化学物質過敏症を扱った映画「いのちの林檎」が九条・シネヌーヴォXで6月9日から始まった。多くのひとに知らせたいと思い、初日に見に行った。行くと多くの人が順番待ちをしている。えっ!と思ったが、それは同じ日に始まった「ロシア・ソビエト映画大特集2012」にきた人たちだった。「いのちの林檎」は、シネヌーヴォの2階・客席30のミニシアターで上映だ。
このドキュメント映画の主人公は早苗さん。重度の化学物質過敏症の患者だ。母道子さんも過敏症だ。自宅近くのゴルフ場の農薬散布で息ができなくなった。遠くからたばこの煙が流れてくるのにも反応する。母と二人で息ができるところをもとめてワゴン車での放浪生活にでる。車で寝る毎日だ。途中でも、排ガスや農薬、パーキングエリアのトイレで用を足そうとしても芳香剤で動けなくなり発作をおこす。
やっとたどり着いたのが、信州の海抜1000メートルの山中。手作りのテント生活が始まった。山中でも農薬が微量でも流れてくることがあり、突然昏倒する。小麦を石うすでひいて、うどんやパンをつくる。ラスト近くでは、テントのそばに、家族や友人が作ってくれた小さい木の家での生活が始まる。
早苗さんにとっていのちの林檎となるのが、青森・岩木山のふもとの木村秋則さんのりんごだ。木村さんは無農薬無肥料りんごに挑戦し、花も咲かない8年間を経て、貧窮苦難の末に無農薬無肥料りんごを完成させた。木村さんの苦闘は本にもなっている。この映画では、木村さんの農薬や化学肥料にたよらない農業がもうひとつの柱になっている。早苗さんと木村さんの姿が季節の変化とともに交互に登場する。いずれも化学物質に浸りきった現代の生活からの脱却、救済を訴えている。
わたしにとってこの映画は、もうひとつ忘れがたいものがある。それはかつて、北野定時制に通い、風が吹きわたる中庭で授業をしていた入江兄弟が登場したことだ。彼らも重い化学物質過敏症だった。新築の家のホルムアルデヒドなどの化学物質によって、コップから水があふれるように体の許容量をこえたあとは、微量で発症した。小学校・中学校での、長男紘司くんは全日制私立高校での無理解などにより苦しんできた。彼は20歳で定時制に入学した。当時からギターの製作に秀でていたが、映画ではプロの奏者のギターをつくる姿があった。弟茂弘くんは名古屋でアルバイトをしながらプロレスラーの卵として試合にもでている。紘司くんの方が症状が重いように見えた。母親の昌子さんにもスクリーンで久しぶりに会えた。相変わらずの笑顔だ。北野定時制を含む廃校反対運動では手をつないでがんばった。
名前を名乗って登場できる人は多くはない。生の日常を写すことに協力した早苗さん母娘、長く運動してきた入江さん親子に感謝したい。この映画で理解が広まることを期待したい
このドキュメント映画の主人公は早苗さん。重度の化学物質過敏症の患者だ。母道子さんも過敏症だ。自宅近くのゴルフ場の農薬散布で息ができなくなった。遠くからたばこの煙が流れてくるのにも反応する。母と二人で息ができるところをもとめてワゴン車での放浪生活にでる。車で寝る毎日だ。途中でも、排ガスや農薬、パーキングエリアのトイレで用を足そうとしても芳香剤で動けなくなり発作をおこす。
やっとたどり着いたのが、信州の海抜1000メートルの山中。手作りのテント生活が始まった。山中でも農薬が微量でも流れてくることがあり、突然昏倒する。小麦を石うすでひいて、うどんやパンをつくる。ラスト近くでは、テントのそばに、家族や友人が作ってくれた小さい木の家での生活が始まる。
早苗さんにとっていのちの林檎となるのが、青森・岩木山のふもとの木村秋則さんのりんごだ。木村さんは無農薬無肥料りんごに挑戦し、花も咲かない8年間を経て、貧窮苦難の末に無農薬無肥料りんごを完成させた。木村さんの苦闘は本にもなっている。この映画では、木村さんの農薬や化学肥料にたよらない農業がもうひとつの柱になっている。早苗さんと木村さんの姿が季節の変化とともに交互に登場する。いずれも化学物質に浸りきった現代の生活からの脱却、救済を訴えている。
わたしにとってこの映画は、もうひとつ忘れがたいものがある。それはかつて、北野定時制に通い、風が吹きわたる中庭で授業をしていた入江兄弟が登場したことだ。彼らも重い化学物質過敏症だった。新築の家のホルムアルデヒドなどの化学物質によって、コップから水があふれるように体の許容量をこえたあとは、微量で発症した。小学校・中学校での、長男紘司くんは全日制私立高校での無理解などにより苦しんできた。彼は20歳で定時制に入学した。当時からギターの製作に秀でていたが、映画ではプロの奏者のギターをつくる姿があった。弟茂弘くんは名古屋でアルバイトをしながらプロレスラーの卵として試合にもでている。紘司くんの方が症状が重いように見えた。母親の昌子さんにもスクリーンで久しぶりに会えた。相変わらずの笑顔だ。北野定時制を含む廃校反対運動では手をつないでがんばった。
名前を名乗って登場できる人は多くはない。生の日常を写すことに協力した早苗さん母娘、長く運動してきた入江さん親子に感謝したい。この映画で理解が広まることを期待したい