山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

岩盤規制にドリルで穴をあけるといって農協破壊ねらう

2015年03月01日 14時08分02秒 | Weblog
 安倍首相は岩盤規制にドリルで穴をあけるといって、農業協同組合破壊にのり出している。破壊の第1段階、当面の焦点をJA全中(全国農業協同組合中央会)の指導・監査機能を弱体化することにおいている。
 第2、第3段階と目されるのが、農産物共同販売や資材共同購入をする農協の連合会を格式会社化する、黒字になっている金融・共済事業を農協から取り上げる、離農した人や非農家の準組合員の利用制限などだ。
 安倍首相はまた、農業生産法人の要件緩和を準備している。いまでも株式会社が農業生産法人の役員の過半が農業従事者であれば農地を所有できる。これを役員の過半から一人に規制緩和しようというのだ。農業生産法人は売り上げの過半が農業生産となっているがこれも緩める可能性があるし、農地を産業廃棄物の処理場にするという危険がでてくる。
 コメの価格暴落が激しい。宮城ひとめぼれは、2012年12500円(1俵60キロ)が13年11200円、14年8400円になっている。いま耕作できない農家の土地を引き受ける形で10ヘクタールをこえる大規模農家がふえつつある。政府のすすめる大規模化が成功している。だが、米価暴落がこの大規模農家を直撃している。32ヘクタールの法人経営(従事者15人)の減収が244万円という数字がある。安倍首相は市場原理主義者で、政府は「米価は市場で決まるもの」と言い放ち、いっさいの対策を放棄してきたことが、市場での下落に拍車をかけた。いっぽう、WTO協定にしばられて、国内需要の1割の77万トンものコメを輸入し続けている。
 安倍首相は、施政方針演説で安倍農政を「農家の所得を増やすための改革」といった。よくもこういうことがいえたものだ。ちょうど福島原発の汚染水が完全にブロックされていると、IOCの総会で大見得を切ったように大ウソを平気でいう。安倍首相の言葉はウソであれ何であれ、酔いしれたようにいう。
 農協改革=農協破壊には上に書いたように、金融・共済事業を奪い取ることが大きな狙いとなっている。日米の銀行・保険業界がこれをわがものにしようとしている。農協の経営ではこの金融・共済事業の黒字が事業全体をささえている。だからこれを取り上げられたら、全国の農協がいちじるしく弱体化する。
 だがここで忘れてはならないのが、バブル崩壊後、名だたる金融機関が資本主義の原則に反して、国のお金で経営を立て直してもらった事実だ。2008年8月時点で、公的資金投入額は総額46・8兆円に達した。そのうち不良債権買取9・7兆円、資本増強のための注入12・4兆円、一時的貸付5・9兆円は、その多くが返済された(新生銀行=旧長銀はまだまだだが)が、債務超過を埋める金銭贈与として注入された18・6兆円は返金を予定しないものだ。国庫から私的企業に莫大な金が贈与されたのだ。資本主義の原則に反する。弱者は自己責任、強者は国家の保護。
 このような金融危機のなかにあって、農協の金融・共済事業はびた一文も国からもらっていない。このような健全経営を切り離し破壊し、そこを新たな市場として殴り込みをかける。そのために安倍政権は、岩盤規制へのドリルだといって酔いしれる。許せない。いったい農協改革=農協破壊は農民の要求ででてきたものか?ちがう。市場原理の新自由主義者たち、独占大企業の要求だ。こんりんざい農民のため、農業のためではない。
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