巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

成相山 逆杉(さかすぎ)

2009-06-18 | 京都府


杉の巨木には夫婦杉や逆杉の呼び名を持つものが多い。


勿論夫婦杉は二本の幹が寄り添うように立っているもので連理であったり主幹が二本に分れていたりする。


逆杉はその名の通り杉には似合わず、木の根のように枝を下方に伸ばしている裏杉で、それはそれなりの面白おかしい曰く因縁を言い伝えているが、雪深い地方では珍しいものではない。



 日本三景のひとつ天の橋立を一望する成相山(569m)はその中腹に西国巡礼第28番札所として知られた成相山成相寺を容する。


成相寺駐車場の横を抜け成相山展望所に続く道路を駆け上って行くとちょうどその中間点辺りの右手道路脇に逆杉の小さな看板がある。



道端より少し下がった平地状の樹林内にひと機は大きなこの杉が目に飛び込んでくる。


地上2m辺りから3本~5本と枝分かれして、それぞれがそのまま主幹として天空を目指していますが逆杉の名の通り右へ左へ上を向くものもあれば下方を向くものもあり、裏杉の特徴そのものの枝ぶりです。




寺の言い伝えとして、もともとこの位置にあった成相寺は室町期、(西暦1400年)に山崩れに遭遇、それ以上崩れるのを防ぐためにスギの杭を打ったところ、その杭から新芽が出て、逆さに枝を出した杉がこのように大きくなったという、まことしやかな話を伝えている。



樹齢約600年、樹高25m、目通り7.1m、言い伝えの時期とはまさにドンピシャ。



撮影.2008.5.17


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権現さんの大椎

2009-06-14 | 京都府

 



日本三景の一つ、京都宮津市「天の橋立」のすぐ近くにある与謝野町、旧岩滝町の山裾にスダジイの巨木が在るというので訪ねてみた。


もう1年以上も前のことになるのでポイントの記憶が曖昧。


訪ねた当時も解りづらく、何の案内板もないので一苦労、道で見かける人毎に聴きまわしてやっとの思いで目的地に到着した。



石田地区の木積神社近く、車が何とか通る谷筋のドン着の高台に初夏の光を目いっぱい受けて緑の樹冠がまぶしく輝いていた。



この地は何年か前に整備公園化されたようで駐車場もあったが、人があまり訪ねて来ないのか?夏草が生い茂るままに放置されていた。



スダジイは少し高台になった速玉神社旧社地に有って、そこからは宮津湾が手に取るように見える。


この地は明治29年の大洪水で流出、このスダジイは根元もあらわになりながら何とか難を逃れ被害を止めた神木として地域の人たちからあがめられた。



しかし速玉神社は現在、木積神社に合祀されていて、このスダジイと、石の標柱が1本残るのみです。



樹齢約800年、幹周5.8mと記され、椎の木特有の大きな洞は見えるものの樹精は至って旺盛、京都自然の200選にも選定されています。



説明板に拠ると、町の象徴的存在と成っていますが、町の主要地点にアクセスの表示板がないのはちょっと不親切。


撮影2008.5.17


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十村屋敷跡のスダジイ

2009-06-10 | 石川県


片山津温泉温泉から、西方向へ4~5kmも走ると小塩辻町の集落に入る。


集落内を抜ける道路のちょうど中ほど右手に何の前触れもなく十村屋敷跡のスダジイ樹叢がある。



樹叢内には何台もの車が駐車しており、それはあたかも集落内の無料駐車場ででもあるかのような状態に成っている。


十村屋敷跡とはいえ、建物は全く残って居らず、ただただスダジイの巨木が小さな森を造っている。


ところどころに建物跡の石塁、が残っていて、屋敷跡で有ることを伺わせる。



スダジイの巨木は幹周り9mを超えを越えるものを筆頭に11本あるがいずれもが単木ではなく株元近くから何本もに分かれていて数字ほどの巨大さは感じない。


しかしスダジイ独特のうねる様な主幹や、根元に大きく開いた洞はこのスダジイの生き抜いてきた歴史の重みを充分に伝えている。



最老のスダジイは樹齢約700年、江戸時代に大聖寺藩の十村役に選ばれた鹿野家はこのスダジイ林に居を構えて、歴史の流れに翻弄されたのかも??


ただただこのスダジイたちはあるがままの姿で今も尚立ち尽くしているだけなのかも??


昭和62年、このスダジイ群は加賀市天然記念物に指定されている。


撮影2009.4.28


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伊根町寺領・観音堂の乳垂れ公孫樹

2009-06-08 | 京都府


丹後半島伊根の地を訪れたのでついでに寄ってみました。


しかしこの寺領という地名が全く見当たらない。


仕方がないので近くにある野村という地名を入力してその辺りで聞けば何とか成ると車を走らせた。


伊根町役場前から府道57号線で野村へ、行って見ると何とかなるもので寺領方面の看板があり、教えられるとおりに進むとやがてほんの4~5軒の寺領の集落に入る


しかし何処をどう見渡してもそれらしき公孫樹の木もなければ、お堂らしき建物も見えない。


これは大変なところに来たとあきらめようとしたとき、たまたま人影を見つけたのでラッキー、観音堂の公孫樹のことをたずねてみた。



それは僕のように他所から来たものには解るべくもなく、この集落からさらに林道で丹後町碇高原へ抜ける途中にあるという。


殆ど車も通らないような林道を教えられ車を移動すること約10分弱、もうあきらめようとした頃左手壇上にそれらしく開けた場所を見つける。



公孫樹に関する看板などは何処にもなく、よそ者の僕らには想像もつかないような山奥です。



境内と思しき広場状の叢に石鳥居が建っていて、その奥に観音堂と思しき建物、乳垂れ公孫樹は鳥居の左奥手の森閑とした杉林を分けるように聳えていました。


多分もう何ヶ月も人など来たこともないのだろう、夏草がそろそろ境内中を埋め尽くしそうな勢いでした。



往古平安時代からこの寺領一帯には恩教寺の大伽藍が建立されていたと伝えられるが室町時代にはすでに衰退、ただ今にこの小さな観音堂とこの大公孫樹を残して山林に帰っている。


寺領の名称はこの恩教寺の寺領であったところからきていると言う事だそうです。


この公孫樹の根元には「澄朝明神」の小祠が安置され、乳の出ない婦人が、この公孫樹の皮を削りとって煎じ服用すると乳が出るようになるといわれ、信仰篤い樹であることを伺わせる。



大銀杏には垂れ下がる気根のせいか乳房、母乳に関係した話が多く語りつがれている。


その割にはこの公孫樹には株立ちのせいか殆ど気根も確認できず、まだまだそれほど歳老いてはいなさそうです。



8本の株立ちで、目通り8.45m、樹高 27m、樹齢は不明となっています。


撮影2008.5.17


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加茂神社のスダジイ

2009-06-03 | 石川県

 


何の前触れもなく飛び込んできたスダジイの巨木。


山中温泉から片山津の海岸線へ向け県道147号を北上、国道8号線の交差点を過ぎてすぐ左手の神社境内に大きな椎の木を発見すぐに車を脇に寄せて停車。


僕の今回の訪問先からは漏れていたが、加賀市加茂町、加茂神社のスダジイでした。


この地は往古京都下賀茂神社の社領地で在った所から地名も加茂と呼ばれている。


境内は国道と県道にに隣合わせて喧噪の中にあるように思えるが大きなスダジイのおかげか?古社らしい雰囲気を残している。



境内に足を踏み入れ石畳の参道わきに立つ累々と脈打つようなスダジイの主幹は苔むし、永い歳月を生き抜いてきた命の威厳を感じる。


地上にどっしり腰を据えたという感が強く、スダジイの巨木のほとんどは大きな洞を抱きかかえてるのにこのスダジイにはそれらしきものは全く無くいたって健康そうに見える。



大枝を天空いっぱいに広げ樹高も有り、なかなかの雄姿です。


樹齢約400年、目通り6.4m。



境内右手わきにももう一本大きなスダジイの木があってその大きな根が石碑を抱きかかえているのが見える。


主幹に丸い大きな樹瘤があって特徴的な樹姿をしていて興味深い。


撮影2008.4.28


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西本願寺の逆さイチョウ

2009-06-01 | 京都府


京都近郊に住む僕にとって京都市内はとても行きづらい所です。


それは車移動に慣れ過ぎていて年がら年中渋滞を繰り返す京都市内の道路を走るのが苦手なことと、市内のどこに行っても観光客でごった返しているというイメージが強すぎていつも避けて通っていました。


しかしチャンス到来、新型インフルエンザ発生で京都市内は観光客が激減、道路はスイスイという情報を得てやっと重い腰をあげた。


山城方面から新堀川通りを北上しJR京都駅をすぎると、京都では「おにしさん」の名称で親しく呼びならわされている西本願寺。



当然学生時代には何度も訪れてはいるものの、こんなイチョウの巨木には見向きもしなかったのだろう?まったく記憶の片隅にもなかった。



広い境内の真ん中あたりに枝垂れ桜の巨樹でもあるかのような枝ぶりのこの銀杏がある。


葉や、木肌をじっくり確かめない限り、俄かにはイチョウの木だとは信じがたい。


枝という枝を横へ横へと延ばし、樹幅は約30m、樹高はチンチクリンの15m、まるでチビデブ、イチョウとしてはあるまじき姿のこのイチョウが「逆さイチョウ」と呼ばれているのも納得できる。



主幹は見たところ、5~6mはありそうで、イチョウの古木独特の樹瘤もたくさんぶら下げています。


西本願寺、御影堂建立当時に植栽され、当初から剪定を繰り返しこういう樹姿に育てあげられたもののようですが、高僧が苗木の時に逆さに植えたために横に広がったという言い伝えられているようです。



因みに京都市の天然記念物に指定され樹齢約350年。


銀杏の巨木は見慣れているつもりですが、この木はちょっと異常です、人の手を掛け過ぎ??それがいいのか悪いのか??。


撮影2009.5.30


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