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木造住宅、植物性内装材が必要な理由

僕はマンション住まいで住宅のことは詳しくないのだが、疑問がある。標題の件「木造住宅は何故あるのか」である。

戦前工業が発達していなかったことは木材は構造物を構築する材料としては安価であったであろう。原材料を採取しても50年くらいで再生するし、輸送運賃も石よりは安い。手頃な材料であることに疑問は無い。合板材は低コストであるのは明快だし。

しかし現在では工場で規格化された部材である鉄骨の方が安いと思われるし、壁も石膏ボードのようなパネルの方が安いであろう。

木材等の植物性材料の欠点は明快だ、火事に弱い。オフィスでは構造物はもちろんのこと内装材にもほとんど見かけない。調度で少し見られる程度だ。これはオフィスは不燃物で設計されているからで、文書などの紙は仕方が無いとしても、オフィスは火元が少なくても火事を強く意識している。ところが火元が多い住宅で、燃えることが明快な木材などの植物材料を構造物や家具に使用するのは非常に非合理的だと思のだ。
軽量鉄骨にしても鉄は1千℃で溶けるわけで、内装に木材を用いない方が火災の際の構造上の安全性は高くなる。
当然、木製(植物性)の柱・壁・フローリング・畳・家具はセルロースで燃料と言っても過言では無い。火災が起きた際には火の回りが速くなり、逃げ遅れ、助かる可能性が減る。そもそも火災が起きる可能性が高くなる。

マンションは鉄筋コンクリートで構造物が燃えることは無いけれど、内装材や家具が燃えて焼け死んだら意味が無いのだ。

まぁ木造住宅が鉄骨住宅と比べて非常に安いのであれば理解できるが、プレハブハウスや軽量鉄骨の建設工事を見ているとプラモデルみたいで、とても高コストに見えない。

 

ちなみに僕の家は冒頭に述べたようにマンションで鉄筋コンクリート製だ。ところが内装はキッチンと壁紙・天井以外は木材が多い。具体的には床はフローリング、襖は紙(っぽい)、桟は木材、扉は木製、全ての家具は木製、あと畳。壁紙・天井は不燃材であれば良心的であるが塩ビに見える。ボヤが起きたらこの部屋は炎が出るであろう。危険だ。

 

日本の従前の文化的と思われる建築物や家具や内装材は木製が多かった。というか殆ど紙と木と草で出来ている。そしてそれが人間的に優しいとか和むという文化があって、本格的な木造住宅は高級品というイメージがある、危険なのに。

植物性材料で構築された家屋が高級であるという感覚は世界規模では別にノーマルではない。欧州では何百年かけて石造りの街並みを形成して、それはそれは美しいと絶賛だ。中を見学したこともあるが暖房設備を追加したり、電設したりと改造しながら使い続けている。ヨーロッパの美しい街並みは文化財でもなんでもなくて実用されているのだ。ローマ中心部の歴史的に美しい街並みのアパートメントの家賃を聞いてびっくりした、1百万円/月はざらだそうだ。(その額で借りる人が居るほど経済的に価値があるということ)
ヨーロッパで数百年住宅を使い続けられる理由は使い勝手も別に悪くないのと、火事に耐性があるということだろう。ボヤのたんびに立て替えていたら町中(百年単位で)新築だ。
当然のことながら日本では、火事が起きたら延焼するのでそのエリアは新築するしかない。地方人でも隣家に延焼しないという程度の住宅事情でないことは理解できますよね。

日本で石造りの住居が普及しなかった理由はいろいろと考えられる。材料が身近ではない、輸送費が高い、山が多い(住居と山林は不可侵)。逆にヨーロッパでは平地が多いので森林を切り開いて畑にしたので、恒常的に燃料である薪を供給する森林不足があった。建築材料である石が豊富にあった。等

 

でも現在は工業が発達して文化的な意味以外には木材などの植物材料を家屋構造建材や内装・家具に用いる合理的な意味は薄くなってきた。価格的な意味でも火災予防の観点からも。

防災と文化的価値観の問題だ。その点でこだわりが無ければオフィスのように植物性材料を排除して安全性を追求することは可能なはずである。無機質な感覚は嫌だ、木のぬくもりが欲しいという人は「火災のリスク」理解して選択すべきだし、現代設計では無機質なカッコイイデザインも多数ある。

 

素人なのでよく知らないけれどテナントオーナーの意向で難燃材での店舗作りで古風な内装を表現できてるレストランとか、アバンギャルドなカフェとかあるんじゃないかな。

とにもかくにも日本の住宅は植物性材料で溢れている、火事になれば全てが灰になる。もっとも木材は一気に燃えないので1千℃になると飴になる鉄骨よりは安全だという意見もありそうだけど。それにしても内装が燃えすぎるので避難経路の確保が出来ないとか。あとマンションの火災の映像を見ていると燃え過ぎているのは内装由来だと思うのは穿っているのか。

 

木造住宅の存在意義が分からない。内装・家具に木材系、植物系素材を多用する理由が分からない。いや分かる文化的というか慣習が木を重要視している。しかしそれは危険ではないかということだ。木製を重視するのであればリスクがあることを一般化すべきなのではないか。これらの難燃材化を一般化するだけで火災の死亡者を半減以下に出来るのではないかと妄想する。

木材は加工がし易くて安価であるというのも分かっている。ちなみに火災件数は6万件超で死者数は2.5千人である。これを多いと見るか少ないと見るか。

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