森喜朗東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長が、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で行った女性蔑視の発言が世界から非難をあびている。40分に及んだその閉会あいさつで彼の本音と思われる蔑視発言が出た。その内容は「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性は、競争意識が強い。誰か一人が手をあげると自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局女性っていうのはそういう、あまり言うと新聞に悪口書かれる、俺がまた悪口言ったとなるけど、女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困るといっていて、誰が言ったかは言いませんけど、そんなこともあります」ということだ。
この発言に会場から笑いが起きたというから、その面々の程度も知れるというものだ。女性がいると時間がかかるというが、森氏は閉会あいさつのはずなのに、延々40分もしゃべって、女性蔑視で笑いをとろうとまでしている。弊害は女性ではなくて彼自身じゃないか。オリンピック精神ともまったく相いれない。翌日の会見では、即刻辞職すべきなのに、形式的な謝罪だけで、辞職しないと平然と居直った。もともと森氏が会長に就任したことから、彼ではだめだと思ったことが、コロナ禍の決定的な地点で世界に暴露されてしまった。
森氏はオリンピックについて「新型コロナウイルスがどういう形だろうと必ずやる」とその2日の自民党本部会合で述べていた。菅首相と同趣旨だ。
これとの対比で、共産党志位委員長のオリンピック発言に注目している。1月20日過ぎのオリンピック中止提言と国会での発言だ。その要点は三つだ。
1、今年中の世界全体での集団免疫の達成はありえない。これはWHOの見解でもある。
2、フェアな大会が開かれるかという問題。世界の練習環境の格差、ワクチン接種での先進国と途上国の格差があり、アスリートファーストの立場から開催できる条件はないのではないか。
3、医療体制の問題。熱中症対策で5千の医療従事者が必要とされる。コロナのもとでオリンピックにふり向けるのは現実的ではない。
とくに注目は、フェアな大会が開かれないという点だ。この観点は見過ごされてきた。条件のそろった国の選手だけで競技するというのはオリンピック精神とは相いれない。
世論調査では、中止と延期で80%を超える意向が示されている。圧倒的といっていい。くわえて、もともとスポーツに最も適さない真夏の大会自体がアスリートファーストに反する。コロナによって商業主義的に肥大化したオリンピックのあり方そのものを見直すことが求められる。