アメリカのFRBは昨年12月、利上げを実施し、今年の利上げペースを従来の2回から3回にする発表した。中央銀行の政策金利の利上げは金融の健全化のためには必要な政策である。これまでは国内景気の悪化を回復させるために、どの国の中央銀行も政策金利の利下げを繰り返してきたのである。しかし、その効果は思ったほどに出ていないことも事実で、いつかは利上げにより、健全化の方向に舵は切らなければならない。アメリカはその条件が整いつつあるのかもしれない。しかし、世界はその条件が整わない国々も多い。まずは思ったほどの景気浮揚が起こらず、失業率が高止まりしている国々だが、それはさておき、そのほかの理由で、金利を上げることができない国も多い。まず、中国である。中国では二つの問題がある。一つは不動産バウルの真っただ中にあり、仮に、金利を上げれば、ローン返済のできない不良債権が積み上がり銀行の破たんが起きかねない。二つ目は中国の大手企業の多くは借入金で経営を維持させており、金利が上がれば、企業破たんが起きかねない。大量の失業者の発生だ。政府は何とか、企業の負債を減らすために、債権化を図っているが、FRBの政策変更で、その債券価格が暴落し始めた。だから、金融市場の海外との隔離を図っているのだが、完全なシャットアウトなどは当然、無理なのである。不動産バブルという意味ではお隣の韓国も同じである。家計負債が積み重なって、ローンの返済ができなくなる限界家計の家族も増えている。だから、ここで金利を上げれば、一気にバブル崩壊にまで行きそうである。だが、逆に、金利を上げなければ、海外資本で成り立っている韓国経済から資本の流出が起きかねない。だからと言って、中国のように鎖国政策も取れない。韓国経済は大きく海外市場に依存しているからである。日本もまた、金利の上げは政府にとって、つらい。なぜなら、膨大な国債を抱えているからである。財政を圧迫しかねない。(2017.1.5)