山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

独裁者の政策決定の裏舞台

2010年10月26日 08時22分38秒 | Weblog
 橋下知事は、職員の人件費をひきつづき減らすことで270億円を捻出する「財政構造改革プラン」を出した。ところが特定の施策を拡大するために職員の賃金をさらに80億円けずる計360億円賃下げという提案を労働組合に提案するという。
 副知事と少数の部長(全員ではない)とで行う戦略本部会議で、総務部長の道理のある主張をむしして、80億円の追加賃下げ案をごり押しした。特定の施策のために人件費をけずるというのは、人件費を施策の調整弁にするものだ。いつでも手をつっこんで取ることができる貯金箱とでも思っているのか。しかし人件費は、当該労働者の生活費なのだ。
 以下に示すのは、労働組合の新聞にのった、戦略本部会議の議事録だ。

戦略本部会議での議事概要から
【知事】
・「要対応額」はH23~25年度で各600億円。中学校3年の子供達の進路選択の自由を与えようという、僕が力を入れたいという政策については平均23年度予算に反映したいという思いがあり、プランでは人件費は270億円のカットを目指すとなっているが、職員団体との交渉自体は現行の人件費の削減額を前提にお願いしたいと思っている。
【総務部長】
・人件費の削減は、我々当局として収支見通しをもとにいろいろな財源確保の努力をしたうえで、残りのところの緊急避難としてお願いをしているのもであり、今知事から話があったような特定の施策のために人件費を削減するというのは、いままでにないこと。これには、いくつか問題があると思う。
・一つは財源確保というのは、まず我々当局が責任をもってやった上で、残り分をお願いするという性格のものであり、その努力がまだなされていない状態で人件費のカットをお願いすることの問題はあると思う。
・また人件費と施策は比較考慮できないものと思う。施策の議論をするときには、「どちらを優先するか」という議論は財源の枠があるのではじめて出来る。もっと言えば、人件費以外の行政効果がないとすれば、350億円を職員が飲まなければ施策が実現しないことになり、施策の実現の成否を職員に追わせるということになってしまう。そういった点でも新たな施策と人件費を天秤にかけて議論していくというのは、私は本来はすべきではないと思っている。
【知事】
・現象面では人件費と施策がパラレルになっているように見えるが、私の感覚では問題ないと思う。端的に言えば「自分達の人件費を行革で稼いでくれ」ということ。

 知事は昨年4月部長の大半を降格させ、気に入った人間をすえつけて自分の意に沿う執行体制を築いた。その部長の中核である総務部長から、予算にかかわる根幹に付いて道理をつくして説明があった。ところがそれに対して、知事は、「私の感覚では問題ないと思う」というのだ。ひどい議論だ。論理と道理に対して感覚でもんだいないからと押し切る。これでは議論は意味がない。なんのことはない、正真正銘の独裁者ではないか。
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