巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

真庭市 醍醐桜

2011-05-10 | 岡山県

岡山、中国山地の高原地域を訪れ、巨樹好きがここを逃すわけがない 。

桜の花の咲く頃に花のないこの樹をUPする勇気もなく、ついつい今の時期に成りました。

花のある時期にここを訪れ、花いっぱいの画像を紹介するのが良いんだろうが??人混みの大嫌いな僕にはその芸当は出来ないし・・・。

殆どたまにしか、地元車も見かけない離合も困難なほどの細道をすいすいと、一気にここまで駆け上がって来た。

谷間から山の斜面に建ちならぶ集落は約10軒余りか、鄙びたといえばあまりに鄙びた山里の集落に対面する墓地上部の高台に此の醍醐桜は屹立している。

もう10年以上も前か??大河ドラマ「武蔵MUSASHI」の一場面でもロケ地として使われ一躍その名を馳せ、花の時期にはとても寄りつけない程の名所と成ったとか・・・・

墓地へと続く駐車スペースに車を置き、墓地横、野道の向こうに桜の巨木が威容を誇っている。

小高い丘の頂上あたり、小さな集落を見下ろす様に立ち尽くす此の巨桜樹は彼岸桜の一種「アズマヒガン」で推定樹齢1000年、遙か遠い昔にこの地に芽吹いたのだろう。

何処から眺めてみても素晴らしい樹形の巨桜、枝ぶりも申し分なく花を枝いっぱいに付けて咲き誇るさまは確かに一見の価値が有るとは思うが人混み車混には耐えられない。

「日本の名木百選」にも選ばれた見事な桜は「醍醐桜」と呼ばれ、後醍醐天皇が、隠岐に流される途中ここに立ち寄り、美しさを賞せられたとの言い伝えによると云う・・・・・。

嘘か真か囚われの身でよくもこんな山奥まで足を伸ばしたものだ・・・・根元には小さな祠が有っていやが上にも此の申し分ない景観に一趣を加えている。

目通り7.1m、根本周囲9.2m、樹高18m・・・岡山県の指定天然記念物。

花が無くても充分に堪能出来る巨樹でした・・・、見下ろす山里は三椏の花盛。

京都からは遥かに遠い山の中でした。

撮影2009.3.20


真庭市勝山町 観音堂の公孫樹

2011-05-08 | 岡山県

岡山県、中国山地のど真ん中辺りに位置する真庭市はその北部で鳥取県境に接し、牧歌的な高原風景を醸し出しています。

中国道落合ICから国道313号線で旧勝山町の中心街へその先道なりに181号線、途中県道32号線でJR姫新線と月田川に沿うようにして遡りJR月田駅を過ぎて暫く走った木山神社の有る辻を右折、最初に出逢う集落がこの大公孫樹のある毛佐(けさ)の集落。

集落の入り口辺りから集落内道を歩けば直ぐにそれと解る大きな木立が山裾、民家の屋根越しに見える。

公孫樹の樹の有る観音堂はちょうど民家の裏側にあり、民家の軒先を裏山裾に有る観音堂まで少し歩く事になる。

山裾の一段高い台地に立つ鄙びた観音堂、堂前まで伸びる僅かな石段、それを見下ろすように立つ大公孫樹・・、望んでも得れないような絶好のロケーション。

観音堂脇の斜面にどっかり下ろした根は見事に密集、巨体の主幹を支える力強さにみなぎって、見事な景観をかもし出している。

見事な枝ぶりも見ものです。

少し前屈みにも見えるが、株立ちで大きく4~5本に分かれた主幹は既に世代交代を進めているかのよう??

樹齢約700年、目通り8.8m、樹高は樹高35m 。

春の芽吹きにはまだ少し間が有る三月の訪問、秋の紅葉はさぞかし見事であろう枝ぶりです。

元来の主幹は相当な老齢、しかし次から次へと世代交代のヒコバエが大きくなって命のバトンタッチが順調そうに見えます。

素晴らしい景観と素晴らしい自然環境の中で永遠の命を与えられた大公孫樹なのかも知れません。

撮影2009.3.21


真庭市 高岡神社のスギ

2011-05-06 | 岡山県

中国道、岡山北房ICで降り、国道313号線を約10km、15分ぐらい南下すると左手国道脇に大きな石鳥居があり、田圃を挟んで山裾にそれと解る杉の大樹が聳えているのが見える。

鄙びた山沿いに、それにしても立派すぎる石の鳥居と参道・・・・由緒正しき古社なのだろうか??

 

遥か奥へ高みへと延びる石段参道・・・。

石段の始まる辺り、旧道脇の斜面にどっしり腰を下ろした平安杉。

樹齢800年、目通り8.5m、根元を見れば実に堂々として力強いが・・

二股に分かれたその主幹は哀れにもこんな姿・・・・

二股より下部はすっかりホンガラ・痛々しい姿・・・・、いつの時代からこうなってしまったのだろう??

多分落雷にでも撃たれたのだろうか??

しかしまだまだ元気そうで幹の木肌は元気そうでした。

撮影2009.3.8


高梁(たかはし)市  祇園寺の天狗杉

2011-04-30 | 岡山県

岡山県西部の高梁市、国道313号線有漢(うかん)町から西側の祇園山に林道を駆け登っていくと、その頂上付近に補陀落山感神院祇園寺と言う古刹が有って、「祇園寺の天狗杉」と呼ばれる巨杉がまさに天を突く様に立ち尽くしている。

今では山門直前まで車で行きつくことが出来るが、車のない時代には人里遠く離れて孤立、参詣もままならなかったのでは無いだろうか??

祇園寺は弘仁3年(812)に空海が開いたと伝えられる古刹で平安時代に興隆した山岳仏教の姿を今も色濃く残し神仏一体化した境内になっている。

明治政府の神仏分離政策もこんな隔絶したような山中までは及ば無かった様で往古の姿を今に良く伝えている。

中央には千手観音を本尊とする本堂(観音堂)があり、向かって左手一段高く牛頭天王を祀る鎮守社(祇園社)が有り、写真のように観音堂背後の祇園社脇にこの祇園杉が聳えている。

「天狗大杉」の名は天狗がこの大杉で羽を休めたと言う伝承に元づくが一方、弘法大師空海の手植えだという伝承もあり推定樹齢1000~1200年と言われている。

尤も樹齢不明の老巨樹には当たり前のように樹齢1000年と冠されているものだが・・・

いくつにも枝分かれしたこの巨杉は本堂の千手観音に因んで千手杉と見る向きも有るとか。

目通り8.5m、樹高37m、樹勢は衰えを見せず、主幹、根元にもこれと言った痛手は無さそう。

神と仏が一緒に守ってくれているのだろう・・・・

岡山県指定天念記念物。

撮影2009.3.20


 美作市(みまさかし) 横川のムクノキ

2011-04-18 | 岡山県

横川のムクノキの有る「美作市滝川地区」は、岡山県北東部、兵庫県境に近い山間に位置する鄙びた山村が点在し、緑の山々や清流が美しい自然豊かな地域です。

県道46号と県道90号の交差する辺りが横川で傍を流れる吉井川沿いにほんの200~300m、県道90号線を下った所に神々しい姿で孤立している。

このムクノキは鄙びた山間集落の吉井川河岸段丘にあって環境、景観共にこの上ない立地条件に恵まれ、思う存分大枝を空一杯に広げている様は、まさしく孤高の巨木然としたものが有る。

正面から見るといかにも発達した板根状に広がる根元を有し、小さな祠の荒神さんには花や灯りが手向けられ、神格化した巨木で有ることが解る。

目通り8.1m、樹高30m、推定樹齢1000年という老齢にも係わらずいたって健康優良爺??

「日本の名木百選」にも選ばれています

撮影2009.3.20


鏡野町大町の西条柿(大柿)

2010-08-28 | 岡山県


其の日は早朝早くに京都を発ち岡山、津山地方から鳥取島根へと巨樹追い旅にと出かけた。



しかし秋の長雨でこの辺りに着いたときにも、咲き出した彼岸花が小雨に煙る畦道にさきみだれていて夢の世界のような景観を醸しだしていた。


鏡野町の岩屋の大カツラを訪ねる途中、中国道院庄インターで降り179号線、392号線と乗り換え香香美川沿いに遡ると長閑な田園の広がる鏡野町大町辺りに着く。



此処に西条柿では日本一と言われる巨木が有ると云うので寄ってみた。



古い墓地跡のような石塔が一列に並ぶ中、この山里を見下ろすように西条柿の巨木がすくっと立っている。



柿の巨木は初めて見るが、この柿の木を包む空気と言うか?景観がまるで一幅の絵を見て居るように素晴らしい。



この柿木1本で4トンもの実を付けると云う事だが僕の見た去年はそれほどたわわには実っていないように感じた。



樹齢約400年、目通り約4.5m、樹高17mとなっていて、鏡野町の天然記念物に指定されている。



西条柿は東広島市西条地域の特産で所謂渋柿、渋抜きしなければ食べられない。 


撮影2008.9.21



菩提寺のイチョウ

2009-01-10 | 岡山県


中国道津山インターから鳥取方面に抜けるR53号線を約20分程鳥取方面に走り、奈義町の役場を少し過ぎた辺りから道を左手に取り菩提寺へと続く道路へと入っていく。


集落を抜け山道を10分ほども走るとちょうどこの菩提寺の前に着くがまったく人気もなく静まりかえっている。


菩提寺研修センターなるキャンプ場施設の建物も見えるが休業状態でまったく人の気配さえなく、ただただ不気味なほどの静寂さだけが辺りを占めている。



駐車場はこのキャンプ場が有るおかげかしっかり整備されており、表示板等も設置され目的の大公孫樹も何の苦労もなく訪ねることが出来る。


小さな山門をくぐり、自然石を積み上げた石段を登り、小さな侘しい本堂の横から鐘楼脇を通ってこの大公孫樹の前に出る。


この菩提寺は岡山県と鳥取県の県境にある標高1,240メートルの那岐山の中腹に有って標高620m、役の小角が開いた山岳寺院で、後に僧行基が十一面観音像(現在の本尊)を安置されたと伝えられ、法然上人が9歳から13歳まで修業したと言われている。


ここでも「杖箸伝説」が健在で、このイチョウは法然上人が地中にさした杖が芽吹き、成長したものと言い伝えられているようです。


僕がここを訪れた九月中旬、イチョウはまだまだ真っ青な葉を枝いっぱいに付け天空を覆い隠していた。


樹姿全体を遠くから見る限り緑の塊しか見えないこの大銀杏は、枯淡な感じなど受けない程若々しく見える。



しかし近づくと巨大な主幹は幹なのか気根が幾重にも垂れ下がった物なのか、はたまた樹瘤の塊なのか判断に苦しむほど異様な形状を呈していて、その老齢さゆえの威厳や気迫が厭が上にも感じられる。



枝幹から延びた気根も、その大きさ、数の多さには目を見張るが、枝幹上からも落ちた銀杏が育ったのか何本もの若木が元気に育ってる姿には驚かされる。


圧巻の迫力は国の天然記念物に指定されていて、イチョウをモチーフにした、組木の童人形は「なぎっこ」と名付けられた奈義町ならではのクラフト民芸も有るほどこのイチョウを大切にしているようだが、まったく人に出会わないのはちょっと寂しい。



推定樹齢900年、幹周り12m、樹高45mとなっていて、全国でも4位にランクされるイチョウの巨木だそうです。



撮影2008.9.21


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岩屋の大カツラ

2009-01-09 | 岡山県


昨年の9月21日、秋の連休を利用して鳥取、島根方面の巨樹を追いかけて来ました。


京都からだと中国道津山インターで降りて鳥取に入るのが良いだろうと考えて途中寄り道すべきところは無い物かと探していて見つけたのがこの岩屋の大カツラ。


つい先日UPの岩屋の大杉は福井県こちらは岡山県苫田郡鏡野町岩屋、岩屋神社裏山の急斜面ガレ場に有る大カツラ。



このかつらの巨木は忘れようにも忘れられない。


家を出るときには降っていなかった雨が、名神から中国道に乗り換えたあたりからポツポツ来だし兵庫県内は本降り、それでも岡山県院庄インターを降りるころには少し小降りとなっていたものの、あまり幸先の良くない旅の始まりでした。


国道179号線で鏡野町役場方面へその先県道392で岩屋を目指す。


目指す岩屋神社は道路脇にそれと判る看板も設置されていて何の苦労もなく到着しました。


結構長い参道には秋の山野草も咲き乱れておりのどかな里山風情が満喫できるところでした。


石段を登り早速拝殿に手を合わせ、目的のかつらを探して見るとここにも掲示板があり裏山を示していました。


拝殿横から見上げて見ると裏山中段あたりの杉林の中にそれと思しき黒い塊が見えてそれを目指してガレ場状態の雨交じりの中、道なき山肌を登ってこの大カツラに対面。



まるでガレ場の山肌から突然飛び出した体全体が口でもあるような怪獣が諸手を突き上げ、大声で何かを叫んでいるような鬼気迫る形相の桂の巨木。


僕はかってこれほどの形相の桂は見たことがない。


足場も悪く雨天模様の杉林は暗く撮影条件は最悪、おまけに気迫のこの桂の前でたじろがずには要られなかったことも確かですが、前面化の姿を撮り終え、サイドからの姿をと思って、桂の前を横切ったとき、頭や耳たぶに激痛が走り蜂に刺されたのが判った。


それを振り払おうとして足元がお留守になったのか、そのままガレ場を転げ落ちるという無様なことになってしまった。


幸いにも、10mほど転げ落ち木の株に助けられましたが蜂に刺された激痛と、ガレ場を転げ落ちたときの擦り傷とですっかりこの場は意気消沈。


しかし、転げ落ちたときにメガネをなくしたことに気づき再度途中まで登ってみたが、なくしたメガネは見つかる由もなく、桂のそばまではとても近づくことも出来なかった。


もっていたカメラは、たいした傷もなく無事生還ここに掲載した画像だけが唯一の収穫になった。


まったく不満足な画像が何枚か残ったものの、命あっての物種、その場は後ろ髪を引かれる思いを残して後にしたが、僕を拒絶したこの大桂を再度訪問する決意をしながら痛みの走る体で車で次の目的地に移動した。



どうぞ、次回は近づくことを拒絶しないでほしい。


幹周約13m、樹齢、樹高共に不明。


撮影2008.9.21


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