さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

「風立ちぬ」を観てきた!

2013-08-14 23:09:10 | 映画・番組等、各種鑑賞録
最初あまり興味がなかったんだが、「風立ちぬ」と「終戦のエンペラー」を2本続けて観ると面白い・・ということを友人が日記に書いていたのに興味をおぼえ、まず「風立ちぬ」から観た。

話題作だけあって、夜遅いのに意外にお客さんが多かった。一言で言えば「観てよかった」ということになるんだろうが、「色々ディテールが気になってしまう作品」でもある。

「風立ちぬ」という題名で想起されるのは、松田聖子・・・じゃなくて堀辰雄の同名小説だが、堀辰雄の「風立ちぬ」からは着想を得ているだけであって、どちらかというと堀越二郎という実在の航空技術者をモデルに描いた作品だ。堀辰雄の「風立ちぬ」はまだ読んだことがないが、航空機の話は出てこないし重要登場人物の名前もこの映画とは違う。

堀越二郎氏は零戦を開発した技術者だ。私にもう少し戦史と航空機の知識があったら、もっと楽しめたのかもしれないが、それでも十分面白かった。計算尺をシャカシャカ操りながら図面を作り、数字を書き込んでいっている姿にはなかなか痺れるものがある。

計算尺といえば、私の子供時代にもわずかに生き残っており、父の机の中に入っていた。その滑らかにスライドする感触はなかなかゾクゾクするものがあり、父の目を盗んでよく遊んでいた・・・なんてことを書いたらあとで怒られるかもしれないが、子供の頃の私は計算尺をいじりながら、いずれ自分にもそれを操る日が来ると思っていたのだ。中学何年だったか忘れたが、数学の教科書の後ろの方に「計算尺の使い方」という章がポロッとついていたことがある。いよいよ計算尺を使った授業を受けられる・・・と心待ちにしていたのに、飛ばされちゃったんだよね。時代は算盤・計算尺から電卓の時代へ移っていたからね。今の若い子たち、映画の冒頭で骨折した女性の添え木代わりに使われていたものが計算尺だって、ひと目で分かっただろうか?

ということで私が感銘を受けたのは「堀越二郎物語」であって「風立ちぬ」ではないような気がするんだが、どうだろうか。

ディテールが気になるといえば、もし子供が真似したら危ないと思われるシーンが沢山出てくることだ。まず屋根に登り、屋根の上で子供が寝るシーン。高い所が大好きで、幼い頃から屋根の上を歩きたいという気持ちを必死で封印してきた私だからこそ、そういうシーンを観るとハラハラするんだが、私のような子供が見たら真似しちゃうよ。

あと「列車のつなぎ目にあんな乗り方をするな」「列車や飛行機の窓から手や首を出すな」「列車から飛び降りるな」「タバコ吸いすぎ・・っていうかマッチの火の始末が甘く見える」「紙飛行機を取ろうとして危ないところへ行くな」っていう風に、観てると結構イライラするのである。最初の関東大震災のシーンなんかも、まだ傷の癒えぬ東北の人が観たらどう思うだろうとハラハラした。そんな風にハラハラ・イライラするたびに心が作品から離れてしまう。いつものジブリ作品のようにファンタジーならあまり気にならないだろうが、今回はかなりリアルさの際立つ作品だからこそ気になるのかもしれない。こういうものはちょっとした加減で印象が変わるものなのだから、観る人の気持ちにを想定して、もう少し配慮があった方が良かったのではないか。

色々あるが、それでも観てよかった。もう少し航空機や戦闘機のことを勉強したいと思った。零戦開発者の話だから、零銭開発秘話をたんまり見れるかと思ったんだが、意外にも最後の大成功として出てくるのは、その手前の九試単座戦闘機(九六式艦上戦闘機)だった。零銭とはかなり形が違う。戦中のシーンを敢えてカットしてるから、戦時中に開発した零戦もカットになり、戦前の九試単座までにしちゃったのかな。最後に夢のシーンに零銭がちょろっと出てくるだけに不自然さを感じた。

いずれにせよ、観たあとで何か前向きな気分になったり、イマジネーションが膨らんだりするのは良い映画であると私は思っている。そういう意味では良い映画だったし、絵も音楽もなかなか良かった。昔の鉄道も沢山出てきてワクワク。

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