巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

十津川村三浦、吉村家跡防風林

2010-11-22 | 奈良県

此処には今年七月の中頃一度訪ねて来たにも係わらず時間切れにてこの場所にまで到達しないで引き返した苦い経験があり,今回はそのときの経験も踏まえて時間には余裕を持たせて再度の訪問です。

奈良県十津川村は紀伊半島の山また山の真っ只中に有って、どの市街地からも遥かに遠いまさしく秘境と呼ぶにふさわしい山間僻地です。

奈良市内方面からどう走っても約2時間30分、R168号をひた走って十津川をダムにして造った風屋貯水池付近の津越野トンネルを越えて直ぐに右折県道733号線に入り

十津川の支流、神納川(カンノガワ)の清流を遡ること約20分あまり三浦峠登山口辺りで車を駐車させておく、勿論駐車は」邪魔にならない空き地なら何処でもOK、滅多に車の通ることなど無い道路。

付近には2~3軒の民家が有ってそのうち一軒は民宿、熊野古道小辺路(こへじ)を歩く人の宿泊場所にもってこいかも??

この大杉は「吉村家跡防風林」という名で呼ばれているように、熊野古道三浦峠登りの途中に昭和23年ごろまであったという吉村家の屋敷跡に立っている。

車を置いた三浦峠登山口から神納川に架かる船渡の吊橋を渡って熊野古道三浦峠登り路へと入っていく。

橋を越えて5分も歩くと三浦集落一軒目の家が一段高い台地上に有るが良く見えない、2軒目の家は少し先、小さな棚田のその奥にしっかり生活の匂いがする。

この民家を越していよいよ山登り、石畳道を登って行くと全く生活臭の無い荒れた廃家、更に登りつめるとまた一軒、この家はまだ廃家では無さそうだがどうも生活臭が乏しい。

夏にはもっとはっきり生活が見えたのだが???、此処まで歩き出して約25分、かなり高度を上げたように思うのだが。

現在この集落はここまで、廃村とは言いがたいが車社会の現在、家の前まで車の入る道路が無いという事実には驚かざるを得ない。

この先、杉の植林の続くジグザグ登りを約20分も登ると異様な存在感を持つこの古杉に出会う。

人工のオブジェ宜しく、周りに立ち尽くす若い植林の杉とはまるで異質、人工のものと自然のものではこんなにも違うものだろうか??。

まるで植林の若杉は割り箸でも突きたてたように立ち尽くし、この巨杉の一群だけがそんな中で圧倒的に強烈な存在感、まるで意思を持ってる生命体のようにも見える。

うねうねと蠢く様に大空を目指す枝、それを支える幹には主幹と言えるものは無く根元近くで何本にも別れ台杉状、これはこの杉の若い頃、この地の自然が厳しく険しく

今の環境とは丸で違っていたことの証でも有るような・・・。

ここはその昔、「蟻の熊野詣」と称されたように多くの参詣者が行き来し、この険しい山道にも多くの民家が軒を並べ、こんな深閑とした杉林などではなく、もっと自然な広葉樹林が広がって明るい声が山中に反響してたに違いない??。

ここ吉村家は三浦集落の名家でも有った様で、また峠の旅宿にも成って居たようで、建物跡だと思われる石組みや、墓地なども残っていて往時が偲ばれる。

<吉村家に纏わる話の掲示板>

国策としての杉の植林は全国の山と云う山を埋め尽くし、全国何処に行っても杉の人工林のない山は皆無に近く、国策も時には国の未来をも飲み込む愚策で有ることが多いのはこの一つをとってもよく解る。

最近の熊騒動もそのひとつの結果の現れに過ぎない。

そんな事はさておき、古道脇の見事な老杉群は六本、一番大きなものは古道脇の一番低い位置にあり、諸手を挙げて叫ぶが如く立ち尽くす、その幹周り約8m、樹齢大凡500年と言われている。

多分吉村家の歴史とともに有り、主はなくなっても取り残されたのであろう??

山裾から吹きあげる、烈風から家屋を守って来たであろう老杉は今や小辺路三浦峠のオブジェと化してはいるがその特別な存在感は見人を釘付けにしない訳はない。

 仰ぎ見ると・・・こんな感じ。

 

上方から見下ろして見るとこんな・・・・。

滅び去るものは美しくも有り哀しい、しかしこの老杉はここに有った屋敷の事をつぶさに知っているに違いない。

撮影2010.11.20


関市、杉原の大杉

2010-11-14 | 岐阜県

JR岐阜付近からまっすぐ北方へ延びるR256号で道なりに約1時間半も走るとやがて国道は右折してタラガトンネルを越えて郡上方面へと続くがそのまま板取川沿いに

約8kmも進むとやがて川浦渓谷への分岐点に出逢うが道の左手に聳えている大杉が見える。

 

岐阜県の福井県境に近い山また山の谷間に在って幽玄の里という感じが強い。

石垣端の巨大な根株付近から突き出した1本のヒコバエが大きく成長して奇妙な姿をしている。

根元には石積台座の上に小さな地蔵石仏が祀られていて、この大杉が信仰の対象となり大切にされているのが良く解る。

樹齢約900年、目通り約8.5m、樹高40m、殆ど痛みの見られないその姿はまだまだ若々しくさえ見える

大杉の横に立てられた説明板と

バス停前にあった運行ダイア。

この辺りまで山中に入ると交通アクセスは極端に悪く、自家用車以外では簡単に訪ねられない。

撮影2008.10.12


加子母(かしも)の大杉 

2010-11-11 | 岐阜県

岐阜県、中濃東濃の巨樹追い旅2日目、中津川の宿を早目に発ち最初に訪れたのが此処「加子母の大杉」。

中央道中津川IC近くからR256を一路北進、約1時間程で下呂市と中津川市の境界近くに位置する加子母町入り口辺りでR256は左折、一方道成りにそのまま進むとR257となり、加子母の中心付近にある道の駅「加子母」に着く。

何処に行ってもそうするように、此処で車を停めて休憩がてらに詳しい情報を得ようと店内を一周、イラストマップを手に入れる。

手に入れたイラストマップに拠ると「加子母の大杉」はもう目と鼻の先、車を走らせると国道筋からも天を突くばかりに聳えているその雄姿を望むことが出来る。

美濃と飛騨を分けると言われる舞台峠、そのなだらかな峠の信号を右折すると目指す大杉は目の前、大杉地蔵尊なるお堂の背後に周りを威圧するかの様に聳え立っている。

この大杉に纏わる伝説は数々伝えられているようですが、樹齢約1000年を越える大杉に対して伝説は鎌倉時代のものでいずれ、大杉先に在りきです。

開けた平坦地に独立木として立つこの大杉は群を抜いて大きく、この地のランドマークとして、また各種祈願信仰の対象にも成っているようです。

国の天然記念物指定、根回り約20m、幹周約13m、樹高約30mという巨漢ぶりですが現在周りを広すぎるほどの柵にに囲まれ手厚い保護を受けていて樹齢の割には痛みの少ない巨杉です。

 

撮影2008.10.13