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技術屋に院卒は必要なのか

大卒が増え続けた割には景気が伸びない不思議を以前のエントリで述べた。理系の就職戦線はもっと異常で『院卒でなければ人にあらず』なのである。院卒理系の増大が生産性向上の犯人ではないかとすら思っている。

 

理系大卒が新卒でエントリーしてくると『理系は常識的に院に行くよね』的な空気があって、僕はこの空気がほとほと嫌いなのだ。この空気は『大卒である彼(彼女)が何故進学しなかったか』を邪推するのと同じ。就活では「人を見る」という、ある意味正しいとは思うけど選別の尺度に大学名は存在するし、学卒を異分子としてみるという尺度が存在している。邪推の内容は(進学への)経済的な問題なのか、担当教授との折り合いが悪いとか、(担当教授との折り合いが悪いとして)学歴ロンダリング(有力大への編入)が不可能だとか。

何故僕が憤るのかと言うと僕の部下に選ぶのであれば、高専卒>大卒>院卒がいい。ちなみに僕はメーカー系就活生が憧れる研究所勤務(工場や本社の仕事に差別的な意識は無いけど学生のほぼ100%が研究所勤務を希望する)。

その理由は仕事が出来るようになるには「経験」が必要という事。研究所での最初の仕事はがむしゃらにサンプルを作って測定してとか、誰でも出来ることを最初にやる。いわゆるOJT(On the Job Training)だ、順次創造の仕事をこなしていく。どれだけの経験と判断基準を与えられたかによって創造的な仕事をこなせるかと僕は理解している。

だからボンクラの上司(全部自分でしないと気が済まない人、指導しない人、疑問に的確に応えられない人)に付くと最悪である。そんな人材は5年の経験があっても信用して(外部の人間として)任せられない。出自ではなく、仕事の経験値でその人の評判が形成されると思っている。工場の部下に信頼される生産技術系の人は典型で役職とは関係なく信頼を形成できる(こっちがボンクラだと舐められることは多々あり)。

 

だとすると若いうちから仕事を仕込んだほうが、若いうちにいろいろな仕事や部署を経験できる。浪人院卒は入社年齢が25歳、高専卒が21歳、4年仕込んだほうが使い勝手が良いに決まっている。僕は前提に院卒による生産性向上をゼロかマイナスに見ている。
仕事がに支障をきたすくらい頭が固くて(実験方法を議論することが勉学の証だと勘違いしている学生も少なくない)、若さも陰る(30目前の女子は使い難い)、なんにも良いところが無い。

学歴に求められることは小中高で真面目に勉強してきたか、ということと基本的な科学知識、業界知識だと思う。例えば機械系は『単位(次元)』にうるさいと今でも揶揄される。

 

就活で「○○を研究したので生かしたいです」←もう真面目馬鹿。就職したら企業はその企業のやり方というか流儀で教育する。研究内容はおろか、大学3年~M2で得た知識を利用する気は全く無い。有るとしたら研究発表のお作法とか特許申請の経験であろう。

僕が理解するにはっきり言って、大学院のマスターコースは無駄なのだ。

 

例えばシミュレーションしてみよう。同じ地頭で、同じ程度の高校理科(物理・化学・生物)理解があった上で、高専卒・大卒・院卒誰が欲しいであろう。高専卒は贅沢なので、僕にとって見れば大卒だ。大卒を2年鍛えたほうが余程使える。

 

この仮説が正しいのであれば技術立国日本は理系幹部候補生(例えば偏差値上位30%)の全員が若い2年を無駄にしている。その延べ時間・費用(本来ならば生産性に寄与した部分を含む)は膨大である。しかもメリットは一部超優良幹部候補生を除くと、、、全く理解できない、というか損失である。カネをかけて若い学生の時間を浪費しているようなものだ。

だからだろ。日本が駄目な理由。

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