永井路子/ゴマブックス
試用期間中のKindle Unlimitedを利用して読んでみた。
まるで、まひろ(紫式部)が全く出てこない「光る君へ」をみているようだ。
ちょうど上巻の終わりが、今週の放映分と重なり、道兼の急死後、詮子の息子(一条天皇)への夜中の直談判を経て、道長が内覧の宣旨を受け、関白を辞退して、右大臣になったところなのだ。
本作は「光る君へ」の原作ではないから、「光る君へ」と本作を比べて、異なっているところが創作っぽい・・という感覚が働く。民の訴えにより横暴な受領が罷免されたのは事実であり、それの類似事例が宮廷で話合われたのは事実の様であり、だが「光る君へ」では道長は民よりの発言をし、本作では逆の発言をしているので、どこからが創作なのかがわかりやすい。
また、道隆や道長の死因は酒の飲み過ぎによる糖尿病と言われるが、現代人の方がよほど甘いお菓子を食べてるのに、酒の飲み過ぎで糖尿病になる?とちょっとしっくりきていなかったのだが、この時代の酒は今のものより断然甘いと言われれば納得はいく。食事も糖質に偏っているかもしれないし。
大河ドラマより、宮廷の駆け引きに関わる記述が多いので勉強になる。小右記を記した実資のことも頻繁に出てくる。大河ドラマの副読本として読むと楽しそうである。