会計スキル・USCPA

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ウォルマート シカゴ進出

2009-03-23 22:57:19 | 小売
ウォルマートが進出してくるとなると、やはり反対が巻き起こるわけでして、これは日本で地元商店街がスーパー進出に反対するのとよく似ているんですが、

シカゴで一番力が強いのは、労働組合のようです。

Wal-Mart Supercenters ring Chicago, grab share from Jewel, Dominick's

Wal-Mart's market share is still small compared to Chicagoland's grocery leaders, Jewel and Dominick's. But with several new stores, Wal-Mart gained share last year, seemingly at the expense of Jewel and Dominick's, data from market researcher Nielsen Co. indicate.

シカゴではまだまだシェアは小さいんですが、着実にシェアを奪っているというハナシです。

And more Wal-Mart Supercenters are coming to the area: six this year, including one that opened this past week in Orland Park, which gives it 19 now open. Six more are planned for 2010.

ウォルマートの店の数も少しずつ増えていて、今年6つ、来年はもう6つ計画されているとか。

in the Chicago area, Jewel-Osco, with 167 stores, has a commanding 39 percent share, compared to 6.5 percent for Wal-Mart Supercenters, according to Nielsen. And both Jewel and Dominick's, the area's No. 2 player with 80 stores and an 11.3 percent share, are renovating many of their local properties.

シカゴでは一番手は167店もっていて39%のシェア。二番手が80店で11.3%のシェア。ウォルマートはまだ6.5%。

Union-led resistance to Wal-Mart has so far helped to shut the company out of the full-scale grocery business in the city of Chicago, and with roughly 30 percent of the metro area's population, the city is a critical market.

組合が主導するウォルマート反対運動はフルスケールの食品雑貨店をシカゴ都市部で開店することを食い止めている(出ているのはスーパーセンターだけ、ということを言ってるんだとおもいますが。どっちがどうというのがいまいちわからないんですが、だれかご存知のかたいらっしゃいませんかな)。人口密集地の3割の人口が集中する最重要マーケット。

A recent report by Credit Suisse analyst Edward Kelly indicates that gap is wider in the Chicago area. In Kelly's January survey, Jewel's prices were 23 percent higher than Wal-Mart's; Dominick's, 26 percent greater. Still, analysts say both traditional chains compete on price through promotions and private-label items.

シカゴでは価格ギャップが広がっていて、ジュエルの方がウォルマートより23%高い。ドミニクスは26%も高い。

組合が反対するのは、ウォルマートが低賃金とか、組合より低い条件で雇用するからですな。競合する業者が反対してウォルマートが進出できないのではなく、組合だってとこが、日本と違うとこですね。

理屈っぽくなると不人気なのは承知であえて、ウォルマートが進出してきた際のエフェクト、ウォルマートエフェクトについて整理しておきますと。

1.ウォルマートは消費者にかなりの低い価格を提供する
・2割以上安いとは、スゴイですな。ここまでとは。これは消費者は逆らえませんな。ちょっと安いだけじゃないですからな。

2.ウォルマートは低賃金
・組合が反対するわけですね。

3.地域経済には1を通じて消費者の購買力を高める。名目賃金不変であれば実質賃金が増えたのと同じ効果。消費支出増につながり、経済成長を促す。

4.地域経済には低賃金を通じて購買力を低める。ウォルマートの従業員はウォルマートで買い物をする限り、低価格の恩恵を受けるが、多分賃金の低さが勝つだろう。ウォルマートだけで買い物を済ませるわけにもゆかないし。まあ、この効果は従業員だけのハナシ。

5.ウォルマートは確実に利益をあげて、その利益は経営陣や投資家に移転する
・ウォルマートが進出してきたら、ウォルマートがシェアを奪い、シェアを奪われた会社の労働者より、ウォルマートの労働者はより少なく受け取る。高効率による余剰は、消費者と経営、投資家の間で分け合う。消費者が受け取る分は地元に還元されたことになるが、残りはリトルロックやニューヨークに吸い上げられる。
・シェアを奪われる地元の業者が支配していた間は、地元民の間で利益を分け合っていた。

ウーンこの辺はナントモいえませんな。どれだけ消費者に還元されて、どれだけ資本が取ってゆくかの配分の問題でもありますな。ただ、純粋に経済面だけで見れば、効率の良いウォルマートが、地元の経済に貢献することは間違いなさそうです。

ただ、地元企業の労働者や、パパママショップの経営者は確実に職を失うことになるんですがね。地域のコミュニティを破壊する、という見方もあるんでしょう。

で、ここまではよくある議論で、次なんですが、

6.ウォルマートは卸に徹した小売であって、小売サービス部分を消費者に請け負わせている

アルビントフラーという未来学者が居まして、『第三の波』だとかで知られてますが、トフラーがよく、『プロシューマー』と呼ぶんですが、生産しつつ消費する人のことです。一部生産を請け負う。 場合によってはただで。P&Gの商品開発にボランティアを募って参加させる、とか、リナックスにただで開発に参加するとか。1年前のロンドンエノコミスト誌のイヤーブックでも無料化の流れ、が紹介されていましたが、とにかく仕事の一部を消費者に請け負わせて、無料にしたり、安くする流れ。

トフラーがウォルマートについて触れていたかは忘れましたが、『富の未来』という本には、いろんな事例を引いて経済が変わりつつある姿が書かれています。

ウォルマートが無機質な破壊者、経済合理性の塊、との見方もあると同時に、消費者の参加を促す、といっても、棚の整理だとか、商品をピックアップしたり説明したりする作業部分を消費者が自分で請け負うという意味ですが、という見方もできるんじゃないか、と思ったりもするんですな。

ちょっと大きなハナシになりましたがね。




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