山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

韓国日記(12) 軍隊の訓練を目の前で見る

2009年11月30日 15時57分50秒 | Weblog
 11月3日、夕食の店をさがしてぶらぶらしている時、小さな公園があったので近寄った。5年前の夏、ソウル市庁舎の近くに何泊かしたとき、朝の中心部の公園には、実にたくさんのホームレスの人がベンチを占領して寝ていた。ベンチは日本のように、一人ずつ区切るように手すりをつけて寝れないようにまではしていないため、ホームレスでいっぱいだった。当時の日本(大阪)の公園ではブルーシートの花盛りだった。
 このマッポのあたりではどうか関心があったが、地図に載るような大きい公園はなかった。偶然小さな公園を見つけたので近寄ると、3人の兵隊がいた。迷彩のつい立をいくつか立て、紐のついた看板も立てていた。
 食事のあと、再びこの公園に立ち寄った。
 何と、兵隊の数は50人くらいに膨れ上がっていた。たばこを吸っている者、座る者、それぞれリラックスしていた。公園の外の道路で、2人のおばさんが、私にさかんにしゃべりかけてくる。内容はわからない。銃をもった格好をして、バンバン!という。訓練するのだと、私に訴えかけてくる。「はいはい、訓練ね」と答えた。すぐには動きがなさそうだし、長丁場になりそうなので、あとで出直すことにして、いったんホテルに帰った。おばさんたちも帰った。
 1時間あまり後の10時半に、公園にいくと空っぽに見えた。ああ、あのまま居ればよかったと思いつつ、公園のなかに入ると、2人立っている。迷彩のつい立もある。公園は暗い。2人だけかと思いながら奥のほうまですすむと、15人ほどが立っていた。すると上官らしき人が、あずまや風の公園の休憩所の台の上にのって話を始めた。
 私は、昼の中学校にあったのと同じ運動器具が備え付けられているそのひとつに乗って腰をひねったり、ベンチにすわったりしながら眺めた。兵隊たちは、整列もきちんとしていないし、だらだらしている。足をゆする者、上体がふらつく者、さまざまだ。
 すると、別の15人くらいが入ってきた。私は兵隊のいない方の入り口近くに移ってベンチにすわった。ここは街の明かりが届いて、すこし明るい。ところが、15人のグループが私の目の前に移動してきた。公園の外に出ようかと思ったが、そのまますわっていた。兵隊たちの足をみるような姿勢でやや下を向きながら、ときどき顔を持ち上げて全体を見回した。上官(といっても若い)は、何本か綱をかけてあった看板の横に立って、縄の結び方の講習をはじめた。実用的な講習のようだ。一番近い兵士は私の1・5メートルのところにいる。私のベンチから7、8メートルの公園入り口にコートを着た女性も見ている。
 兵隊の顔を見るとじつに若い。徴兵されたばかりの若者たちだ。さっきと同じように休めの体型の者、両足をそろえている者、ひざをゆすっている者、上体をゆらゆらさせる者もいる。ほとんど全員がズボンのポケットに手を入れている。寒いが耐えられないほどではない。私は手を出していた。寒いということもあるが、ポケットに手を入れないと所在ない、落ち着かないということもあるようだ。
 講習が途中なのに、また別の15人くらいがどかどかと入ってきて中止になった。赤い点滅棒と白い指揮棒をもった上官が大声で指揮すると、全員が4列縦隊になって、銃をかまえて整列した。私のすぐ左が先頭で、右へつづいた。
 うわっ!どうしたのか!と、見るでもなく見ていると、そのうち私に近いほうの2列が、まず隊長を先頭にして公園から小走りで出ていった。あとの2列もつづいた。最初からいた兵隊は、迷彩のつい立などを片付けている。
 私は公園をでて、ホテルの方へ向かった。もう兵隊たちの姿はなく、最後の兵隊が追いかける姿だけが残っていた。
 韓国は徴兵制がある。その姿を目の前でみた。

 
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