中国のゼロコロナ政策だが、上海の解除に続き、北京でも、感染対策として禁止していたレストランでの店内飲食や小中高生の登校について、一部地域を除き6日から解除する。これで約1か月続いた行動制限が大きく緩和されることになる。中国政府内でも、習近平の進めるゼロコロナ政策が大きな弊害を生むことに気づき始めたようだ。もちろん、メンツの国である。習近平氏の進めるゼロコロナ政策は大成功だったと言いながらの撤退である。中国のゼロコロナ政策の失敗の一つはPCR検査である。日本でのコロナ規制は基本的に発症者数に伴うものだが、中国のそれは厳密なほどのPCR検査による感染者の発掘によるものだ。4月末、2200万人の人口を持つ北京では、その9割の人にPCR検査を行ったという。約2000万人である。これだけの検査を行う能力があるのかと言う問題と当然ながら費用負担は誰が払うのかと言う問題が起こる。すでに中国ではその費用が国防予算を上回っているという。新規参入業者も増えているが、提出された検体のすべてを検査できていない現状もあるようだ。もちろん、共産党幹部と利益を共有している業者は提出された検体分の費用は申請する。だから、今、PCR検査業者への不正摘発が当局によって行われ始めている。さらに言えば、たぶん、上海など封鎖をいつまでも続けられないところでは、数値の改ざんも忖度されて行われただろう。2500万人の市民を2日、とか3日間隔でPCR検査をするという考えられない状況下ではもともと数値自体が正確であるはずがないのである。確かなのはこのアパートから感染者は出たということだけで、隣のアパートには感染者はいないということではない。それはつまり今の東京と全く同じことだ。あれだけ厳密にPCR検査を行う北京とほとんどPCR検査をしていないような東京と同じだということだ。だが、その間の市民の苦しみは山ほど違う。(くちなし亭、2022.06.06)
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