オバマ大統領の国内最大案件である健康保険改革は、現在も議会で審議中であるが、お伝えしたとおり未だいくつもの案が、上下院の委員会で検討されている。下院の案の評判が芳しくなかったので、現在主に上院案が議論されている。
改革を進めたい民主党が中心に進めているのだが、改革自体が本質的にアメリカ社会と相容れないもので、詳細が明らかになるにつ入れて、ナンセンスぶりが明らかになっている。
この上院案では、国民に健康保険の購入を義務付けるので、購入しない場合は税金が課される。その上税金不払いの場合は逮捕され、懲役もしくは罰金刑(両方の可能性もあり)となる。日本でさえも健康保険に入っていない人がいるが、さすがに罰則は無かったと思う。
まず、政府が国民に対して健康保線に限らず購入義務を課す事自体が憲法違反である。今年になって健康保険改革が議会で討論されるようになってから、違憲性についてはいろんな人が指摘しているが、議会討論のなかでは、私の知っている限りでは本格的な論争にはなっていない。今後、細部の討論とは別に、根本的な議論がされる事を切望する。
アメリカ、主にインディアナ州、ペンシルベニア州に、
アーミッシュと呼ばれるキリスト教の一派がすんでいる。彼らは、現代文明を信じておらず、農業とか林業(家具作りなど)で生計を立てている。家に電気無く、車の変わりに馬車で移動している。彼らは宗教上の理由で保険を拒んでおり、Social Security(アメリカの年金)も支払いを拒否している。(税金は払っている。)Social Securityの支払い拒否に関しては、例外的に認められているようである。もし、健康保険の購入が義務付けられると、アーミッシュは、例外的に購入を免除されるのだろうか?
このように考えていくと、健康保険だけでなくSocial Securityの合憲性も疑わしくなってくる。Social Securityは、何十年も歴史があり当たり前になっているが、来年には単年で赤字になるという事で、いろんな話が出てきそうである。
暫く、アメリカ国内では健康保険改革の話は、廃案にならない限り延々とそれも熱く激しく続きそうだ。推進派はもう何十年もやっているので、民主党大統領、民主党議会での数の優位を武器に闘争と躍起だ。だが、党内も一枚岩ではないし、風当たりも強いので一気にいけそうに無い。長引けばさすがに本質的なナンセンスにみんな気付いて、廃案になると思う。オバマ大統領、民主党へのダメージは決定的になる。
考えたくは無いが、もし、成立しても、来年の中間選挙、次の大統領選挙で民主党は、壊滅的に負けて、改革法案を排除するような運動が起こると思う。
こんな事に、アメリカはエネルギーを使ってて良いのでしょうか?