YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

愛と幻想のファシズム

2009-09-13 13:16:56 | 書評
村上龍は、これと「コインロッカーべイビー」以外はほとんど読んでおりませんが、この2作は傑作だと思います。

で、「愛と幻想のファシズム」ですが、圧倒的な身体能力を持っている主人公が傑出しています。狩猟という特殊で、私を始め日本人のほとんどに理解不可なものではあるが、主人公の心技への圧倒的な自信が、複雑でてんこ盛りな状況、展開を最後まで引っ張ってくれます。

又,80年代半ばの作品なのに、世界経済の行き詰まりを設定してあり、村上龍の勘の良さが際立っております。それに加えて日本人離れしたスケールの大きいエピソードを重ねてあるので、面白くない訳がありません。

村上龍は、精力的に世界を旅する事と、自分の体を鍛える事、超一流のアスリートに接する事で、作品を書いて来た作家だと思います。テーマは経済なのですが、多分それはどうでも良い事だったのではないでしょうか?この後、経済の広がりと深さに取り込まれて、そっちに行ったような気がします。

年をとって、最近は体鍛えてないような気がしますが、今はどうしているのでしょうか?