真巌寺の有る尾鷲市九鬼は有名を馳せたあの九鬼水軍発祥の地。
この地も今では紀伊半島熊野灘に面した、小さな漁港を持つ田舎町に過ぎない。
紀伊半島の主要国道、あまりゲンのよくない42号線から山一つ越えた交通アクセスの悪い所です。
街は熊野灘の湾に面して海岸沿いに細い道路が続き直ぐ脇の海には小さな漁船が係留されたりしている。
民家は、海岸線沿いの道路を挟んで密集しておりその間には路地で連絡されていてとても車が入り込めるような道路はありません。
そのせいか、海沿い道路の最奥辺りにある漁港と市場は、この町の集中駐車場にもなっているようです。
漁協魚市場の前から民家の密集する路地を通り抜けて高い石垣の上に覆いかぶさるような真巌寺のクスが現れる。
真巌寺は1346年に九鬼氏の祖・藤原隆信によって薬師寺として開かれたが、1640年に焼失、4年後に真巌元達禅師が再興し、寺号を真巌寺としたようです。
細長い路地の奥から背の高い石垣を一気に登る石段上の境内左側墓地の入り口辺りにこの巨大な楠がうずくまるように立っている。
主幹にはつる性植物の着生がひどく凡そその姿の全体を見通すことは出来ない。
樹齢800年、樹高22m、目通り幹周8.0mと記されるこの楠は、奇怪な樹形とその石垣上というロケーションと相まって異様な雰囲気がする。
石垣の下から見上げる樹根は石垣を飲み込み、まるで岩肌そのもので、何処から何処までが樹根なのか大地なのかも見極めがたいほどです。
撮影2008.11.15