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約定付不保割合(雑学編)

2014年09月13日 | FP講座★リスク管理
★損害保険の支払保険金は、通常、実損てん補が基本。


★約定付不保割合(「約定割合」「不保割合」)とは・・評価額に対し保険をつける割合をいいます。

例えば、建物評価2,000万に1,400万の保険金では70%しか加入してない場合。

比例填補計算され、500万の損害では350万の支払いになります。


☆保険料は、約定割合による割増係数がかかりますので、通常の料率よりは高くなりますが、

かける金額が少なくて済むので、保険料総額では安くなります。

※実務上(約款上)は時価額の80%まで付けていれば、

比例計算はされないと云う事になっています。



★「『評価した額に約定割合を設定して、保険金額の80%、60%でかける』・・・

これは、「実損てん補特約条項」と云う特約を付しての契約方式です。


付保割合条件付実損払特約付契約とは?

保険金額が罹災時の保険価額に一定割合(約定割合)を乗じた額を下回らないときは、

保険金額を限度として実損害がてん補され、保険金額が保険価額に約定割合を乗じた額に

満たないときは、その割合で比例てん補されることを約する条項です。

保険契約締結時に保険契約者が約定割合を選択して契約し、方式に基づいて損害が

てん補きれる契約を付保割合条件付実損払特約付契約といいます。


☆例えば・・マンションなど、鉄筋コンクリートなどの建物は全焼する事はあまりないので、

4割は残るだろうという前提で、時価額の6割までかけておけば良いだろうとして、

その割合を約定してかける方式です。


★分譲マンションなどで、共用部に保険をかける際には、まずはその評価額を算定します。

通常は、共用部の再調達費用を使います。


つまり、そのマンションの共用部(一般的に躯体)を再度作るのにいくらかかるか、ということです。

で、付保割合と言うのは、その評価額のどれくらいまで保険でカバーするか、と言うことになります。


単純に、共用部の再調達価格10億円のマンションがあったとします。

付保割合100%であれば、保険金額を10億円として保険料の計算をするわけです。

こうしておけば、何らかの事故が有った場合、最大10億円が保険金として

支払われることになります。

(通常の火災保険では時価額での支払いになりますが、

マンション管理組合向けの保険では新価実損払になります。)


ただ、通常はマンションが丸々全部壊れてしまうことはまれです。

もちろん大地震と言うことはありますが、これは別途地震保険をかけなくてはカバーできません。

そこで、建物の評価額全部ではなく、これだけ保険金が出れば、殆どの対応は可能だろう、

と言う金額を設定し、それにより保険をかけるのが一般的な様です。



★マンション保険価値の評価

☆分譲価格を基礎に評価する方法・・・

マンションの分譲価格がわかったとしても、その中には土地代に相当する

「敷地利用権の価格」が含まれているため、そのままでは建物の価格は評価できませんので、

敷地利用権には消費税が課税されないことを利用して、

次の数式により建物の価格を算出することができます。


建物(専有部分と共有部分の持ち分)の価格(消費税は除く)=

購入時の消費税額 ÷ 購入時の消費税率


この算式により算出される価格に消費税を加算すれば、建物部分の購入価格となります。


なお、これは購入価格であるため、再調達価格を算出するには、新築の場合を除き、

さらに「建築費倍率表」の係数を乗じる必要があります。

また、この算式により算出される価格は、専有部分と共用部分の持ち分の合計分になりますので、

専有部分のみを保険の目的とする場合は、この価格に上塗基準の場合は40%、

壁真基準の場合は60%を乗じる必要があります。

(なお、消費税からの計算方法はあくまで目安ですので、その他の方法と合わせて算出ください。)


★(参考)  帳簿価格(簿価)と、保険価格

保険で云う時価とは、例えば建物が全焼した時に、同じような建物を再建する時の価格

(保険用語で「再調達価額」と云います)から一定の比率で減価償却した後の金額の事です。


一方簿価とは税務上のその建物の取得価格から税法上の決められた方法(定額法または定率法)

で減価償却をした、帳簿上の金額です。


帳簿上の金額はあくまでの税務・経理処理上の金額であり、保険とは全く関係ありません。


保険の場合には、簿価ではなく、時価額で保険を付けるのが基本です。

この時価額で付保していないと、全焼の場合を除いて、分損では比例填補方式での計算となります

(全焼なら付けていた金額が支払われます)。
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