無知の知

ほたるぶくろの日記

初冬の上野

2018-12-14 07:41:56 | 日記

大報恩寺展に行ってきました。

2回目です。6観音様の光背を外したお姿を是非拝見したく、でかけてきました。

前回はまだ夏の名残が感じられる上野公園だったのですが、すっかりと秋色になっていました。銀杏がいい感じに黄色く染まり、常緑樹の緑に映えていました。

 

今回は何となく思うところもあって、音声ガイドにしたがって拝見することにしました。書も素晴らしいですし、釈迦如来像、十大弟子立像も、間近でじっくり拝見してきました。鎌倉彫刻はデフォルメも含め実にドラマチック。沸き立つようなエネルギーをいつも感じます。

さて、肝腎の観音様。

鎌倉彫刻らしい、衣の襞や背中の線など、光背で見えなくなることなど全く関係なく、完璧に作り込まれておりました。

写真撮影は地獄道の観音様であられる聖観音様のみ許されていました。

こちらはその光背。観音様自体はまあ、畏れ多いので、ここにはアップ致しません。これも鎌倉時代のものです。よく残っていました。美しい透かし彫りです。

ガイダンスの説明は大変役に立ちました。今回、何となく借りましたが大正解。特にこの6観音像のパートではより鑑賞が深まったと思います。

6観音様は6道それぞれの観音様とのことですが、この6道、よく考えますと実に興味深い。

天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道

天道はもちろん自由自在の天上界。担当は如意輪観音様。お一人だけ腰掛けられて片膝を立ててで頭を支え、如意輪を廻し、穏やかなご様子。

そして人間道。准胝(じゅんでい)観音様。一瞬千手観音様?と見まごう多手をお持ち。人間は要求が多い?のでお応えになるのに手が要るんですね。

争いに明け暮れる修羅道。担当は十一面観音様。いくつもの顔を使い分けて対応されているご様子。ちょっと思い当たるフシが、、、

弱肉強食の畜生道。馬頭観音様が担当。お不動様かともみえる怒りの表情。「弱肉強食」です。競争社会のご担当。やはり怒りのお顔でございます。

いつも何かに飢えている餓鬼道。なるほど千手観音様がご担当なのですね。あれくれ〜これくれ〜まだ欲しい〜。。。お疲れさまです。

そして地獄道。ご担当は聖観音様。こちらは大変静かな観音様。特別な特徴もありません。静かに蓮の蕾を片手に立っていらっしゃる。

今回、ガイダンスの解説を聞きながらこの6道と観音様の有り様がいたく心に沁みました。これは自然界全般のことでもあり、人間社会のことでもあります。修羅道やら畜生道あたりは日常茶飯に目にする人々の有り様です。差し詰め私の仕事場はこういう程度の世界なんだと思い知らされます。

餓鬼道、地獄道は言うに及ばず。

せめて人間道を歩きたいものです。

何となく寂しい気持ちで外へ出てきた私。

 紅葉の錦に癒されました。

来年は東寺の特別展です。今からほんとに楽しみ。

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