巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

高梁(たかはし)市  祇園寺の天狗杉

2011-04-30 | 岡山県

岡山県西部の高梁市、国道313号線有漢(うかん)町から西側の祇園山に林道を駆け登っていくと、その頂上付近に補陀落山感神院祇園寺と言う古刹が有って、「祇園寺の天狗杉」と呼ばれる巨杉がまさに天を突く様に立ち尽くしている。

今では山門直前まで車で行きつくことが出来るが、車のない時代には人里遠く離れて孤立、参詣もままならなかったのでは無いだろうか??

祇園寺は弘仁3年(812)に空海が開いたと伝えられる古刹で平安時代に興隆した山岳仏教の姿を今も色濃く残し神仏一体化した境内になっている。

明治政府の神仏分離政策もこんな隔絶したような山中までは及ば無かった様で往古の姿を今に良く伝えている。

中央には千手観音を本尊とする本堂(観音堂)があり、向かって左手一段高く牛頭天王を祀る鎮守社(祇園社)が有り、写真のように観音堂背後の祇園社脇にこの祇園杉が聳えている。

「天狗大杉」の名は天狗がこの大杉で羽を休めたと言う伝承に元づくが一方、弘法大師空海の手植えだという伝承もあり推定樹齢1000~1200年と言われている。

尤も樹齢不明の老巨樹には当たり前のように樹齢1000年と冠されているものだが・・・

いくつにも枝分かれしたこの巨杉は本堂の千手観音に因んで千手杉と見る向きも有るとか。

目通り8.5m、樹高37m、樹勢は衰えを見せず、主幹、根元にもこれと言った痛手は無さそう。

神と仏が一緒に守ってくれているのだろう・・・・

岡山県指定天念記念物。

撮影2009.3.20


宍粟市波賀町 火魂神社(かこんじんじゃ)の大ムクノキ

2011-04-25 | 兵庫県

火魂神社の大ムクノキが有る宍粟市波賀町は、瀬戸内海の姫路から日本海の鳥取までを横断する、国道29号線沿いに有る揖保川上流域に開けた小さな町です。

国道29号線を北上すると宍粟市に入り揖保川上流の引原川沿いに走り、暫くすると左手山裾に小さく裏寂れたような境内に大きく諸手を上げているように伸ばしているような、ムクの巨木が見える。

神社境内は国道に段差なく接して直ぐに拝殿、その左脇にこの大ムクノキ・・・、決して良い環境だとは云えない。

推定樹齢約600年、根廻り9.5m、目通り7.8m、樹高20m、台風で腕をもぎ取られたばかしなのか痛々しい。

全身創痍、主幹も遠い昔に大嵐にでも持って行かれたのだろう??欠損して幾久しく見える。

横手に廻ると荒々しく隆々と力強く脈打って、脇にはカゴノキを抱きこんでいる。

根元に空洞は見られるものの、酷いものでは無く全く人手もはいらず野放し状態・・・。

それでもまた春には枝いっぱいに芽吹いてくれるだろう・・・??

兵庫県下第二番目の目通りを持つムクノキです。

撮影2009.3.8


 上群(かみごおり)町 法雲寺のビャクシン

2011-04-20 | 兵庫県

兵庫県の西端、岡山県と県境を接する上群町千種川西岸に苔縄と呼ぶ土地があって赤松小学校の隣の台地上に禅寺の臨済宗法雲寺がある。

小学校の校庭をかすめる様に進むと小奇麗で瀟洒な境内が有り、良く整備清掃された本堂と道場の間に挟まれて巨大なこのビャクシンの老木が立っている。

道場から本堂には新しい渡り廊設けられかなり窮屈な位置に有ってその巨大な全景は写真では撮れなくなっている。

播磨国守護職になった赤松円心が1337年創建当時、円心自身の植栽したと伝えられるこの大ビャクシンは日本で最大級のビャクシンだと言われている。

ビャクシンの老木は大抵捩れて,見るからに凄い様相を見せているものだが・・・このビャクシンは意外と素直な樹姿です。

目の高さぐらいで大きく4本の枝に分かれ、根元の主幹は大きな洞になっていて、大枝の一本が大きく引きちぎられた跡が痛々しい。

樹齢約800年、樹高33m、目通り幹周9.8m、根周り14.3m、樹勢はいたって盛ん。

見事なビャクシンの巨木です。

因みにビャクシン、イブキ、シンパクはいずれも同じものです。

撮影2009.3.21


 美作市(みまさかし) 横川のムクノキ

2011-04-18 | 岡山県

横川のムクノキの有る「美作市滝川地区」は、岡山県北東部、兵庫県境に近い山間に位置する鄙びた山村が点在し、緑の山々や清流が美しい自然豊かな地域です。

県道46号と県道90号の交差する辺りが横川で傍を流れる吉井川沿いにほんの200~300m、県道90号線を下った所に神々しい姿で孤立している。

このムクノキは鄙びた山間集落の吉井川河岸段丘にあって環境、景観共にこの上ない立地条件に恵まれ、思う存分大枝を空一杯に広げている様は、まさしく孤高の巨木然としたものが有る。

正面から見るといかにも発達した板根状に広がる根元を有し、小さな祠の荒神さんには花や灯りが手向けられ、神格化した巨木で有ることが解る。

目通り8.1m、樹高30m、推定樹齢1000年という老齢にも係わらずいたって健康優良爺??

「日本の名木百選」にも選ばれています

撮影2009.3.20


 井手町上井手 地蔵院の枝垂れ桜

2011-04-15 | 京都府

此処は地元、我が家から車で五分ほど・・・・この地域では一早く咲く「地蔵院の桜」として昔から名高い。

井手町の高台、万葉集にも詠まれる山城の枕言葉の「つぎねふ」はこの辺りを通っていた山城古道にちなんだものだと言う。

付近には往古橘諸兄の旧居も存在したと云われ、木津川東岸域の台地に開け、古い歴史を秘めた処です。

桜の咲き出す時期になるとそれらしき話が何処からと無く聞こえてきて、バッチリ開花と共に昼休みにでも走っていきます。

国道24号線を京都方面から南下して来ると木津川と並行して走る事になる辺りから井手町に入る。

木津川堤防を走る国道24号線から左手山裾台地に建ち並ぶ屋並みが上井手台地。

国道24号線から木津川に注ぐ玉川沿いに上井手台地に駆け上がると家並みを見下ろすような地蔵院の桜がみえる。

地蔵院(地蔵禅院)は往古は華厳宗に属し、白鳳年間に創建された古刹で、本尊の地蔵菩薩は橘諸兄(たちばなのもろえ)の念持仏であったと伝えられています。

境内は郷社「玉津岡神社」参道脇の高台にあって付近の景観もすばらしい。

集落内を縫って参道を登りだすと右手に不思議な自然石を積み重ねたような石塔が有って「小町塚」と呼ばれており、平安女流歌人としてまた絶世の美女として名高い「小野小町」の墓だと言われているようです。

桜の老木は上井手台地を見下ろし、木津川の向こうに生駒山を遠望する最高のビューポイントに有って古びた鐘楼脇の石垣から枝垂れた花をそよがせている

境内石垣下から仰ぎ見るしだれ桜も絶景で、このポイントには寺側の計らいなのか近年毎年のように菜の花が咲き乱れ、この写真は何処でも見られるようになった。

この桜は京都円山公園の初代枝垂れ桜と母樹を同じくする古木で、享保12年(1727年)に植栽、樹齢約300年 幹周2.4m、樹高10mと成っている。

この歴史深い山城の地に有って一早く開花する桜の老大木は近郊農家にとっても春の田の準備の目安にもなっているとか??

境内下にも同じく二本の枝垂れ桜が有って見事に競演していて、訪れるの人の心を魅了しているようです。

いつもはがらがらの境内がこの時期だけは人があふれかえって大騒ぎ、近年益々人出が多くなったように感じます。

因みに駐車場も拝観料も無料なので、せめてお賽銭は奮発してあげて欲しい。

撮影2007.3.24/2008.3.30/2011.4.1・・・他


山添村的野(まとの) 大照寺跡の桜

2011-04-13 | 奈良県
的野、大照寺跡は、、布目ダムより布目川沿いに遡ること約10分。
的野の集落が、布目川の右側に見えると県道から旧道に進んでいく、途中Uターンするように崖道を登ること約300メートル、道路脇の崖の上から桜の花の枝垂れているのが見える。




この道は離合困難な細い道なので、そのまま桜の下をくぐりぬけ、少し登ったところに駐車スペースが確保されていた。



僕が行ったのは4月22日午後、満開が過ぎ、風が吹くたびに桜吹雪になっていた。



観桜客は僕のほかに誰も居ず、この桜を思う存分ひとりじめに出来て大満足。



ここの桜はエドヒガンの枝垂れ桜で、幹周り約3メートル、樹高10m、樹齢約360年。
今は廃寺となった跡にこの桜と「大照寺跡」の石碑が立っているだけです。

撮影2006.4.22


旧都祁(つげ)村  上深川墓地の桜

2011-04-12 | 奈良県

都祁の上深川へは名阪国道小倉インターで降り、県道を北上すれば5分ぐらいでついてしまう。

この桜は、3月の中ごろこの地に石仏行脚をした時にその大きさに驚いた樹で、近所の人に聞いたところ桜の樹で4月20頃に開花する、と言うことでした。

先週も初瀬へ出かけたついでに寄ってみたのですが一輪も咲いて居なかった。 今日、ちょっと咲いてるかは不安ながら出かけてみたら、なんとこの通り・・・。

ただいま満開、名残の桜が見事に咲き誇ってました。

場所が墓地だけに花の下で騒ぐ人が居るわけでもなく、わざわざ見に来る人もなく 県道を走る車を止めて携帯で撮影してる人を何人か見かけた程度でした。

墓地一杯花を開けた姿はやっぱり圧巻でした。

枝垂れ桜のように風に揺れる風情は無いものの、枝振りが良く幹の太さも圧巻で,花付もすこぶるよく、 大和高原の中に在って、もっとも名残の桜であると思う。

撮影2006.4.22


 奈良桜井市 滝蔵神社の権現桜

2011-04-11 | 奈良県

権現桜は樹齢約400年、幹周り3m、樹高4m、江戸彼岸系の枝垂れ桜で、滝蔵神社の社務所の石垣より主幹をはみ出し咲き誇る姿は、周りの風景ともうまく溶け合っていて実に美しい。

滝蔵は桜井市と言えども大和高原の奥、かなり行き辛い場所に有るので観桜客も限られており、心いくまで花を眺めていることが出来る。

おまけにその日はそぼ降る雨中の観桜で、10人程度の人にしか逢わなかった。

上方の石垣から降り注ぐような小さな枝垂れの桜はそよぐ風に瀧のようにゆれていた。

推定樹齢約300年、目通り約3m、樹高4.2m、奈良県指定天然記念物。

撮影2006.4.15


宇陀市本郷 又兵衛桜

2011-04-09 | 奈良県

大阪夏の陣で活躍した後藤又兵衛の屋敷跡に咲く。

又兵衛は戦いに破れここ大宇陀の地で僧侶になり、姓を後藤と名乗っていたそうです。

ここは新しく宇陀市となった大宇陀本郷、訪れたのは4月15日花冷えの雨が降りしきる土曜日。

冷たい雨の中にもかかわらず付近の道路は誘導員が出て、てんやわんやの大騒ぎ、おまけに臨時の駐車場まで出来ていて「はい1台500円」なり・・・・ 桜以外の日ならここらはいつでも路上駐車OKだけど。

ここはやっぱり有名なだけ有って車も人も集中していた。

樹齢300年、幹回り約3m、高さ約13m「本郷の滝桜」という別名で呼ばれているように花の小さいしだれ桜です。

枝振りも良く又屋敷跡の石垣の上から滝のように花びらが風に舞う様は圧巻ですが余りにも人が多く、冷たい雨の中でもあったので早々の引き上げました。

しかし名所には必ず仰々しい三脚を担いだカメラマンが何人もいて、我がもの顔にビューポイントを独占しているのはいただけない。

それと地元の観光協会の肝入りなのか目玉の観光資源なのかも知らないけれど余りにも整備されすぎていて、鄙びた良さがなくなっているのは寂しい。

撮影2006.4.15


宇陀市 仏隆寺の桜

2011-04-07 | 奈良県

宇陀市榛原から国道369号線を東に走り、高井で左折、室生寺に向かう古道を標識に沿って10分程進むと仏隆寺に着く。

門前には駐車場もあって、無料なのがうれしい。

辺りには民家も少なく、鄙びた山里の古刹と言うのがそのまま当てはまるたたずまいであるが、ここも観光客が多いのか整備されすぎてる感は否めない。

仏隆寺は850年、空海の高弟 堅恵(けんね)により創建された古刹で、室生寺の南門として末寺の関係にある。

門前の石段途中にある「仏隆寺の桜」はヤマザクラとエドヒガンの雑種であるモチズキザクラの一型で、学術的にも貴重なものとされている。

樹齢900年、樹高16m、根元幹周7.7mと記される奈良県下最古最大のこの桜は、高さ2mほどのところから分岐した11本の枝を大きく四方に広げ、散り初めとはいえ、その姿は圧巻であった。

ただ、三脚を持った迷カメラマンばかしがいやに目につく 。

奈良県指定天然記念物。

撮影日2006.4.23

(愛しきものたちより引越しました)


伊賀市治田(はった) 薬師寺の八幡杉

2011-04-06 | 三重県

名阪治田ICで降り旧国道25号線をを左折、少し奈良方面に進むと山手に石垣の上に鐘楼を控えて大きく天を突き刺す様に聳える大杉が見える。

中出公民館と薬師寺が並列するように建っていて境内脇の鐘楼横に八幡杉と呼ばれる此の巨古杉が立ちつくしている。

幾度と無く落雷に逢い近年大枝が枯損してかなり樹勢に衰えも見え、主幹にかなり白骨化も進みだしちょっと心配。

目通り5.4m、樹高27m、樹齢約500年、まだまだ頑張って欲しい大杉だが・・・・行く末がちょっと心配。

鐘楼脇から大杉越しに見る伊賀の里山風情は何物にも変えがたいのだが・・・・。

撮影2009.2.8


山添村菅生(すごう) 大井戸の杉

2011-04-03 | 奈良県

名阪国道を天理方面から伊賀方面に走り神野口ICで降り、旧25号線で更に伊賀方面に進むと山添村の名の通り、山沿いに鄙びた長閑な集落が転々と散在する。

途中名阪の下を潜り10分程も走ると山間に菅生の集落が広く拓けて、右手集落入り口の辻と思しきあたりにこの巨杉が孤立している。

一見単木の根元から大きく枝分れしてるかの様に見えるこの巨杉は四本の合着杉であると云う。

この巨杉はその根元に有る湧水池の背面に植栽された五本のうちの四本が大きく育ち合着したもので目通りは凡そ10m、樹高26mとされています。

正面から見ると女性器を想像させちょっとグロテスク・・・、注連縄も掛けられそれなりの信仰も有るのだろう??

山添村の天然記念物にも指定され、樹齢は約400年。

その昔は街道の水のみ場として先を急ぐ旅人の大きな木陰となって数少ない目標物だったに違いない。

撮影2009.2.8