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マーラー 交響曲第10番(クック版)/ラトル&ボーンマス交響楽団

2008年08月03日 23時55分34秒 | マーラー+新ウィーン
私が最初に聴いたマーラーの10番のクック全曲版がこれ。確か80年代初頭の頃に発売され、ほぼラトルのデビュー盤といっていいようなアルバムだったとはずだ。当時のラトルはマーラーでいったら、カンタータ「嘆きの歌」だとか、シェーンベルクが編曲したブラームスのピアノ四重奏曲の管弦楽編曲版とかいった録音を次々に出す、ちょっとかわったイギリスの新鋭(当時まだ20代)といったところだった。この10番のクック全曲版も当時はモリスとオーマンディ、あとレヴィアンがあったくらいで、レアな珍品から一個の作品として評価されはじめた時期だったように思う。

 前にも書いたとおり、私はこの10番といえば第一楽章だけを先行した楽しんだせいか、それに続く四つの楽章はあまり魅力的に感じなかった。たとえば第一楽章が飛び抜けて魅力的な作品といったら第9番もそうだけれども、この10番の場合、第一楽章とそれ以降がどうも落差がありすぎるような気がしたのである。ともかく、スケルツォのような楽章が3つも続く構成というのがなんとなく座りが悪い気がしたし、最終楽章も第一楽章に呼応したアダージョ・フィナーレというには、ややとっちらかったような雑然としたものを感じさせて、どうも今一歩、マーラー晩年の音楽という印象が伝わってこない感じがしたのである。このラトル盤に続いて、シャイーとかザンテルリンクの指揮に演奏も聴いてみたけれど、大してイメージは変わらなかったし、演奏そのものを比較してもラトルの演奏はスリムでシャープなところが特徴だとは思ったものの、とりたてて優れたものだとも思えなかったのだ。

 さて、このところ去年に続いて、再び10番をあれこれ聴いているところで、第二楽章以降も大分なじんできたこともあり、このラトルとバーミンクガムによる演奏も、また以前とは違った印象があるのではないかと、20年ぶりくらいに聴いてみたのが、結論からいうと、やはりピンとこない。全体にスリムで清涼な感じなのはラトルらしいところなのかもしれないし、若い世代らしくこの曲にまつわる様々な文学的要素を洗い流して、古典的クラシック曲として整然と演奏しているのだろうが、全体にあっさりしすぎのような気がする。また、オケはさすがにいっぱいいっぱいな感じでもある。ともかく、全体にコレっていう売りがないという印象だ。しばらく前に彼はベルリンと同曲を再録したけれど、そっちはどうなっているのだろう?。
コメント (2)
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