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惑星ヤーパン8 スタートレック 宇宙戦艦ヤマト実写版 

2011-01-03 14:22:37 | 生活
宇宙戦艦ヤマト実写版 / 映画 SPACE BATTLESHIP ヤマト OPシーン・ノーカット


マッコイ:

ヤーパンくんだりまで来て、映画鑑賞かい。そんなヒマがあるんなら、カタギリ博士とヤーパンの風土病について議論していたいんだがね。

カーク:

ミラー提督のご招待なのだ。前回上陸した時のお礼だよ。喜んで受けようじゃないか。

マッコイ:

でも、なんで映画なんだい。もっとマシなものは無いのかい。

スポック:

私が希望したんです、ドクター。ヤーパンの映画技術も演出力も格段に向上しています。それに、ドクターもご存知のとおり、私はヤーパンの大衆文化を研究している関係で、この映画には興味があるんです。この映画は、1974年にアニメ版がテレビ放映されたものを実写化したものなのですが、人類が異性人からの攻撃を受け、・・・。

マッコイ:

ストーリーまで説明してどうする。フン、前回、惑星ヤーパンを救えたのは、君のヒトシウエキに関する知識のおかげだったからな、映画については我慢することにしよう。

カーク:

スポック、君には、首相官邸から大使館を通じて感謝状が届いているよ。提督は後で君とだけで話したいそうだ。

スポック:

光栄です。この際、ヤーパンをもう少し深く学びたいと思っています。

マッコイ:

それにしても、何だな。観客は年寄りばかりじゃないか。どうして子供が喜びそうなヤーパンのスペースオペラに、白髪頭ばかりが集まっているのかね。

スポック:

ドクター、先ほど申し上げたように、これは74年のアニメ版のリメイクなのです。熱狂した当時の若者達がなつかしがってやって来ているのです。それにヤーパンはすでに衰退が始まっていて子供の人数が極端に少なくなっているとともに、塾通いとおけいこ事で映画どころでは無いようです。


マッコイ:

おっさん、おばさんを相手にしているわりには、この映画は子供向けじゃないか。ことあるごとに、のけぞって敬礼するシーンが続くのには耐えられないな。


スポック:

これは、ヤーパンで長く続いている戦隊ものに影響を受けているようです。つまり75年に放映が始まったゴレンジャーをはじめとする・・・、

マッコイ:

もういいよ。戦隊ものの敬礼がこんな感じだって言いたいのだな。

スポック:

その通りです。惑星ヤーパンは我々と戦って敗れた後、長く平和の時代が続いたため、現実の戦闘や軍の記憶を保っている人々は現役世代から居なくなってしまいました。おそらく観客の中にも、製作者サイドにも居ないでしょう。軍に対するリアリティの無さが、こうした不自然な敬礼や、彼らが軍人に見えない理由だと思われます。

カーク:

戦闘機のドッグファイトから始まるのは、スターウォーズのパクリじゃないかな。

スポック:

エピソードⅢの冒頭シーンへのオマージュでしょう。パクリを指摘するのであれば,この映画では、そうしたシーンが随所に見られます、たとえば、惑星ガミラスでの戦闘シーンはスターシップトゥルーパーズでバグと戦うシーンに似ているし、戦闘機でガミラス構築物の中に入っていくのはインディペンデンスデイとスターウォーズ一作目,燃え盛るコックピットで敬礼しながら墜落してゆくシーンは誰もがどこかで見たことのあるシーンでしょう。ガミラスコアに行くのに細長い通路を渡っていますが,設定から見ても必然性はありません。おそらく,いくつもある同じような映画の影響を受けています。ガミラス戦闘機を捕獲するところはインディペンデンスデイをそのままパクっていますね。最後に古代が艦とともに自爆するのは、スタートレックのリメイク版で艦長のお父上が亡くなるシーンと同じです。

マッコイ:

こんなにメソメソしていなかったがね。それにしても、どうしてこう,セリフに能書きが多いんだい。敵がまん前の戦闘シーンでこんなおしゃべりができるはずがないじゃないか。なぜ,この海兵隊の若いやつは,わざわざ自発的に遮蔽物から飛び出して弾丸にあたって死ぬのかね。

スポック;

ヤーパンにはバンザイ突撃の伝統があるのです。かつての彼らの軍隊では,もはや勝てないと分かれば,遮蔽物の陰でコソコソしていて最後に捕らえられるより,派手に飛び出して死ぬよう指導を受けていたのです。しかし,この映画の場合は,その要素よりも,ヤーパン芸能の伝統に従っていると見たほうが良いのかも知れません。

カーク:

その伝統とは一体何かね。

スポック;

カブキです。昔から伝わる舞台芸能の一種なのですが,カブキには大見得を切るという伝統があり,たとえば,敵に斬られてから死ぬまで,延々と能書きを述べて,思いのたけをぶちまけるのですが,記録では半時間もそれが続くこともあるようです。この海兵隊の場合は,追い詰められて,やむにやまれず飛び出していますが,死という究極の犠牲と引き換えに、これまで抑えに抑えてきた自分を押し出すという定式に従った演出で,ヤーパンの観客はここで一種のカタルシスを感じるのです。

マッコイ:

しかし,これじゃあ,まったくリアリティに欠けて,カタルシスどころか、観客はしらけてしまうよ。最後に森ユキが駄々をコネて命令に従っていないが,こんなことがありえるわけがない。古代が愛の言葉をささやいたあと,丁度いい具合に緒方が迎えに来るのも,どうかしてる。緒方は艦が爆発寸前なのに,ずっと奥のエレベーターで出てくるタイミングを待ったいたのかい。きっとドアの開くボタンを押したままにして待ってたんだろうがね(笑)。

カーク:

こうした夢物語だからこそ,リアリティが大切なのではないかな。ヤーパンの観客はこれで満足なんだろうか。

スポック;

こうした演出が一定の支持を得ているのは間違いありません。そのため,あらゆる激しい感情的要素,たとえば,恋愛,涙,友情,高いテンションとその暴発など,大衆娯楽にはそうしたものをできるだけ印象的に盛り込むことを優先すべきで,ストーリーやリアリティは重視する必要は無いとヤーパンでは信じられているようです。

マッコイ:

信じられない。

カーク:

しかし,本当だろうか。実はヤーパンのクロサワの映画を観たことがあるんだが,あれも製作された当時は娯楽作だったはずだがリアリティに徹していたんじゃないかな。

マッコイ:

観客の問題じゃなく,作り手に問題があるんだろう。

スポック;

その可能性は捨て切れません。観客動員という点では,クロサワまで遡らずとも,最近でも先に上げた要素を盛り込まないでヒットを飛ばした例もあります。宮崎アニメや,クレヨンしんちゃんシリーズにもそうした例があります。

マッコイ:

それ見ろ,作ろうと思えば作れるのに,手を抜いているだけさ。

スポック;

ドクター、そうとは限りませんよ。作りたくても作れないのです。

カーク:

どういう意味かね,スポック。

スポック;

リスクの問題です。誰もがクロサワやミヤザキになれるとは限りません。感情に働きかけてそれで満足する観客を追いかけるほうがチープではあっても成功の確率は高いのです。

マッコイ:

スポック、そんなことを言うのは君らしくないな。誰もが,クロサワやミヤザキになる必要はないだろう。クロサワやミヤザキに映画を撮らせればいいだけさ。彼らに撮らせれば成功の確率も高いだろう。


スポック:

ドクター,そうは行かない事情がヤーパンにはあって・・・、


カーク:

話の途中だが,どうやら映画は終わってしまったようだな。

スポック:

映画はお気に召さなかったようでお二人には恐縮です。

カーク:

いや,君の話を聞けてよかったよ。君が,ヒトシウエキの呪縛を解い後にも,ヤーパンにはいろいろと問題があるようだね。マッコイと私は艦に戻るが,君には大使館の車が待っているのでそれに乗るんだ。酒は飲んでいないな。

スポック:

私に飲酒の習慣はありません。

マッコイ;

この堅物め。せいぜい楽しんで来るんだな。