無知の知

ほたるぶくろの日記

ああ、手続き。。

2019-11-22 07:42:10 | 日記
先日、河川の水位データが最終的に必要としている付近住民へ効果的に伝わっていない、ことを書きました。観測のために機器や、人件費がかかっているのです。『税金から』その投資をしたにもかかわらず、人命が失われた。
これ如何に?

何でこんなことが起こるのかと思っていたところ、下記のニュースを見つけました。

「茨城5河川で氾濫情報出せず 原因は煩雑手続き?」
台風19号による大雨で、茨城県を流れる那珂川や久慈川では氾濫が発生したのに警戒レベル5相当の氾濫発生情報が出なかった。国土交通省の検証で、 所管する常陸河川国道事務所では他にも3河川で水位情報を出さなかったことが判明。これらは住民の避難行動に影響した可能性もある。同省は発表手続きの複 雑さを原因とみるが、専門家は「予測技術を十分に生かせていない」とも指摘する。
 「情報を送るという地域との約束を果たせなかったのは大変申し訳ない」。14日の検証チーム初会合後、国交省河川情報企画室の平山大輔室長はうなだれた。
 同省によると、台風19号による大雨で那珂川、久慈川の計20地点で越水や溢水(いっすい)、堤防の決壊が発生。常陸河川国道事務所はこれらを把 握していたが、那珂川では一度も、久慈川では決壊した1地点で情報を出さなかった。さらには茨城県内の3河川(涸沼川、桜川、藤井川)でも警戒レベル4相 当の氾濫危険情報を出さなかった。
 また、全国でも氾濫発生情報が出た2河川(吉田川、千曲川)、氾濫危険情報が出た6河川(鳴瀬川、吉田川、竹林川、鬼怒川、烏川、碓氷川)で、住民向けの緊急速報メールが配信できなかったという。
 これらの原因について同省が注目するのは発表までの手順だ。指定河川洪水予報は河川事務所と地方気象台の共同発表のため、河川事務所は気象台と電話で連絡を取り合い、双方の決裁を経て情報を発表する。
 河川事務所と気象台の「二重行政」になっている上、近くで別の氾濫が確認された場合、途中でやり直さなければならない。緊急速報メールの配信は河川事務所の上級庁、地方整備局の決裁が必要になる。
今回、常陸河川国道事務所で生じた計20カ所の氾濫発生数は「10カ所前後」とされる他の事務所と比べて格段に多かった。担当者は「複数河川で多数の情報が集中し、相当な混乱が生じた」と話し、手順の自動化や簡素化、人員配置の見直しを解決策として挙げる。



 ただし、マンパワーには限界がある。災害が既に発生している可能性が高い警戒レベル5相当の情報が、洪水関連では、発生を直接確認しないと出せな い氾濫発生情報しかないことも問題視されている。現在、主に雨量予測に基づく大雨特別警報はあるが、水位予測に特化した洪水特別警報はない。
 河川防災に詳しい中央大理工学部の山田正教授(防災工学)は「洪水特別警報は空振りを恐れて導入できていないのが実態。気象災害の激甚化で防災政策が新たな段階に入った今、空振りを許容できるようにする法整備も必要ではないか」と話した。
■指定河川洪水予報
 流域住民に早めの避難を呼びかけるため、大河川を管理する国や都道府県など河川管理者と気象庁が共同で発表する4つの情報。水位の上昇に応じて氾 濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報の順に警戒度が上がり、氾濫発生が直接確認されると警戒レベル5に相当する氾濫発生情報が出される。氾濫の発生を 確認した地点ごとに発表しなければならない。
(産経新聞11月17日配信)

ここに書かれている以下の2プロセスは絶対に改善すべきと思われます。

○ 指定河川洪水予報は、河川事務所と地方気象台が共同発表すること、と定められている(?)。河川事務所は気象台と「電話で」(つまり、常に人がそこにいる前提)連絡を取り合い、双方の決裁(決済権者が常にそこにいるとは限らない)を経て情報を発表する。
○ 近くで別の氾濫が確認された場合、(決済プロセスを?)途中でやり直さなければならない。緊急速報メールの配信は河川事務所の上級庁、地方整備局(気象庁とは別途、ということ)の決裁(ここでも人間の常駐、決済権者との連絡)が必要になる。

図を観るとそのプロセスの流れが分かりますが、時々刻々と変わって行く状況に対応できるシステムとは思えない複雑さ。何カ所も人間の確認や手入力、文案作成があって、そこに配置される人が必要とされています。

ここは自動化されるべきと思います。今回のように20カ所もの洪水箇所がある場合、入力ミスも含め、人為的なミスの発生も考えられます。

またその20カ所は次々に発生することが予想されます。プロセスを途中まで進めていると、また次の決壊情報がやって来て決済のやり直し、では担当者も混乱するのではないでしょうか。

情報文の作成も人間がやるのでしょうか?
情報文は被害に遭う可能性のある住民へ向けてのものだと考えるなら、文案として
「(いつ)(どこで)(何が)起きそう。だから、(どこに)いる方は、(ここ)を避けて(どこへ)避難するべき。」
というもので十分でしょう。( )内は観測されたデータから自動的に入力されるようにしておく。それを平時にセットアップしておき、緊急時には自動的に情報が発信されるようにしておけば良いのでは?

また、今回、「避難したら、そこも浸水した。」とか「避難したら、避難所が開設していなかった。」などの話しも聞いています。避難所の設定も、もう少し精査されるべきかな、と思われます。

喉元過ぎれば、ということでは困るのです。治水は日本ならではの重要案件。
徹底検証と対策の策定、その実行が望まれるところです。

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