巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

長野市小鍋 国見のイチイ

2011-08-29 | 長野県

国道406号線の走る千曲川、犀川の支流、裾花川の渓谷を挟んで「神代桜」のある泉平地区と対峙する山中尾根の小さな集落に在る櫟の巨木です。

「神代桜」のある素櫻神社から山を下って対面の県道401号線で約10分、クネクネと山を登り切るとこのイチイのある国見の集落に出逢います。

標高約700m、かなり高い尾根の開けた集落、県道からもそれと目立つ集落入り口付近の公民館前に大きな緑を広げています。

根元には地蔵石仏や石祠があって信仰対象の木であることが見て取れます。

全国有数の大イチイと云う事ですが確かにイチイの巨木は余り見かけたことが有りません。

八百比丘伝説の残るこの櫟は推定樹齢700年、目通り7.0m、樹高19mと成っていて見たとおり、まだまだ元気そのもの様に見えます。

下から見上げる樹幹には力がみなぎり、根元は斜面とは云え、がっちり台地を捕まえています。

こういう自然いっぱいの所だから、こんなに元気でいられるのだろう・・・・・。

イチイとしては全国第3位の幹囲を有するらしいが、長野市指定天然記念物。

撮影2009.5.1


長野市泉平(いずみだいら) 素櫻神社(すざくら)の神代桜

2011-08-26 | 長野県

いくら地理に強いと自負していても信州の田舎では馬鹿ナビに随って走るしかなく、他人に行き方を教える事などとても出来ない。

長野市街から西北の山里、泉平の高み、コンクリート容壁で固められた素櫻神社の小さな社殿を随えるように立っている。

僕がここを訪れたのは5月1日、遅い信州の桜花も葉桜に変わりつつあり、名残の桜花がちらほら風に舞う時期でした。

大空を覆うがごとく四方八方に枝を張り、花が満開のころにはさぞかし見事な咲きっぷりだろうと思われる。

素戔嗚尊(すさのおのみこと)が刺した枝が大きくなったと伝承され、樹齢約1200年、目通り11.3mと成っていますが、根元で数本の株立ちに成っていてそれほどの迫力は感じない。

花盛りには観光客も多いのか整備が行き届きすぎ、野趣に欠けちょっとガッカリ・・

鄙びた山里に在る桜の巨木、それだけでも何かしら物語ができそうな・・・

エドヒガンザクラの巨木で国の天然記念物に指定されています。

撮影2009.5.1


上田市別所温泉 北向観音の愛染桂(あいぜんかつら)

2011-08-23 | 長野県

おそらく我国ではこれほど知名度の高い桂の巨木は無いだろう・・・(しかしそれも大昔のことかも??)

桂の巨木と言うわりにはそれほどの巨漢振りではないが、昭和の中頃ラジオドラマや映画で一世を風靡した『愛染かつら』、ヒロインの高石かつ枝と津村浩三が桂の木の下で永遠の愛を誓うモデルの桂として一躍有名になりました。

以来映画のように永遠の愛を夢見る若者達から『愛染かつら』と親しまれ、現在に至るまで縁結びの霊木とし親しまれています。

<こちらが北向観音堂>

この桂は上田市街南東山裾に有る別所温泉の北向観音と呼ばれる境内、温泉街からそのまま石段を登って境内入り口鐘楼わきに立っている。

対面には小さな愛染明王を祀る愛染堂もあり、ドラマから命名されたのか??はたまた愛染堂の傍に有るのでそう呼ばれたのか??

桂のノ正面には「医王尊瑠璃殿」と呼ばれる懸崖造りの薬師堂があり素晴らしい景観をかもしだしています。

この木は桂の巨木として珍しく単木、あの桂独特の根本から叢生群集する枝幹は無い。

桂の巨木を多く目にする巨木ファンにとってはいささか期待外れの感は否めないが・・、

それでも根元は隆々と脈打ち大きな痛みも無くまだまだ若々しい固体です。

桂の巨木としては物足りない目通り5.7m、樹高24m、推定樹齢300年以上といわれ、上田市指定天然記念物となっています。

どちらかと言うとマスコミによって、有名を馳せた桂なのかも??

撮影2009.4.29


上田市真田町 出早雄神社(いずはやおじんじゃ)のケヤキ

2011-08-18 | 長野県

前回紹介の東御市(とうみし)の西隣町、戦国武将で名を馳せた上田市真田地区に在るこれも信州らしく、やっぱりケヤキの巨木です。

上田城を築城この地を治めた真田3代発祥の地からほど近く、真田町本原の地に鎮座する出早雄神社(いずはやお)神社はケヤキの杜として市の天然記念物に指定されている。

もともと境内はケヤキの巨木が五本も聳え立ち鬱蒼としたケヤキの杜で有ったらしいが現在ではこの通り・・

この看板によると昭和51年には1号樹から5号樹が有ったようですが、現在境内入り口石段脇に一本、拝殿脇に一本の二本を残し現存しません。

説明板では2号樹だと思われるケヤキの巨木がこれ、正面からみるといかにも凛々しく若々しく見えるのだが・・

横に廻り込んでみると大きな洞が口を空け主幹は哀れ途中で伐採されている。

落雷による被害の為、倒木の危険が迫り処理されたようです。

樹齢約800年、目通り8.6m、樹高15m

後の一本は樹齢約800年、目通り7.6m、樹高約40m・・・・・

こちらはすんなり伸びてまだまだ健全・・・やっぱり信州は、ケヤキ天国の感を呈している

撮影2009.4.29


東御市(とうみし) 中屋敷熊野神社のケヤキ

2011-08-16 | 長野県

またまたケヤキの巨木です、千曲川の流域、小諸市の西隣に在る東御市(とうみし)は、僕たち関西人にとって余り聞き慣れない名前の町です。

国道18号線滋野小学校の北側ブドウ畑の広がる中に中屋敷野集落があり、その北外れに小さな熊野神社があって、その祠の傍らにはケヤキの巨木が聳えて居る。

千曲川流域の遅い春が目覚めかけた四月末のGW初日、ケヤキの巨木はまだ芽吹きだしたばかりで一見冬姿のままです。

冬から目覚めたばかりのケヤキの巨木は白っぽい樹肌で寒々しく感じるが根元で二本に分れた目通り15.3mとバカデカイ。

主幹は痛々しいほどに傷みもひどく大きな洞は根元から3m以上上まで達しているが、この信州ではケヤキの巨木など珍しくないのか何の手入れも保護もなされていないよう・・・・

傍らの覆屋には最早形骸と成ったケヤキの古木がたいせつに保存されていた。

このケヤキ共々3本が揃って天をめざしていた頃にはもっと壮観で有ったに違いない・・・・因みに樹齢は推定ながら300年以上との事。

撮影2009.4.29


佐久市岩村田  住吉神社のケヤキ

2011-08-09 | 長野県

前回紹介の王城のケヤキのすぐ近く、岩村田の交差点から北進すると程なく武骨なこのケヤキが見える。

道路右手に小さな開けた境内を持つこの神社は住吉神社。

県道に面する住宅街の中に在ってちょっと異様な風貌で鳥居脇に立ち尽くしている。

根元がご覧の通り異様に樹瘤が折り重なり、まるで古びた岩塊の様にも見える。

反対側に廻り込めばすっかりホンガラ、雷にでも打たれて火災でも起こしたのでしょうか??見事にまっ黒け。

それでも耐え抜き、この武骨な風体で若葉を茂らせている

樹齢は不明だが、目通り7mと堂々としたもの・・・、裏側を見なければ元気そのものに見える。

境内脇にもケヤキの巨木が有って、信州は何処に行ってもケヤキの大木が多いなあと感じる。

撮影2009.4.29


佐久市岩村田 王城のケヤキ

2011-08-05 | 長野県

上信越道佐久ICの程近く、眼下に湯川を見下ろす大井城跡地の中央部が王城公園として整備され、その一画に残されたケヤキの巨木です。

古城跡を忍ばせてくれるものはこのケヤキの巨木と根元に残された石造物、公園入り口辺りに少し残された古びた石垣ぐらいしかない。

主幹は途中で失われているが、遠くから見ても姿の美しい、まさに伸び伸びと育ったケヤキの巨木で眼下の街を見下ろすようにたち尽くしている。

このケヤキは長野県下8位にランクされるようですが、かくも長野にはケヤキの巨木が多い。

 

根元にはいかにも信州らしい石祠が並び地域の信仰篤いことも窺わせる。

目通り9.2m、樹高 26m、樹齢は不明となっています。

古城の跡に野武士の如く、すくっと立つその姿に地域の人達は遠い昔を偲んでいるのでしょうか??

根元主幹には大きな洞があるようですが??葉を一杯に茂らせる夏には、蝉の競演が煩いほど聞かれることだろう・・・・。

 

撮影2009.4.29


佐久市安原  安養寺の「規の木」(つきのき) 

2011-08-02 | 長野県

諸手を挙げて叫ぶがごとく佇む、いかにも異形な欅の巨木。

GWの始まった4月の終わり、信州の遅い春にケヤキの冬枝は、まだ震えるような若芽を吹き出し始めたばかり・・。

信州、佐久平の東部、浅間山系の山並みが途切れる辺り、佐久市安原の名刹安養寺参道脇にあるケヤキの巨木を訪れた。

いかにも信濃の侘びた寺院そのまま、地で行くような風情の臨済宗妙心寺派の古刹・・・この寺はまた、信州味噌発祥の地としても知られ、境内の畑で採れた大豆を使い、地元の味噌蔵とつくった安養寺味噌が有名だそうです。

異形のケヤキの巨木はいかにも、鄙びた禅宗寺院に似つかわしい山門前方に有り、諸手をあげて叫ぶが如くに立ち尽くしている。

ずんぐりむっくりの巨体に樹瘤が累々と並び付き、主幹の根元はまるで蠢くように大きく脈打ち、まるで動物でも見てるよう・・・。

「槻の木」はケヤキ古呼、このケヤキも「つきの木」と呼ばれ、まるで月の表面のように凸凹アバタだらけ・・・

安養寺中興の祖がお手植えをして約650年、この地に根を降ろして生き続けている。

しかし、寄る年波には勝てず最早この異形な姿・・・・、主幹は遥か昔にでも欠損したのか??

一つ目小僧のようなの大きな洞・・、洞の中にはなにやら根のようなものが見えたり??

主幹はすでに表皮だけをまとい、何本かの小枝でその生を繋いでいるように見える。

目通り9m、樹高14m・・・まさしく遠目には一つ目小僧の雄叫び・・まだまだ死にはしないと叫んでいるようにも・・・。

撮影2009.4.29