無知の知

ほたるぶくろの日記

ミツバチと農薬について

2012-09-19 09:24:19 | 生命科学

先日、目に留まった記事を紹介します。

 水田にまく農薬によってミツバチの大量死が起きることが、農林水産省の研究プロジェクトの調査でわかった。ミツバチのなぞの大量死が全国的に問題になっており、ほかの原因も指摘されてはいるが、農薬が原因の一つであった可能性が高い。調査結果は大量死を防ぐ対策に役立つという。

 ミツバチの大量死は国内では2000年代後半から問題化。09年には、養蜂業だけでなく、ハチによる受粉が必要な果樹栽培への影響が懸念された。ダニや病気、農薬などが原因として指摘されていたが、詳しく分かっていなかった。

2011年11月12日、都内で開催されたネオニコチノイド系農薬国際市民セミナー「ミツバチ・生態系・子どもたちを守るために」で講演した黒田洋一郎氏(脳神経学者・元東京都神経科学研究所)は、子どもの脳の発達にネオニコチノイドが影響を及ぼすと発表した。

■ 日本は米国の7倍の使用量

黒田氏は「ヒトと昆虫の神経系は基本的に同じ。ヒトに完全に無害である殺虫剤は存在しない。不完全な毒性試験で認可して、健康被害が発生すると、別の農薬を売り出すのが農薬の歴史である」と痛烈に批判した。

兵庫県立大学自然・環境科学研究所の大谷剛氏が行った調査によると、ネオニコチノイドを投与したミツバチは、方向感覚を失ったり、帰巣できなくなったりするなど行動異常が現れた。 

黒田氏は、人体被害の例も挙げた。茨城県では、2008年7月、ネオニコチノイド(ジノテフラン)の農薬空中散布により、女性が急性中毒で入院し、脈の変調、心臓異常、バランス感覚低下などを訴えたという。 

日本国内でのネオニコチノイド系農薬の使用量は他国と比べても多い。単位面積あたりでは米国の7倍、フランスの2.5倍である(2002年 OECD調査)。また、国内出荷量は過去10年で3倍に増加している。

■ 有機リン系農薬もADHDに影響

2010年、米ハーバード大学の研究チームは、低濃度の有機リン系農薬を摂取した子どもは注意欠陥、多動性障害(ADHD)になりやすいと米小児学会誌に公表した。 

有機リン系農薬は日本国内でも広く使用されてきたが、毒性が強いため、ネオニコチノイド系農薬が90年代から主流になった。だが、殺虫成分の強いネオニコチノイド系農薬は、有機リン系農薬よりも膨大な被害を及ぼそうとしいる。 

現在、カナダ、米国、中国、台湾、インド、ウルグアイ、ブラジル、オーストラリア、そして日本などで発生しているミツバチの大量死の主要原因として疑われている。

黒田氏は、「この農薬が与える健康被害のケースは、食品などからの内部被爆なので摂取量がわかりにくく、障害が起こっても因果関係が立証されにくい。農水省、農薬会社、農協の癒着で安全性の問題点が隠蔽されやすい」と、いかにしてこの農薬が守られているのか指摘する。 

健康被害が出る度に新農薬に取り替えてきた農薬問題を根本的に見つめ直すべきタイミングが来たはずである。無農薬運動が広まりつつある昨今、貴重な他花受粉の役割を果たすミツバチが命をかけてそう示しているのではないだろうか。(オルタナS編集部=池田真隆)

鳥が魚を吐いてしまうというのもこの農薬のせいかもしれません。この記事の中にもありますように、昆虫だけに効果する神経系薬剤はありえないのです。量的な問題はあります。しかし少量でも胎児や子供は影響を受けます。むしろ大量ですと母体ではそれに対する防御機構にスイッチが入り、代謝が促進されたりするようです。だからといって大量を進めているわけではありません。大人の身体に害があると認識されたからスイッチが入ったわけで、それは恐ろしいことです。

ともかくミツバチは受粉のためにも蜂蜜のためにも大事な存在です。さらなる解明を待ちたいと思います。