巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

氷見市 上日寺(じょうにちじ)の公孫樹

2012-02-28 | 富山県 新潟県

氷見市の中心街より少し西よりの朝日山公園南麓にある上日寺(じょうにちじ)の公孫樹です。

能登半島、富山湾岸に在る氷見市は漁業の町として、冬の寒ブリは全国的にも良く知られています。

この公孫樹の巨木が有る上日寺はあの白山開闢の祖「泰澄大師」により、白鳳10年の創建されたと伝えられる古刹でこの公孫樹の巨木に因み、古くから「銀杏精舎」と呼ばれています。

太さでは富山県内の全樹第一位、雌株の公孫樹としても全国でも第一位の目通りを誇り、実りの秋には物凄い量の銀杏をつけるそうです。

見事な巨幹は目通り12.0m、樹齢を積み重ねた公孫樹の古木に見られる気根が幾本も垂れ下がり、注連縄も掛けられ新興の対象となっていることを窺わせます。

公孫樹の大樹の陰はちょうど近所の小さい子供を持つ格好の遊び場所となっていてなんとも心温まる景観をかもし出しています。

創建の際に植えられたと伝えられ樹齢約1300年とされていますが、中国から公孫樹が持ち込まれたのは鎌倉期だと言うのが通説になっているので怪しいもんですが・・・。

磐をも思わせる樹肌はうねり蠢くように幾重にも重なり上部で何本の支幹に岐れ巨大な葉陰を提供している。

白骨化した浮き根もその樹齢を思わせるには充分過ぎるほどに荒々しく、この巨体を支えるにはかくも有りなんという感じです。

ここでも気根を乳房に見立てた乳信仰が伝えられている。

撮影2009.9.20


氷見市 長坂の大イヌグス 

2012-02-26 | 富山県 新潟県

チンチクリンだけど見事な樹冠が遠目から見るとまるで盆栽のようです。

前回紹介の門前町「あすなろ交流館」より約75km、2時間ばかり掛けてやってきた巨樹と棚田が楽しめる能登半島富山湾側、氷見市長坂。

富山湾岸から山中に伸びる県道306で山中に進むと山間の棚田に包まれた小さな長坂集落があり、その県道脇、棚田の一画にこの見事な「イヌグス」の古巨木が悠然と孤立している。

日本の棚田百選にも選ばれた「長坂の棚田」の中心部はここから少し上部に有るが、この県道が拡張され新しくなるまでは「イヌグス」の有る地も含めて一体だったのであろうが・・・・

犬楠は通常「タブノキ」と呼ばれる楠木科の常緑樹、山陰方面や若狭方面では良く見かけますが・・・、この辺りが北限なのかも??

寒くて雪深い地域にあってはどうしても上に伸びられず、横に横にと伸びてチンチクリンなのかも??

正面主幹に大きな洞を抱えるものの、その枝ぶりからも解るように樹勢は旺盛、勿論地域信仰の対象として大切に守られている。

樹齢約500年、目通り6.5m、樹高10m・・・、富山県指定天然記念物となっている。

撮影2009.9.20


輪島市門前町 档(アテ)の元祖

2012-02-24 | 石川県

木片に当と書いて「アテ」と読む木が有る。

正式名称は「ヒバ」と呼ばれるヒノキ科の常緑樹で「あすなろ」の名でも親しまれ石川県の県木にも指定され、その堅牢さから輪島塗の素地として用いられて居て能登半島で多く植林されている。

この能登半島では最古参、最大といわれるアテの巨木が輪島から旧門前町に向かう国道249号線沿いにある。

国道249号線が県道38号線と合流する門前町浦上の直ぐ先にあすなろ交流館が有り、そこを駐車場にして在所道を少し歩くとそれと解る看板が有り、指示通りに民家脇を奥に進むと「元祖アテ」の木が2本、柵の向こうに聳えている。

このアテの元祖は当家の先祖が奥州平泉から2本の苗木を持ち帰り、それが大きく育ったものだと言われており、樹齢約450年、樹高は共に約30m、目通り約4mとされています。

互いに主幹の一部が白骨化、痛々しい樹姿ですが何とかがんばって欲しいものです。

巨樹そのものよりもその文化財的見地から石川県の天然記念物に指定されています。

撮影2009.9.20


輪島市 里の与兵衛(さとのよへい)の椎の木

2012-02-22 | 石川県

能登半島輪島市街より海岸沿いに東へ約15km、里町と呼ばれるところに「里の与兵衛の椎の木」がある。

珠洲市街より能登半島を横断する国道249号線、県道40号線と乗り継いで能登半島西海岸へと・・・海岸線にに出る少し手前で県道277号線へUターン気味に左折、左手にそれと解る緑濃い巨木が見える。

この地の豪農であった「与兵衛」さんの屋敷跡に残るスダジイの巨木です。

ここを訪れた九月の中旬・・・・、まだまだ夏草が伸び放題でやぶ蚊の群れに泣かされた。

スダジイの老木独得な蠢くような主幹、やっぱり根元には腐洞が見られますが全体的にはいたって元気そのもの。

目通り幹囲7.63m、樹高24m、樹齢は不明ですが輪島市の天然記念物に指定されています。

前の県道は車通りも少ない長閑な田舎道風情です。 

撮影2009.9.19


珠洲市(すずし) 高照寺の倒(さかさ)杉

2012-02-20 | 石川県

まるで松の銘木なのかと見紛うばかりの樹姿を持つ杉の巨木です。

能登半島先端近くの東海岸沿い、珠洲市役所より2km弱手前、高照寺を背後に控えた田圃の真ん中に立ち尽くしている。

雪が多い地方、裏杉の特徴なのか??枝は地を這い、梢は丸い樹冠を造る・・・・、ここはそれ程雪が多いとは思えない海岸近くなのに??

逆さ杉と呼ばれる杉の個体は他でも聴いた事とが有るけど・・・・ここでは倒杉と書いて「さかさすぎ」、やっぱり箸伝説の残る巨杉です。

主幹近くに立つと主幹や大枝の暴れようは見事、捩れてうねって、まるでイブキの老木のようにも見えたり。

樹齢約850年と推定され、目通り6.9m、樹高12mと杉には似つかわしくないチンチクリン・・・。

まあ、この杉は巨木というより名木、その樹姿の美しさが見事です。

撮影2009.9.19


金沢市 板ヶ谷町(いたがたにまち)八幡神社の八幡杉

2012-02-18 | 石川県

金沢市内と云えど、市街中心部からは30分以上も南東山中に走った富山県境に近い山間集落、鎮守境内に聳える見事な巨杉です。

金沢市街より浅野川を遡り、五箇荘方面に通じる県道10号線、どんどん谷川を詰めていくと集落の外れ、左手谷川沿いに参道が見え、その奥に背の高い杉の樹叢が見える。

ここを訪れた頃ちょうど社叢脇の谷川がダム工事中・・・、周りの景観も台無し、おまけにけたたましい騒音で少々気分が削がれた。

工事中の谷川脇から参道を登り詰めると目に前に立ちはだかるように聳える巨杉。

近づいて正面から見るとまるで巨大な板状に見える程扁平な主幹、株高2m程には神木の注連縄が巻かれ、その上1mぐらい上部で四幹に分かれている。

扁平な株元から四株の合体木で有ることは誰の目にも明らかですが見事に合着し、樹勢もこの上なく見事に天を引き裂いている。

方向変えると二本の合着木のように見えなくも無いけど、この方角からだとちょっと迫力に欠ける。

地元では八幡杉と呼ばれ、この杉の木自身が信仰の対象として崇められているようです。

推定樹齢800年、目通り11.7m、樹高約42m、金沢市の天然記念物指定・・・実に堂々たる見事な大杉です。

境内には他に同樹齢だとされる二株の巨杉が有る。

撮影2009.9.19


白山比(しろやまひめ)神社の老杉/ケヤキ

2012-02-16 | 石川県

白山比(しろやまひめ)神社の境内地に聳え立つ老杉とケヤキの紹介です。

白山比(しろやまひめ)神社は云わずと知れた、全国に約3千社の末社を持つと云われる白山神社の総本社として君臨する加賀一ノ宮の大社です。

その歴史は古く、神代の時代、今から2000年以上も昔の祟神(すじん)天皇の時代と伝えられています。

勿論往古本社は、霊峰白山山頂から「下白山(しもしらやま)」と呼ばれた現在地に遷座、現在霊峰白山山頂には神祠が奥ノ宮として鎮座する。

現在駐車場から直ぐの境内鳥居前

老杉は本来の参道である手取川畔より続く長い石段、鬱蒼と続く老杉林の中の飛びぬけて巨大な老杉。

天然記念物の老杉は株高5m辺りより数本の幹に分れ、ずっと梢にだけ僅かばかりの枝葉をつけ、樹勢ははかばかしく無さそうです。

神木である印なのか注連縄を付け、目通り7.3m、樹高43m、樹齢約300年以上。

因みに神社のHPでは・・・・・根元の周り約12m、胸高幹周り約10m、樹高約42m、樹齢はおよそ800年といわれています。

境内に入って直ぐ右脇に立つ、下部の樹皮をすっかりはがされて丸裸にされたようなケヤキの巨木。

病害虫の駆除のためだったのだろうか???

主幹は頂部でもぎ取られ、防虫剤代わりにコルタールでも塗られたのか片側は真っ黒・・・・目通り約5m、樹高25m、推定樹齢1000年と云うがちょっと信じ難いが。

撮影2009.9.18


白山市瀬戸 夜泣公孫樹(よなきいちょう)

2012-02-15 | 石川県

 

直ぐ裏手斜面にはスキーゲレンデも有るほどの豪雪地帯、そんな地域でこれほどの巨木に育った公孫樹は稀だといわれています。

手取川下流方面から国道157号線を遡り白山スーパー林道目がけ、道なりにどんどん進むと大きな公孫樹の梢が聳え、村の鎮守さんらしい佇まいの瀬戸神社が道路右手に見える。

ここを訪れたときちょうど秋祭りの前日だったのか境内は賑やかな祭りの準備中・・。

中天から垂れ下がる祭旗には魔除けの猿や紅白の綱で結わえられた籠が吊り下げられ風に舞い、懐かしい景観を醸し出していた。

大公孫樹は「夜泣公孫樹」と呼ばれ、昔話しでは樹上に棲んでいた天狗が、人恋しいのか夜中に成ると大泣きしたという・・・

道路わき、瀬戸神社石鳥居の向かって右脇境内にでんと腰を下ろしている。

主幹は根元近くより大きく双幹に分れ、融合木を思わせるように二つに幹色や、その樹勢にも違いが見られる。

それでも大地にどっしり根を下ろし双幹とは言え、気迫に満ちた幹周りは9.8m、推定樹齢約500年、樹高は青葉を目一杯風にそよがせ約35m。

石川県の天然記念物に指定されている。

今に時期やっぱり大雪に下枝付近まで埋まっているのだろうか??

撮影2009.9.19


白山市 五十谷(ごじゅうだに)の大杉

2012-02-12 | 石川県

白山山系の山懐深く谷川沿い、人里離れた小さな集落の鎮守にその異形の大杉はある。

白山市はその名の通り、信仰の山、白山山系北西部、広大な山懐から日本海にまで繋がる広大な市域を持つが、その総面積の約75%は山岳地帯の林野が占めている。

旧鳥越村の中心、白山市鳥越支所から南西、堂川の谷沿い道を遡ること約6km弱、その数10軒にも満たない五十谷(ごじゅうだに)の集落がある。

そんな集落の中心、南面斜面に小さな祠の八幡神社があり、裏杉独得のあの暴れ狂う形相の大杉がある。

見る方向により大きくその樹姿を変え、写真にして見ればこれが同じ樹なのかと思うほど・・・・、特に積雪の多い白山山系の谷川筋、冬場の積雪はいかばかりかこの大杉の枝振りからも推察出来る。

凡そ背の高さ付近から真横に突き出した大枝は圧巻、地を這うように突き出し捩れ又突き出しと・・・、まるで蠢く得体の知れない生き物のよう・・・

伝承樹齢1200年、この地なら白山開闢の祖「泰澄大師」の伝説だと思うが・・何故か弘法大師杖立て伝承が残る。

目通り8.5m、まるで主幹基部は岩壁のような圧倒的な力強さです・・・・。

樹高約40m、大枝の股から梢を仰ぎ見てみるとこんな感じ・・・。

処所大枝は伐採され、痛々しいが目だった傷みや大きな洞なども見られず樹勢は旺盛・・・・とにかく目を見張らずには居られず釘付け状態になりました。

石川県の天然記念物に指定されている。

今頃どの辺りまで雪に埋もれているのだろう???。

撮影2009.9.19


能美市(のみし)佐野町 狭野(さの)神社のスダジイ

2012-02-10 | 石川県

県外人には余り聞きなれない市名ですが、石川県の南部、加賀平野のほぼ中央に位置し、白山系から日本海に注ぐ手取川南岸と日本海の海岸線に囲まれた緑豊かな街です。

かたや九谷焼きの中心地としても良く知られ、九谷陶芸村や資料館もあり、狭野神社内には九谷焼中興の祖「斎田伊三郎(さいたいさぶろう)」を祀る祖霊社も境内に同居、陶祖神社の名で祀られています。

狭野神社の杜は緑豊かな杜、社叢全体が能美市の天然記念物に指定されています。

参道を奥に進むと雪国らしくアルミサッシとガラス窓で廻りを覆われた拝殿と本殿。

脇拝殿からの渡り廊下の下を潜れば、目の前に立つ荒々しい樹瘤だらけのスダジイ。

拝殿の石垣脇、背の低い石柵に守られ腐朽進んだ主幹ながら大枝を数本に分け天に突き上げている。

平成15年には腐朽部の治療や施肥を行ない、これでも樹勢は随分回復したようです。

樹齢約350年、目通り7m、樹高約16m、スダジイ独得の樹瘤や荒々しい樹肌は力強く生き抜いて来た証のようにも見えます。

撮影2009.9.19


岩出市 正覚寺のムクノキ

2012-02-08 | 和歌山県

正覚寺のムクノキの有る岩出市は和歌山市街東方約15km、紀ノ川北岸域、河岸段丘に新しい町並みが広がり、背後、和泉山脈の山裾には古刹根来寺などを有する歴史的にも豊かな街です。

JR和歌山線の岩出駅と、紀ノ川に注ぐ古戸川に挟まれた住宅地の真ん中に有る由緒有りげな新義真言宗の小さな寺院です。

本堂前の境内は墓地になっており、墓地奥の一段高くなった一角に、このムクの木がどっしり構えています。

主幹は落雷か台風にでも遭ったのか無残にも引きちぎられ、残った大枝がその変わりをつとめています。

引きちぎれた側の株元は白骨化が進み、最早生気を無くしていますが、残った大枝側はまだまだ瑞々しく、濃い緑の葉をいっぱいに伸ばしています。

ずんぐりむっくりは否めませんが、目通り約6m強、樹齢は不明ですが和歌山県の天然物に指定され、県内一のムクの木だとされています。 

撮影2009.8.22


和歌山市 丹生(にゅう)神社クスノキ

2012-02-06 | 和歌山県

民家の密集地にあってどうにもこうにも車では近づき難いところに有りました。

和歌山市街から紀ノ川を挟んで約5km、県道7号線が横断する直川の街中、直川小学校の約200m程西方に小さな杜を持つ村の鎮守然とした丹生神社が鎮座する。

横長割拝殿の奥、拝殿と摂社の狭い隙間に大きな楠木が肩身の狭い姿で聳えていますが・・・なにやら申し訳無さそうにも見えて気の毒・・・。

摂社に掛けられた不釣合いなアルミカーポート屋根がどうも目障り、なんとも雰囲気をぶち壊します。

大きく踏ん張るように二股に分かれた主幹は目通り約9m、樹齢約500年とまだまだ若々しく、和歌山県の天然記念物に指定されています。

中々の大物ですが惜しみなくば、もう少し手入れされても良いんじゃないかな??

周りの雑木や棕櫚の葉などは少し邪魔だと思うんですが・・・・。

撮影2009.8.22


岬町淡輪 船守神社大楠

2012-02-04 | 大阪府

大阪府最南端、和歌山県境に接する岬町は紀淡海峡を挟んで淡路島と相対峙する風光明媚、又四季を通じてマリーンレジャー客の多い土地柄。

南海本線淡輪(たんのわ)駅の西方約1kmの地にこの地の産土神「紀船守」を祭神とする古社「船守神社」がある。

<直ぐ北側に在る淡輪漁港>

民家密集地の中に鎮守の杜を持つ船守神社は海岸から500mほど内陸に在るもののそこはかと磯の風を感じることの出来る境内です。

境内西側道路に大きく、明るく拓けた境内入り口に立派な石柵で囲まれ、この大楠がたっています。

根元には石祠が置かれ信仰の対象に成っていることが解りますが・・・大楠の根元には竹矢来が掛け回され全くどんな様子なのかは伺い知れません。

元々 四本の楠の根元がくっついたもののようですが・・中心部には大洞でも在るのでしょうか??一見若々しく元気そのものに見えますが。

大阪府指定天然記念物、樹齢約800年、目通り約7m、樹高約25m。

撮影2009.8.22


泉南市 岡中鎮守社大楠

2012-02-02 | 大阪府

大阪府南部、所謂泉州と呼ばれる地域、関西空港の在る泉佐野市南接する泉南市は少し遠いながら最近ベッドタウンとして住宅開発の波が押し寄せている。

阪和道泉南ICを降り、海岸方面へ次の信号で右折、府道30号線を進めば家並の向こうに直ぐにそれだとわかる巨大な楠の樹冠が見える。

その木めがけて新旧入り交じりの住宅街を行けばこの樹だけのために在るような岡中鎮守社に出遭う。

「一木杜を為す」と云う言葉通り天を覆い尽くす様な巨大な樹冠の下、すっぽり包まれるよう慎ましやかな境内と社殿が建つ。

大きく二股に分かれた根元周りは12m、、何処を測ったのか目通り約8.2m、樹高約30mとなっています。

境内を囲む道路にまでその大枝を伸ばし、巨大な鉄製アングルに支えられています。

樹齢800年根元や主幹にも一見何のダメージも無く、まだまだ若々しく元気そのもの。

「大阪みどりの百選」にも選ばれ、大阪府の天然記念物にも指定されている名木です。

神木として地域住民の篤い信仰の元まだまだ成長過程に在るような若々しい巨楠です。

撮影2009.8.22