巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

豊浦神社,大楠とバクチノキ

2006-10-31 | 三重県

 


前回紹介の長島神社から、縁起でもない国道42号線を尾鷲方面へ、トンネルを幾つも越えて約6km程南下、三浦交差点を左折して道なりに進むと、めのまえに大きく開けた熊野灘の大海原が飛び込み、堤防ごしの白砂海岸となっている。


僕がここを訪れたのはお盆休みの8月15日、未だ海水浴客が遊泳を楽しんでいた。



この大きく開けた海岸路に面して豊浦神社の小さな石の鳥居が立てられていて、まさに海岸沿いの神社という感じがします。


しかし鳥居をくぐって一歩境内に入り込むと、そこは深い木立ちに囲まれ、薄く木漏れ日がさす昼なを暗い鎮守の杜。



約50mばかしの参道を行くと本殿に上る石段左手に巨大なクスノキが立っている。



樹齢1000年、目通り幹周り10.5m、樹高40m、と、記されているが、幹に痛んだ気配もなく、若々しく、仰ぎ見るその枝ぶり、葉の生い茂り方にまったく樹齢を感じさせず、樹木医の入った形跡も無い。



しかし幹周りが10mを越す巨体、樹齢1000年はオーバーにしてもそれなりの年は重ねているに違いなく、この元気さは、この地方の気候風土が楠の樹に適しているのかもしれない。



三重県下、熊野灘沿いの巨木は悉く楠なのが、それを物語っているように思える。


また、石段下の参道右手には珍しいバクチノキの大木がある。



バクチノキはバラ科の常緑木で、別名「ビランジュ」とも呼ばれていて、この名「バクチノキ」が正式な名前らしい。


灰黒色をした樹皮が鱗片状に剥離、脱落してその跡が紅黄色になり、それが博打に負けて身ぐるみはがれる様に繋がっているのだとか???。



樹高33m、目通り幹周り約、3mのバクチノキ、珍しい名前と、節くれだった樹瘤の多さが記憶に鮮やかに残っています。


撮影2006・8・15


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長島神社のクスノキ

2006-10-29 | 三重県

前回紹介した大台麓、宮川ダム付近から国道422号線を南進、そのまま紀州長島に入る予定だったが、今年の長雨で道路ががけ崩れを越して通行不能、また来た道を大台町役場付近まで引き返して国道42号線にて紀伊長島まで山を下っていった。

長島の町に入り黒潮の匂いを感じ、長島トンネルをくぐり、直後に左折、漁村の古い家並みが続く細い道を直進すると左手に長島神社がある。

神社の前は広い駐車場になっているが、小さな個人名の看板があって契約駐車場に成ってるようだが、少し邪魔にならないところに車を置かしていただいた。

長島神社の社叢はクスノキ、スギ、スダジイ、イヌマキ等の暖地性の大樹が群生していて社叢全体が県の天然記念物に指定されているらしいがすっかり時間が押してしまって今日のところは、この「人面大楠??」だけとの対面にした。

大楠は神社入口の石段の登り口左手に立っていて一目でそれとわかる樹瘤を根元にたくわえている。

まるで、しわくちゃ爺さんのような其の樹瘤は巨大な根元全体に異様な彫像を施したようにみえ、強烈な印象と、昔人面魚と言うのが騒がれた時が在ったのを思い出したりした。

樹齢1000年、樹高28m、目通り幹周10.5mと記される大物で、樹は良く繁り樹勢は良好のようです。

樹の周りには、玉垣が設けられ、真近までは近づけなかったのが少し残念でした。

撮影2006.8.15


大淵寺のスダジイ

2006-10-25 | 三重県

 

ここは、某TVの「田舎に泊まろう」でも紹介された田舎も田舎、三重県と奈良県境の大台ケ原山頂に近い三重県側の秘境と言っても不思議でないところです。

前回紹介の飯高町から国道422号線で大台方面へ、そのままこの国道なりの宮川ダム方面、、大台から伊勢湾に注ぐ宮川沿いに、大台の山奥へと進んでいく。

この、大台麓のいちばん奥まった集落、久豆、そこからまたユーターン気味に山手に登って行くと、やがてこのスダジイの巨木に逢うことが出来る。

このスダジイは大淵寺が天正13年(1535)この地に移る以前から生き続けているもので、この一体は当時スダジイ大樹の森であったという。

享保4年には大樹の枯れ木が風に倒れて、お寺が倒壊したという記録も残っているという。

大樹の森の生き残りの一本がこのスダジイで、その枝ぶり、またうねるようなその主幹には、気の遠くなるような時間の経過を感じ取ることができる。

大台の山深い自然と、里人の樹を大切にする気持ちがこのスダジイをここまで育てたのだろうか??

樹高約20m、目通り幹周6.3mは三重県に現存するシイ類の中では筆頭クラス、単木で見通しの良い高台に位

置していて、樹姿も美しく、みごたえのある巨木です。

撮影2006.8.15

 
 

黒龍神社の夫婦スギ

2006-10-22 | 三重県

 


国道166号線は三重県大台山系の谷間を流れる、櫛田川に沿って伊勢湾、松阪へと続いている。



櫛田川に蓮(はちす)ダムから流れる蓮川が合流する辺り、三重県松阪市飯高町森、166号線から少し旧道に入った処にある。



石の鳥居をくぐり、なだらかな石段を登って行くと両脇に二本の杉の巨木が在る。



しかしこの杉は目的の杉ではない、目的の夫婦杉は、その奥拝殿の左手の斜面上に天を引き裂くように二本の主幹を伸ばしている。


斜面を登り真近に見る巨大な幹は、やはり驚きの太さでどっしり大地をつかんでる根も、巨大でうねっている。


主幹は途中で二本に分かれ、夫婦杉と言われる所以で、黒瀧神社の神木としてたいせつにされている様子が手にとる要に覗われる。



根元から見上げるこの杉の姿は巨大で迫力があり、神々しい。


樹高42m、目通り幹周8.85m、樹齢は不詳となって居るが樹勢も良く、三重県最大級の巨杉とされている。



またこの神社の横には三角点があって、神社の前を流れる小川はここで二つに別れ、右と左に流れを分けている。


まさにここが分水嶺のようだが、なんでもない平地のように見える。


撮影2006.8.15


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青田の大樫

2006-10-19 | 三重県

 

旧盆休暇の1日、ふと思いついて三重県大台の麓から、大台を超えて尾鷲方面まで巨樹を追いかけて来た。

いつものように、大和高原の北端、京都笠置より一気に国道165号線まで出て、国道166号線に入っていく。

166号線に履いて約1時間弱で奈良と三重の境界に聳える高見山の下を高見トンネルでくぐると長い下り坂はループ橋になっていて景色は良く通行量も少ないので気分は上々だがハンドル操作に軽い緊張を覚える。

下り坂を下りきって直ぐ右手、栃谷方面への道をとり、走ること約10分程度で左手に「青田の大樫」の表示板を見つけることが出来る。

本道脇に上り坂があって、それを登りきると広場が在るので車の駐車には事欠かない。

広場の奥に、荒れ果てた一軒の廃屋が有り、その裏山斜面に見るからに歳老いたこの赤樫がどっしり根を下ろしている。

表示板によると、樹高20m、目通り幹周7.33m、樹齢不明とあるが、気の遠く成る程の年代を経ているのが誰にでも解る。

斜面を登って近づくと、その巨大さと、主幹の枯淡さ具合に目を見張る。

主幹は空洞化が激しく、枯損があり、いかにも古木然とした風貌であるが人里離れた土地故か、なんら手を入れた形跡も見えない。

三重県の天然物には指定され、県下最大、全国的にもトップクラスの赤樫だと言われている。

撮影2006.8.15

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春日大社参道のムクロジ

2006-10-16 | 奈良県

このムクロジは、巨樹ファンのみならず知る人ぞ知るムクロジの巨木。

春日大社参道脇の国立博物館横にムクロジの巨木が二本,目一杯に葉を繁らせている。

東寄りのムクロジの巨木が、知る人ぞ知るムクロジ、鼻からちょうちん、ムクロジから竹・・・・。

摩訶不思議、ムクロジの幹の頂点から三本の竹が生えている。

しかし、樹の頂上から竹が生える??なんてことは考えられない。

竹は、根から筍を出して、竹となる・・・。

この、ムクロジの幹に竹の根が伝って上に上がっているわけなど無いし・・・

国博の庭にある竹の根がムクロジ下まで伸びて、たまたま筍として頭を出したところが、この樹の幹の空洞だったと言うことらしい。

この巨樹、幹の中の空洞が、根元から頂部まで貫いているようです。

ムクロジにとっては、いい迷惑だけど、竹が寄生してるわけでもない。

幹は地上5mほどの所で3本に枝分かれしており、その内2本が途中で折れていますが、樹高約18m、幹周り5.7m、推定樹齢300年。

自然界には時として人智も及ばない不思議な事が起こるという事か?

もう、一本もこの樹の西側で元気です。

撮影2004.7.26.

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撮影2006.7.26 


若宮神社、南参道のイチイガシ

2006-10-11 | 奈良県

 
 春日大社、「若宮神社」前の参道、「上の禰宜道」を南に辿ると、春日大社末社「金龍神社」へ上がる道の直ぐ側、左手に、奈良市の木に指定の「イチイガシ」の巨木が有る。



推定樹齢300年、樹高18m、幹周り4.85m。


ブナ科で常緑高木の「イチイガシ」は、春日山には幹廻り3m以上の大木が23本もあるという。



しかし、それらのほとんどは中が空洞なのに対し、この「イチイガシ」の樹勢は盛んで、幹は垂直に立ち、葉の裏に黄褐色で短いビロード状の産毛が生えている。



ここから、また、春日大社の西回廊、慶賀門石段脇にもイチイガシとおもわれる巨木が立っている。



こちらの樹は主幹は空洞に成って、途中で失われてしまって、大きな枝がその代わりをしているように見える。



葉を大きく広げていて、樹勢も悪くないが、主幹の空洞は痛々しい。


撮影2006.7.30. 8.26


 


 


へべれけの楠

2006-10-08 | 奈良県

 


奈良公園、飛火野の大楠よりさらに南方、小さな丘を越えてだらだら下って行くと、前方に大きな林の広がりが見える。



林の入り口辺りには小さな涸れ沢があって、其の淵に僕が勝手に名付けた「へべれけの楠」が有る。


沢に水が流れていた頃の名残か今でも雨季には水が暴れるのか?すっかり根上りしてしまって、おまけに其の幹は見事に、空洞になった其の幹で、どっこいそれでも活きておりまする。


皮1枚残し多様なこの幹で枝を四方に伸ばし、葉を一杯に茂らせています。



お酒によってふらふら千鳥足でふらついて居るように見えてきます。


この辺りから東の方へ、小道が続いていてやがて春日大社へと抜けられる。



この付近には、つぶら椎の巨木なども多く見事な森へと続いています。


撮影2006.7.30


 


春日原生林口のムクロジ

2006-10-03 | 奈良県

 


前回紹介した水谷神社から春日原生林へと続く道中、左手に2~3軒の土産物屋があり、向かいには谷川がながれている。




谷川ふちの道路、アスファルトからこのムクロジの巨木が突き出している。



主幹は葉途中で2本に分かれているがうち1本は失われていてブリキ??板で蓋をされている。



幹周り、おおよそ4m、樹高、樹齢ともにわかりません。





しかし、このような条件で生きているのはさぞかし辛い事ではないのかなあ???。



花のれんげさんから、ムクロジの新芽と、去年の実がついた写真をいただきました。


中の黒い実は、羽根突きに使う羽の黒い玉にも使われています。


 



撮影2006.7.30



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飛火野の楠

2006-10-03 | 奈良県

 

奈良公園の南東側、春日大社の参道南側に広く開けた草原を飛火野と呼んでいて、その昔には狼煙(のろし)を上げていた場所なのだとも言われています。

この樹、何の樹を彷彿とさせるように、いつ見ても青々と葉を茂らせていて、飛火野を訪れた人は誰でもが、最初に目に付く景色になっています。

 明治41年10月10日(土)奈良県下において、陸軍の大演習が行われ、飛火野で休憩をされた玉座の跡(石碑在り)に植えられた「楠」がこれで、広く開けた野原に大きな枝を広げ、遠くから見ると単本のように見えるが3本1組の大樹です。

樹齢約100年でも幹周り4.5m+3.8m+2.9m、で凡そ10m、樹高20mで,遠目から見ると、余りにも形が整いすぎた巨木です。

また、飛火野はその広さが11haで、終戦前の昭和19年4月~20年8月まで、奈良航空隊教育隊の陸軍少年飛行兵(第16、17期生)達が飛行機の整備訓練、試運転などを行い「少年飛行兵夢之跡」で、戦後すぐには芋畑になっていたと言う。

飛火野は、鹿寄せが行われる処としても知られていて、いつでも何頭かの鹿がのんびり草を食んでいる姿がみれる。

余りにのんびりしていて気持ちの良い場所なので、ここで腰をおろして、弁当でもと言う人は要注意!!、

この原っぱは、何処でも鹿の糞だらけ

撮影2006.8.26

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