山上俊夫・日本と世界あちこち

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核兵器禁止条約発効まであと6か国。核禁条約反対にこり固まった安倍首相

2020年08月10日 16時51分31秒 | Weblog
 8月6日、9日の広島・長崎の原爆の日に寄せて、核兵器禁止条約の批准書が4つの国から国連に届けられた。8月6日にはアフリカのナイジェリア、ヨーロッパのアイルランド、南太平洋のニウエから、9日にはカリブ海のセントクリストファー・ネービスからだ。50ヵ国で発効するので、あと6ヵ国となった。署名批准するなという妨害行動が核兵器国からやられているもとで、ようやくあと少しというところまできた。中満泉・国連事務次長が8日、核兵器禁止条約発効に向けて「締約国で具体的な準備をしていく段階となった」と発効への見通しを述べた。さらに「日本国内で議論を深めてほしい」と日本政府に要望した。しかし、安倍首相に議論を深めるような度量も見識もないことがここ数日で改めて明らかになった。なさけない限りだ。
 広島、長崎での被爆75周年の式典で安倍首相がのべたあいさつは、いつもと同じ、心に響かないものだった。しかも内容が悪い。核兵器禁止条約が締結され、発効まであと数か国という段階にあるにもかかわらず、核兵器禁止条約という言葉自体を使わない。この言葉を発することが忌まわしいと言わんばかりの態度だ。
 被爆者代表との会談でも記者会見でも、「核兵器廃絶というゴールは共有しているが、条約は我が国の考え方とアプローチを異にしている」と発言している。だが、この言い方には欺瞞があるように思う。ゴールは共有しているがアプローチが違うだけだというのならば、ちがうアプローチへの敬意、あるいは違うアプローチも認めつつともに連携するという姿勢がでてくるはずだ。安倍首相の発言・態度にはそういったものがまったくない。核兵器禁止条約への徹底した否定、嫌悪というものがあふれている。核兵器禁止条約の名前も言いたくない、実際言わないというのは、筋金入りだ。
 安倍首相はあいさつで、「立場の異なる国々の橋渡しに務め」るといってきた。橋渡しとは、「直接、交渉する方法のない両者の間に立って仲を取り持つこと」(「新明解国語辞典」)だ。日本政府は、安倍首相は、これまで3年間、どのような橋渡し実戦をしてきたのか。首相は一度も語っていない。
 核兵器保有国は核廃絶の立場ではない。保有国ではないが核の傘に入っている国も核兵器容認だ。一方、核禁条約を国連総会で成立させたのは122ヵ国の力だ。この両者の仲をどう取り持つのか。安倍首相が、核兵器の高性能化や使いやすい小型核兵器開発をくい止めるためにどう発言し、行動したか。聞いたことがない。ゴールは同じだがアプローチが違うだけというなら、アメリカなどが核廃絶の立場に立つように説得しなければならない。だがアメリカにはすり寄るだけで正面からものを言ったためしがない。
 「橋渡し論」は、安倍首相自身が核兵器容認の側にありながら、それをごまかす「だましの論」だ。
  
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