原作:ダンテ 企画・漫画:バラエティ・アートワークス
このシリーズ、難解な本をシンプルにまとめてくれて、ホント助かるんだけど、惜しむらくはみんな絵のテイストが似ているために、10年後には私の頭の中で、ファウストと神曲とカラマーゾフの兄弟が交じり合ってしまうのではないか、とちょっと心配。
・・・・な~んてことはいいとして、神曲ってこういう話だったのか・・と納得。実は何年も前に原作を文庫で買ったのだが、地獄篇、煉獄篇、天国篇それぞれ1冊ずつあり、それぞれがすごく分厚い。で、最初の何ページが読んだだけで挫折してそのままに(っていうか、捨てちゃったかも?)。今回「まんがで読破」を読んでみて、シンプルすぎて物足りなくなり、また原作を見ようと、青空文庫で地獄篇をダウンロードしてみたが、やはり数ページで嫌になってしまったのだ。
ということで、やはりこのまんがに出会わなければ、私は一生「神曲」がどんな話だか分からずに終わっただろう。シンプルにした反面、格調の高さが失われ、猛烈に都合のイイ話になってるけど。
本作ではダンテ自身が主人公になっており、彼が実際に思いを寄せつつも夭折したベアトリーチェが重要な役割を演じる。この作品の中でもベアトリーチェは冒頭で亡くなっているのだが、悲しみのあまり道を見失ったダンテが、天国にいるベアトリーチェの要請で、古代ローマの詩人・ウェルギリウスの案内で、生きながらにして死後の世界(地獄→煉獄→天国)を旅して回り、何かをつかもうとする物語である。
キリスト教がベースにはあるものの、ダンテ自身の価値観が非常に大きく反映されていると思われる。面白いなと思ったのは、地獄の入口で、まだ地獄ともいえないような「煉獄」という場所に、キリスト以前の人達がたむろしているのだ。彼らは罰を受けているわけではないが、キリスト教の洗礼を受けていないために、天国に入れないのだ。地獄は階段状に下っていくすり鉢のような形をしており、下っていけば行くほど、罪の思い人達が苦しんでいるのだが、その中にはクレオパトラやトロイアのパリス、ヘレネのような有名人もいれば、骸骨になったまま絡み合ってさまよっている不倫の罪で殺された恋人達とか、大司教の頭を食っている人とか、色んな人達がいるのだ。そして最も重い地獄の底から抜け出す方法が、安直と言えば安直ではあるのだが、次は煉獄に向かい、罪を清めようと苦悩している人達に出会う。その中にはローマ教皇もいたりして・・・。
ま、ダンテがそういうタイプの人達をどういう風に思っていたかが反映されていると思う。まんがにすると非常に読みやすいので、あらすじをお知りになりたい方にはお勧めである。
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ひょっとして私は既に死んでいて、今まさに煉獄にいるのではないかと考えていますぅ。
最近バテていて、コメントかえせず、どうもすみません。
煉獄なるものは、私も初めて知りました。私はプロテスタント系の学校を出ていますが、煉獄は聖書にはなく、カトリックで考え出されたもののようです。
ただ個人的には、煉獄というものがもし存在したら、それはそれでうれしいような気がします。敗者復活戦みたいに、あの世で罪を清められる場所があるのなら、それはそれで・・・いやいや、罪は生きているうちに清めないとダメですよね・・・と書いているうちに気づきました。