もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

170731 民進党は、前原一派を切って小沢一郎と組め!大きな器になれ! 【あすを探る 政治】民進党は何を間違えたのか 中北浩爾

2017年07月31日 20時46分17秒 | 時々刻々 考える資料
7月31日(月):
朝日デジタル【あすを探る 政治】民進党は何を間違えたのか 中北浩爾  2017年7月27日05時00分
  民進党の低迷が続いている。先の都議選では離党ドミノの末に惨敗を喫した。「加計学園」問題などで自民党に逆風が吹くなか、野党第1党でありながら、政権批判の受け皿になっていない。その一因は蓮舫代表の「二重国籍」問題での発言のブレにあろうが、より大きな原因は、民進党が抱える求心力の欠如に求められる。それを突き詰めると、政権交代を成し遂げた民主党という名称を捨て去ってしまったことにある。
  野党への転落を機に、党名変更を考えたのは、自民党とて同じである。1993年の下野の後には、現在の安倍首相も当選一回で、「自由民主党の理念は誇るべきで、党名も悪くない。しかし大都市部で選挙を有利に戦ううえで、場合によっては党名を変更してもいい」と発言している。だが、こうした意見は繰り返し退けられ、今日に至っている。
  名前は、他者と区別するための記号であり、アイデンティティーと密接に関係する。栄光と挫折の歴史を刻みつつ、時代を超えて自己の同一性を保つ何かを表現している。だからこそ、猛烈な逆風のなかでも結束を保ち、耐え忍ぶことができる政党は、党名を大切にしてきた。自民党だけではない。公明党も然(しか)り、共産党も然りである。
  実は、2012年に政権から転落した民主党も、そのような政党を目指したはずであった。当時の海江田万里代表が口にしたのが、「疾風に勁草(けいそう)を知る」。野党時代の自民党の谷垣禎一総裁も、同じ言葉を用いていた。政権末期に揺らいだ党の結束を回復し、しかる後に無党派層に支持を広げ、政権交代を実現する。新たな綱領の制定、党首による全国行脚と地方組織の強化など、下野した後の両党の歩みは、途中まで驚くほど一致していた。
  ところが、民主党の支持基盤は自民党に比べて脆弱(ぜいじゃく)であり、自力再建の努力はなかなか実を結ばなかった。国政選挙で連敗が続くなか、民主党のままでは16年参院選が戦えないという声が強まる。そうした声に押された岡田克也代表は、維新の党と合流するとともに、その要求を受け入れて党名変更に踏み切った。民主党政権の汚名を払拭(ふっしょく)しようとしたのであろうが、その結果、政権交代の党というアイデンティティーを希薄化させてしまった。
  民進党は、折からの安保法制反対運動の熱気を背景として、自力再建の努力を脇に置き、共産党などとの野党共闘によって参院選に臨んだ。その際に打ち出されたのが、「まず、三分の二をとらせないこと」というスローガンである。安倍政権の憲法改正の動きを阻止することを優先し、政権交代という目標が実際にも後景に退いてしまったのである。蓮舫代表の「二重国籍」問題は、その後のことでしかない。
  反自民・反安倍という観点からすれば、民進党よりも共産党の方が歯切れがよい。原発ゼロや改憲反対についても、民進党の現実的な方針は、政権に妥協的としかみえない。したがって、新潟県知事選への対応にみられるように、野党共闘の枠組みでは民進党に批判の矛先が向きがちである。
  結局、民進党が求心力を取り戻すには、政権交代という目標を設定し、戦略を立てるしかない。そして、その本気度を示すには、民主党政権の栄光と挫折の経験を正面から引き受けるべきであろう。例えば、政権を一緒に担った自由党や社民党と合流して、再び民主党を結成してもよい。「悪名は無名に勝る」ともいう。かつて二度の政権交代を導いた小沢一郎元代表と和解するぐらいの度量が、少なくとも不可欠だ。
  今月初めの朝日新聞の世論調査によると、自民党に対抗できる政党が「必要だ」という回答が82%にも上っている。安倍内閣の支持率が急激に低下するなか、こうした有権者の声に応えるためにも、民進党に立ちすくんでいる余裕はない。
 (なかきた・こうじ 1968年生まれ。一橋大教授・政治学。「自民党 『一強』の実像」など)

170730 当たり前の判決! 朝日【社説】朝鮮学校判決 国は速やかに支給を

2017年07月31日 00時22分18秒 | 時々刻々 考える資料
7月30日(日):

朝日デジタル【社説】朝鮮学校判決 国は速やかに支給を  2017年7月30日05時00分
  日本で学ぶ全ての生徒に公平に教育の機会を与える、という制度の原点に立った判決だ。
  高校の授業料無償化をめぐり、大阪地裁は28日、大阪朝鮮高級学校を対象外にした国の決定を取り消し、就学支援金を支給するよう命じる判決を出した。国は司法の判断を重く受けとめ、速やかに支給すべきだ。
  経済的事情で勉学を断念することがないよう、国の負担で教育の機会均等を確保する。判決が判断の軸にしたのは、高校無償化法にあるこの目的だ。
  無償化は民主党政権が2010年に始めたが、朝鮮半島情勢を理由に適用を見送った。第2次安倍内閣では下村博文・文科相が拉致問題などを理由に「国民の理解が得られない」とし、13年2月、不支給を決めた。
  大阪地裁はこうした国の対応を「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的、政治的判断に基づき、法の趣旨を逸脱し、違法で無効だ」と結論づけた。
  教育制度を政治・外交課題と同一線上で論じ、混同することを、厳しく戒めたといえる。
  国が主張したのは、朝鮮学校が北朝鮮や朝鮮総連とつながりをもち、「『不当な支配』を受け、適正な学校運営がされない懸念がある」という点だった。
  判決は、朝鮮高級学校で北朝鮮を賛美する内容の教育があり、総連の一定の関与があることは認めた。ただ、補助教材を活用するなどし、教育内容が一方的ではなく、さまざまな見方を教えているとも指摘、「教育の自主性を失っているとまでは認められない」と述べた。
  国は「支援金が授業料にあてられない懸念がある」としたが、判決は、裏付けの事実がないとして認めなかった。実態を十分に調べず、こうした主張をする姿勢が、学校への偏見を広めたことを国は反省すべきだ。
  朝鮮学校の無償化問題では、広島地裁が19日、学校と総連との関係が強かったとして「不支給は適法」との判決を出しており、地裁で判断が分かれた。国の言い分の追認に終始した広島の審理に対し、大阪地裁は卒業生や元教員らの証人尋問をし、学校側から提出された保護者へのアンケートまで証拠として検討した。朝鮮学校の実情を把握するため、より丁寧な裁判で導いた結論といえる。
  いま、朝鮮学校に通う生徒は日本で生まれ育った在日コリアン4世が中心だ。民族の言葉や文化を大切にしながら、日本で生きていきたいと学んでいる。
  多様なルーツや教育の自主性を尊重するのか。問われているのは、社会のあり方だ。

170730 民進党の選択肢は、リベラルの枝野しかない。似非保守の前原を選べば、岸田自公政権の方がマシ!。無党派層は宙をさまよい続ける。

2017年07月30日 17時25分23秒 | 時々刻々 考える資料
7月30日(日):
時事ドットコム【特集】山崎拓・元自民党副総裁 政界インタビュー
 インタビューに応じる山崎拓・元自民党副総裁=2017年7月19日、東京・平河町の事務所で【時事通信社】
安倍政権を斬る!

「レベル低過ぎる」と批判

 山崎拓・元自民党副総裁はこのほど時事通信のインタビューに応じ、安倍政権や政局の行方など幅広く語った。安倍晋三首相のこれまでの政治姿勢を批判する一方、首相が衆院解散に踏み切る場合は来年6月との見通し表明。その時期に解散できなければ首相退陣の可能性も指摘した。「ポスト安倍」候補の石破茂元自民党幹事長や岸田文雄外相についてはそれぞれ「発言が回りくどい」「(政治姿勢が)はっきりしない」などと苦言。小池百合子都知事に関しては、いずれ国政に転じ、「日本のメルケル(独首相)」として初の女性宰相を目指しているのではないかとの見方を示した。
(聞き手=時事通信編集委員・村田純一)

内閣支持率急落の原因
 ─安倍内閣の支持率急落の原因は何か。
  山崎拓・元自民党副総裁 政権が長期化し、「安倍1強」支配が露骨に行われていることに対する有権者の反発や批判が根底にある。そこに森友学園、加計学園の問題が国会で指弾を受け、それに対する政府側の答弁や態度に有権者の不満や反感が生じている。
  さらに、閣僚や政府要人、衆院当選2回議員の目に余る暴言・失言が繰り返され、これらが全て重なり東京都議選で自民党は大敗し、これらのことが全て連動して内閣支持率の低下を招いたと思う。
 ─安倍首相は国会では野党に対決姿勢を示し、答弁でも傲慢(ごうまん)に見える姿勢が見られた。街頭演説でも「安倍辞めろ」とのやじに、首相は「こんな人たちに負けるわけにはいかない」とむきになって応じ、首相への反発と不信感が急に強まったように見えるが。
  その通りだ。首相が国会でやじられて、かっとなるのはいつものことだ。「お前たち何だ、俺の言うことは黙って静かに聞け」という感じの言い方をする。
 ─森友、加計問題でもいわば首相の「お友達」が関係した。稲田朋美防衛相の大失言があっても更迭しないのは首相に近いお友達だからで、お友達ばかりを優遇することがいかがなものかと有権者はみているのでは。
  その通りだ。
 ─自民党内では村上誠一郎、石破茂、中谷元さんらが安倍首相に批判的な発言をしているが、まだ一部にすぎない。党内をどうみるか。
  自民党は皆、一蓮托生(いちれんたくしょう)。(安倍政権に対し)全員、連帯責任だ。自民党総裁選でも国会の首相指名選挙でも安倍さんを支持した。その後も支持、礼賛し続けている。皆、「安倍さんは素晴らしい」と地元選挙区で持ち上げている。ただ、村上、中谷両氏らは安倍首相に対し、批判し始めている。村上氏は前から言っているが、この人は例外。連帯責任には入らない。

財政再建の勉強会は「反安倍の受け皿」
 ─石破さんは改憲問題などで首相に異論を唱えたり、党内では都議選の総括を求めたりして、批判を強めているように見えるが。
  山崎氏 もう少し歯に衣(きぬ)着せずに言わなければ駄目だ。批判がましいことを言っている感じはするが、回りくど過ぎる。ズバッと直截(ちょくせつ)に言わなければいけない。
 ─中谷さんが安倍首相に批判的になったのはなぜだと思うか。
  安倍政治とは一線を画し、次のリーダーシップを担う者の一翼になろうという意欲があるからだ。
 ─自民党内に「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」が(5月16日)発足した。前自民党税制調査会長の野田毅さん、村上誠一郎さんら安倍政権に批判的な人が参加して、「反安倍」の受け皿のような会合だとも報道されたが、これはどう見るか。
  野田氏が代表発起人としてかつがれたのは、党内きっての税制通であり財政再建論者だからだ。
 ─安倍首相は財政再建に消極的とみられるからか。成長重視の路線を進め、消費税増税も2回見送った経緯もあるし。
  それに対する反発だ。消費税増税を2回見送ったことを彼らは批判している。財政問題のエキスパートである村上氏が野田氏をかついでつくった勉強会だ。税・財政問題の有識者を集め、結果として今の安倍政権の路線とは違う路線を目指している。安倍政権は成長重視により財政再建も実現しようとしているが、実態はそうなっていない。
  2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化という財政健全化目標の実現は困難だとの分析もあるが、これは安倍首相の経済路線に対する痛烈な批判でもある。勉強会に集まったのは、2020年度のプライマリーバランスの黒字化実現を支持してきた人たちだ。

人事で支持率回復は困難か
 ─内閣支持率が下がり続けるか、安倍首相が巻き返すことができるかは、8月3日の内閣改造と自民党役員人事次第だと指摘される。報道ベースでは、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官は留任。自民党の二階俊博幹事長も留任。小泉進次郎氏をどう起用するか注目されているが、骨格は変えない人事で内閣支持率が上昇するかは疑問に思う。
  山崎氏 あなたの言うことは多分当たっていると思うが、私は人事権者じゃないから結果は分からない。二階幹事長の留任には賛成だが、それは他に代わる人材がいないという観点からだ。もともと安倍首相の発言を聞いていると、骨格人事は変えない、継続性や安定性が大事だから変えないという。私はそれに賛成だし、本人も変えないと思う。
  しかし、もしこの内閣改造で再浮揚を図ろうとすれば、それは換骨奪胎的な総入れ替えをしないと浮揚にはつながらないだろう。骨格人事を残すという考えでいけば、代わり映えのしない人事となり、それではほとんど支持率の回復にはつながらないと思う。
  ─稲田防衛相や金田勝年法相を代えるのは当たり前のこと。
  もう代わってないといかん。この2人がまだ閣僚に残っているのが不思議だ。どうせ8月3日までだから、泳がせておけということだろうが。
  ─稲田氏が失言した直後に代えておけば、支持率は2割台まで落ちなかったとの見方もある。
  後付けの理屈だが、都議選のことを考えれば、彼女が失言したときにサッと首を切るべきだった。都議選の応援演説で「自衛隊としてもお願い」と発言したのは、憲法15条に反しており公職選挙法違反だ。処罰されてしかるべきだ。あの時、サッと更迭しておけば、自民党にとって都議選では多少いい影響が出たと思う。あれを放置したのが良くなかった。

岸田氏は自民リベラル勢力復興を
 ─人事では岸田文雄外相の処遇が注目される。派閥の会長として来年秋の自民党総裁選をにらみ、このまま安倍政権で外相にとどまるのがいいのどうか。党のポストに就くのではないかとの見方もあるが。
  山崎氏 私は岸田氏にとって第三者でしかないが、私に言わせれば、彼はリベラルの伝統の中にある人間だ。だからリベラル勢力復興という形の中で出てくるのが一番いい。今もこれからも憲法改正がテーマになる。そのとき、はっきりリベラルの立場を取った方がいい。そのリーダーとして打って出て、求心力を働かせる。政権はすぐに取れないと思うが、それでいいと思う。すがすがしい、すっきりした政治姿勢を打ち出すべきだ。彼はリベラルの系譜の中にある人間だと思う。
 ─安倍首相とは考えがかなり異なる。
  違うスタンスを取るべきだ。首相がテーマを憲法9条改正にした以上、そうすべきだ。彼は以前(5月11日)「憲法9条改正の考えはない」と言ったことがある。それを貫かないと駄目だ。今は黙ってしまったが。
  民進党もそうだ。憲法改正はここ一両年の大テーマだ。そこに焦点を絞るべきだ。ポリティカル・イシューが今はそこにある。70年間できなかったことをやろうとし、しかも9条に手を付けようとしている。民進党も絶好のチャンスだ。ところが、民進党内は割れている。憲法9条改正にも理解あるような態度を示す者がいるが、はっきりしない。
  岸田氏もはっきりしない。それでは駄目だ。
何でもいいから安倍首相の足や腰にしがみついて、(政権を)譲ってくださいと。あなたに最後まで忠誠を尽くすから譲ってくださいと、これじゃあ見苦しい。政治思想としての輝きがない。ブリリアントな政治家ではない。政治家はリーダーになろうとすれば、ブリリアントでなければ駄目だ。いかに輝くかということを心掛けないといけない。そうでないと有権者は魅力を感じない。
  民進党もそうだ。とにかくスタンスがバラバラで党内に幾つも異なる政策があって、発信がバラバラでまとまっていない。リベラルなのかどうかさえ分からない。「民進党は保守政党だ」と言う者もいるぐらいだ。共産党や社民党の考え方までいかなくていいが、少なくともリベラルという言葉には輝きがある、これを活用すべきだ。リベラルはすごく魅力的な単語だ。それを活用してきたのは加藤紘一氏(元自民党幹事長)であり、谷垣禎一氏(前自民党幹事長)だ。
  ぼくは加藤氏の葬儀の弔辞で「最大で最強のリベラルが死んだ」と言った。ぼくは保守サイドの人間だけど、リベラルという表現には魅力を感じるし、保守と対立的な概念は必要だ。議論するには対立する概念が必要だ。政治は討論、ディベートの世界だ。保守対リベラルという対立概念の中でディベートして、アウフヘーベン(止揚)して、議論の質を高め深めていくのが本当の政治の手順だ。
  今は全くそんな議論がない。「黙れ」「うるさい」「俺の言うことを聞け」「俺が正しいんだ」…、それだけだ。それは討論じゃない。

 ─反対意見は聞きたくないと。やじも嫌と。
  やじに対して自分もやじる。要するに、その程度だ。レベルが低過ぎる。そのレベルで日本の政治を任せているのは恐ろしいことだ。

9条改憲、「戦力なき軍隊」はあり得ない
  山崎氏 そういう考えは成り立たないと思う。自衛隊が「戦力なき軍隊」になる。そうなれば集団的自衛権も行使できなくなる。「戦力なき軍隊」では同盟国を守れない。
  2項で戦力を否定しているからだ。軍隊というのは戦力があるから軍隊だ。3項で自衛隊を明記しても「戦力なき軍隊」という新しい概念をつくらなければならなくなる。戦力がなければ専守防衛もできない。相手が攻めてきたときに迎撃する専守防衛でも、迎撃するための戦力がいる。自衛のための戦力は戦力じゃないとすれば机上の空論だ。
  「自衛のための戦力はこれを保持する」としなければならない。「自衛のための実力」でも構わない。
 ─憲法9条第1項2項を残したまま、前項の規定にかかわらず、3項で自衛隊の存在は認め、1項2項の例外規定とする文言はあり得ないか。
  世界中の軍隊は認めるが、日本の軍隊は別だという話になる。自衛隊を「Self-Defense Forces」と英訳できなくなる。

来年6月に衆院解散、任期満了なら安倍首相退陣も
 ─内閣支持率の低下で衆院解散の時期は遠のいたとみられるが、来年秋以降か。
  山崎氏 次期衆院選は、恐らく「来年6月解散-7月総選挙」ですよ。自民党総裁選は来年9月、その後12月に衆院任期満了が控えているから。来年6月解散がなければ、総裁選3カ月後の任期満了選挙になる。自民党総裁選で総裁が代われば、衆院本会議で首相指名選挙を行い、新内閣は直ちに解散・総選挙を行うことになる。その結果、政治史上、最短命内閣になるかもしれない。安倍首相が6月に解散ができないというのは、解散権を行使できなくなるほど政権の体力が弱っているということ。その場合、安倍首相は総裁選には出ないだろう。
 ─「次の総裁選まで安倍首相が持つかどうか分からない」という自民党議員の声を聞いたが。
 内閣支持率というのは人間の体温と同じだ。支持率が下がれば、体力、気力共に失われる可能性がある。
 ─首相が目指した改憲スケジュールは無理か。
  無理じゃない。首相はやろうとする。それが最後の仕事だ。だから保守対リベラルで戦わなければならない。岸田氏が台頭しようと思えばそれに反対するぐらいの腰構えがないと権力の座には就けない。
 ─石破氏は改憲論者であり、安倍、石破、岸田3人が総裁選に立てば、改憲派2人と護憲派の岸田さんが争う構図になる。
  石破氏は、これまで自民党がつくった憲法改正案が既にあるのに、何で別の案を出すかと言っている。それだけだと迫力がない。
 ─1つの筋論を言っているようだ。
  政治論としては成り立たない。自分たちが選んだ総裁が発言してしまったから。前のあの案はどうしたのかとクレームを付けたが、党内にそれに従う者がいない。実際、今までその自民党案で発議しようとはしていなかったからだ。あれは案をつくっただけだ。前文を変え、あまりにも網羅的に改正案を出しているから、自民党単独で3分の2の多数を得ない限り、実際は超党派的な理解が得られなくて改正できない。

民進党は政界再編に動くしかない
 ─都議選では小池百合子都知事率いる「都民ファーストの会」が圧勝したが、民進党は2議席減の5議席にとどまった。安倍内閣の支持率が急落しても民進党の支持率は減っている。民進党の状況をどう見るか。
  山崎氏 今回の選挙で自民党も民進党もダウンした理由は、全て都民ファーストの躍進によるものだ。それが何を意味するか。既成政党に対する有権者の不満と不信が一つある。もう一つは、新旧交代というか、新しい政治のうねりに有権者が関心を持っているということだ。
  次の選挙で民進党が挽回しようと思っても、単なる選挙戦術ではどうにもならないところに来ている。党名を変えても駄目だった。ここは政界再編しかやることはないと思う。
 ─「都民ファースト」が「国民ファースト」になることで野党が動くことになるのか。
 「国民ファースト」がやがてできると思うが、民進党はそこと組むしかない。それが政界再編につながる。
 ─民進党からばらばらと人がこぼれて出ていくのではないか。
  こぼれるということは泥船から逃げていくということだが、飛び出た人たちは全部溺れ死ぬ。今の自民党だって、いっぺん自民党から出て、一度溺れ死にかかりそうになったが、かろうじて命をとどめ、息を吹き返して戻ってきた人が多い。
  政界再編の手品ができるのは小沢一郎氏(自由党代表)だった。今も小沢氏は(かつてイタリアでつくられた政党連合の)「オリーブの木」の再現をなどと言っているが、彼にはもはや力が無くなっている。

「日本のメルケル」狙う小池都知事
 ─小池都知事はいずれ国政に出ると思うか。
  山崎氏 出ますね。
 ─(小泉純一郎元首相、小池都知事、自民党の二階俊博幹事長、武部勤元幹事長、山崎氏が出席した)4月18日夜の会合ではそう…。
  そんな話は出なかったが、今は直感で言っている。彼女は多分、日本のメルケル(独首相)を狙っていると思う。(メルケル氏は63歳、小池氏は65歳で)年齢も近い。
  ドイツと日本は相似形の国だ。国力、国情、歴史も。第2次世界大戦の敗戦国で同盟関係だった。
  ぼくは彼女と話したことはない。4月18日にちょっと一緒にいたというだけで、そんな高尚な議論をしたわけではない。小泉、武部、二階3氏が一緒だから(笑)。
 ─小池さんは本来、保守政治家で安保重視の考えを持つ人のようだが。
  自民党に席を置いていたからで、そんな大思想家でもない。パフォーマンスの政治家、劇場型の政治家だ。
 ─小泉さんの手法をまねている。
  似ている。女性にしては珍しく権力欲が強いし、権力闘争にも強い。彼女は安倍政権に干されたから都知事選に出た。彼女は自民党内に足場が無くなり、身の置き所が無くなったので、都知事選に活路を見いだした。まず都知事選に出て、彼女は自分をプレーアップした。出て、勝って、それを踏み台にして、次に行こうと思っているのは間違いない。彼女は本当に都知事をやりたくて出たのではないと思う。
 ─都民ファーストの都議、国会議員や組織をつくって、このブームを維持するのは大変だと思うが。
  小池百合子氏は今までそれをやってきたし、また細川政権時代と同じことをやろうとしている。あの時は日本新党で細川護煕氏をかついだ方だった。保守の系列ではあるが、政党をいろいろ渡り歩き、要するに権力志向型の人間だ。権力の足場として、今は都知事という足場を選んだとみている。
  彼女は65歳。あと70歳まで5年しかない。それまでにどう動くかだ。頭も勘もいいし、パフォーマンスも優れている。他の女性政治家とはタマが違う。だから小泉との会合に呼んだ。都知事のまま落ち着くわけがない。

170730 特別対談 政治家の言葉:下 保阪正康さん、斎藤美奈子さん

2017年07月30日 11時39分01秒 | 時々刻々 考える資料
7月30日(日):        
朝日デジタル特別対談 政治家の言葉:下 保阪正康さん、斎藤美奈子さん  2017年7月30日05時00分
 <軍批判した勇気に共感を>  <問われる我々のセンサー>

 前週に続いて、本紙書評委員の保阪正康さんと斎藤美奈子さんが、先人の本を手がかりに政治家について語りあいます。

 ■保守は経験重視
 ――失言や暴言ではなく、名言も聞きたいものです。
  保阪 佐藤栄作内閣で法務大臣を務め、衆院議長にもなった前尾繁三郎(1905~81)が『政の心』(毎日新聞社、品切れ)で語っています。「保守主義は目的を達するためには手段もまた正当でなければならない」「政治的モラルを堅持しなければならない」。保守が一番苦しいのだ、自制や禁欲が必要なのだと解釈しました。
  斎藤 保守は本来、経験知を重視する。革新は理想や「正しさ」を基準にして先を急ぐけど、保守は「あのときはこうだった」という経験則に基づく。
 ――後藤田正晴氏(1914~2005)も法務大臣を務め、順法精神を掲げて筋を通した保守という印象があります。
  保阪 『情と理』を読むと、プロセスを大事にしたと分かります。87年のイラン・イラク戦争の時、交戦海域への自衛隊派遣は参戦と同じだと、閣議での署名を拒否すると中曽根康弘首相に告げています。本人から直接話を聞いた時、〈戦争をやった世代がわびればいい、我々はわびる必要がない〉といった後輩議員に対し、「日本人とは何なのだという視点がない。恥ずかしい」と批判したのも印象深かった。
  斎藤 重しのような人。自民党の議員は先輩政治家の本を読んだ方がいいですね。本物の保守とは何か、考えてほしい。
 ――実際の戦争体験が重みにつながるのでしょうか。
  保阪 福田赳夫元首相(1905~95)が死の4カ月前に出した『回顧九十年』には驚いた。現役時代はタカ派で通ったが、晩年は軍縮問題、環境問題に関心を深め、発言も地球規模に広がっている。在任中に著すべきだったと思いましたね。
  斎藤 77年の日航機ハイジャック事件では「人命は地球より重い」と発言した。批判も浴びたけど。一方、安倍晋三首相は、ISに日本人の人質が殺されても「テロには屈しません」で通しました。ところで、角福戦争の相手だった田中角栄(1918~93)の秘書・早坂茂三(1930~2004)の『田中角栄回想録』も面白いですね。私は角栄と同じ新潟出身で、農村共同体に軸足を置いた列島改造論には批判的だったんです。でも、新幹線も高速道路も、地方創生ですよね。
  保阪 上から目線ではなく、暮らしをよくすると言って、教職員らの給与も引き上げた。私は角栄を「無作為の社会主義者」と呼んでいます。パイの分け方が偉かった。誰が現実の社会を動かしているか、誰を手厚く遇しなければならないかを熟知していました。

 ■「護憲」への伝統
  斎藤 『海部俊樹回想録』も意外でした。90年のイラクのクウェート侵攻で、米国から軍事制裁への協力を求められた時、海部首相(1931~)は「憲法の制約があるので多国籍軍への参加はできない」と断った。しかも、「憲法を日本と一緒になってつくったのは米国なんです」とまで言っている。90年代の初めはそれがまだ常識で、米国にも物を言ってたんですね。
 ――忘れてはいけない政治家はいますか。
  保阪 36(昭和11)年の衆院本会議での粛軍演説で有名な斎藤隆夫(1870~1949)は記憶しておくべきです。『回顧七十年』に詳しい。「国民の忍耐力には限りがある」といって聖戦を唱える軍を真っ向から批判した。4年後の「反軍演説」では除名動議が出され、7人が反対、296人は賛成、144人が棄権欠席。この144人が人間の弱さを示していると思う。僕らは勇気ある7人にシンパシーを持たなくてはいけない。
  斎藤 武田泰淳が『政治家の文章』で昭和初期に首相を務めた浜口雄幸(1870~1931)の文章を紹介しています。「今日の議会に於(お)ける防禦(ぼうぎょ)軍、即(すなわ)ち政府方の人々は、多くは都合の好(よ)い所ばかりを選んで敵の攻撃に答へ、都合の悪い所はことさらに之(これ)を省略せんとする風がある」。今、現在のことのよう。
  保阪 安倍政権を支持した人たちも、経済政策も含めて「違うぞ」と気がついてきた。様子見していた政治家もメディアも批判するようになった。
  斎藤 政治家に限らず暴言や差別発言などは、誰かが問題点に気づいて追及しないと、簡単にスルーされてしまう。受け取る側にセンサーがなければならない。聞く側の我々も問われていると思います。
 (聞き手・吉村千彰読書編集長、構成・西秀治、板垣麻衣子)
    *
 ほさか・まさやす 39年生まれ。ノンフィクション作家。近刊に『定本 後藤田正晴 異色官僚政治家の軌跡』
    *
 さいとう・みなこ 56年生まれ。文芸評論家。『戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る』など


※以下に前回の分を掲載します。

「170723 特別対談 政治家の言葉:上 保阪正康さん、斎藤美奈子さん」
              2017年07月23日 17時20分09秒 | 時々刻々 考える資料
7月23日(日):      
朝日デジタル特別対談 政治家の言葉:上 保阪正康さん、斎藤美奈子さん  2017年7月23日05時00分
 <国民への誠意欠く失言>  <行動伴ってこその反省>
  自民党の政治家による暴言・失言が相次いでいる。安倍晋三首相自身の言葉の軽さを指摘する声もあり、内閣支持率も落ちてきた。「政治家の言葉」の重みはどこへ……。本紙書評委員の保阪正康さんと斎藤美奈子さんが政治家の本を引きながら語り合った。
 ――稲田朋美防衛相の東京都議選応援演説での「自衛隊もお願い」発言と釈明会見での「誤解」の連発。東日本大震災をめぐる今村雅弘前復興相の「東北でよかった」もありました。秘書への暴言など次々出てきます。
  保阪 稲田さんは、国家の、そして国民の自衛隊を、まるで自民党の持ち物のように言う。一般社会の常識も基本的な政治の知識も欠けている
  斎藤 暴言や失言をする政治家には三つの特徴があると思います。(1)過去への敬意を欠いている。歴史を知らないし、先人に学ぶ気もない(2)現在、すなわち国民に対する誠意を欠いている。適当にごまかそうとする(3)未来に対する責任を欠いている。『政治家失言・放言大全 問題発言の戦後史』に約500件が掲載されています。
  保阪 本を読まない人の特徴とも重なる。(1)形容詞が多い(2)結論しかいえない(3)耳学問だから話がもたない。
 ――安倍首相は自らの国会対応を「反省」し「説明責任を果たす」という一方、都議選の応援演説では「こんな人たちに負けるわけにはいかない」とも。
  保阪 「反省する」と言うが、行動を伴ってこその反省。言いっ放しでは国民を愚弄(ぐろう)していることになる。プロセスの説明なしに結論がいきなり出てくることも気になる。安全保障法制も共謀罪もそう。
  斎藤 安倍首相は『新しい国へ 美しい国へ 完全版』で「戦後レジームからの脱却」と言い、自らを「闘う政治家」と規定していますが、要は戦後民主主義を捨てたい?
  保阪 祖父の岸信介さんの背中を追いかけ、正当化することに重きを置いているのでしょう。歴史を権力者のものと思っている。国民の総意が動かしていると分かっていない。

 ■小選挙区で劣化
 ――言葉の劣化はいつごろから顕著になりましたか。
  保阪 1996年の衆議院選から小選挙区制が導入された。中選挙区時代は、自民党内から複数立候補するから批判し合いチェックも利いた。小選挙区制では、党の指導者が決定権を持ち、お気に入りばかりが公認される。それが議員の質の劣化を招く大きな要因の一つだと思いますね。
  斎藤 与党が大勝すると、小選挙区で負けても比例で復活する人がいる。裏口入学みたい。
  保阪 受かるはずのない人が受かってくるのだから、失言の多発もむべなるかな。「ワンフレーズ政治」は、小選挙区制で強化されていく。小泉政権しかり、安倍政権しかり。
 ――小選挙区制の前に、93年に55年体制が崩れ細川政権が誕生、政界再編が続きました。
  斎藤 94年に「自社さ」政権ができるのですが、すりあわせができずにあっさり崩壊した細川政権と比べて、議論が活発だったようですね。『聞き書(がき) 野中広務回顧録』には、閣僚懇談会を延々とやっていたとあります。『村山富市回顧録』も読むと、この政権は、稀有(けう)な中道リベラル政権だったような気がしてくる。村山・野中世代の政治家の厚みを感じます。
  保阪 その2人は戦争に徹底して反対の立場。戦争にかり出された側の視点と体験から身につけたバランス感覚があった。しかし今の自民党議員は、かなりの人たちが歴史修正主義に取り込まれている。

 ■「戦間期」の思想
  斎藤 読者にお薦めしたいのは保阪さんの著書『安倍首相の「歴史観」を問う』。安倍政権の言葉がなぜ軽いのか、歴史と比較してよく分かる。保阪さんは「戦間期の思想」はだめだとおっしゃっていますね。
  保阪 第1次世界大戦から第2次世界大戦の間が「戦間期」。「領地を失ったけれど、次は取り返してやる」というのが「戦間期の思想」。我々の国は45年から、戦間期の思想を持たないという壮大な実験をやっているんですよ。だからずっと「戦後」なんです。安倍さんが危ないのは、戦間期の思想を持っているんじゃないかと外国から疑われかねないことですね。
  (聞き手・吉村千彰読書編集長、構成・西秀治、板垣麻衣子)
     *
 ほさか・まさやす 39年生まれ。ノンフィクション作家。『田中角栄と安倍晋三』『あの戦争は何だったのか』など
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 さいとう・みなこ 56年生まれ。文芸評論家。『学校が教えないほんとうの政治の話』『文章読本さん江』
  ◇次週「下」を掲載します。

170729 民進党代表選の選択はリベラルの枝野しかない。前原詐欺師は、岸田自民党よりも好戦的で新自由主義的!

2017年07月29日 14時46分57秒 | 徒然・雑感
7月29日(土): 

今回の民進党の代表選挙も、選択肢はリベラルの枝野しかないのだ。自民党と違う?保守を称する前原詐欺師を選んでしまえば、一般の国民の多くから見れば、憲法改正に慎重な旧宏池会の岸田外務大臣が率いる自民党との見分けがつかなくなる。場合によれば、宏池会系の岸田自民党よりも、前原が率いる?民進党の方が新自由主義的で、歴史修正主義的で、憲法改悪に積極的に見えてしまい、自民党との違いが全く分からなくなるだろう。

今の安倍政権にうんざりしている無党派層の受け皿になるには、リベラルの枝野を代表に選び、軍事に抑制的で、憲法改正に慎重で、格差是正のための社会保障を前面に打ち出して、連合などの既得権益集団との縁をいったん切って、反原発の姿勢を示すことにより明確な対立軸を国民に示すことしかない。

前原を支持する<第二自民党>勢力は分党して、ペテン師松井の日本維新の会という<第三自民党>と合流の上で、本来居るべき岸田自民党に拾ってもらえばよいのだ。前原が、民進党代表になれば、野党共闘は崩れ、有権者・無党派層はそれこそ大混乱状態になって日本はファシズムの奈落に沈むかもしれない。

民進党には、ぜひ日本の未来のために有権者・無党派層が安心して投票のできる受け皿として、明確な対立軸を提示できる枝野を代表にしてほしい。その際、前原、細野らの大量の異分子を追放する覚悟で代表選に取り組んでほしい。リベラルと社会保障を前面に出して、共産党も含めた「オリーブの木」野党共闘によって、90年代後半の自社さ政権のような本格的中道リベラル政権を目指して、本気で政権奪取の気迫を示せば前原・細野ら大量の異分子を追い出してもあまりあるおつりが出るほどの議席を獲得できるだろう。問題は「覚悟」である。

あと、共産党にはリベラル政権を支えるために自らの立場をできるだけ抑えてほしい。野合の批判が出ても、格差是正社会保障の充実を前面に、反原発、憲法改正に慎重、沖縄問題に対する丁寧な取り組み、その裏面でのアメリカの虎の尾に対する配慮、を慎重に行う姿勢を維持して安倍自民で荒廃した日本の再生をまず第一に考えていることを示してほしい。まちがっても、5年ほど前までのような、単独行動により野党勢力を分断し、結果として安倍自民党を逆から支える勢力とならないことだ。日本の市民社会を立て直すための努力をしてほしい。

乱筆失礼。書き足して整理できれば整理します。

田中龍作 ‎@tanakaryusaku  7:51 - 2017年7月28日
情報通の元民主党議員からこんな話を聞いた・・・民進党X議員が自民党の裏工作に必要な人物であるとする。自民党はX議員の選挙区に強力な候補者を立てない。X議員は国会議員であり続けたいから、自民党のために尽くす。表向きは戦っているフリをして。Xだけじゃない。複数いる。

170729 【経済季評】マイノリティー差別解消へ 覚悟が均衡を破るとき 松井彰彦

2017年07月29日 14時41分29秒 | 時々刻々 考える資料
7月29日(土):     ちょっといいことを言う人を発見した感じ?  

昔、上坂昇「キング牧師とマルコムX」(講談社現代新書:1994)を読んだ時のことを思い出した。キング牧師とマルコムⅩは生まれ育った成育歴が全く違った。裕福な牧師の家庭に育って高い教育を受けたキングに比べて、マルコムXは、貧しく十分な教育も受けられず社会的承認もなかった。その分だけマルコムXの運動は攻撃的で激しい言葉で展開されることになった。しかし、彼の若い晩年、黒人のムスリムの指導者としてアメリカ社会である程度の評価を受けるようになった後、マルコムの思想はキングに接近していく。両者が理解を深め合うまさにその時、マルコムXは殺された。読んだ当時、俺はマルコムXに共感と同情を強く持ったのを覚えている。しかし、最後に「マルコムに比べれば、恵まれた状況にあったキングも殺されたんだよな…。結局二人は生死のぎりぎりの線を共に生きていたんだよな…。そこは変わらなかったんだよな。でも、やっぱり恵まれた教育を受けて自らの思想をある程度完成させられたキングに比べれば、自らの思想を未完成のまま殺されねばならなかったマルコムの方が哀しい気がするなあ」と感慨を持ったのを思い出した。

最近、日本で増えてきたヘイトスピーチの馬鹿どもの底の浅さ、レベルの低さ、そんな幼稚さのままで、まもなく訪れる大規模な移民による日本社会の多様化をどう乗り切れるつもりなのか!? 極めて疑問である。低レベルな歴史修正主義者の言動に目先を惑わされたままで、今後キリスト教(多様である)、イスラム教(多様である)、中国(多様である)、フィリピン、東南アジア(多様である)、他さまざまな多様性を背景に持つ大量の移民・難民を受け入れることができるのか?

我々の子孫の多くも、彼らと婚姻し子どもたちを儲けるのだ。日本列島には、今後急速に様々なバックグラウンドを持つ子孫たちがあふれていくのだ。必然的なその流れを前にして、いまだに「天皇制」維持のための近代制度化もできず、女性差別を「天皇制」に依拠しようとする愚かしさ加減を見ているとボー然とする思いをもつ。基本的人権の墓場である「戦争」を許容するのであれば話は別だが、そうでなければ、互いの多様性を認め合いながら、一つずつ地道に争いを抑えて「共に生きる社会」を模索し続ける、それこそ「不断の努力」を重ねていくしかないのに、今の日本の社会ときたら、大きな視野が閉じられているとしか言えない。

朝日デジタル(経済季評)マイノリティー差別解消へ 覚悟が均衡を破るとき 松井彰彦  2017年7月29日05時00分
  障害者差別解消法が施行されて1年強がたった。実社会において差別解消に向けた具体的な行動が課題となるなか起きたのが、6月の「バニラ・エア事件」だった。
  男性が車いすを使うことを事前に告げずに飛行機に搭乗しようとし、タラップをはいながら上るという衝撃的なニュースが報道された。男性の所作にはネット上などで、「世直しだ」「当たり屋に過ぎない」などの賛否両論が巻き起こった。
  社会は変わるのか。どうすれば変わるのか。社会的不利益を受けてきたマイノリティーにとっては、永遠の課題である。
     *
  今回の「事件」とその後の議論を見ながら、1992年に米国で封切られた映画「マルコムX」を思い出した。そのころ、私はニューヨークに住んでいて、近くにある映画館の前にできた黒人ばかりの長蛇の列を眺めながら、地下鉄の駅に向かった。テレビ番組では、白人のコメンテーターは、「マルコムX」が人種対立をあおるものだと批判した。
  マルコムXは、60年代に活躍した実在の黒人活動家だ。同時期に活躍した公民権運動の指導者のマーティン・ルーサー・キング牧師が非暴力および白人との融和を強調したのに対し、マルコムXは公然とこれを弱腰だと批判し、白人からの自立・分離を是とし、場合によっては武力の行使もあり得るとの立場をとった。
  当時、重要課題とされた選挙権をめぐる問題でも、両者は対立した。米国ではすでに黒人に対する選挙権は与えられていたが、行使するためには有権者登録を行わなくてはならない。60年代前半の米国の多くの南部の州では登録に際し、人頭税の支払いや市民理解度テストを課していた。多くの黒人はこの段階で不合格となり、有権者登録ができない状態に追いやられた。その結果、たとえば64年のミシシッピ州では、有権者のうち白人の70・2%が登録したが、黒人はわずか6・7%だった。
  あくまでも非暴力を強調し、「Give Us the Ballot(我々に投票する機会を)」という演説を行ったキング牧師に対し、マルコムXは「The Ballot or the Bullet(投票か、さもなくば弾丸だ)」という演説を行った。結果的には、65年8月に選挙権法が制定され、黒人の有権者登録を阻んでいた人頭税や様々なリテラシー・テストが違法とされるに至った。
  しかし、人々の偏見や差別行動がすぐになくなるわけではない。喜びもつかの間、ミシシッピ州で、66年1月10日におぞましい事件が起きた。白人至上主義団体の中でも最も過激な集団として悪名高いクー・クラックス・クラン(KKK)が、有権者登録を周囲に勧めていた一般市民のバーノン・ダーマー氏宅を襲撃した。同氏は翌日死亡。容疑者は捕まったものの、全員白人の陪審員の下で無罪か軽微な罰を科され、KKKのリーダー、サム・ボワーズはその網すらもすり抜けた。
  法的に権利が認められていても、差別的な行動によって、その権利が妨げられてしまう。それを恐れる黒人の多くは有権者登録を忌避する。有権者登録者が少なければ、KKKの差別的行動が少ないターゲットに向かうことになり、その威力が増す。有権者登録をする黒人の少ない状態が、経済学のゲーム理論でいう「均衡」となってしまう。
  この均衡から脱するためには、一気呵成(いっきかせい)に登録がなされることが必要だ。事実、黒人たちの有権者登録は一気に進み、72年にはミシシッピ州の黒人有権者の登録率は59%に達した(白人は69%強)。黒人有権者を排斥した均衡が崩れた。
     *
  ゲーム理論でいうバンドワゴン効果を用いて説明すれば、少ない登録者を襲って、他の有権者を震えあがらせていたKKKの力も、圧倒的な数の前にはなすすべもなくなったということになる。みんなが襲撃を恐れて登録をしない均衡から、みんなで登録すれば怖くない、という均衡に移ったのである。有権者登録が進めば、登録者から選ばれる陪審員も増える。98年、ついにボワーズは、ダーマー氏殺害の首謀者として、黒人陪審員が過半を占めた公判にかけられ、終身刑となり、生涯を塀の中で過ごした。
  均衡は変わる。そのためには命がけで活動するマルコムXやキング牧師のような人々の努力が必要不可欠である。ただ、マルコムXのような手法がよいのか、キング牧師のような手法がよいのか。あるいは第3の選択肢があるのか。それを解き明かす理論は、いまだに存在しない。
  同じ目的を持つ2人は暗殺される前にはかなり歩み寄っていたとも言われる。イスラム教徒に改宗していたマルコムXは、初めて訪れた聖地メッカで白人の信者と寝食を共にしたことがきっかけとなり、白人との融和を模索し始める。もし、2人が暗殺されなかったら、同じような答えにたどり着いていたかもしれない。その答えに思いをめぐらす。
  全く異なる発想を持つ複数の覚悟を決めた人間が、真剣に相手に向き合い、答えを探していく。そのプロセスこそが、社会のマイノリティーの差別解消の実現に不可欠なものだったのかもしれない、とも思う。
     ◇
 まつい・あきひこ 1962年生まれ。東京大学教授。研究テーマは障害と経済、ゲーム理論。著書に「慣習と規範の経済学」など。

170729 再論:6 083 齋藤孝「図解 菜根譚 バランスよければ憂いなし」(ウェッジ:2013)感想3+

2017年07月29日 12時27分19秒 | 一日一冊読書開始
「6 083 齋藤孝「図解 菜根譚 バランスよければ憂いなし」(ウェッジ:2013)感想3+」
             2017年07月21日 22時58分56秒 | 一日一冊読書開始
7月21日(金):  

231ページ    所要時間2:10      図書館

著者53歳(1960生まれ)。

本来の「菜根譚」部分は2割程度。あとの8割は著者の随想みたいなもの。付箋はしたので、返却までにざあっと見直す程度かな。

著者の文章は、いつもそつのない世渡りのうまさを感じるばかりで、あまり心に響かない。


7月29日(土):追加して記す。

ここのところずっと、職場で精神的にきつい日々を送っている。そんな日々の中で、一番救いになったのは図書館に返却する前にとっておいた本書の付箋をしたページのコピーを読み返すことであった。コピーを取った目次には、紹介されている節の『菜根譚』内での番付けが記されてるので、コピーにある部分も、ない部分も、改めて俺の蔵書の中村璋八、石川力山『菜根譚』(講談社学術文庫:1986)で中身を見て確認できた。

本書の著者の齋藤孝が「おわりに」で、
『菜根譚』の内容は、社会で成功したりうまく行ったりした時ではなく、うまくいかなかったとき心にしみるものかもしれません。自分が周囲に評価されていないと感じるとき。自身の力がうまく発揮できないと感じるとき。人生の意味を振り返り考え込んでしまうとき……。ふとした瞬間に立ち止まることは、誰にでもあるものです。/普通それは「不安」という言葉で表されます。これらの不安が訪れたとき、宗教が一つの支えになる人もいます。宗教というのは、自分がなぜそこにいるかという存在の不安を軽減してくれるものです。しかし、明確な宗教をもたない人は、不安が訪れたときやちょっと嫌なことがあったとき、鬱になったり、無力感にさいなまれてしまうのです。/そういうときこそ、『菜根譚』を読むチャンスです。/『菜根譚』は、全編通して本質的な問題を見つめているので、ふとした不安についても深いところで気づきがあります。何度か読んでなじんできたら、気に入ったフレーズを座右の銘として手帳に書き写しましょう。  229ページ
と述べている。確かにこの評価は正しいと思った。語り続けられる陳腐な言葉には、語り続けられる理由があるのだ。普段はピンと来ないし、「わかりたくもない」と思っている言葉の真理に触れることができるのも福岡伸一先生流に言えば「年を取り様々な苦労を重ねることの値打ちである」のかもしれないと思うのだ。

昨日7月28日(金)は、蔵書の守屋洋「中国古典の人間学」(新潮文庫:1984)の中の『菜根譚』の章(22ページ)だけ読んだ。本書では、『菜根譚』を「老獪な処世法」の書と言い切り、「謙虚さの陰にある計算は、あくまでも秘められたものではならない」とする。そして、
読み込むほどに味わい深く、それぞれの立場に応じて、得るところが多いはずである。厳しい現実と苦闘している人は、適切な助言を見出すだろうし、不運な状態に苦しんでいる人は、慰めと励ましを受けるだろう。心のいらだちに悩まされている人は、大いなる安らぎを与えられるに違いない。 113ページ
と位置付けている。適切な評価だと思う。

【ウィキペディア】 菜根譚(さいこんたん)は、中国の古典の一。前集222条、後集135条からなる中国明代末期のものであり、主として前集は人の交わりを説き、後集では自然と閑居の楽しみを説いた書物である。別名「処世修養篇」(孫鏘(そん しょう)の説)。洪自誠(洪応明、還初道人)による随筆集。
  その内容は、通俗的な処世訓を、儒教、仏教、道教、三教一致の立場から説く思想書である。中国ではあまり重んじられず、かえって日本の加賀藩儒者、林蓀坡(はやし そんぱ、1781年-1836年)によって文化5年(1822年)に刊行(2巻、訓点本)され、禅僧の間などで盛んに愛読され、仏典に準ずる扱いも受けてきた。また実業家や政治家などにも愛読されてきた。尊経閣文庫に明本が所蔵されている。
  菜根譚という書名は、朱熹の撰した「小学」の善行第六の末尾に、「汪信民、嘗(か)って人は常に菜根を咬み得ば、則(すなわ)ち百事做(な)すべし、と言う。胡康侯はこれを聞き、節を撃(う)ちて嘆賞せり」という汪信民の語に基づくとされる(菜根は堅くて筋が多い。これをかみしめてこそものの真の味わいがわかる)。
  「恩裡には、由来害を生ず。故に快意の時は、須(すべか)らく早く頭(こうべ)を回(めぐ)らすべし。敗後には、或いは反(かえ)りて功を成す。故に払心の処(ところ)は、便(たやす)くは手を放つこと莫(なか)れ(前集10)」(失敗や逆境は順境のときにこそ芽生え始める。物事がうまくいっているときこそ、先々の災難や失敗に注意することだ。成功、勝利は逆境から始まるものだ。物事が思い通りにいかないときも決して自分から投げやりになってはならない)などの人生の指南書ともいえる名言が多い。

170728 ジョン・ローン主演、坂本龍一共演、BSシネマ「ラストエンペラー」(伊・英・中、1987)感想5

2017年07月28日 23時54分17秒 | 映画・映像
7月28日(金):        

昨日録画したジョン・ローン主演、坂本龍一共演、BSシネマ「ラストエンペラー」(伊・英・中、1987)を観た。何回目だろう。とにかく久しぶりだ。セリフはすべて英語。日本語字幕。

愛新覚羅溥儀が主役。共産党に戦犯として逮捕、強制的反省、思想教育を受け続けるシーンをベースとして、そこから過去を回想し、最後はそのシーンを超えて釈放後の中国文化大革命を眺めながら市井の庭師としての死去で終わる。

まず、亡くなる直前の西太后による皇帝推挙・3歳の皇帝即位(1908)、実母、乳母など大切な女性たちとの別れ。その後、孫文の辛亥革命で清朝滅亡(1912)。紫禁城の外では、袁世凱、蒋介石と権力者は変わっていくが、祖先の残した莫大な財宝によって城内では大勢の宦官や女官に囲まれ、変わることなく主(あるじ)として少・青年期を送る。その間、ピーター・オトゥール演じるイギリス人ジョンストン(「紫禁城の黄昏」著者)が皇帝の家庭教師を務める。二十一か条要求、五・四運動などで日本の姿が見え隠れする。籠の鳥だったのが、20歳過ぎで城外に追放され、天津に移ると甘粕正彦が取り入る。

やがて、満州国建国、日本に政治利用され、皇后もアヘン中毒で廃人にされる。日本敗戦、中国共産党の勝利、中華人民共和国建国。戦争犯罪者として共産党による長く厳しい思想教育、模範囚として釈放、恩人の文化大革命でのつるし上げに遭遇、最後は紫禁城太和殿に忍び込み、そこで姿を消す。1967年逝去(61歳)。

中国「最後の皇帝」の数奇な運命をたどった映画である。2:43は、結構長いはずだったが、最後まで観てしまった。最後が紅衛兵の若者たちの(滑稽で愚かな?)姿を俯瞰するように終わる形で、歴史を裁かず偏らない姿勢に好感を持てた。愛新覚羅溥儀は決して愚かではなく、明晰な頭脳の人物として描かれている。そういう人物が、歴史に押し流されるように数奇な人生を送るのである。ピーター・オトゥールの存在感はなかなかのものだった。

念のため、【ウィキペディア】の解説:溥儀の自伝『わが半生』を原作に、ベルナルド・ベルトルッチが監督、脚本を兼任した。メインキャストである溥儀の青年時以降の役は、香港生まれの中国系アメリカ人俳優のジョン・ローンが演じた。
  西太后による溥儀に対する清朝皇帝指名と崩御を描く1908年からスタートし、所々に第二次世界大戦後の中華人民共和国での戦犯収容所での尋問場面を挟みつつ、満州国の皇帝になり、退位し連合軍に抑留された後、文化大革命のさなかに一市民として死去する1967年までの出来事をメインに溥儀の人生を描く。歴史的事実には重きをおいておらず、大胆な創作が随所に盛り込まれている。
  第60回アカデミー賞作品賞並びに第45回ゴールデン・グローブ賞 ドラマ部門作品賞受賞作品。


溥儀について【ウィキペディア】の解説:愛新覚羅 溥儀(あいしんかくら ふぎ、アイシンギョロ・プーイー、1906年2月7日 - 1967年10月17日)は、大清国第12代にして最後の皇帝(在位:1908年12月2日 - 1912年2月12日)、後に満州国執政(1932年3月9日 - 1934年3月1日)、皇帝(在位:1934年3月1日 - 1945年8月18日)。1964年から中華人民共和国中国人民政治協商会議全国委員。
  中華圏最後の皇帝であり、その生涯を題材にした映画から『ラストエンペラー』として知られる。清朝皇帝時代には、治世の元号から中国語で宣統帝と称された。辛亥革命後は遜清皇室小朝廷として大清皇帝の尊号で保護されるも張勲復辟事件で復位して12日間で再び退位、北京政変で追われて天津の日本租界で日本政府の庇護を受けて満洲国の執政に就任、帝政移行後の大満洲帝国で皇帝に即位して康徳帝と称し、満州国軍大元帥や満州国協和会名誉総裁などを兼任。大満洲帝国の崩壊とともに退位し、赤軍の捕虜となって中華人民共和国に引き渡され、撫順戦犯管理所からの釈放後は一市民として北京植物園に勤務、晩年には満州族の代表として中国人民政治協商会議全国委員に選出された。
  字は「耀之」。号は「浩然」。辛亥革命後の呼称としては、廃帝と国民党政府から呼ばれる一方、旧清朝の立場からは遜帝(「遜」は「ゆずる」の意)とも呼ばれた。末代皇帝(末帝)と呼ばれる場合もある。また、唯一火葬された皇帝のため「火龍(龍は皇帝を指す)」とも呼ばれる。

170727 民進党代表選:枝野を支持する!松下オカルト塾の前原詐欺師にだけは絶対反対する。「第二自民党」はもういい!

2017年07月27日 23時12分17秒 | つぶやき
7月27日(木):  

前原詐欺師が代表になるのであれば、俺は民進党の存在を「第二自民党」として徹底的に批判する。枝野も代表になれば、過去の遺恨を捨てて自由党の小沢一郎代表と連携して反自民・公明の「オリーブの木」構想に結集することを強く求める!

読売新聞枝野氏と前原氏、民進党代表選に出馬へ  7/27(木) 22:18配信
  代表選には、枝野幸男元官房長官(53)、前原誠司元外相(55)が出馬する見通しだ。
  枝野氏は27日、党所属議員らに電話をかけ、「私は出ます」と述べ、出馬の意向を伝えた。野党再編に積極的な前原氏も同日、国会内で記者団に対し、「前回(代表選に)出た思いは変わっていない」と述べ、出馬に向け調整を始めた。前原氏のグループは28日にも会合を開く方向で調整しており、出馬を最終決定するとみられる。
  一方、若手からは玉木雄一郎幹事長代理(48)を推す声もあるが、玉木氏はかつて前原グループに所属しており、前原氏の支援に回る可能性もある。


170727 NHKBS 英雄たちの選択「まさかの応仁の乱!もうどうにも止まらない11年戦争」最高!感想5

2017年07月27日 22時27分58秒 | つぶやき
7月27日(木):  

 異例の2時間スペシャルを観終わった。最高におもしろかった! ベストセラー「応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱」(中公新書:2016)を著した真打ち呉座雄一先生登場!、井上章一先生のブラタモリを彷彿とさせる京都散策の味わい。磯部道史先生を始め、レギュラー陣の先生方も今日は言葉が冴えに冴えいていた!俺の持っていた「応仁の乱」像をかなり危うくさせてくれるしびれる様に刺激的な内容だった。みんなが自分ファーストなのに、誰も得をしなかったあの時代。日野富子を悪女ではなく、応仁の乱を終わらせる功績を評価され、最後に、真打ち呉座雄一先生が、畠山義就(よしひろ:戦いに明け暮れる、もはや怪獣!)を最初の”戦国大名”と位置付けた時には正直のけぞるような感動を覚えた!ヒーロー無き戦乱。今宮神社の仲の悪いあぶり餅屋2軒のうちどっちのロケや…?

【番組内容】いまブームの応仁の乱!興味はあるが、ややこしく難しそう…そう思っている方も多いのでは?ベストセラーの著者が登場し、磯田道史と「日本で一番わかりやすい解説」を目指す。キーワードは“自分ファースト”と“まさか”。登場人物たちの、自己中心的な欲望、メンツなど、利害が複雑にからみ合い、まさかの事態を生んでいった乱の実像を、切れ味鋭く分析。“京都が嫌い”なあの人の現場案内も交え、歴史の大転換点を語り尽くす
【出演者】司会 磯田道史,渡邊佐和子 /出演 井上章一,呉座勇一,小谷賢,中野信子,橋本麻里

NHK大河『花の乱』(1994年4月3日-12月11日:全37回)の再放送を強く希望する!是非是非再放送を!

ちなみに、京都の「国際日本文化研究センター」ってスゲー!!

170725 【平成と天皇】首相経験者に聞く:1 退位、政治家もっと謙虚に 福田康夫氏

2017年07月25日 22時09分16秒 | 時々刻々 考える資料
7月25日(火):  

21世紀の歴代総理の中で、福田康夫氏と鳩山由紀夫氏の二人だけが人格、識見ともにまともな首相だったと思っている。正直言って、まともな総理大臣ほど潔すぎる早期辞職をしているのは残念でならない。

朝日デジタル【平成と天皇】首相経験者に聞く:1 退位、政治家もっと謙虚に 福田康夫氏  2017年7月25日05時00分
 ――首相や官房長官の在任中たびたび天皇陛下と面会されました。どのようなやりとりをしたのですか。
  「小泉(純一郎)内閣で官房長官を務めた時から、諸懸案のご報告で参内した際、陛下から世の中の動きなどについて質問もあった。皇居内の個室に置かれた小さなテーブルで対面し、時には30分近く2人きり。大変緊張した。世の中のどの話題も陛下は大変勉強されている様子だった」
  「臓器移植のあり方が議論されていた時に、『どう思うかね?』と意見を求められ、『臓器の売買などを防がなくてはいけません』とお答えした。陛下の関心事項は事前に伝えられず、突然の問いかけに戸惑ったこともあった」
 ――憲法で天皇は国民統合の象徴である一方、「国政に関する権能を有しない」とされています。首相にとって天皇はどのような存在ですか。
  「陛下の存在は大きく、絶対的な『権威』だと感じた。江戸時代には『権力』を握った徳川家と、『権威』とされた天皇家とですみ分けができていた。現代の権力が首相官邸だとすれば、天皇家の権威が健全に存在することで、権力は身をただすことができるシンボルのような存在だ」
 ――首相在任中の2008年春、韓国の李明博(イミョンバク)大統領が陛下に韓国訪問を呼びかけました。
  「竹島の領有権問題や歴史教科書の問題があり、訪韓の判断は難しかった。むげに断ることもできないが、1992年の陛下の中国訪問でも『政治利用』との指摘があり、同じことを言われかねなかった。近くの国でいまだ訪問が実現しないのは残念だ。早く訪問してほしいという思いは今も変わらない。滑らかな関係の中で訪韓できる環境を作るよう、政治はもっと努力しなくてはいけない」
 ――首相退任後の09年には陛下のカナダ・ハワイ訪問で首席随員でした。
  「陛下の外国ご訪問は、最高レベルの国際親善だ。一つの皇統でこれだけ続いている家系は欧州にもなく、他国の王室からは特別な家系だと敬意を表されている。陛下のご活動は外国でも国内でも同じ。常に変わらず一人ひとりの邦人に丁寧に声をかけることに特別な意味があると感じた」

 ■直系であれば女性天皇も
 ――陛下の象徴天皇としての歩みについて、どう感じていますか。
  「慰霊の旅などを通じて戦争はすべきではない、平和が大事だと、国民に懸命に伝えようとされているのではないか。激戦地のペリリュー島などを訪れ、戦った日本人だけでなく相手の慰霊もなされた。日本がこれからどうあるべきか、行動で示唆してくれている。昭和天皇もそういう思いを持っていたかもしれず、陛下はそれを受け継いでいらっしゃるのだろう。『天皇陛下は御簾(みす)の中で祈っていればいい』という意見もあるが、それは暴論だ」
 ――陛下の退位をどう受け止めますか。
  「陛下は自分自身に厳しいお方だ。あれだけ熱心に活動され、おやりになっていることが出来る間は続けられればいいが、肉体的な限界は否定できない。退位は自然な形だろう。退位をめぐり官邸と宮内庁の対立も指摘されるが、政治家はもっと謙虚になるべきだ」
 ――皇族数の減少にはどう対応すべきでしょう。
  「側室制度があった時代と今は違う。直系であれば、女性が天皇になってはいけないということはないと思う。国民の敬愛を維持できるかどうかも重要。世論調査では女系天皇も認めるべきだという人が多いと思う。男系維持のため、旧宮家の皇籍を復活させるとの議論もある。ただ、天皇家の直系から分かれた人たちがどう家をつないで今に至るかを調べたら、混乱が起きるのではないか」
  「天皇陛下も皇族も人間だ。人間らしく生きることが、何よりの前提ではないか。皇室が息苦しい所になってはいけない。個々の皇族の意思はできるだけ尊重することが必要だろう」   (聞き手・大久保貴裕)
     *
 ふくだ・やすお 父・福田赳夫(たけお)元首相の秘書官などを経て、1990年に衆院初当選。2000年10月~04年5月に森、小泉両内閣で官房長官、07年9月~08年9月に首相を務めた。81歳。
     ◇
 天皇陛下の退位を可能とする特例法が公布され、早ければ来年12月下旬にも実現する。平成の政治を担ってきた首相は国民統合の象徴である陛下にどのように接し、退位をどう受け止めているのか。自民、旧民主の首相経験者に聞いた。
 ◆キーワード
 <韓国訪問構想> 天皇陛下の韓国訪問は、1990年の盧泰愚(ノ・テウ)大統領など歴代韓国大統領の多くが招請。08年春に李明博大統領は陛下に面会して訪韓を提案した。陛下も「招待には感謝します」と応じたが、二国間関係の混乱などで実現しなかった。

170725 一年前:160725沖縄タイムス:【社説】[基地政治の泥沼化]誰が暴走を止めるのか

2017年07月25日 18時12分12秒 | 一年前
7月25日(火):
160725 沖縄タイムス:【社説】[基地政治の泥沼化]誰が暴走を止めるのか

7月25日(月):今日は朝日新聞の朝刊・夕刊に沖縄の記事はなかった。NHKニュース、報道ステーション、ニュース23にも一切沖縄のニュースはなかった。外国や国内の些末なニュースで......


170724 お薦めTV:NHK「亜由未が教えてくれたこと」(170722:再放送)感想5

2017年07月25日 00時18分18秒 | 映画・映像
7月24日(月):   

NHKの若手製作者が、自分の家族に対する取材だから実現した、ある意味で奇跡的なドキュメンタリー。世間で東大理Ⅲに4人兄弟を送り出した母親が注目されている時代の対極の作品。しかし、実は、母親のすごさは同じだ!

【内容紹介】今年の5月9日に、『ハートネットTV』では、「亜由未が教えてくれたこと」という番組を放送しました。NHK青森の坂川裕野ディレクターは、神奈川県の津久井やまゆり園で殺傷事件を起こした植松聖容疑者の「障害者の家族は不幸」という言葉を否定したいがために、実家に戻り、亜由未さんにカメラを向けることになりました。坂川ディレクターの妹の亜由未さんは、肢体不自由と知的障害のある重症心身障害者です。
  坂川ディレクターの実家は、東京の板橋区にあります。小さい頃から妹とは自宅でともに暮らしていましたが、世話や介助をしたことはありませんでした。しかし、今回は、番組のために妹さんの知らない一面や家族の苦労を知ろうと、1か月間介助をしたいと両親に申し出ました。
  「亜由未が教えてくれたこと」
介助の目標はただ世話をすることではなく、妹を笑顔にすることでした。「自分の家族は幸せなんだ」と示したくて、がんばりますが、妹の亜由未さんは思うように笑ってくれません。そんなときに、母親の智恵さんは、「結果的に笑顔なのと、笑顔を求めるのは違う」と息子をたしなめます。
  「障害者は笑顔でないといけないの?」という智恵さんの問いかけは、坂川ディレクターだけではなく、メディアすべてに向けられた問題提起でもあるような気がしました。昨年、バリバラでは「感動ポルノ」というテーマで、「障害者が非障害者を感動させるための道具にされていないか」という問題提起を行い、大きな反響を呼び起こしました。しかし、その一方で、昨年の津久井やまゆり園の事件の後には、さまざまなメディアが「幸せな障害者像」や「明るい障害者像」を示すことで、犯人の優生思想に対抗しようとしました。
  そんな中、母親の智恵さんは、「障害者を無理に笑顔にする必要なんてない」と言います。それはなぜなのか、ご自宅を開放したコミュニティスペース「あゆちゃんち」に話をうかがいに行きました。
  不幸だと生きていてはいけないの?

木下:「障害者の家族は不幸だ」という植松聖容疑者に対抗する意味で、息子さんは妹の亜由未さんを笑顔にしようとがんばります。それに対して、母親である智恵さんは、「結果として笑顔になるのと、笑顔を求めるのは違う」と戒めますよね。あの言葉の真意は、どこにあるのでしょうか。

坂川:犯人の植松容疑者は、「障害者の家族は不幸だ」と言ったわけですが、それに対して、「いや、私たちは不幸じゃありません」なんて言い返すよりも、「不幸な人間は殺されなければならないのですか? 生きるのが許されるのは幸福な人間だけですか?」という根本的なことを問いたいのです。
  「見た目は不幸に見えるかもしれないけれど、実は幸せです」なんて言う必要さえないと思います。「不幸で何がいけないの」と言いたいですね。人生、幸せだと感じたり不幸だと思ったりいろいろなんですから、「不幸なら生きている価値はない」なんて、冗談ではないと思います。

木下:亜由未さんは、いつも笑っている、明るいイメージが強いですね。その姿を視聴者に見てもらって、植松容疑者の言葉を否定したいという、坂川ディレクターの気持ちはよくわかります。

坂川:どうしてもSNSなどに上げる写真は笑顔のものが多くなりますから、いつも笑っているように思われてしまうのです。でも、ふだんは笑っていないことも多いですし、体調によって、全然違います。だから、ネットの中だけの亜由未しか知らなくて、初めて介助に来られる方は、「え、あゆちゃん、笑わないの!」と不安になられることがあるようです。でも、私たちもそうですけど、年がら年中笑ってるわけではないし、笑ってなくても充実していることってあるのに、笑顔ばかり求められたらしんどいと思います。

木下:介助する側にとっては、利用者の笑顔は仕事をしていく上で、大きなモチベーションになると言いますが。

坂川:学生時代に読んだ本で、安倍美知子さんという障害当事者の方が書かれた『ピエロにさよなら』という本があるのです。著者の美知子さんが、リハビリ中に一生懸命足を引きずりながら笑顔でがんばっていると、お父さんも先生もみんな笑顔になっていく。でも、本当はそうするのは辛くて、シンドイことだったのです。でも、「私が笑わなくなると、みんな去っていくのではないか」、そう思って、いつも笑っていたというのです。私はその本のことが忘れられません。
  亜由未はたまたま笑う障害者ですけど、表情がわかりにくかったり、笑わない方もおられます。明るい笑顔の障害者だけに人気が集まり、そうでない人には支援が手薄になるとしたら、それもおかしなことです。人間はいろいろな表情をもっていて、一日のうちでも変わりますし、逆に一日中、機嫌の悪い日だってあります。亜由未もいろいろな顔をするし、私は、それが「いいな」と思っています。詩人の相田みつをじゃないですけど、「人間だもの」と言いたいですね。
木下 真

170723 一年前:160722 正気か!?「政府、辺野古移設をめぐって沖縄県翁長知事を提訴」 143万沖縄県民を非国民扱いするのと同じ!

2017年07月23日 20時33分06秒 | 一年前
7月23日(日):
160722 正気か!?「政府、辺野古移設をめぐって沖縄県翁長知事を提訴」 143万沖縄県民を非国民扱いするのと同じ!

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170723 特別対談 政治家の言葉:上 保阪正康さん、斎藤美奈子さん

2017年07月23日 17時20分09秒 | 時々刻々 考える資料
7月23日(日):      
朝日デジタル特別対談 政治家の言葉:上 保阪正康さん、斎藤美奈子さん  2017年7月23日05時00分
 <国民への誠意欠く失言>  <行動伴ってこその反省>
  自民党の政治家による暴言・失言が相次いでいる。安倍晋三首相自身の言葉の軽さを指摘する声もあり、内閣支持率も落ちてきた。「政治家の言葉」の重みはどこへ……。本紙書評委員の保阪正康さんと斎藤美奈子さんが政治家の本を引きながら語り合った。
 ――稲田朋美防衛相の東京都議選応援演説での「自衛隊もお願い」発言と釈明会見での「誤解」の連発。東日本大震災をめぐる今村雅弘前復興相の「東北でよかった」もありました。秘書への暴言など次々出てきます。
  保阪 稲田さんは、国家の、そして国民の自衛隊を、まるで自民党の持ち物のように言う。一般社会の常識も基本的な政治の知識も欠けている
  斎藤 暴言や失言をする政治家には三つの特徴があると思います。(1)過去への敬意を欠いている。歴史を知らないし、先人に学ぶ気もない(2)現在、すなわち国民に対する誠意を欠いている。適当にごまかそうとする(3)未来に対する責任を欠いている。『政治家失言・放言大全 問題発言の戦後史』に約500件が掲載されています。
  保阪 本を読まない人の特徴とも重なる。(1)形容詞が多い(2)結論しかいえない(3)耳学問だから話がもたない。
 ――安倍首相は自らの国会対応を「反省」し「説明責任を果たす」という一方、都議選の応援演説では「こんな人たちに負けるわけにはいかない」とも。
  保阪 「反省する」と言うが、行動を伴ってこその反省。言いっ放しでは国民を愚弄(ぐろう)していることになる。プロセスの説明なしに結論がいきなり出てくることも気になる。安全保障法制も共謀罪もそう。
  斎藤 安倍首相は『新しい国へ 美しい国へ 完全版』で「戦後レジームからの脱却」と言い、自らを「闘う政治家」と規定していますが、要は戦後民主主義を捨てたい?
  保阪 祖父の岸信介さんの背中を追いかけ、正当化することに重きを置いているのでしょう。歴史を権力者のものと思っている。国民の総意が動かしていると分かっていない。

 ■小選挙区で劣化
 ――言葉の劣化はいつごろから顕著になりましたか。
  保阪 1996年の衆議院選から小選挙区制が導入された。中選挙区時代は、自民党内から複数立候補するから批判し合いチェックも利いた。小選挙区制では、党の指導者が決定権を持ち、お気に入りばかりが公認される。それが議員の質の劣化を招く大きな要因の一つだと思いますね。
  斎藤 与党が大勝すると、小選挙区で負けても比例で復活する人がいる。裏口入学みたい。
  保阪 受かるはずのない人が受かってくるのだから、失言の多発もむべなるかな。「ワンフレーズ政治」は、小選挙区制で強化されていく。小泉政権しかり、安倍政権しかり。
 ――小選挙区制の前に、93年に55年体制が崩れ細川政権が誕生、政界再編が続きました。
  斎藤 94年に「自社さ」政権ができるのですが、すりあわせができずにあっさり崩壊した細川政権と比べて、議論が活発だったようですね。『聞き書(がき) 野中広務回顧録』には、閣僚懇談会を延々とやっていたとあります。『村山富市回顧録』も読むと、この政権は、稀有(けう)な中道リベラル政権だったような気がしてくる。村山・野中世代の政治家の厚みを感じます。
  保阪 その2人は戦争に徹底して反対の立場。戦争にかり出された側の視点と体験から身につけたバランス感覚があった。しかし今の自民党議員は、かなりの人たちが歴史修正主義に取り込まれている。

 ■「戦間期」の思想
  斎藤 読者にお薦めしたいのは保阪さんの著書『安倍首相の「歴史観」を問う』。安倍政権の言葉がなぜ軽いのか、歴史と比較してよく分かる。保阪さんは「戦間期の思想」はだめだとおっしゃっていますね。
  保阪 第1次世界大戦から第2次世界大戦の間が「戦間期」。「領地を失ったけれど、次は取り返してやる」というのが「戦間期の思想」。我々の国は45年から、戦間期の思想を持たないという壮大な実験をやっているんですよ。だからずっと「戦後」なんです。安倍さんが危ないのは、戦間期の思想を持っているんじゃないかと外国から疑われかねないことですね。
  (聞き手・吉村千彰読書編集長、構成・西秀治、板垣麻衣子)
     *
 ほさか・まさやす 39年生まれ。ノンフィクション作家。『田中角栄と安倍晋三』『あの戦争は何だったのか』など
     *
 さいとう・みなこ 56年生まれ。文芸評論家。『学校が教えないほんとうの政治の話』『文章読本さん江』
  ◇次週「下」を掲載します。

150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)