さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】CDでわかるヴァイオリンの名器と名曲

2009-02-20 23:37:31 | 読書録
「CDでわかるヴァイオリンの名器と名曲」
 
田中千香士 編著 / ナツメ社
【おすすめ度】★★★★☆

これは、なかなかよい趣向の本だったなぁ。ヴァイオリンをやってる人でないとピンと来ないかもしれないし、個人的にはもっと突っ込んで欲しい部分もあったのだが、アマティやストラディヴァリ、グァルネリ(デル・ジェス)、グァダニーニなどがカラー写真でいろんな方向から鑑賞できるし、CDの中にはパールマン、コーガン、サラ・チャン、ズッカーマン、メニューイン、チョン・キョンファなどの名演奏家の演奏サンプルも入ってる。

特に面白いと思ったのは、ヴァイオリニストの漆原啓子さんによるストラディヴァリとモダンヴァイオリンの聴き比べコーナー。比較対象のモダンヴァイオリンはヴォルマッジア・ヴィットリオとマリオ・ガッダ。ヴィットリオはわからなかったが、ガッダは御茶ノ水あたりで280万円の値がついているのを見つけたから、それなりによいヴァイオリンである。

漆原さん所有(貸与されているのじゃないところがすごい)のストラディヴァリは、ストラディヴァリの第一作目と言われていて、アマティの工房にいた時の作品だから、アマティの影響を受けて胴体の膨らみが大きい。比較対象となっているモダンバイオリンは、普段弾いている楽器ではなくこの本のために初めて弾いたものということは考慮に入れる必要がある。

それでも、モダンヴァイオリンの音を聴いたあとにストラディヴァリを聴くと、頭蓋骨の周りの筋肉の緊張がふっと取れ、脳の奥の方まで音が響いてくるのが分かる。重音になると特に違いが出るようだ。もし生で聴いたらもっと違うんだろうな。

また漆原さんが語っておられることが、さらに面白い。そのストラディヴァリは漆原さんが入手する前は長らく(100年位?)眠っていた楽器のようで、7年弾き込んでやっと花開いてきた感じだという。決して大音量が出ているわけではないのに、オーケストラと弾くと、オーケストラよりも音がよく伸びるんだとか。ステージ上では大きい音がせず、広い会場で弾くと、遠くへ行けば行くほど伸びていくという。不思議だなあ。(11月にアルプホルンと一緒に演奏した時、アルプホルンがちょうどそんな感じだったけど。)

そんな花開いてきた愛器でも、40~60分弾いてやっと音が開いてくるという。毎日弾き込んでいるプロのヴァイオリニストですら最初は音が鳴らないのだから、私のヴァイオリンももっと沢山弾いてあげなきゃ可愛そうだ。

この本を通じてちょっと興味を持ったのはアマティ。同じアマティでも胴の膨らみが大きいタイプとそうでもないタイプがあるんだね。できればアマティとストラディヴァリとデル・ジェスの弾き比べを聴きたいんだけど(同じ弓で同じ演奏者で同じ曲で)・・・なんて贅沢すぎるかな。アマティなんてもうめったに聴けないのかな。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お薦め本ですね。 (たあ坊)
2009-02-23 08:48:34
この本のシリーズの「バロック入門」を買っています。CD2枚ついていて、それを聴いているだけでためになりそうです。図や、写真が豊富で、わかりやすいです。「名曲探偵アマデウス」にでてくる、××准教授の説明に似てるかな??
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通ですねぇ。 (さぶりん)
2009-02-24 02:08:06
さすが・・・。

たあ坊さんちも、楽譜とか本とかCDで埋まっていそうですね。

バロック入門ですかぁ・・今度見てみます。
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