会計スキル・USCPA

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フィリピン セブにて3  貧困

2011-05-11 07:49:40 | 貧困問題
マッサージのオネーさんの日給が75ペソ、というのが仮に正しいとしましょう。
(美容室併営のフツーのマッサッジーです)。

彼女に念のため確認しましたが、お客一人当たりじゃなくて、日給だそうですな。
収入が低すぎるんで、休みはとらず、基本的に毎日出勤するそうです。通うのはジブニーで。

ちょいと待った、ってことなんですな。

物価が安いから、人件費も安い、とフツーに考えるだけではつじつまが合わない。

彼女が一日3人の客をとったとして、売上は1050ペソ、2010円です。で彼女の賃金が150円。
売上の一割に満たない。

これはちょっと低すぎますな。日本だと仕入れ負担の大きい、小売業や、卸業であってもこんなに低くないし、ましてやサービス業であれば、もっともっと大きくないとおかしい。

これはどういうことかと言うと、要するに、労働者に対する利益の配分が異様に小さいということ。

ということで、実際調べてみると、

データブック国際労働比較2011

本書の44ページに労働分配率の国際比較が出ています。
日本だと09年で約75%。先進国は大体6割から7割あたりにあることがわかりますな。

でフィリピンがどうなっているのか。
08年の数字しかありませんが28%と日本の半分以下しありません。

かなり低いです。つまり、物価水準が低く、もともと売上水準も低いんで、労働者の賃金も低いんだ、ということだけではなく、売上から、人件費として支払われる費用の比率も小さくなっているということですね。

ただ、その28%というのもマッサージのオネーサンはそれ以下しかもらってませんな。

労働分配率というのは、付加価値の中の労働者の取り分ということになりますが、サービス業なのでほぼ全額が付加価値だ仮定すると、1050ペソのざっくり3割といえば300ペソ近くもらってないといけないが、75ペソしかもらってないとすると、フィリピン水準でみてもかなり安い。

日本でも日払いの仕事だとかなり安くなるはずなので、彼女の収入はフィリピンの中でもかなり低めにはなるんでしょうがね。それでも低すぎますな。

これの意味することは、

資本の取り分が大きいということでもあって、労働者の取り分が低い分は、資本に持っていかれるわけですな。資本の利益。経営者の取り分であったり、配当や金利、マッサージ店の賃貸料なんかですね。

タクシーの運転手に、真夜中に走ってるがいつ寝るの、と聞くと、大概、時々眠くなると数時間寝て、また走ると答えてました。きちんと休んでいる余裕はなくて、休みなんかない、みたいな。

フィリピンが貧困国、というのは、もともと全体的に貧しいということに加えて、不平等社会であることが大きい、ということだと思いますが、

もう少し分析をつづけてみますかね。