山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

強きを助け、弱きをくじく  消費税の構造

2010年07月10日 07時20分24秒 | Weblog
 消費税は、古くは福祉のためといわれてきた。今は財政再建のためなら増税も必要という人が結構多い。民主党の、また自民党の消費税政策では、財政再建にぐいぐい効き目を発揮するのだろうか。
 でも、民主党も自民党も租税政策として、消費税増税と法人税減税をかかげている。新聞の消費税特集記事をみても、消費税のことしかとりあげず、法人税減税は論議の対象外としている。でもそれでは、ことの全体像はみえない。
 消費税の逆進性については菅首相も認めた。低所得者ほど負担率が高い。一方、黒字大企業の法人税を下げるのは大企業寄りの自民・民主の本質を示すものだ。三菱UFJなど巨大銀行が10年以上も法人税を1円も払っていないのだから、大企業優遇も相当なものだ。日本の法人実効税率は40%で高いから、15%下げるのが財界・2大政党の共通認識だ。新聞などもそんな立場だ。でも実際は様々な優遇税制で、実効税率はすでに30%になっている。実にごまかしの議論が多い。テレビはもとより、新聞もちょうちん持ちだ。証券優遇税制もすごい。株でもうけた利益には10%の税率、ところが庶民の預金の利子にかかる税率は20%。日本の大企業・大金持ち優遇は極まれりだ。強きを助け、弱きをくじく。日本のよき伝統は、弱きを助け、強きをくじくだったのに、なんということだ。
 菅首相が、消費税増税の正当性を主張するために新たに持ち出したのが、このままでは日本はギリシャのようになる!という脅しだ。ギリシャのように破綻したら大変だと誰しも思う。でも、共産党の志位さんが、これに猛烈に反論した。ギリシアではこの10年間で、消費税を18%から23%に引き上げたが、一方で法人税を40%から24%まで下げ、税収に大穴をあけた。これが財政破綻の原因だといった。民主党がいう、また自民党がいう、そして震源地の日本経団連がいう消費税増税と法人税減税のセット税制は、日本をギリシアしてしまうというのだ。これについては、よく調べたものだと拍手を送りたい。ギリシアの財政破綻問題は新聞でもよく取り上げているが、こういうところまで踏み込んで報道したものにはお目にかかっていない。
 消費税は社会保障・福祉のため、あるいは財政再建のためという、人をだます議論にはとどめを刺さなければならない。消費税増税と法人税減税がセットだということをすべての国民が理解したうえで、多くの人がそれでいいというのであればいい。だが、実際は、だましたままで、財政再建のためならしょうがないと思わせて引きずっていくのは許せない。
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