しかできない。だが、状況証拠からはありうるとは思う。加計さんがお願いして安倍さんがわかった、と。そして安倍さんの指示なのか、示唆なのか、お願いなのか、あるいは独り言なのかわからないが、自分の意思を周辺に伝えていると思う。周りの人間が勝手に慮(おもんぱか)って忖度(そんたく)しただけとは考えにくい」
  「というのも、安倍氏周辺の人が揃(そろ)って加計学園の獣医学部を作るために動き始めている。昨年10月ごろ、『30年4月開設』という方針を繰り返し文科省に言ってきた。とにかく早くしろと。私は和泉(いずみ)洋人補佐官から、常盤(ときわ)豊高等教育局長は萩生田光一官房副長官から、浅野敦行専門教育課長は内閣府の藤原豊審議官からと、3ルートで伝わってきた」
  「私は和泉補佐官から『総理は自分の口から言えないから私が代わって言う』と言われた。それを聞けば、総理の意向なのだということがわかる。私の記憶だけだが、めったにない表現だから記憶に鮮明に残った」
  日記は書いてない?
  「書いてません。ただ、藤原審議官が浅野課長に2回にわたり伝えたことは紙に残っていた。30年4月開設を大前提に最短のスケジュールと作れということを文科省に投げてきた。その際に、これは官邸の最高レベルが言っていることだ、と。(最高レベルは)むしろもっと激しいことを語っている、とも言っている。官邸の最高レベルとはやはり首相と考えざるを得ない」
  もっと激しいこととは?
  「わかりません。何が何でも30年4月に開設するんだ、といっているのかもしれない。もう一回は、30年4月といってもそんな急ぐのか、もう一回聞いてこい、と時の松野博一文科相も言い、そこで浅野課長が藤原審議官にもう一回会ったところ、藤原氏が、30年4月は動かせない、これは総理のご意向と聞いている、と言っている。安倍さんご本人は自分が指示した証拠はないと言われるが、私からするとこれらは(安倍氏本人が指示したという)極めて濃厚な状況証拠だと思う」
×  ×  ×
  前川氏の発言を読者はどう受け止められるか。自分は全く関与していない、行政がしかるべく手続きを踏んで決めたことだ、周りに忖度があったかどうかについては承知していない、というのが安倍氏のスタンスだが、前川氏はここを一歩踏み込んで、安倍氏関与説を展開した。前川証言はなお続く。
(以下次号)
くらしげ・あつろう
 1953年、東京都生まれ。78年東京大教育学部卒、毎日新聞入社、水戸、青森支局、整理、政治、経済部。2004年政治部長、11年論説委員長、13年専門編集委員
まえかわ・きへい
 1955年生まれ。前文科省事務次官。文科省官房長、初等中等教育局局長、文部科学審議官などを歴任。加計問題を巡り「総理のご意向」を示す文書の存在を明言した

171123 大阪市とサンフランシスコ市の60年の姉妹都市関係解消に反対する!市長に友好の歴史を否定する権利はない。

2017年11月23日 23時58分13秒 | つぶやき
11月23日(木):

大阪市とサンフランシスコ市の60年の姉妹都市関係解消に反対する!市長に友好の歴史を否定する権利はない。

ヒステリックで短絡的な判断が「大坂維新の会」の持ち味かもしれないが、そんな下らないもののために海外の一流都市との60年にわたる友好関係が反故にされて良いわけがない!。

従軍慰安婦は、日本国内の歴史修正主義者にとっては「無かった」ことになってるのかもしれないが、それは決して日本人全体の歴史認識ではない。「従軍慰安婦はなかった」という歴史修正主義者の恥ずべき思い込みだけで、60年間培ってきたサンフランシスコ市との友好関係を反故にすることなど断じて許されることではない!

7 021 佐藤優「読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門」(東洋経済新報社:2012)感想4+

2017年11月22日 01時27分43秒 | 一日一冊読書開始
11月21日(火):  

280ページ    所要時間5:20     アマゾン682円(425+257)

著者52歳(1960生まれ)。作家・元外務省主任分析官。と言ってもノンキャリである。そこがすごい!

4度目。前回は2015.12.17である。今回はあまり面白い読書にはならなかった。ただただ著者の規格外のすごさを再認識した。世の中、こういうスケールの人がいるのだ。周りを気にしてオタオタ生きてるのが馬鹿らしくなる。

述べられている内容は極めて当たり前のことである。ただ、その背景が極めて広範で深いのだ。特に、高校での教科を教養の基礎として強調していたのは、齋藤孝と共通していた。これは俺も同意できる。

俺たちの世代は戦後教育で、最も詰め込み教育をされた世代であり、国立大学に行くためには理科社会各2科目、計5教科7科目やらなければならなかった。現役の時、日本史・世界史、生物・化学を取って頭脳爆発の危機に陥った俺は、世界史を倫理社会に変えて、何とか大学にもぐりこんだ。それでも文学部なのに数学は数ⅡBまできっちり受験科目だった。今とは時代が違うとはいえ、振り返れば、大変な受験勉強だった。

その後の人生で、5教科7科目や数ⅡB、さらに物理・地学、地理・政治経済が損得的視点で直接すごく役に立ったということはないが、自分自身の教養の翼をあらゆる方面に向けることができてやっぱり「詰め込み教育の何が悪い!?ぎゅうぎゅうに詰め込まれた知識があるレベルを越えると自然にくっ付いたり離れたりして勝手に創造的な知的活動を始めるのだ!スカスカの頭にゆとりは要らんやろ!教育の平等ってのは、<詰め込み教育>にこそあるのであって、<ゆとり教育>は差別教育、貧困切り捨て教育やろ!」って俺は確信している。

「本は借りて読むものではない。本はどんどん書き込みをして汚せ!」というのも齋藤孝と同じことを言ってたし、俺も同じである。読書家の思いというのは共通だと思った。

読後、アマゾンで著者の「自壊する帝国」(新潮社:2006)を258円(1+257)で発注した。

以下、前回分を掲載する。

「5 040 佐藤優「読書の技法 熟読術・速読術「超」入門」(東洋経済新報社:2012)感想4」
                   2015年12月18日 01時01分57秒 | 一日一冊読書開始
12月17日(木):    副題は「誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門」

279ページ  所要時間 4:30    アマゾン 682円(425円+257円)

著者52歳(1960生まれ)。作家・元外務省主任分析官。

3度目。今回は完全な失敗読書になった。読書時間は長めだが、一週間以上かかっている。読み継ぐ際、前の部分をざっと眺め直しているが、感想を書くことが困難である。やはり本は多少無理をしてでも勢いで一気に読み切ってしまうべきだと思う。

端倪すべからざる著者の力量を思い知りつつ、今一つまとまった達成感を得られなかった。忙しかったこともあるが、こんな読書をしていてはまずい、と思う。

・がっついた若手ビジネスパーソンはせっかちな人が多い。教科書を読んで理解しようとする。しかし数学や外国語(あるいは古文や漢文)を、教科書や参考書を読むだけで理解することは不可能だ。これらの勉強は、体で覚える技術(ギリシア語でいうテクネー)の要素があるからだ。196ページ
  *このテクネーへの掘り下げた言及は、本書の重要な値打ちの一つであろう。(もみ)

以下、前回、前々回の分を掲載する。
「4 078 佐藤優「読書の技法 熟読術・速読術「超」入門」(東洋経済新報社:2012) 感想4+」
2015年05月14日 00時10分36秒 | 一日一冊読書開始
5月13日(水):
279ページ  所要時間 3:05    アマゾン 682円(425円+257円)
著者52歳(1960生まれ)。作家・元外務省主任分析官。
  2度目。前回読んだ時は、図書館の本だったのでかなり口惜しい気分になったが、今回は蔵書なので付箋と線引きを存分にして読めたのは良かった。流し読みなので感想4+は仕方がない。それでもスゴ味のある内容の本である。ただ、俺自身にとって内容への関心の濃淡はあった。
  著者が「鳩山氏は「宇宙人」と揶揄されることが多いが、第一級の知識人である。202ページ」とした上で、政治家としての鳩山元総理を高く評価し、沖縄県辺野古基地移設問題でも数学的発想で行おうとしていたと理解を示し、かなりのページを割いて弁護していたのが印象的だった。俺の鳩山元総理観が間違っていないことを思わぬ機会に確かめることになった。前回の読書では、あまり記憶に残っていない部分が今回は印象に残った。
  村上春樹「1Q84」の二つの月の話題やチェコスロバキアの作家ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」(河出書房新社)を取り上げて、沖縄の基地問題&沖縄差別を論じている(227~237ページ)のを確認して、自ら国家主義者と称する著者が、最近「辺野古基金」の共同代表になった思いの源を理解できた気がした。
  著者が薦める「国体の本義」(文部省:1937)は、いつか読みたいと思った。
前回の分:
「3 105 佐藤優「読書の技法」(東洋経済新報社;2012)感想5」
2014年05月18日 02時29分21秒 | 一日一冊読書開始
5月17日(土):副題「誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門。
279ページ  所要時間 4:15    図書館
  著者52歳(1960生まれ)。作家・元外務省主任分析官。鈴木宗男事件に連座して検察の追及を受け、500日超の長きにわたり不当な拘留を受けた後、外交官から作家に転身。
  「3 041 佐藤優「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮文庫;2005、2007) 感想5 2013/12/22」を読んで以来、著者に対する俺の印象は「途方もない器の人間というのが世の中にはいるものである」というものである。2005年の作家転身以後の旺盛で内容の充実した活動には感心しつつ憧れをもっている。
  本書も、2年前書店で立ち読みしたとき、欲しくて欲しくてしようがなかった。その思いを忘れた頃になって、今日図書館で偶然本書を発見したのだ。即決で借りた。読み始めると、立ち読み時に感じたマニュアル本的要素がいまいち弱く感じて失望し評価4だったが、読み進むに従ってロシア語、英語、ドイツ語、朝鮮語、アイルランド語など多言語を扱い原書を話題にする能力、膨大な読書量だけでなく、著者の言葉は具体的で、全く奇をてらったり、衒学的なところがなく、落ち着いていて、かえって控え目なぐらいの語り口なのに取り上げられる専門書のレベルの高さに驚かされた。また、読書にとって高校レベルの基礎教養の重要性を語り、勉強のやり直し方を紹介する内容の説得力があった。
  <熟読>は、いまいちだが、5分間の<超速読>と30分読書+30分まとめの<速読>は是非実践に生かしたい。
  何やら著者のスケールが大き過ぎて輪郭を捉えられなくなったか、と思うと「(52歳の)自分の人生はあと20年だから全然足りないからこそ大事にする」旨の自己の生の有限性への表明があり、己を知る<地に足のついた知の巨人>を感じさせられてしまった。
  読了したら、感想5になっていた上に、「数IA・IIB・IIICがこの1冊でいっきにわかる もう一度 高校数学」高橋一雄 (著)日本実業出版社 (2009/7/16) 定価3024円をアマゾンで注文(1875円;1618円+257円)してしまっていた。数学をもう一度やり直したい、と思いつつ良い参考書が思いつかなかったので、著者の紹介に乗ってしまったのだ。
  一読で終われる本ではない。そばに置いて何度も読み返したくなる内容だが、悲しいかな図書館の本である。
※以下、アマゾンHPより:
目次:【第I部 本はどう読むか】第1章 多読の技法――筆者はいかにして大量の本を読みこなすようになったか
第2章 熟読の技法――基本書をどう読みこなすか
第3章 速読の技法――「超速読」と「普通の速読」
第4章 読書ノートの作り方――記憶を定着させる抜き書きとコメント
【第II部 何を読めばいいか】第5章 教科書と学習参考書を使いこなす――知識の欠損部分をどう見つけ、補うか
【世界史】【日本史】【政治】【経済】【国語】【数学】
第6章 小説や漫画の読み方
【第III部 本はいつ、どこで読むか】 第7章 時間を圧縮する技法――時間帯と場所を使い分ける
【特別付録】本書に登場する書籍リスト
内容紹介(一部):月平均300冊。多い月は500冊以上! 佐藤流「本の読み方」を初公開! /冒頭カラーページでは、著者の仕事場や本棚の中身、本やノートの書き込みの写真も掲載!
●佐藤流「熟読」の技法―どうすれば難解な本を読みこなせるか?
・知りたい分野の本は3冊買って、まずは真ん中から読む
・本全体にシャーペンで囲みを作り、重要箇所を抜き書きした「読書ノート」をつくる
・熟読の要諦は、同じ本を3回読むこと。基本書は最低3回読む
●佐藤流「速読」の技法―どうすれば大量の本を速読できるか?
・1冊5分の「超速読」と30分の「普通の速読」を使いこなす
・「超速読」で、読むべき本の仕分けと、本全体の中で当たりをつける
・「普通の速読」は「インデックス」をつける読み方。新聞の読み方を応用する
●佐藤流「教科書や学習参考書」「小説や漫画」の実践的な読み方
・読書の要は「基礎知識」。基礎知識のない本は、速読しても指の運動にしかならない
・基礎知識を身につける最高の本は、じつは高校の教科書と学習参考書
・小説や漫画は「娯楽+代理経験+社会の縮図・人間と人間の関係の縮図」として読む
著者の読書術を初めて完全体系化!
巻末には特別付録「本書に登場する書籍リスト」付き!


171119 111万PV超: 一年前:161119 近況:録画撮りの「逃げ恥」を飽きることなく観ている。知には記憶があるが、情には記憶がない(故桂枝雀師)。

2017年11月20日 17時49分37秒 | 閲覧数 記録
11月19日(日):  記録ですm(_ _)m。ブログの開設から2234日。  

アクセス:閲覧 781PV/訪問者 192IP

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ランキング:4,961位 / 2,783,427ブログ中  週別 5,115位

161119 近況:録画撮りの「逃げ恥」を飽きることなく観ている。知には記憶があるが、情には記憶がない(故桂枝雀師)。
11月19日(土):       今年は仕事が忙し過ぎる。初老の身を思えば、仕事の量と負担が重過ぎるのだ。今の世で奇跡的に自分の専門性を生かせる仕事に就けているのだから我慢すべ......


7 020 齋藤孝「読書力」(岩波新書:2002)感想4+

2017年11月19日 04時04分55秒 | 一日一冊読書開始
11月18日(土):  

210ページ    所要時間4:10     蔵書

著者42歳(1960生まれ)。静岡県生まれ。1985年東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授

本書はある意味著者の原点のような内容の本だと思う。思いのたけが精一杯書き込まれている。そして、その一つ一つに読書好き(であるべき)を任ずる俺には好もしく共感同意できる内容だった。テキストとして本書を薦める。特に著者の読書に対する教条的ではない柔軟な考え方には強く共感した。
読んだということの基準をあまり厳しくすると、本をたくさん読みにくくなるからだ。略。半分以上読んで内容を理解していれば、それは十分に読んだということになるし、二割程度の分量を読んで八割の内容をつかめば、それは読書上手と言える。二割の分量ではさすがに読んだとまでは言えないかもしれないが、半分以上を読み、内容把握ができていれば十分ではないだろうか。略。読んだという基準を多少ゆるめに設定することで、本をめぐる会話が活性化する。19ページ
全頁を素早く読み続ける技術よりも、本の中で大切なところがどこかを判断できる方が大切だ。/一冊の本の中でも、スピードの切り替えを行うことも多い。略。時には飛ばし読みをしても構わないと私は思う。略。世の中には読まなければいけない本はたくさんある。どこが自分に深く関係するのかを素早く判断しながら、「緩急をつけて読む技」を習得するのが合理的な読書の仕方だ。146ページ
本は必ずしも全部読まなければいけないというものではない。略。全部読み切らなければいけないと思うから、読書が進まなくなる。印象に残る一文を見出すという意識で読むのも、読書を進みやすくするコツだ。199ページ

【何故か詳しいアマゾンの内容紹介】著者の齋藤孝さんは、1960年生まれの明治大学助教授ですが、続編も刊行されて、ますます話題の『声に出して読みたい日本語』(草思社)で、いま最も活躍されている方の一人です。『三色ボールペンで読む日本語』(角川書店)、『理想の国語教科書』(文藝春秋)なども大好評ですが、その齋藤さんが「自分が最も語りたかったこと」を、新書で書き下ろしてくださいました。 / これまでの著書で、新鮮な発見・大胆な方法を提示したものとすると、今度の新書は、「本を読むこと」の本質的な意味を根本から説こうというものです。 /  もちろん、堅苦しいものではありません。「読書力」という時代のキーワードになってほしい言葉を、様々な角度から意味づけます。これまで読んだ経験から「力」をはかるときの目安、学生・社会人を問わず、現代社会に必要な「要約力・コメント力」との関わり、などが、読みやすい文章で、また大きな活字で、一冊に入っています。「コミュニケーション力」の基礎として読書力をとらえたところは、読み応え充分です。 /  読書は「好きかどうか」で「力」なんて、とおっしゃる向きもあるかもしれませんが、「一人になる時間の大切さを知る」という一節を読んでいただくと、読書の素晴らしさを、さらに深く理解していただけるのではないかと思います。
  本書は4部構成に、付録がつきます
序 読書力とは何か:著者がなぜこうした提唱をするのか、思いのたけが述べられます
I  自分をつくる――自己形成としての読書
II  自分を鍛える――読書はスポーツだ
III 自分を広げる――読書はコミュニケーション力の基礎だ
  この三つの章では、一節ずつ読みきれるようなスタイルで、それぞれのテーマに即したメリハリのある文章が続きます。
文庫百選 「読書力」おすすめブックリスト :「まずは気楽に本に慣れてみる」にはじまって「こんな私でも泣けました」まで、14のグループに分けた、文庫100タイトルが巻末についています。名著案内だけではなく、個性的な本との出会いもできるものです。


【目次】 序 読書力とは何か(「本を読む読まないは自由」か/読書してきた人間が「本は読まなくてもいい」というのはファウル ほか)/1 自分をつくるー自己形成としての読書(複雑さを共存させる幅広い読書/ビルドゥング(自己形成としての教養) ほか)/2 自分を鍛えるー読書はスポーツだ(技としての読書/読み聞かせの効用ーステップ1 ほか)/3 自分を広げるー読書はコミュニケーション力の基礎だ(会話を受けとめ、応答する/書き言葉で話す ほか)

【内容情報】本を読むことの意味は何?案外答えにくい問いに、「読書によって…の力がつく」という形で考え、コミュニケーションの力、人間を理解する力との関わりを示します。自分をつくり、鍛え、広げることが、読書とどう結びついているかを述べて、あらためて読書の本質を見つめます。心に残るフレーズ、工夫の手がかりも満載です。
【文庫100タイトル】
まずは気楽に本に慣れてみる :北杜夫『どくとるマンボウ青春期』新潮文庫/町田康『くっすん大黒』文春文庫/椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ』新潮文庫/『O・ヘンリ短編集』新潮文庫(大久保康雄訳)/内田百聞『百鬼園随筆』新潮文庫/『古典落語』講談社文庫(興津要編)/森鴎外『山椒大夫・高瀬舟』新潮文庫/菊池寛『恩讐の彼方に・忠直卿行状記』岩波文庫
この関係性は、ほれぼれする :山本周五郎『さぶ』新潮文庫/スタインベック『ハツカネズミと人間』新潮文庫(大浦暁生訳)/スティーブン・キング『スタンド・バイ・ミー』新潮文庫(山田順子訳)/幸田文『父・こんなこと』新潮文庫/サローヤン『パパ・ユーア・クレイジー』新潮文庫(伊丹十三訳)/大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』
味のある人の話を聞く :宮本常一『忘れられた日本人』岩波文庫/宇野千代『生きて行く私』角川文庫/白洲正子『白洲正子自伝』新潮文庫/野口晴哉『整体入門』ちくま文庫/エッカーマン『ゲーテとの対話』岩波文庫(山下肇訳)/小林秀雄『考えるヒント』文春文庫/福沢諭吉『福翁自伝』岩波文庫
道を極める熱い心 :吉川英治『宮本武蔵』講談社文庫/志村ふくみ『色を奏でる』ちくま文庫/ロマン・ロラン『ベートーヴェンの生涯』岩波文庫(片山敏彦訳)/棟方志功『坂極道』中公文庫/『ゴッホの手紙』岩波文庫(石谷伊之助訳)/司馬遼太郎『世に棲む日日』文春文庫/『宮沢賢治詩集』岩波文庫/栗田勇『道元の読み方』祥伝社黄金文庫
ういういしい青春・向上心があるのは美しきことかな :藤原正彦『若き数学者のアメリカ』新潮文庫/アラン・シリトー『長距離走者の孤独』新潮文庫(丸谷才一・河野一郎訳)/浮谷東次郎『俺様の宝石さ』ちくま文庫/藤沢周平『蝉しぐれ』文春文庫/トーマス・マン『魔の山』新潮文庫(高橋義孝訳)/井上靖『天平の甍』新潮文庫/ヘッセ『デミアン』新潮文庫(高橋健二訳)
歯ごたえのある名文 :中島敦『山月記/李陵』岩波文庫/幸田露伴『五重塔』岩波文庫/樋口一葉『にごりえ/たけくらべ』岩波文庫/泉鏡花『高野聖/眉かくしの霊』岩波文庫/『歎異抄』岩波文庫/ニーチェ『ツァラトゥストラ』中公文庫(手塚富雄訳)/川端康成『山の音』岩波文庫
厳しい現実と向き合う強さ :辺見庸『もの食う人々』角川文庫/島崎藤村『破戒』岩波文庫/井伏鱒二『黒い雨』新潮文庫/
石牟礼道子『苦海浄土』講談社文庫/ジョージ・オーウェル『1984年』ハヤカワ文庫(新庄哲生訳)/梁石日『タクシー狂躁曲』ちくま文庫/大岡昇平『野火』新潮文庫
死を前にして信じるものとは :三浦綾子『塩狩峠』新潮文庫/深沢七郎『楢山節考』新潮文庫/柳田邦男『犠牲』文春文庫/遠藤周作『沈黙』新潮文庫/プラトン『ソクラテスの弁明/クリトン』岩波文庫(久保勉訳)
不思議な話 :安部公房『砂の女』新潮文庫/芥川竜之介『地獄変/邪宗門/好色/薮の中』岩波文庫/夏目漱石『夢十夜』岩波文庫/蒲松齢『聊斎志異』岩波文庫(立間祥介編訳)/ソポクレス『オイディプス王・アンティゴネ』新潮文庫(福田恆存(つねあり)訳)
学識があるのも楽しい :和辻哲郎『風土』岩波文庫/ルース・ベネディクト『菊と刀』現代教養文庫(長谷川松次訳)/大野晋『日本語の年輪』新潮文庫/柳田國男『明治・大正史 世相編』講談社学術文庫/コンラート・ローレンツ『ソロモンの指輪』ハヤカワ文庫(日高敏隆訳)/『ジンメル・コレクション』ちくま学芸文庫(北川東子編訳、鈴木直訳)/山崎正和『不機嫌の時代』講談社学術文庫
強烈な個性 :シェイクスピア『マクベス』新潮文庫(福田恆存(つねあり)訳)/坂口安吾『坂口安吾全集4「風と光と二十の私と」ほか』ちくま文庫/パール・バック『大地』新潮文庫(新居格訳・中野好夫補訳)/シュテファン・ツワイク『ジョゼフ・フーシェ』岩波文庫(高橋禎二・秋山英夫訳)/ゲーテ『ファウスト』中公文庫(手塚富雄訳)/ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』新潮文庫(原卓也訳)/アゴタ・クリストフ『悪童日記』ハヤカワepi文庫(堀茂樹訳)/塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』新潮文庫
生き方の美学 :向田邦子『父の詫び状』文春文庫/リチャード・バック『かもめのジョナサン』新潮文庫(五木寛之訳)/藤原新也『印度放浪』朝日文庫/村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』中公文庫/マックス・ヴェーバー『職業としての政治』岩波文庫(脇圭平訳)/九鬼周造『「いき」の構造』岩波文庫/石原吉郎『望郷と海』ちくま学芸文庫/サン・テグジュペリ/『人間の土地』新潮文庫(堀口大學訳)/須賀敦子『ヴェネツィアの宿』文春文庫/谷崎潤一郎『陰翳礼賛』中公文庫
はかないもの :中勘助『銀の匙』岩波文庫/デュマ・フィス『椿姫』新潮文庫(新庄嘉章訳)/チェーホフ『かもめ・ワーニャ伯父さん』新潮文庫(神西清訳)/太宰治『斜陽』新潮文庫/ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』集英社文庫(千野栄一訳)/トルストイ『アンナ・カレーニナ』新潮文庫(木村浩訳)
感動もの :高史明『生きることの意味 ある少年のおいたち』ちくま文庫/宮本輝『泥の河・蛍川・道頓堀川』ちくま文庫/灰谷健次郎『太陽の子』角川文庫/藤原てい『流れる星は生きている』中公文庫/井村和清『飛鳥へ、まだ見ぬ子へ』祥伝社黄金文庫/竹内敏晴『ことばが劈(ひら)かれるとき』ちくま文庫/林尹夫『わがいのち月明に燃ゆ』ちくま文庫
おまけ :『いしぶみーー広島二中一年生全滅の記録』ポプラ社文庫/『ギルガメシュ王ものがたり』

7 019 広島大学101冊の本委員会編「大学新入生に薦める101冊の本 新版」(岩波書店:2009)感想4

2017年11月15日 23時30分05秒 | 一日一冊読書開始
11月15日(水):  

268ページ    所要時間6:05     アマゾン505円(248+257)

それなりに充実した内容の本だった。最後の第六章 本の買い方・選び方が「馬鹿か?!」という下らなさだったので、感想4になった。第六章が無ければ、感想は4+か5だったと思う。

【目次】はじめに *こころにのこる言葉
第1章 教養への誘い :読書から始まる/長田弘  君たちはどう生きるか/吉野源三郎  自分のなかに歴史をよむ/阿部謹也  モモ/エンデ  シーシュポスの神話/カミュ  自由論/ミル  ラッセル幸福論/ラッセル  日本の詩歌/大岡信  近代日本人の宗教意識/山折哲雄  この国のかたち/司馬遼太郎  ことばと国家/田中克彦  多文化世界/青木保  世界史とわたし/梅棹忠夫  知的複眼思考法/苅谷剛彦  科学者という仕事/酒井邦嘉  こころにのこる言葉
第2章 人間の記録 :*人生とは何か  安土往還記/辻邦生  蝉しぐれ/藤沢周平  遠き落日/渡辺淳一  津田梅子/大庭みな子  人生は廻る輪のように/キューブラー=ロス  傍観者の時代/ドラッカー  あなたは私の手になれますか/小山内美智子 *自らを語る フランクリン自伝/フランクリン  カーネギー自伝/カーネギー  チャップリン自伝/チャップリン  ガンジー自伝/ガンジー 福翁自伝/福沢諭吉  高橋是清自伝/高橋是清  突破者/宮崎学  ジャズと生きる/穐吉敏子   *生と死 沈黙/遠藤周作 忘れられた日本人/宮本常一  武士道/新渡戸稲造  犠牲(サクリファイス)/柳田邦男  *知に生きる 南方熊楠/鶴見和子  清沢洌/北岡伸一  旅人/湯川秀樹  果てしなき探求/ポパー  市民科学者として生きる/高木仁三郎  マサリクの講義録/マサリク  *こころにのこる言葉
第3章 パラダイムを超えて  : *知の誕生  ユーザーイリュージョン/ノーレットランダーシュ  脳のなかの幽霊/ラマチャンドランほか  ゲーデル,エッシャー,バッハ/ホフスタッター  うぬぼれる脳/キーナンほか  *科学の誕生  セレンディピティー/ロバーツ  物理学はいかに創られたか/アインシュタイン&インフェルト  ご冗談でしよう,ファインマンさん/ファインマン  部分と全体/ハイゼンベルク  DNA/ワトソン  ポアンカレ予想を解いた数学者/オシア  ノーベル賞ゲーム/丸山工作  *進化について  ことばの考古学/レンフルー  銃,病原菌,鉄/ダイアモンド  生物進化を考える/木村資生  生命と地球の歴史/丸山茂徳・磯行雄  *パラダイム・シフト  科学革命の構造/クーン  オリエンタリズム/サイード  監獄の誕生/フーコー  生成文法の企て/チョムスキー  人生越境ゲーム/青木昌彦  フェルマーの最終定理/シン  *こころにのこる言葉
第4章 戦争と平和への希望  :*戦争の傷跡  きけわだつみの声/日本戦没学生記念会  野火/大岡昇平  夏の花/原民喜  アメリカひじき・火垂るの墓/野坂昭如  ワイルド・スワン/ユン・チアン  夜と霧/フランクル  玉ねぎの皮をむきながら/グラス
*敗北とむきあう 荒れ野の40年/ヴァイツゼッカー  敗北を抱きしめて/ダワー  敗戦後論/加藤典洋
*ヒロシマ・ナガサキ,そしてチェルノブイリ  爆心/青来有一  広島 記憶のポリティクス/米山リサ  カウントダウン・ヒロシマ/ウォーカー  希望のヒロシマ/平岡敬  「チェルノブイリ」を見つめなおす/今中哲二・原子力資料情報室   *平和をつくる手がかり  音楽と社会/バレンボイム&サイード  ムハマド・ユヌス自伝/ユヌス  トットちゃんとトットちゃんたち/黒柳徹子  医者,用水路を拓く/中村哲  平和のつくり方/国連ボランティア計画  *こころにのこる言葉
第5章 現代の重要問題  :*混迷する「現代」 1984年/オーウェル  石の叫びに耳を澄ます/板垣雄三  アフリカ/ゲスト  アメリカ帝国への報復/ジョンソン  アメリカン・マインドの終焉/ブルーム  マルチチュード/ネグリ&ハート  *危機に立つ地球
  沈黙の春/カーソン  百億の星と千億の生命/セーガン  地球温暖化を防ぐ/佐和隆光  不都合な真実/ゴア  *グローバリズム  エビと日本人II/村井吉敬  世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す/スティグリッツ  利潤か人間か/北沢洋子  サバルタンは語ることができるか/スピヴァク  *「日本」という課題  私の個人主義/夏目漱石  人間を幸福にしない日本というシステム/ウォルフレン  空虚な楽園/マコーマック  食と農の戦後史/岸康彦  愛国の作法/姜尚中  現代史の中で考える/高坂正堯 *こころにのこる言葉
第6章 本の買い方選び方  :*こころにのこる言葉
101冊の本・関連年表
索引(著者・編者名,書名,事項)


【内容紹介】「文理横断型」の知を強調するユニークな読書案内として話題になった旧版刊行から4年.書目を大幅に入れ替え,「戦争と平和への希望」という新たな章を設け,「現代の教養」を育てる手がかりとなることをめざした.読みやすい解説文で,学生だけでなく,生涯学習用ガイドブックとしても最適.著者名・書名・事項索引付き.
■編集部からのメッセージ
旧版が刊行されたのは2005年3月.前年に出版されていた『東大教師が新入生にすすめる本』(文春新書)と比較されることも多かったのですが,こちらは「文理横断型の知」を強調するユニークな読書案内として評判になりました.書名・著者名・事項索引をがっちりとつけるなど,こだわりの編集方針が受けたようです.
 戻ってきた読者はがきを見ると,10代後半から90代前半まで,幅ひろい年齢の方がたに読んでいただいたことがわかりました.印象に残ったのは,「定年後に勉強しなおします」というようなコメント.
 新版も,基本方針は変わりませんが,書目を大幅に入れ替え,より円熟した内容になりました.また新たに「戦争と平和への希望」という章を設け,広島大学らしい個性を出しています.見開き2ページで完結する構成ですので,どこからめくっていただいても大丈夫.「教養主義の没落」が言われる現在,「現代の教養」とは何かを考える手がかりとして,まず手にとっていただければ幸いです.

171115 容認不可能、忘れてはいけない言動!:青木理「人はどこまで恥知らずになれるのか。」(サンデー毎日)

2017年11月15日 18時17分41秒 | 沖縄と共に生きる
11月15日(水):  
青木理「抵抗の拠点から」第172回 差別と卑怯より「人はどこまで恥知らずになれるのか。この流行作家は、どのような神経で薄汚い差別的妄想を吐き出せるのか。/略/その沖縄が、さらなる基地負担の押し付けに必死で抗っている。沖縄の新聞は、その声を懸命に代弁している。なのに流行作家が軽薄に吐き出す妄想と差別。私ですら身体の奥底から弾け出そうな怒りを覚えるのだから。阿部記者の憤りはいかばかりだったか。」(サンデー毎日)

沖縄タイムス[大弦小弦]作家の百田尚樹氏から「悪魔に魂を売った記者」という異名をいただいた・・・  2017年11月6日 07:00
  作家の百田尚樹氏から「悪魔に魂を売った記者」という異名をいただいた。出世のために初心を捨て、偏った記事を書いているからだという。数百人の聴衆がどっと沸き、私も笑ってしまった ▼先月末に名護市で開かれた講演会。事前に申し込んで取材に行くと、最前列中央の席に案内された。壇上でマイクを握った百田氏は、最初から最後まで私を名指しして嘲笑を向けてきた ▼特異な状況だからこそ、普通に取材する。そう決めたが、一度メモを取る手が止まった。「中国が琉球を乗っ取ったら、阿部さんの娘さんは中国人の慰み者になります」 ▼逆らう連中は痛い目に遭えばいい。ただし自分は高みの見物、手を汚すのは他者、という態度。あえて尊厳を傷つける言葉を探す人間性。そして沖縄を簡単に切り捨てる思考 ▼百田氏は2015年に問題になった自民党本部の講演でも「沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と話している。県民は実際に沖縄戦で本土を守る時間稼ぎの道具として使われ、4人に1人が犠牲になった。歴史に向き合えば本土の側から口にできる言葉ではない ▼差別と卑怯(ひきょう)は続く。百田氏はなおも「反対派の中核は中国の工作員」などとデマを並べ、沖縄への米軍基地集中を正当化する。「沖縄大好き」というリップサービスがむなしい。(阿部岳)

沖縄タイムス【社説】[「辺野古が唯一」]威圧の言葉 乱発の異常  2017年11月8日 07:23
  「普天間飛行場の辺野古崎沖への移設が同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であることを確認する」
  安倍晋三首相とトランプ米大統領は、6日の会談で再確認したという。  
  日米首脳会談後の共同記者会見で、両首脳から沖縄の基地問題への言及はなかった。記者会見後の事務方によるブリーフィングでも、新基地建設に関する話は出なかった。
  「唯一の解決策」の文言は、その後、外務省が配布し、ホームページにも掲載された文書に記されている。
  この表現は、首脳会談の中で誰が持ち出して話題にしたのか、それとも事務方が用意した発表文書にあらかじめ盛り込まれていたのか。どちらなのだろう。 
  日米両政府は、首脳会談や外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)のたびに、これでもかこれでもかと「辺野古が唯一の解決策」と確認してきた。沖縄から見るとあまりに異様な対応である。
  会談の場で、本当に毎回取り上げ、議論しているのだとすれば、その部分だけでもやりとりを開示してもらいたい。米側が発表する英文も含めて公表すべきだ。
  日米がそれほど「辺野古が唯一の解決策」と強調するのであれば、なぜ唯一だと言い切れるのか、なぜ九州ではだめなのか、なぜ別の方法を選択しないのか。
  説明責任を果たさないまま「マジックワード」を振りかざすのは、おごりというしかない。
■    ■
  外務省配布の文書には「一層の遅延が平和及び安全を提供する能力に及ぼす悪影響に留意し」とも書かれている。
  これは選挙で示された民意に従って辺野古移設に反対する県や名護市に工事遅延の責任を転嫁するようなもので、これまでのやり方に対する自己反省が感じられない。
  普天間飛行場の返還合意時に官房長官だった梶山静六氏が、移設先を辺野古に絞り込んだ経緯について、本土での反対運動を懸念し辺野古以外の選択肢はなかった、と書簡に記していたことが明らかになった。辺野古でならない理由は、国がいう地理的優位性や抑止力ではなく、国内の政治的理由だったのだ。
  本土が嫌がるから沖縄に置くという発想は、国による「構造的差別」だ。
  かつて橋本龍太郎首相は「地元の頭越しには進めない」との言葉を繰り返した。この約束が最低限の原則である。

■    ■
  衆院選のさなか、東村高江の民間地で米軍のCH53ヘリが炎上した事故で、小野寺五典防衛相は原因究明までの飛行停止を求めたが、選挙が終わるやいなや米軍の飛行再開を追認した。この事故で日本側はまたもや日米取り決めに阻まれ、主権国家として捜査権を普通に行使することができなかったのである。
  同盟強化が語られた首脳会談で、同盟のコストを負担する沖縄への配慮は示されていない。負担の不公平性に切り込まず、「辺野古が唯一」を強調すればするほど、基地政策への疑問は膨らんでいく。

7 018 水木しげる「敗走記」(元→コミックス→講談社文庫:1970→1991→2010)感想4

2017年11月12日 17時34分29秒 | 一日一冊読書開始
11月12日(日):    

271ページ    所要時間2:15     アマゾン365円(108+257)

著者69歳(1922-2015:93歳)。

「KANDERE」に出てくる班長が田中角栄に少し似ているので、勝手に1970年頃(戦後25年頃)より前で1960年代の作品かと考えていたが、調べてみると「敗戦記」は1970年(48歳)の作品だった。

水木さんの戦記漫画は、著者自身が出征して戦場の最前線で左腕を失い、生死の境を潜り抜けた経験に基づいて書かれている。戦場のリアルさを知らない人間に語ることは極めて難しいことだ。しかも、戦後72年は、30年を1世代とするなら、2.5世代を経たことになる。もはや戦争について語れる人々がほぼなくなってしまった。

大岡昇平の「レイテ戦記」「野火」「俘虜記」などの優れた戦争文学は存在するが、難しいし、実感がないし、面白くないし、まずほとんどの人は読まない(読めない)。その点で、水木しげるの戦記漫画は非常に読みやすく、視覚に訴えて圧倒的に説得力があり、記憶に残る。

また水木さんの作品群が書かれた時代が良かった。高度経済成長期の後半から70年代は、日本が伸びていく中で今と比べて世の中が(表現活動に対して)大らかであり、反戦の気分も強かった。そして何より、政治家も含めて実際の戦争経験者が社会の中心で活躍していた時代だ。よくぞこの時期に書き残しておいてくれたと思う。

そんな時代に書かれた水木さんの作品には、今であれば無知で無恥な歴史修正主義の馬鹿どもが絶対に見過ごさない、ただでは措かないような戦場の醜い実態、いじめ、暴力、劣悪な食糧事情、衛星状態、現地人への暴力・殺人、強姦、そして何よりも膨大で圧倒的な人の死、それもむなしい犬死にの数々が当たり前に描かれて出てくる。何十人、何百人の男の兵士たちを相手にする”ピー”と呼ばれた従軍慰安婦も女性の生命に係わる行為として普通に出てくる。しかも、水木作品には文化功労者のお墨付きがすでに出ているのだ。

これほど戦争について、雄弁に語れてしかも普及する力を持った作品群は、今となっては非常に重要な歴史遺産と言える。「はだしのゲン」を図書館から撤去して日本中の笑い者になった島根県や鳥取県のように、もしも水木作品を図書館・学校等から撤去すれば笑われるのは、その団体である。

そもそも朝鮮・韓国女性に対する従軍慰安婦の事実も明らかにあったに決まっている。あったのかなかったのかの議論になれば、間違いなくあったのだ。水木さんの克明な戦記漫画(記録)を見れば明白だ。まずそれをしっかりと認める切ること。過ちを認め切り謝罪し切ること。

謝罪するとは、一度だけ謝罪の場を設けることではない。どんなに辛くても歴史に刻み、未来永劫その事実を互いに忘れない覚悟を決め、折に触れその過ちを忘れないように後世の子どもたちに「二度と同じ過ちを繰り返さない」ようきちんと歴史の記憶として引き継ぎ続けることだ。謝罪するとは誤魔化しをせず、絶対に忘れないことだ。その場しのぎでぺこぺこすることではない!

そこまですれば、今度は、真に悪かったのが<侵略戦争という行為>そのものであり、被害者も、加害者も、結局戦争指導者を除いて、その時代を生きた両国の人々すべてが<戦争という愚かな行為の犠牲者>だったのだ、という事実に行き着くことができて、「二度と戦争という過ちは繰り返さない」という<本質的反省>が引き継がれていくことになるのだ。


それを慰安婦制度が存在したのは厳然たる事実なのに、あったのかなかったのか、謝罪は終わったのか終わってないのかの問題に矮小化してしまうことで、「戦争なんて悪いに決まってるじゃん。でも、よその国に舐められるから軍隊は必要だし、必要な戦争もやっぱりあるんじゃないの」などと若者たちが言ってしまうことになるのだ。今の日本は愚かな歴史修正主義者によって戦争に対する本当の反省に到達できなくなってしまっている。それも現政権では意図的にそういう方向に操作が行われている。とても恥ずかしい時代だ。

「171111 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。バブルも戦争も忘れて繰り返すアベのニッポン!チャチャチャ。」  2017年11月11日 13時01分11秒 | 時代の記憶
11月11日(土):
<正しさ>と<分かりやすさ>の戦いは、今が良ければそれでいい!<分かりやすさ>が勝つ。そして、国家も社会も滅びへ向かう。

【目次&内容】「敗走記」(1970) 戦死した親友の体験談。一部フィクション。/「ダンピール海峡」 軍旗にまつわる高岡連隊の史実を元にした話。/「レーモン河畔」 数奇な運命の実話。日本軍が美人スパイを殺したりせずに送り返した「稀に見る美談(ママ)」 。/「KANDERE」 兵隊とパプアニューギニアの原住民の数奇な運命。生き残りから聞いた話を元にしたフィクション。/「ごきぶり」 高射砲でB17を落とし戦犯となり「巣鴨」に入った兄から聞いたのを元にした話。/「幽霊艦長」 太平洋戦争の海戦における夜戦において日本軍最後の完全勝利といえるルンガ沖夜戦とその後。/「あとがき」

【内容紹介】戦争を生き抜いた著者がつづる生と死の物語。戦記ドキュメンタリー完全復刻!。昭和19年、南太平洋ニューブリテン島中部、部隊は壊滅的打撃を受けたものの、ひとり生き延び、仲間の鈴木と合流することに成功する。そして断崖を通り抜け道なき道を進み、敗走を続けた。敵に追われ、飢えや渇き、暑さに苦しみながらも九死に一生を得た著者が綴る、生と死の物語。戦記漫画の傑作を6編収録。 ※本書は1991年11月に株式会社コミックスより刊行されました。

7 017 福岡伸一「世界は分けてもわからない」(講談社現代新書:2009)感想5

2017年11月12日 01時57分04秒 | 一日一冊読書開始
11月11日(土):     

277ページ    所要時間5:20     古本87円

著者50歳(1959生まれ)。東京生まれ。京都大学卒。ハーバード大学医学部研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。専攻は分子生物学。著書に『もう牛を食べても安心か』(文春新書、科学ジャーナリスト賞)、『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス、講談社出版文化賞科学出版賞)、『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書、サントリー学芸賞・新書大賞)など

本書を最後まで読み通せて、感想5を付けられることが俺にはなによりも嬉しい。途中何度も挫折しそうになりながら、何とかこの本を読んで理解できる喜びと、この本を理解できる存在でありたいという気持ちにさせられた。

著者の分子生物学者としての主張は「動的平衡」という言葉で簡単明瞭に集約される。もう少し言葉を足せば「生物・生命を理解しようとして、部分に分けて切り取ってみても、全体との連関の中で一瞬も止まることなく動き続けている状態にこそ意味があり、そこを観なければ、生物・生命を理解することはできない。『全体は部分の総和以上の何ものかである。125ページ』しかし、神ならぬ人間には結局、物質的にも、時間的にも部分を切り取って考えるしかできないのも事実であり、その限界を常に自省・自戒しつつ、部分と全体の動的平衡の間を往還していくしかないのだ」ということになる。

この簡単な真理の主張を支える著者の学者としての造詣と経験は恐ろしく広く深い。また、著者には、難しいけれども大切な科学的知識・知見をできるだけ臨場感を失わせないままで、素人の読者に教養としてわかりやすく伝える技術がある。著者の本は、専門用語が多用されていて、全部はもちろん分からないけれども、読み続けていると何か自分の中で詩情を漂わせた気分にさせられる。科学への憧れ。著者の言葉は格調が高く詩的で心に良く響くのだ。

本書は、始まりがややとっつきにくかったが、何とか食い下がっていく中で、科学的思考の方法や展開が面白くなった。後半は、実際にあった事件に取材したサイエンス・サスペンス・ミステリーともいうべき内容だった。科学の発展の背景で、超一流の天才やポスドクなど最前線の科学者たちにのしかかるプレッシャーの厳しさが、「うま過ぎる」詐欺事件を取り上げて記されていた。そう言えば、2000年頃、日本でも旧石器の大発見を連発して「神の手」と呼ばれた藤村某という詐欺師が新聞記者にスクープされて、日本史の考古学が大混乱状態になったのを思い出した。

第3章:食物の腐敗を抑える保存料ソルビン酸が、腐敗菌には効くが、人間の細胞にはほぼ無害だとされて使用されているが、実は人間の大腸で”共生”している腸内フローラの善玉菌の活動も抑制してしまうことを考えれば、全体としては好ましいとは言えない。だからダメではなく、そういうことも知った上で生活していくべきだ。という話も面白かった。

第4章のマップラバーとマップヘイターの話で、細胞はすべてマップヘイターだ、という話も面白かった。

第6章のオートファジーやエントロピー増大の話は、NHK番組「達人達」での坂本龍一との対談の内容と同じで思い出してしまった。

この世界のあらゆる要素は、互いに連関し、すべてが一対多の関係でつながりあっている。つまり世界に部分はない。部分と呼び、部分として切り出せるものもない。そこには輪郭線もボーダーも存在しない。/そして、この世界のあらゆる因子は、互いに他を律し、あるいは相補している。物質・エネルギー・情報をやりとりしている。そのやりとりには、ある瞬間だけを捉えてみると、供し手と受け手があるように見える。しかしその微分を解き、次の瞬間を見ると、原因と結果は逆転している。あるいは、また別の平衡を求めて動いている。つまり、この世界には、ほんとうの意味で因果関係と呼ぶべきものもまた存在しない。/世界は分けないことにはわからない。しかし、世界は分けても分からないのである。274ページ

【目次】プロローグ パドヴァ、二〇〇二年六月/第1章 ランゲルハンス島、一八六九年二月 /第2章 ヴェネツィア、二〇〇二年六月 /第3章 相模原、二〇〇八年六月 /第4章 ES細胞とガン細胞 /第5章 トランス・プランテーション /第6章 細胞のなかの墓場 /第7章 脳のなかの古い水路 /第8章 ニューヨーク州イサカ、一九八〇年一月 /第9章 細胞の指紋を求めて /第10章 スペクターの神業 /第11章 天空の城に建築学のルールはいらない /第12章 治すすべのない病 /エピローグ かすみゆく星座

【内容情報】60万部のベストセラー『生物と無生物のあいだ』続編が登場! 生命は、ミクロな「部品」の集合体なのか?私たちが無意識に陥る思考の罠に切り込み、新たな科学の見方を示す。美しい文章で、いま読書界がもっとも注目する福岡ハカセ、待望の新刊。 顕微鏡をのぞいても生命の本質は見えてこない!?科学者たちはなぜ見誤るのか?世界最小の島・ランゲルハンス島から、ヴェネツィアの水路、そして、ニューヨーク州イサカへー「治すすべのない病」をたどる。

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)