YS Journal アメリカからの雑感

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アメリカの原油輸入先

2010-01-06 03:08:42 | アメリカ経済
現在,アメリカは原油の55%を輸入に頼っています。アメリカの原油輸入先を見てみると、中東からの輸入は総量の15%程に減ってきております。(2001年は28%)EUもイギリスは北海油田があるので数%と低く、ドイツは10%、イタリア、フランスで30%前後です。日本は、90%を中東からの輸入に頼っております。そう考えると、中東諸国の最大顧客は日本という事でしょうか。

中東でのアメリカの軍事行動は、石油のためと言われてますが、少し的外れな感じです。中東が持っている石油代金の決済で得られたドルは、アメリカに還流してもらった方が良いのですが、アメリカ国債で言うと中国、日本がトップ2です。

アメリカの軍事行動は、イラクについては大量破壊兵器が根拠だったわけで、中東の平和を意図したものですし、アフガンはアルカイダ、タリバンに対すもので、自国の安全保障が柱です。イラク戦争への"Blood for Oil"の批判は、は明らかに事実誤認です。

そう考えて行くと、もしイラクが一段落しても、イランを放置すると、中東を混乱(戦乱)に陥れる事になると思います。アメリカの軍事プレゼンスが無くなれば、中東に混乱が起こる事をヨーロッパ各国は正しく認識しているけど、国内政治もあり及び腰といった所ではないでしょうか。ユーロードルの為替の問題もありますが、石油決済がユーロになる事は無さそうな気がします。

では,日本はどう考えているのでしょうか?多分何も考えていないでしょう。考えるにも軍事力、というか、自衛隊の展開さえ出来ない以上、アメリカ追従以外の選択肢はありません。アメリカが中東から手を引いて一番困るのは、日本でしょう。中国も困ると思いますが、アフリカ辺りで資源開発に熱心なのは、そのためでしょう。(日本も商社あたりが暗躍してくれていれば、妙に安心するのですが)中国もとアメリカは持ちつ持たれつの関係が、思った以上に深く複雑になっている思いを強くしました。

ソマリ、イエメンの海賊にしても、石油と同じ状況だとおもいます。このシーレーンに依存度が強いのは、日本、中国となります。中東という地理の問題だけではなく、イスラムの問題と考えると、インドネシアもあるので一層、シーレーンの安全保障は重要になります。

日本は、グリーンエネルギーで経済の巻き返しと脱石油を図っておりますが,現実的に20-30年で石油の需要がそんなに減るとはおもいませんので、中東、東アフリカ戦略をキチンとしなければ、政治的にも経済的にも沈没してしまいます。戦略構築のためには、軍事力、つまり憲法改定も必要となり、アメリカとの軍事協力が前提となります。

そう考えると、普天間なんかでアメリカと揉めている場合ではないとおもいます。アメリカは中国への牽制で、沖縄から撤退する事は無いとおもいますし、思いやり予算も、日本にとっては保険の意味合いが強かったのではとおもいます。

日本に直接関係する緊迫した国際状況を考えると、日本を、日本国民の生活を守るために、軍備、海外派兵に関する議論は避けて通れないと思うのは当然だと思います。

大東亜戦争では、アメリカにほとんどの石油も粗鋼に頼っている事を国民に知らせず(その当時のマスコミにも責任あり)、いけいけの国民の高揚との相乗効果で開戦した教訓があるのに、日本の軍事展開が必要な時にこのような世界状況を国民に知らせる事無く(これも分かり切った事をマスコミや政府が言わないか、国民が自分で聞く耳持たずなのか判然としませんが)、国民の厭戦感(平和ボケ、憲法遵守ボケ)におもねって、没落しそうな雲行きです。

大東亜戦争と今日の状況は、軍事展開を”する” ”しない”が、まるっきり逆の結論を必要とするのですが、現実的に世界を見れば、自ずと答えは出てくるとおもいます。

日本の軍事的やる気が、現在の国際バランスを良い方向に変える可能性は高いし(腐っても世界第2位の経済大国、中国に抜かれてないですよね?)、空母でも3、4隻作る事になれば、ケインズ理論の王道として、景気も急速に復活するでしょう。

未だ,石油の世紀、20世紀から逃れられない21世紀です。