行く川の流れ

花・鳥・旅行写真日記

奥嵯峨野③・白猫とアサギマダラ(祇王寺)

2009-10-16 22:24:04 | Weblog
 楓と竹と苔の祇王寺

 藤袴にアサギマダラ(祇王寺にて)

平清盛の寵愛を一手に受けていた白拍子(今でいう踊り子)祇王が,
同じ白拍子,仏御前の出現により,身勝手な清盛の寵愛を失う。
世の無常を感じた祇王は母と妹を連れ,
髪を剃り,嵯峨の山里,今の祇王寺に暮らす。
間もなく,やはり世の無常を感じた仏御前が尼の姿で訪れ,
いっしょに仏門に入りたいと願う。
そして,4人で朝夕の読経を日課に暮らしたという
平家物語にある祇王の話,その舞台となるのが祇王寺である。

寺はその後,廃寺となるが,明治になり,祇王寺として復活している。
従って,草庵も庭も明治になって作られたものである。
小さな庵一つにそう広くない庭の小さな寺であるが,
小倉山山麓に楓と竹と苔で構成されたその庭は平安の昔をしのばせ,
日本的な静かな美しさを感じさせる。
そして,祇王の名,4人の女性の存在を重ね合わせると
ある種の華やかさ,なまめかしさも感じるのである。
庵には鎌倉末期に作られたという4人の女性と清盛の木像が
当時を想像させるかのように安置されている。

この祇王寺に,きれいな白猫がいる。
人なつこい猫で,庵で楓の木肌を鑑賞していると,
すり寄ってきて,隣にちょこんと座わり,同じように外を眺めている。
「まろみ」という名の付いた首輪をしているので,
祇王寺の飼い猫であろうが,白という色,美しい雌猫,
なにか祇王の化身のようにも思えてきた。

写真下(10/11)は祇王寺の境内,藤袴に羽を休めていたアサギマダラ,
春から夏に北上,秋には南下,何百キロもの距離,渡りをする美しい蝶である。
木立に囲まれた薄闇の中,じっと動かずとまっている。
いくら藤袴が好きな花とはいえ,
こんなところにじっとしているのも不思議である。
フラッシュをたいて写真を撮るが,羽ばたきをし,
少し動くだけで,逃げようとはしない。
まるで,ここに住み着いているようである。
これも祇王の化身なのかもしれないとふと思う。

 祇王寺や化身の蝶の舞落ちる
コメント
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