ガイドブックをみていると、ワシントンの結構有名な独立系の本屋というのがあって、そこではブックイベントが定期的にやっているとかで、
ネットで検索してみると、有名な歴史家が自著を語る、みたいなのがあるらしい、ってことで早速行ってみることに。
Politics & Prose
Robert Dallek - The Lost Peace
Nov 6 2010 6:00 pm
In Dallek’s analysis of mid-20th-century conflicts, the strife in China, Korea, and the Middle East was rooted in a missed opportunity at the end of World War II. When leaders including Roosevelt, Truman, Churchill, de Gaulle, and Stalin had the opportunity to strengthen international cooperation, they instead fell back into the old patterns of power politics that had just plunged their nations into war.
ロバート・デレクという歴史家で、第二次大戦後、冷戦体制に移行するまでの過程を扱った本を書いてて、講演をする、ということなんですな。
この、ポリティクスアンドプローズという本屋は、結構有名らしいんですな。
キャピトルヒルのビジターセンターに行ったとき、ツアーの列に並んだのが私だけで、そのツアーガイドの職員の人と一対一になってしまって、どこから来たのか、とか、何日居るんだ、みたいな個人会話になったんですが、
ポリティクスアンドプローズに行って、レクチャーを聴いてきたと話してたら、ああ、あれはとてもグッドだ、本について著者が話してくれてね、みたいなことをおっしゃってまして、多分、ワシントンでも名の通った本屋なんでしょう。
こういう集会に参加する、というと、日本だと好きモノ、オタクだと思われたり、ちょっと偏ってて理屈っぽくてマトモじゃない、みたいに受け取られるような気がするんですが、こちらでは、ちょいと違ってて、
そのガイドの人は、ジェントルマン扱いしてくれたんですな。一対一だったツアーに途中から老夫婦が加わってきて、キャピトルヒルの模型の並びを説明するのに、そのジャントルマンがたっているところにあるのが・・・、みたいな。
そういえば、ホテルからのシャトルでも、シャトルの運転手の黒人のおばさんと、その本屋に言ったことをハナシてたんですな。このおばさんは、一緒に乗った客にどっから来たのか一人一人言わせた後、私はさっき話したんで黙ってたら、このジェントルマンは東京から来て、と紹介してくれて・・・。
得体の知れない東洋人からジェントルマンに格上げ。
まあ、本屋の名前を彼女は知らなかったようですがね。
知的な関心にとても素直な敬意を払う。まあ、私が客の立場だからなんでしょうが、それだけじゃないような気がしましたね。
日本では、歴史や思想や政治への関心と、アニメへの関心が多分同列なんですが、こちらでは、パブリックへの関心につながっているということで、歴史や思想は一段上のレベルにおかれているんじゃないかと。
単に、勉強しててえらい、みたいなハナシではなく、そのことが、近所の掃除をすることや、地域の寄り合いで地域の問題解決に貢献することなんかとつながって考えられているって感じがするんですね。よりよいアメリカを作る。アメリカは世界で唯一のスーパーパワーで、よりよいアメリカはよりよい世界につながる。
歴史や思想や政治を議論することで、自分や、他人を正しい投票行動に導いて、よい議会、よい政府を作ってゆく。
あたし個人は、生粋の日本人なんで、道楽以上の関心は無いんですがね。恥ずかしながら。日本に帰ったら、福沢諭吉でも読んでみますかね。
ついでにですが、キャピトルヒルのツアーは、ビジターセンターのツアーも、本体のツアーも、とってもよいのでお勧めです。丁寧で、やさしくて、ガイドはかなり訓練されてます。本体のツアーはネットで事前予約する必要があるんですが、ガイドは何聞かれても、エディーマーフィーのように答えまくる背の低い女性で、終わった時にはこっちがヘトヘト。
さて、著者のデレクですが、こんな感じです。本屋の動画じゃないんですが、まあ、テレビやなんかにはよく出てるようですな。
この本屋というのが地下鉄の駅から結構遠くて、途中でトイレに行きたくなって・・・。もう行くのやめて戻ろうか、と思って引き返そうとしたら、楽になったりして。
零戦撃墜王の、坂井三郎がガダルカナル防衛のために出撃して、負傷して帰投するときに、意識が薄れてきて、もう基地まで持ちそうに無い、引き返して敵艦に体当たりして死のう、と引き返そうとすると、途端に目がさえてきて、結局帰投できた、目が覚めたのは死を目の当たりにして本能が働いたのだ、みたいなことを著書に書いてるんですが、
そんなことを思い出しながら、長い坂道を登ったところにその本屋はありました。セーフ。
さて、その講演なんですが、レクチャーの冒頭で、本書のテーマについて。何で、こんなに立派なリーダーがそろって、ひどい判断をして、平和をもたらすことができないのか。第一次大戦でひどい目にあって、第二次大戦、そのあと冷戦・・・。
著者は、ジョージ・ケナンをとても買っていて、本書のヒーローだ、とかなんとか。当時から、この体制ではいずれもたない、とソ連崩壊につながることを予想して、封じ込め、冷戦体制を敷いたんだとかなんとかで。
質疑応答もあって、2時間ほどの講演会だったんですが、私の英語力と乏しい歴史の知識では細かな議論にはついていけませんでした。残念。
本書の書評です。
クリスチャンサイエンスモニターに出てましたが、結構厳しい。
The Lost Peace
The “presidential historian,” that expert on the American presidency who is ubiquitous on television screens and newspaper pages during elections, is a very recent phenomenon. But it seems to be implanted in the culture now, becoming a respected side gig for those writing popular American history. Of these presidential historians – a group that would also include Doris Kearns Goodwin, David McCullough, and Michael Beschloss – Robert Dallek probably is the best.
大統領史の専門家。選挙中には、テレビや新聞でどこでもでてるのは最近の現象。ただ、いまや文化の中に埋め込まれてしまって、一般向けの米国史を書くものにとっては、評判の良い一時仕事になりつつある。
そんな大統領史の歴史家の中で、デレクは多分、ベストだ。
と絶賛の末、
All of which makes The Lost Peace so disappointing. The book is not bad per se – it’s just unoriginal and unnecessary.
本書にはホトホトがっかりさせられる。悪くは無いが、独自性や必要性に欠けている。
とボロカス。
前著に本書の発想は既に書かれていることや、他の歴史家の業績を考慮していない点なんかをその理由にあげてるみたいですね。
パラパラめくって読んでみると、南京大虐殺で30万人とそのまま書いてあって、この数字ホンマかな、と私は右翼じゃ無いんですが、ちょいと気になりました。
あたしゃ本書をその場で買って、サインまでもらってきたんですがね。定価で。
ユニオン駅の本屋で、2割引きしてて・・・。クソ。
まあ、売れ行きが悪くて割り引いてるんじゃ無くて、新刊なんで割り引いてるみたいですな。米国では。サラペイリンのメモワールは、もう割り引いてませんでした。日本じゃ本は割引にならないんで、この辺の感覚はよくわかりませんね。
さて、本書の中身は別として、講演会の雰囲気ですが、
結構シニアが参加してて、若い人はあまり居ない。一人いっぱい本書を抱えてサインをもらうので並んでましたが、あとは中年以上。若いのはカレッジの学生さん。
とってもいい感じです。質問にたったおっさんは、自分も歴史家だ、とハナシてました。思想、歴史関係はヒマな若者、若い人たちにハナシを聞いてもらって、じゃないんですな。
『今、危機にある大統領を助けるには、我々はどうしたらよいのでしょうか』
と、その辺のオバハンがマイクの前に立って質問した時には、心底ビックリ。パブリックへの貢献に関連しているとさっき書いたのは、この質問があったからハタと感じたんですね。あんましビックリしたんで答えを聞き漏らしてしまった。
著者は、
『メディアのあり方はルーズベルトの時代とは大きく違っている。ルーズベルトはラジオを使い、ケネディはテレビ。オバマ大統領はとっても苦労してて、あの知的に優れたオバマ(such a intelligent man)でさえ・・・』
とか、
『サラ・ペイリンというもう一人メディアの扱いに優れたのも居ますがね』
と言ってて、その瞬間、『ウィッチ』、と合いの手を入れた客が居て、笑いが起きてました。
こういう場所では、きちんとオバマ氏は評価されてて、ペイリンはチョットあんた、みたいな感じで受け取られているんですな。メインストリームメディア報道の感じとズレが無い。
そっから大統領がどんな人か、みたいな方にハナシが流れて行って、大統領と食事をした時のハナシをされてました。
10人歴史家が呼ばれて食事をしたんですな。メディアのハナシになって、そんなに面倒ならキャンプデービッドに行って・・・・、と話したら、横からミシェル夫人が、だめだめ主人は都会じゃないと・・・、(正確じゃないかも知れません)。
とまあ、大統領と食事もする重要人物ってことで。
その時の、ハナシを著者はTimesにも書いておられます。9人の歴史家になってますがね。
March 23, 2010
Obama has done what LBJ and FDR couldn’t
今年3月の記事で、オバマケアが政治的なプラスになる、と読んでたようですな。
大はずれやんけ。
長い目で見れば、と書いてるんで、結論はまだ先かな。
さて、2年後はどうなるか。
ネットで検索してみると、有名な歴史家が自著を語る、みたいなのがあるらしい、ってことで早速行ってみることに。
Politics & Prose
Robert Dallek - The Lost Peace
Nov 6 2010 6:00 pm
In Dallek’s analysis of mid-20th-century conflicts, the strife in China, Korea, and the Middle East was rooted in a missed opportunity at the end of World War II. When leaders including Roosevelt, Truman, Churchill, de Gaulle, and Stalin had the opportunity to strengthen international cooperation, they instead fell back into the old patterns of power politics that had just plunged their nations into war.
ロバート・デレクという歴史家で、第二次大戦後、冷戦体制に移行するまでの過程を扱った本を書いてて、講演をする、ということなんですな。
この、ポリティクスアンドプローズという本屋は、結構有名らしいんですな。
キャピトルヒルのビジターセンターに行ったとき、ツアーの列に並んだのが私だけで、そのツアーガイドの職員の人と一対一になってしまって、どこから来たのか、とか、何日居るんだ、みたいな個人会話になったんですが、
ポリティクスアンドプローズに行って、レクチャーを聴いてきたと話してたら、ああ、あれはとてもグッドだ、本について著者が話してくれてね、みたいなことをおっしゃってまして、多分、ワシントンでも名の通った本屋なんでしょう。
こういう集会に参加する、というと、日本だと好きモノ、オタクだと思われたり、ちょっと偏ってて理屈っぽくてマトモじゃない、みたいに受け取られるような気がするんですが、こちらでは、ちょいと違ってて、
そのガイドの人は、ジェントルマン扱いしてくれたんですな。一対一だったツアーに途中から老夫婦が加わってきて、キャピトルヒルの模型の並びを説明するのに、そのジャントルマンがたっているところにあるのが・・・、みたいな。
そういえば、ホテルからのシャトルでも、シャトルの運転手の黒人のおばさんと、その本屋に言ったことをハナシてたんですな。このおばさんは、一緒に乗った客にどっから来たのか一人一人言わせた後、私はさっき話したんで黙ってたら、このジェントルマンは東京から来て、と紹介してくれて・・・。
得体の知れない東洋人からジェントルマンに格上げ。
まあ、本屋の名前を彼女は知らなかったようですがね。
知的な関心にとても素直な敬意を払う。まあ、私が客の立場だからなんでしょうが、それだけじゃないような気がしましたね。
日本では、歴史や思想や政治への関心と、アニメへの関心が多分同列なんですが、こちらでは、パブリックへの関心につながっているということで、歴史や思想は一段上のレベルにおかれているんじゃないかと。
単に、勉強しててえらい、みたいなハナシではなく、そのことが、近所の掃除をすることや、地域の寄り合いで地域の問題解決に貢献することなんかとつながって考えられているって感じがするんですね。よりよいアメリカを作る。アメリカは世界で唯一のスーパーパワーで、よりよいアメリカはよりよい世界につながる。
歴史や思想や政治を議論することで、自分や、他人を正しい投票行動に導いて、よい議会、よい政府を作ってゆく。
あたし個人は、生粋の日本人なんで、道楽以上の関心は無いんですがね。恥ずかしながら。日本に帰ったら、福沢諭吉でも読んでみますかね。
ついでにですが、キャピトルヒルのツアーは、ビジターセンターのツアーも、本体のツアーも、とってもよいのでお勧めです。丁寧で、やさしくて、ガイドはかなり訓練されてます。本体のツアーはネットで事前予約する必要があるんですが、ガイドは何聞かれても、エディーマーフィーのように答えまくる背の低い女性で、終わった時にはこっちがヘトヘト。
さて、著者のデレクですが、こんな感じです。本屋の動画じゃないんですが、まあ、テレビやなんかにはよく出てるようですな。
この本屋というのが地下鉄の駅から結構遠くて、途中でトイレに行きたくなって・・・。もう行くのやめて戻ろうか、と思って引き返そうとしたら、楽になったりして。
零戦撃墜王の、坂井三郎がガダルカナル防衛のために出撃して、負傷して帰投するときに、意識が薄れてきて、もう基地まで持ちそうに無い、引き返して敵艦に体当たりして死のう、と引き返そうとすると、途端に目がさえてきて、結局帰投できた、目が覚めたのは死を目の当たりにして本能が働いたのだ、みたいなことを著書に書いてるんですが、
そんなことを思い出しながら、長い坂道を登ったところにその本屋はありました。セーフ。
The Lost Peace: Leadership in a Time of Horror and Hope, 1945-1953 | |
クリエーター情報なし | |
Harper |
さて、その講演なんですが、レクチャーの冒頭で、本書のテーマについて。何で、こんなに立派なリーダーがそろって、ひどい判断をして、平和をもたらすことができないのか。第一次大戦でひどい目にあって、第二次大戦、そのあと冷戦・・・。
著者は、ジョージ・ケナンをとても買っていて、本書のヒーローだ、とかなんとか。当時から、この体制ではいずれもたない、とソ連崩壊につながることを予想して、封じ込め、冷戦体制を敷いたんだとかなんとかで。
質疑応答もあって、2時間ほどの講演会だったんですが、私の英語力と乏しい歴史の知識では細かな議論にはついていけませんでした。残念。
本書の書評です。
クリスチャンサイエンスモニターに出てましたが、結構厳しい。
The Lost Peace
The “presidential historian,” that expert on the American presidency who is ubiquitous on television screens and newspaper pages during elections, is a very recent phenomenon. But it seems to be implanted in the culture now, becoming a respected side gig for those writing popular American history. Of these presidential historians – a group that would also include Doris Kearns Goodwin, David McCullough, and Michael Beschloss – Robert Dallek probably is the best.
大統領史の専門家。選挙中には、テレビや新聞でどこでもでてるのは最近の現象。ただ、いまや文化の中に埋め込まれてしまって、一般向けの米国史を書くものにとっては、評判の良い一時仕事になりつつある。
そんな大統領史の歴史家の中で、デレクは多分、ベストだ。
と絶賛の末、
All of which makes The Lost Peace so disappointing. The book is not bad per se – it’s just unoriginal and unnecessary.
本書にはホトホトがっかりさせられる。悪くは無いが、独自性や必要性に欠けている。
とボロカス。
前著に本書の発想は既に書かれていることや、他の歴史家の業績を考慮していない点なんかをその理由にあげてるみたいですね。
パラパラめくって読んでみると、南京大虐殺で30万人とそのまま書いてあって、この数字ホンマかな、と私は右翼じゃ無いんですが、ちょいと気になりました。
あたしゃ本書をその場で買って、サインまでもらってきたんですがね。定価で。
ユニオン駅の本屋で、2割引きしてて・・・。クソ。
まあ、売れ行きが悪くて割り引いてるんじゃ無くて、新刊なんで割り引いてるみたいですな。米国では。サラペイリンのメモワールは、もう割り引いてませんでした。日本じゃ本は割引にならないんで、この辺の感覚はよくわかりませんね。
さて、本書の中身は別として、講演会の雰囲気ですが、
結構シニアが参加してて、若い人はあまり居ない。一人いっぱい本書を抱えてサインをもらうので並んでましたが、あとは中年以上。若いのはカレッジの学生さん。
とってもいい感じです。質問にたったおっさんは、自分も歴史家だ、とハナシてました。思想、歴史関係はヒマな若者、若い人たちにハナシを聞いてもらって、じゃないんですな。
『今、危機にある大統領を助けるには、我々はどうしたらよいのでしょうか』
と、その辺のオバハンがマイクの前に立って質問した時には、心底ビックリ。パブリックへの貢献に関連しているとさっき書いたのは、この質問があったからハタと感じたんですね。あんましビックリしたんで答えを聞き漏らしてしまった。
著者は、
『メディアのあり方はルーズベルトの時代とは大きく違っている。ルーズベルトはラジオを使い、ケネディはテレビ。オバマ大統領はとっても苦労してて、あの知的に優れたオバマ(such a intelligent man)でさえ・・・』
とか、
『サラ・ペイリンというもう一人メディアの扱いに優れたのも居ますがね』
と言ってて、その瞬間、『ウィッチ』、と合いの手を入れた客が居て、笑いが起きてました。
こういう場所では、きちんとオバマ氏は評価されてて、ペイリンはチョットあんた、みたいな感じで受け取られているんですな。メインストリームメディア報道の感じとズレが無い。
そっから大統領がどんな人か、みたいな方にハナシが流れて行って、大統領と食事をした時のハナシをされてました。
10人歴史家が呼ばれて食事をしたんですな。メディアのハナシになって、そんなに面倒ならキャンプデービッドに行って・・・・、と話したら、横からミシェル夫人が、だめだめ主人は都会じゃないと・・・、(正確じゃないかも知れません)。
とまあ、大統領と食事もする重要人物ってことで。
その時の、ハナシを著者はTimesにも書いておられます。9人の歴史家になってますがね。
March 23, 2010
Obama has done what LBJ and FDR couldn’t
今年3月の記事で、オバマケアが政治的なプラスになる、と読んでたようですな。
大はずれやんけ。
長い目で見れば、と書いてるんで、結論はまだ先かな。
さて、2年後はどうなるか。
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