「No Sweat」に続く74年の作品。「No Sweat」同様日本では全く話題にならなかった作品で、私もジャケットくらいしか記憶にない。とにかくデビッド・クレイトン・トーマス脱退後のBSTは、日本では完全にロック・ファンから見放されていたのだ。もっともそれは本国アメリカでも似たようなものだったのだろう、メンバーも恐らくそのあたりを考えたのか、プロデュースにヘンリー・コスビーを迎えた本作では、まさに起死回生の一発を狙うかのごとき、大胆にイメージ・チェンジした作品になっている。私はソウル畑にはまるで疎いので、ヘンリー・コスビーといっても実はピンとこないのだが、調べてみるとモータウンの大物で、スティービー・ワンダーの後見人的なプロデューサーだったらしい。どういうコネクションでこういう人選になったのかはわからないが、前作ではポール・バックマスターなんか連れてきたバンドとしてはこれだけでも180%路線変更だとわかる。
出来上がった作品は、ヘンリー・コスビーが持ち込んだとおぼしき70年代のモータウン・サウンドが全編に彩られている。特に冒頭の「Tell Me That I'm Wrong」など、カッティング・ギター、ダンサンブルなドラム、リゾート風なストリングスとファンキーなブラスと、ほぼ完全にモータウン・サウンドで、前作の生真面目など雲散霧消、一瞬聴いてするこちらが青くなる。2曲目はジェリー・フッシャーより一段とソウルフルでイケイケなJerry Lacroixのボーカルをフィーチャーして、ボーカルまでそれ風になっている。ファンキーなギターとコーラスをフィーチャーした3曲目も同様だ。とにかくもうこれ以上ないくらいポップな仕上がりでおそれいってしまう。
ちなみに旧B面にあたるボーカル作品を両サイドに配置したメドレー形式で、真ん中に配置された4つの楽章はポップに傾きすぎたA面を懺悔するかの如くインスト・バンドとしてのBSTをアピールしている。ポップでなおかつテクニカルという、ほとんど当時のフュージョン・サウンドとオーバーラップするような雰囲気で、エレピをフィーチャーした第1楽章、ギターとスキャットをフィーチャーした第2楽章、もろにチック・コリア....というかRTF風な第3楽章と聴き所満載だ。
そんな訳で、このアルバムだが地味な前2作に比べると、吹っ切れたような魅力があって楽しめる。もっと早くこうすればよかったんだよ、と今となれば思わないでもない。が、72年にこのアルバムをつくるのはBSTにしてから、無理だっただろう。ここで聴ける音楽はロックもソウルもジャズも、守備範囲が少しづつ溶解し始めた74年という時代だったからこそできたという気もするのだ。ちなみにBSTは次のアルバムでデビッド・クレイトン・トーマスが復帰するため、ジェリー・フッシャー時代はこれが最後となる。このアルバムが売れていればそういうこともなかったのだろうが、これもさっぱり売れず、結局、このアルバムのポップさは徒花に終わってしまうことになる訳だ。
出来上がった作品は、ヘンリー・コスビーが持ち込んだとおぼしき70年代のモータウン・サウンドが全編に彩られている。特に冒頭の「Tell Me That I'm Wrong」など、カッティング・ギター、ダンサンブルなドラム、リゾート風なストリングスとファンキーなブラスと、ほぼ完全にモータウン・サウンドで、前作の生真面目など雲散霧消、一瞬聴いてするこちらが青くなる。2曲目はジェリー・フッシャーより一段とソウルフルでイケイケなJerry Lacroixのボーカルをフィーチャーして、ボーカルまでそれ風になっている。ファンキーなギターとコーラスをフィーチャーした3曲目も同様だ。とにかくもうこれ以上ないくらいポップな仕上がりでおそれいってしまう。
ちなみに旧B面にあたるボーカル作品を両サイドに配置したメドレー形式で、真ん中に配置された4つの楽章はポップに傾きすぎたA面を懺悔するかの如くインスト・バンドとしてのBSTをアピールしている。ポップでなおかつテクニカルという、ほとんど当時のフュージョン・サウンドとオーバーラップするような雰囲気で、エレピをフィーチャーした第1楽章、ギターとスキャットをフィーチャーした第2楽章、もろにチック・コリア....というかRTF風な第3楽章と聴き所満載だ。
そんな訳で、このアルバムだが地味な前2作に比べると、吹っ切れたような魅力があって楽しめる。もっと早くこうすればよかったんだよ、と今となれば思わないでもない。が、72年にこのアルバムをつくるのはBSTにしてから、無理だっただろう。ここで聴ける音楽はロックもソウルもジャズも、守備範囲が少しづつ溶解し始めた74年という時代だったからこそできたという気もするのだ。ちなみにBSTは次のアルバムでデビッド・クレイトン・トーマスが復帰するため、ジェリー・フッシャー時代はこれが最後となる。このアルバムが売れていればそういうこともなかったのだろうが、これもさっぱり売れず、結局、このアルバムのポップさは徒花に終わってしまうことになる訳だ。