さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

オペラ「椿姫」無事終了!

2013-08-11 23:23:57 | ただの日記
何回も当ブログに書いてきたけれど、待ちに待ったオペラ「椿姫」の本番の日がやってきた。場所は古き良き横浜を感じさせる神奈川県立音楽堂。

私は横浜の出身だから、県立音楽堂と聞くだけで胸が高鳴るものがあるのだが、ハタと困ったことに、実際にそこへ行った記憶があまりないのである。中高時代、校内の合唱コンクールは自校の講堂か、神奈川県民ホールだったが、県立音楽堂も1度くらいは経験したと思うんだがな。



思考が停止するほどの猛暑の中、みんなでタクシーに分乗して坂道を上がり、たどり着いたのがココ。記憶にあるような、無いような。



同じ敷地にある青少年センターの方は見覚えがある。中学2年の時、ここで「魔笛」を見たことから私のオペラ人生は始まったんだもの。

で、話を県立音楽堂に戻すと、中に入って楽屋に向かう時、赤い絨毯が部分的に敷いてある狭い階段に何となく見覚えがあるような気がした。やはり一度来たような気がするんだがな。でもホールの中に入ってみると、また今ひとつ記憶が薄くて。子供の頃は、ホールなんてどこも同じに見えたからな。古びた木の壁が年輪を感じさせる。このホール、実は母の学生時代からあるんだ。

今回は演奏会形式ということなのでオケはピットに入ることなく舞台の上に乗る。だがさらに一段高いところに狭い舞台がしつらえてあった。あぁ、これならオケも歌もお客さんからよく見えていいなと思った。リハで歌の音が結構ちゃんと飛んでいるのを確認できたので、やはり県立音楽堂はいいな、と思った。

演奏会形式とはいえ、演技は結構ちゃんとつけた。入退場が何回もある。私は若いテノールの子とペアを組み、イの一番に舞台に出て行く役どころをいただいた。グラスを持ち、ドレスの裾を持って、高い段にさささっと上がるのは大変だったけど、楽しかった。

☆ ☆ ☆

初めての「椿姫」なんで、多少語らせて欲しい。
実は、私が「椿姫」全幕を通じて好きな曲を3つ挙げるとすると、以下の通り。

1.空に夜明けが甦る(導入部の終結部) Si ridesta in ciel l'aurora
2.おれたちはマドリードのマタドール Di Madride noi siam mattadori
3.ああ、残念な! Oh mio rimorso!

有名な乾杯の歌よりもこの3つが好きなのである。なので若い頃からこれらばっかり聴いていた・・はずなんだけどなぁ。

聴くのと歌うのは大違い。特に暗譜となると・・・・。3はアルフレードのアリアだから我々は歌わないけど、1,2は合唱がやらなければならない。この2曲と、Noi siamo zingarelle venute da lontano(あたしたちははるばると訪れたジプシーの女)、最後の舞台裏の合唱「バッカナーレ」の暗譜が本当に大変で大変で、最後まで苦しめられた。でも好きな歌の歌詞が入れられないくらい悔しいことはないので、全体練習が少ない中、必死で自主練した。そしてギリギリで間に合ったのだ!

とにかく本番の舞台の上では、これらをお客さんの前でちゃんと歌えるということが本当に嬉しかった。嬉しく、楽しく、しっかり役目をやり遂げた気分。

お客さまの反応も大変良く、オケもソロも合唱もばっちりの、大変イイ演奏会になった。

☆ ☆ ☆

さて今回、自分が今までに出たオペラと異なるのは、オケが初めて一緒に演ずる皆さんだったこと。思い返すと、私は自分の所属オケに伴奏していただくことに慣れて、甘えてしまっていたかもしれない。

今回は「合唱付きの本格的なオペラをやりたい」ということで、この演奏会を企画されたオケのみなさんとの共演になるのだ。練習に何回か参加するたびに、みなさんのまっすぐな気持ちと真剣なエネルギーが伝わってきた。我々合唱は少人数かもしれないけれど、絶対に聴き応えのある演奏にしたいと頑張る気持ちが増してきた。さらに素晴らしいソリストの先生方のバックで歌えるということで、どんどん気も引き締まってきた。

マエストロが昨日の通し稽古の時にオケの皆さんにおっしゃった言葉が印象的だった。「みなさん、緊張してませんか?」と。「歌い手の皆さんは、ソリストさんも合唱の方も、本番になると衣装とメイクで今とはとても違う感じになります。そういう姿を見て緊張してしまってはいけません。みなさん折角ここまで頑張って準備して、練習してきたんですから、本番では是非楽しんでくださいね。」

そうなのかぁ~と、意外に思った。歌の人を見慣れている私は、オーケストラ伴奏側に回っても、そんなことで緊張したことはないので、逆に恐れ入ってしまった。

本番当日はオケの女性と同じ楽屋を使わせていただいたが、みなさん優しい方ばかりだった。どんなにドレスアップした姿が綺麗でも、実はこんな風にどさくさと着替えてるんだぞ・・みたいな恥ずかしい姿をさらしてしまったけど、逆に実態を知っていただいてよかったんじゃないだろうか。

☆ ☆ ☆

終演後の打ち上げも大いに盛り上がった。私は本番でほとんどのエネルギーを使い尽くしてしまったので、自席を動けずにあいさつ回りをほとんど出来なかったが、オケのみなさんの様子を見て、この演奏会に出てよかったなと思った。オケの若い子達が必死に準備してきたこと、ベテランのソリストさんやマエストロの色んな取り計らいがあったことで、今日のような会が実現したということなのだ。

壇上で感極まって言葉に詰まってしまう幹事の方々を見て、オケのみなさんのご苦労は、我々なんかよりもっともっと大変だったのだと思った。こんなまっすぐなみなさんと共演でき、自分もベストを尽くせたことが嬉しい。
コメント (2)
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