山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

区長の暴言はまずいが、自分はいい(橋下市長)

2012年08月13日 20時56分48秒 | Weblog
 橋下大阪市長が「自分の価値観と合うと思って選んだ」公募区長のひとり、榊正文淀川区長(44)が、ツイッターで自分を批判した読者に対し「アホか、相当な暇人やな」と暴言をはいていたことが、9日、わかった。
 おどろくのは、これに対する橋下市長の見解だ。「一般職(の公務員)の立場で、一般の人に馬鹿とかアホとかいう言葉づかいは許されない」とのべ、処分も検討する考えを示した(『朝日』8・9夕刊)。『赤旗』8・10は、「公選職じゃない一般職なので『僕と同じやり方』はできない。一般職の有権者にアホとかバカとかの言葉遣いは行政職としては許されない」と発言を報じ、任命責任とともに暴言をくりかえした姿勢を批判した。
 橋下氏はこれまで、どれほど人をアホ、バカとののしり、人の名誉を傷つけることばをはいてきたことか。「僕と同じやり方はできない」とのべていることから、これまでの一連の橋下氏の暴言・人権侵害的発言は自覚してやっていたことがはっきりした。これを「橋下流」(『朝日新聞』)などと名付けて甘やかし、おだててきた新聞・テレビの罪は重い。
 一般職の公務員の暴言はだめなのは当然だ。特別職の公務員はいいのか。橋下氏はそこがずるい。特別職の中の選挙で就任するものは暴言を吐いてもいいというのだ。わたしは、不勉強にも、これまでこんな理屈は知らなかった。公務員制度の専門の研究者にぜひ教えていただきたい。常識からすれば、「橋下流」のへりくつは通用しない。区長の処分とともに、自分自身の処分を数十回すべきだ。
 それにしても、大阪『朝日』の記者の腰抜け、卑屈さはどうだ。「公選職じゃない一般職なので『僕と同じやり方』はできない」という肝心要の部分に目をつぶっている。これまで数限りなくくりかえされてきた橋下暴言・人権侵害発言を免罪してきたゆえの気恥ずかしさからか。
 わたしは、今日、吹田警察のとなりにある「秀一ラーメン」にいった。定時制で4年間担任をしたAくんといっしょに。身体障碍とともに知的障碍も持つAくんは作業所で働きながら、今度、府の知的障碍者の採用に合格し、非常勤で働くことになった。働いて役に立つことが何よりの生きがいになっている。そのお祝いの会を2人でもったのだ。Aくんは「秀一ラーメン」の開店以来、10年以上のひいきだ。ご主人はおだやかで、研究熱心な人だ。
 そこでAくんが思わぬことをいいだした。「先生、橋下大阪市長はひどいですね」というのだ。「えっ。どこがひどいの?」というと、「区長の発言は処分するのに、特別職の自分はいいというのはおかしい」というのだ。「そうやねえ。するどい」と、わたしは応じた。障碍をもってはいるが、消防や警察、市役所について関心がつよいAくんはよく観察していた。
 このようなへりくつ、勝手なやり方が許されるのか、一人ひとりの有権者、市民が判断をくだすべきときだ。
 
 
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竹島問題の要点

2012年08月13日 14時21分15秒 | Weblog
 竹島問題に関して『赤旗』2012・8・12に重要な記事があった。志位委員長の2006年の発言の再録だが、竹島問題を解決する要点が示されている。党本部で9月25日におこなった韓国訪問の報告会での発言。普通の新聞では示されない視点であり、これなしには解決はないと思われるので紹介したい。

 4つ目に、日韓の間にあるどんな懸案事項を解決するうえでも、歴史問題で日本が誠実な態度をとること―侵略戦争と植民地支配への反省をきちんとおこなうことが、冷静な話し合いを成り立たせる基礎になることを痛感いたしました。
 たとえば、日韓の間には、竹島―韓国では「独島」と呼ばれている島の領有をめぐる問題があります。韓国では、国民のおそらく99%以上が、「独島」は韓国の領土だ、日本帝国主義の侵略によって奪われた領土だと考えています。9月5日におこなった西大門での韓国メディアとのインタヴューでも、この問題への態度が問われました。9月7日におこなったハンナラ党のキム・ヒョンオ院内代表との会談でも、この問題についても「さらに関心をもって示していただきたい」と要請されました。
 私は、「この問題は、靖国問題などとは違った事情があります。わが党は、1977年にこの問題についての見解を発表していますが、竹島(独島)の領有権を日本が主張することには、歴史的な根拠があるとそのなかでのべました」と、まず私たちの立場を率直に伝えました。ハンナラ党のキム・ヒョンオ院内代表との会談では、私がそこまで言いますと、「共産党がですか」と聞き返してきました。会談は一瞬、緊張しました。私は、「そうです」と答えるとともに、「同時に、この問題が、1905年に起こったということを私たちは重視しています。すなわち韓国の植民地化する過程で、これ(竹島の日本への編入)がおこなわれたことも、まぎれもない歴史的事実です。韓国はすでに外交権を剥奪されており異議を申し立てる条件がありませんでした。ですから、韓国側のいい分も検討しなければならないと考えています。植民地支配への反省という問題が基礎にないと、この問題は、冷静に話し合いができないと思います。その反省のうえに、事実を突き合わせる冷静な共同研究が必要ではないでしょうか」とのべました。そうしますと、先方から、「いいお話をありがとうございます。植民地化の過程については、私の方からあえて申し上げなかったのですが、志位委員長の方から言及されたというのは、非常に意味のあることだと思います」との答えが返ってきました。この会談は、一瞬の緊張はありましたが、最後はたいへん友好的な雰囲気で終わりました。
 竹島問題は、日韓間で非常にこじれている問題ですが、私は、この会談を通じて、こじれにこじれた糸をときほぐす道が見えたように思えました(拍手)。1965年の日韓基本条約の締結にいたる過程で、日韓両国政府間で竹島領有をめぐって往復書簡による論争があります。その論争の家庭でも、また今日においても、日本政府は、韓国併合―植民地支配を不法なものであったと認めていません。それを認めないもとで、竹島の領有権を主張するから、韓国民の側からは、この問題が「侵略の象徴」となってしまうのです。ですから韓国政府は、この島の領有権をめぐっては話し合いすら拒否するという状況にあります。日本政府が、植民地支配を不法性、その誤りを正面から認め、その土台のうえで竹島問題についての協議を呼びかけるなら、私は、歴史的事実にもとづく冷静な話し合いが可能になると、これらの交流を通じて痛感したしだいです。
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