YS Journal アメリカからの雑感

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Game Change

2010-01-13 03:56:15 | 書評
Harry Reidの失言のソースは”Game Change”で、2008年大統領選挙を予備選(党の候補者選び)までさかのぼって取材した本です。TV、ラジオでは、Harry Reidの失言だけで無く、色々と話題に上っております。

未だ、ちゃんとした書評さえお目にかかっておりません。(インターネット上ではぼつぼつ出て来ております)アマゾンでは、本の出荷は1-3週間かかるようで、キンドルはもう少し掛かるようです。今の報道ぶりから、入手出来る頃には、内容が全て分かってしまって、買う気もなくなる様な気がします。書評とも、書評の書評とも言えないのですが、紹介しておきます。

先ず、人種差別失言ついでに、ビル・クリントンの失言から。民主党内、それも上院議員のヒラリー支援を取り付けようとビルがテッド・ケネディー(昨年死去)と話し合った時に、「数年前なら、オバマは私達にコーヒーをサーブしていた。」と発言した事で、ケネディーを含めて民主党上院議員はオバマに傾いた。Harry Reidの失言はそれを受けて、オバマが色が薄く、黒人訛も無いので、大統領に選ばれる可能性が高いと、どちらかと言うとホジティブな意味合いでの発言であった。ビル・クリントンは更に、オバマは経験が少なく、政治的に未だ青二才との批判もしている。

ヒラリー陣営では、密かにビル・クリントンの女性問題については、ヒラリーが密かに調べており、噂の一つは真実だった事を突き止めた。(カナダの国会議員とか、いろいろ噂があった)ヒラリーが、国務長官の依頼を辞退していた理由の一つは、就任すればビルのスキャンダルが暴かれる可能性を心配していた。オバマはそれども良いと重ねて依頼の上、実現。

ヒラリーもヒラリーで、民主党の予備選が始まる前の2007年時点、つまり民主党の大統領候補選が始まる前に、大統領移行チーム(閣僚等の候補者選びをする)を作り上げていた。あまりに時期尚早なので、スタッフはこの事を漏れない様に細心の注意を払っていた。

民主党の予備選の途中で、不倫、隠し子問題が出て、脱落したジョン・エドワードについても、予備選開始時点で妻のエリザベスに不倫も隠し子もばれており、彼女はそれを承知で、内助の功を演じた。(それも、乳癌の治療中ながら)結局、不倫報道が出て、ジョン・エドワード陣営は瓦解。

予備選が最初に行われるアイオワ州で、ジョン・エドワードがヒラリ-と票を割った事で、オバマが一位となり、民主党候補への弾みがついた。

オバマに懐疑的であったバイダンが副大統領候補を依頼されたとき、選挙中は黙っているが、当選したら自分のやりたい様にするとオバマに釘を刺した。それでも選挙中に「オバマが大統領就任したら数ヶ月もしない間に、反アメリカの国々がオバマ政権を試すだろう。」との失言をしたりしていた。(これは事実となった)しかし、就任以来は、逆に影が薄くなっている。が、変なコメント(H1N1がはやり始めた時に、自分の家族は公共交通機関には乗せないとか)は時々している。

共和党側でも、マケイン婦人の不倫疑惑、今や共和党大スターのペイレンの無知ぶり、911はサダム・フセインの仕業とか、最後までバイデン副大統領候補の事をビンラディン候補と呼んだり、なぜ朝鮮半島が南北に別れているのかを知らなかったりした。(その後の人気は凄く、2012共和党大統領候補としては、知名度ナンバー1)

今更ながらに思うのは、オバマの運の良さである。運も実力と言えばそれまでですが、英語の表現で "Perfect Storm" (偶然に、何もかもぴたっとはまる)で、大統領になった事を思わざるを得ません。尚、この表現は主に大惨事、災害の時に使われるので、そういった意味でも、本当にドンピシャリです。