巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

五條市西吉野町  奥谷のヤマモモ

2012-10-23 | 奈良県

紀伊半島を縦断する国道168号線の入口に当たる五條市に、平成の大合併で編入された旧西吉野村に有るヤマモモの巨木です。

旧西吉野村は全国的にも有名な富有柿の産地、また南朝三帝の行宮(あんぐう)、賀名生皇居跡なども有りよく知られて居ます。

このヤマモモの有る西吉野町奥谷はその地名からも察せられる通り、山肌に柿畑の続く山間僻地に在って、小さな集落が点々と軒を並べる。

そんな奥谷集落の斜面上に、現在は廃校となり奥谷老人憩の家として利用されて居る奥谷小学校跡地の崖地に根を下ろし、その濃い緑を枝いっぱいに付けるこのヤマモモがある。

直樹賞ゆかりの直樹三十五が代用教員としてこの小学校に赴任し、このヤマモモ木に登り大声でデカンショ節を歌っていたと伝えられている。

道路を見下ろす崖淵に立つヤマモモの木は大きく旺盛な樹冠を持ち、目通り約5m,樹高15m、地上近くで大きく数本の支幹に分かれています。

全国的にはそれほどではないにせよ、五條市の天然記念物に指定されて居ます。

まだまだ若々しく生気みなぎる若武者の様な感じです。

撮影2009.11.21


法隆寺 境内の老楠

2012-10-19 | 奈良県

言わずと知れた国宝の寺、この寺は古いはずなのに余り大きい木はないと思っていたら・・・・一本だけ物凄い形相の老楠の巨木がありました。

環境庁の巨木データーからは抜け落ちているので巨木として該当しないのかもですが・・・。

<法隆寺中門>

広い法隆寺の境内、中心伽藍の正面、中門の向かって右手、鏡池の傍に一際威容を誇るこの楠の木があまり目立たず生きている。

<風伐り鎌を付けた国宝五重塔>

 周囲は何せ国宝だらけ、見るもの全て存在感の有る物ばかり・・・・、こんな処にあるとちょっと気の毒。

東西に走る中参道を前にして、殆ど「はらわた」まで曝け出したような老楠が生きながらえて居る。

他の小さな古寺にでもあればもっと際立っていたろうに・・・。

主幹の殆どが白骨化、まるで現代アートのモニュメントを思わせる迫力です。

うねりもがく様に、白骨化した空洞周りの樹皮だけでその命を繋いでいる。

樹齢、目通り共に不明ですが巨樹としての威厳と貫禄は充分。

<境内を横切て行く中参道>

この法隆寺境内にあっては殆ど立ち止まる人さえなく、何の説明板も有りません。

撮影2010.2.7


山形県東根市本丸南 東根の大ケヤキ

2012-10-10 | 東北六県

日本一の公孫樹の次は日本一の欅の巨木。

こちらは同じ北国東北でも少し南の山形県中央部、山形空港のある東根市、東根城址に建つ東根小学校の校庭にその勇姿を聳えさせて居る。

市街地外れ、最上川支流、日塔川(白水川)右岸の高台に有り、小学校近くにはこの欅見学者のための駐車場まで設けられて居る。

ちょうど僕がここを訪れたのは9月17日の敬老の日、子供たちも休日、それでも門は閉ざされず、見学者も三々五々訪れて歓声をあげて居た。

国指定特別天然記念物の「東根の大ケヤキ」は南北朝時代に築かれた東根城内に植栽されていたもので、往時これに退けを取らぬもう1本の大ケヤキが有り、雄槻、雌槻と呼ばれていたが明治18年、雄槻は枯れ果てこの雌槻だけが残された。

根回り24m、目通り16mと圧巻のボリュ-ム、最早生あるものとは思えぬ程の規模と迫力です。

向こうからこちらに突き抜けるトンネル状洞は、内部に畳二畳程の空間が有り、古くは乞食が寝泊まりし焚き火をしていた事もあるらしい。

樹高約28m、樹齢は驚くなかれ1500年以上・・・、もしかしてあの聖徳太子と同級生だったり・・・・。

大きく分かれる二幹の間に大きな裂け目が有ったのか?しっかり同色の樹脂で埋められ、見たところ枝いっぱいに葉をつけ樹勢は旺盛。

朝な夕なに元気な子供たちの聲を聞きケヤキも穏やかな日々を送っているように見える。

この校庭で育ち巣立った子供等の記憶の片隅には、何時までたってもこのケヤキの力強い姿が焼きついて居るのだろう。

撮影2012.9.17


青森県西津軽郡深浦町 北金ヶ沢のイチョウ

2012-10-07 | 東北六県

先月中頃から約半月係りで東北六県と新潟の巨樹と石仏を巡って来ました。

ここ青森北「金ヶ沢のイチョウ」はどうしても外せない今回の旅のハイライトでした。

一木森を成すの言葉通り桁外れの規模を持つ見事な公孫樹でしたが・・・・、なぜに又こんな北国、津軽の片田舎にこれほどのイチョウが育ったのか??

日本のイチョウの巨樹はこの北国青森県に密集しているというのが何とも不思議な気がします。

<秋の?葉の頃にはさぞかし見事に黄葉する事でしょう>

青森県西津軽の日本海岸に沿って走る国道101号線、深浦町JR五能線北金ヶ沢駅近くのJR線と国道の間に立っている。

この公孫樹専用の様な道路も有り綺麗な公衆トイレ付きの広い駐車場もあり至れりつくせりです。

小さな春日神社や摂社の祠を従え、包み込むかの様に立っている。

森の様な葉陰にの根元に入って見ると巨幹が数本起ち上がり、気根が無数に地上にまで垂れ下がるっている。

「垂乳根のイチョウ」として古くから信仰されているのが頷ける・・・・、しかしこの樹は雄木で実を付けることは無いそうです。

ぐるっと株周りを一周りしてみるがなかなかベストポジションが見つからない。

ここもイマイチ、あこもイマイチ・・・・・・・、なにせ幹周り21m以上に及ぶ巨木は相当引きが無ければ幹全体が入りきらず、幹全体を入れようとすれば旺盛な枝葉がじゃまをする。

樹齢1000年以上・・・・・、嘘か誠かそんなことはどうでも良い。

とにかく桁外れにデカイ、日本最大の公孫樹だと言うが、日本最大の巨樹だと言われる「蒲生の大楠」にも決して退けを取らない。

日本列島、北と南の両雄と言えなくもなく、その神々しさは甲乙付けがたい。

国指定の特別天然記念物・・・・・、最早世代交代を繰り返し永遠の命を手に入れたかの様な神々しさが窺われる。

正しく「特別」の名が相応しい巨樹です。

撮影2012.9.20


静岡県島田市大代  安田(あんだ)の大シイ 

2012-10-04 | 静岡県

喘ぎ、もがく様に暴れるスダジイの巨木です。

どこをどう走ったのか?とにかく狭い道をうねうね走りなんとか辿りついた巨木・・・・、不案内な土地ではいつもバカナビの言う通りに走って遠回りをさせられているようですが??。

周りを茶畑に囲まれた丘陵地の安田(あんだ)集落も、わずか10軒ばかしが軒を連ねる小さな集落。

集落外れの公民館近く、山裾の丘に小さな祠が有り、それを守るかの様に背後にこのスダジイが立ち尽くして居る。

スダジイの巨木は目通り幹囲11.3m、樹高27m、推定樹齢300年とされていますがまだまだ元気そうに見え老齢には未だ少し間が有る様な・・・。

太枝は数多い小枝は、空に向かうと言うさまではな無く、まるでのたうち廻る蛇のように地上平行に横へと伸びだしている。

株元を見ても解る様に二体の合体木ですが、椎類独特のうねるような樹姿からは、やっぱり荒神の神々しさを感じます。

撮影2009.11.22


静岡市葵区黒俣  黒俣の大公孫樹

2012-10-03 | 静岡県

関西人の僕にとっては馴染みの薄い東海地方山中、JR静岡駅付近から大井川源流部の寸又峡近くを結ぶ国道362号線、途中、久能尾(きゅうのお)で県道32号線に分れ約4kmばかり。

斜面に駿河茶の段々畑が波打ち、僅かばかりの集落の軒並み見おろす高台にこの大銀杏が君臨している。

高台の頂上には赤い鳥居が数本建ち並ぶ小さな神社の祠が有り、この公孫樹は神木とされて居る。

いや、もしかしてこの公孫樹の下に神社が勧請されてきたのかも???

目通り8.3m、高さ約20m、長閑な周囲を見渡す様に小高い丘に孤立している。

主観の株下には少し立腐れは見られるものの何本もの太枝を触手の様に伸ばして樹勢は旺盛。

少し根上りした根脈がまるでオブジェの様に地表に浮き出し力強さを見せつけている。

命をつなぐ無数の血管のようにも・・・・・

僕の訪れた11月後半、公孫樹の黄葉はまだ少し進みだしたばかり・・・・。

あと1週間も遅ければ見事な黄色に染まって居たのだろうに。

撮影2009.11.22